2025年7月5日土曜日

「象が・象は・鼻は」は、3つとも「主語である」。

(01)
①{象の鼻、象の耳、象の顔}
という{集合}を「想定」すると、
①{象は鼻が長い}。
(02)
②{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}
という{集合}を「想定」すると、
② 象が鼻は長い。
(03)
{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}
{象の耳、兎の耳、馬の耳}
{象の顔、兎の顏、馬の顔}
という{集合}を「想定」すると、
③ 鼻は象が長い。
然るに、
(04)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)∃x(兎x&象x)                      A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  2UE
   6  (6)   兎a&象a                       A
   6  (7)      象a                       6&E
   6  (8)   兎a                          6&E
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
 2 6  (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  58MPP
1  6  (イ)      ∃y(鼻ya&長y)               9&E
 2 6  (ウ)      ∃y(耳ya&長y)               ア&E
    エ (エ)         鼻ba&長b                A
     オ(オ)         耳ba&長b                A
     オ(カ)         耳ba                   オ&E
     オ(キ)             長b                オ&E
1  6  (ク)                 ∀z(~鼻za→~長z)  9&E
 2 6  (ケ)                 ∀z(耳za→~鼻za)  ア&E
1  6  (コ)                    ~鼻ba→~長b   クUE
 2 6  (サ)                    耳ba→~鼻ba   ケUE
 2 6 オ(シ)                        ~鼻ba   キサMPP
12 6 オ(ス)                         ~長b   コシMPP
12 6 オ(セ)             長b&~長b            カス&I
12 6  (ソ)             長b&~長b            ウオセEE
123   (タ)             長b&~長b            36ソEE
12    (チ)~∃x(兎x&象x)                     3タRAA
12    (ツ)∀x~(兎x&象x)                     チ量化子の関係
12    (テ)  ~(兎a&象a)                     ツUE
12    (ト)  ~兎a∨~象a                      テ、ド・モルガンの法則
12    (ナ)   兎a→~象a                      ト含意の定義
12    (ニ)∀x(兎x→~象x)                     ナUI
従って、
(04)により、
(05)
(ⅰ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(ⅱ)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。従って、
(ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて(zがxの鼻でないならば、zは長くない)}。   然るに、
(ⅱ)すべてのxについて{xが兎であるならば、あるyはxの耳であって、長く、すべてのzについて(zがxの耳であるならば、zはxの鼻ではない)}。従って、
(ⅲ)すべてのxについて(xが兎であるならば、xは象ではない。)
という「推論」、すなわち、
(ⅰ)象は鼻が長い。然るに、
(ⅱ)兎の耳は長いが、耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)兎は象ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(06)
1   (1)  ∀x{象x⇔∃y(鼻yx& 長y)} A
1   (2)     象a→∃y(鼻ya& 長y)& 
            ∃y(鼻ya& 長y)→象a  1Df.⇔
1   (3)     ∃y(鼻ya& 長y)→象a  2&E
 4  (4)  ∀x(兎x→~象x)         A
 4  (5)     兎a→~象a          4UE
  6 (6)     兎a              A
 46 (7)        ~象a          56MPP
146 (8)    ~∃y(鼻ya& 長y)     37MTT
146 (9)    ∀y~(鼻ya& 長y)     8量化子の関係
146 (ア)      ~(鼻ba& 長b)     9UE
146 (イ)       ~鼻ba∨~長b      アド・モルガンの法則
146 (ウ)        鼻ba→~長b      イ含意の定義
14  (エ)    兎a→(鼻ba→~長b)     6ウCP
   オ(オ)    兎a& 鼻ba          A
   オ(カ)    兎a               オ&E
14 オ(キ)        鼻ba→~長b      エカMPP
   オ(ク)        鼻ba          キクMPP
14 オ(ケ)            ~長b      キクMPP
14  (コ)     兎a&鼻ba→~長b      オケCP
14  (サ)  ∀y(兎a&鼻ya→~長y)     コUI
14  (シ)∀x∀y(兎x&鼻yx→~長y)     サUI
従って、
(06)により、
(07)
(ⅰ)  ∀x{象x⇔∃y(鼻yx& 長y)} 然るに、
(ⅱ)  ∀x(兎x→~象x)         従って、
(ⅲ)∀x∀y(兎x&鼻yx→~長y)。
という「推論」、すなわち、
(ⅰ)  すべてのxについて{xが象ならば、そのときに限って、あるyは(xの鼻であって、長い)}。然るに、
