(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
私が大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。
大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
然るに、
(02) 従って、
(02)により、
(03)
「全国的」に見れば、
私が大野です。
ではなく、
私も大野です。
というのが、「正しい」。
従って、
(01)(03)により、
(04)
「大野さんはどちらですか」
「私も大野ですが、・・・・・。」
ということからすれば、
「私(未知)が大野(既知)です。」というだけでなく、
「私(未知)も大野(既知)です。」ということに、ならざるを得ない。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① 私が大野です。
② 大野は私です。
において、
①=② である。
ということは、
①(全国的に)私が大野です。
②(全国的に)大野は私です。
ということではなく、飽くまでも、
①(今、この場においては)私が大野です。
②(今、この場においては)大野は私です。
において、
①=② である。
という、ことになる。
然るに、
(06)
故に、Pであるときまたそのときに限ってQ(Q if and only if P)を主張することは、PならばQと、Pであるときに限ってQとを主張することであり、これは、PならばQと、Q ならばPとを主張することに他ならない。 すなわち、記号で書けば、
(P→Q)&(Q→P)
である(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、38頁)。
然るに、
(07)
(ⅰ)
1 (1) (P→Q)&(Q→P) A
1 (2) (P→Q) 1&E
1 (3) (Q→P) 1&E
4 (4) ~P A
5(5) Q A
1 5(6) P 35MPP
145(7) ~P&P 46&I
14 (8) ~Q 57RAA
1 (9) ~P→~Q 48CP
1 (ア)(P→Q)&(~P→~Q) 29&I
(ⅱ)
1 (1)(P→Q)&(~P→~Q) 29&I
1 (2)(P→Q) 1&E
1 (3) (~P→~Q) 1&E
4 (4) Q A
5(5) ~P A
1 5(6) ~Q 35MPP
145(7) Q&~Q 46&I
14 (8) ~~P 57RAA
14 (9) P 8DN
1 (ア) Q→ P 49CP
1 (イ)(P→Q)&(Q→P) 2ア&I
従って、
(06)(07)により、
(08)
①(P→Q)&( Q→ P)
②(P→Q)&(~P→~Q)
において、すなわち、
①(Pならば、Qであって)尚且つ(Qならば、Pである)。
②(Pならば、Qであって)尚且つ(Pでないならば、Qでない)。
において、すなわち、
①(PはQであり)尚且つ(QはPである)。
②(PはQであり)尚且つ(P以外はQでない)。
において、
①=② である。
従って、
(08)により、
(09)
①(私は大野であり)尚且つ(大野は私である)。
②(私は大野であり)尚且つ(私以外は大野ではない)。
において、
①=② である。
従って、
(01)(09)により、
(10)
① 私が大野である。
②(私は大野であり)尚且つ(私以外は大野ではない)。
において、
①=② である。
従って、
(01)(10)により、
(11)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
私が大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。
大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
という「説明」は、「不要」である。
令和7年7月15日、毛利太。
0 件のコメント:
コメントを投稿