(ⅱ)  すべてのxについて(xが兎ならば、xは象ではない)。
(ⅲ)すべてのxとyについて(xが兎であって、yがの鼻ならば、yは長くない)。
という「推論」、すなわち、
(ⅰ)象が鼻は長い。 然るに、
(ⅱ)兎は象ではない。従って、
(ⅲ)兎の鼻は長くない。
という「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(08)
1    (1)∀x{∃y[(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x]} A
1    (2)   ∃y[(鼻ay&象y)→長a&(~象y&鼻ay)→~長a]} 1UE
 3   (3)      (鼻ab&象b)→長a&(~象b&鼻ab)→~長a   A
 3   (4)                  (~象b&鼻ab)→~長a   3&E
  5  (5)   ∀y[(兎y→~象y)&∃x(鼻xy)]           A
  5  (6)      (兎b→~象b)&∃x(鼻xb)            5UE
  5  (7)       兎b→~象b                     6&E
   8 (8)       兎b                         A
  58 (9)          ~象b                     78MPP
  5  (ア)               ∃x(鼻xb)            6&E
    イ(イ)                  鼻ab             A
  58イ(ウ)                   ~象b&鼻ab        9イ&I
 358イ(エ)                            ~長a   4ウMPP
 358イ(オ)                  鼻ab&~長a         イエ&I
 358イ(カ)               ∃x(鼻xb&~長x)        オEI
 358 (キ)               ∃x(鼻xb&~長x)        アイカEE
 35  (ク)            兎b→∃x(鼻xb&~長x)        8キCP
1 5  (ケ)            兎b→∃x(鼻xb&~長x)        23クEE
1 5  (コ)         ∀y[兎y→∃x(鼻xy&~長x)]       ケUI
従って、
(08)により、
(09)
(ⅰ)∀x{∃y[(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x]}。然るに、
(ⅱ)   ∀y[(兎y→~象y)&∃x(鼻xy)]。従って、
(ⅲ)   ∀y[ 兎y→ ∃x(鼻xy&~長x)]。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxと{あるyについて[(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない]}。然るに、
(ⅱ)     すべてのyについて[(yが兎であるならば、yは象ではなく)、あるxは(yの鼻である)]。従って、
(ⅲ)     すべてのyについて[ yが兎であるならば、あるxは(yの鼻であって、長くない)]。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)鼻は象が長く、象以外の鼻は長くない。然るに、
(ⅱ)兎は象ではないが、兎には鼻がある。 従って、
(ⅲ)兎の鼻は長くない。
といふ「推論」は「妥当」である。
従って、
(05)(07)(09)により、
(10)
① 象は鼻が長い。
② 象が鼻は長い。
③ 鼻は象が長い。
という「日本語」は、それぞれ、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃y(鼻yx&長y)→象x}。
③ ∀x{∃y[(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x]}。
という「述語論理式」に、「相当」する。
然るに、
(11)
(ⅰ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲(スコープ)は、問題になっている変数が現れる少なくとも2つの箇所を含むであろう(その1つの箇所は量記号そのもののなかにある);
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、183頁改)
従って、
(10)(11)により、
(12)
① ∀x
② ∀x
③ ∀x
の「作用範囲(スコープ)」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃y(鼻yx&長y)→象x}。
③ ∀x{∃y[(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x]}。
という「述語論理式」の、「全体」である。
然るに、
(12)におり、
(13)
① ∀x
② ∀x
③ ∀x
において、
① x=象
② x=象
③ x=鼻
である。
従って、
(10)~(13)により、
(14)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃y(鼻yx&長y)→象x}。
③ ∀x{∃y[(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x]}。
という「意味」である所の、
① 象は鼻が長い。
② 象が鼻は長い。
③ 鼻は象が長い。
という「日本語」において、
① 象
② 象
③ 鼻
という「語の意味」は、
① 象は鼻が長い。
② 象が鼻は長い。
③ 鼻は象が長い。
という「文の全体」に「及んでいる」。
従って、
(12)(13)(14)により、
(15)
「作用範囲(スコープ)」が、 「文の全体」に及ぶ「語」を、「主語」であるとするならば、「定義」により、
① 象は鼻が長い。
② 象が鼻は長い。
③ 鼻は象が長い。
① 象 は「主語」であり、
② 象 は「主語」であり、
③ 鼻 は「主語」である。
然るに、
(16)
④ 書足以記名姓而已=
④ 書足〔以記(名姓)〕而已⇒
④ 書〔以(名姓)記〕足而已=
④ 書は〔以て(名姓を)記するに〕足るのみ=
④ 文字は〔(名姓)が書ければ〕十分である。
従って、
(15)(16)により、
(17)
例えば、
④ 書足以記名姓而已。
という「漢文」が、
④ すべてのxについて{xが書であるならば、・・・・・・}。
という「意味」であるならば、
④ 書足以記名姓而已⇒
④ 書は以て名姓を記するに足るのみ。
という「漢文訓読」において、
④ 書 は「主語」である。
令和7年7月5日、毛利太。