2016年8月31日水曜日

「括弧と返り点」で表すこと出来る「訓読」の「順番」(Ⅱ)。

―「08月30日の記事」を書き換へます。―
(01)
任意の表述の否定は、その表述を’~(  )’という空所にいれて書くことにしよう(W.O.クワイン、現代論理学入門、1972年、15頁改)。
従って、
(01)により、
(02)
① 読文。
の「否定」は、
① ~(読文)。
といふ風に、書くことにする。
然るに、
(03)
括弧は、論理演算子のスコープ(scope)を明示する働きを持つ。スコープは、論理演算子の働きが及ぶ範囲のことをいう(産業図書、数理言語学辞典、2013年、四七頁:命題論理、今仁生美)。
従って、
(02)(03)により、
(04)
① ~(読文)。
に於いて、「~」といふ「演算子の意味」は、(読文)に及んでゐる。
然るに、
(05)

を、「漢字」で書けば、この場合は、
~=不
である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① 不(読文)。
に於いて、「不」といふ「漢字の意味」は、(読文)に及んでゐる。
然るに、
(07)
①   読文。
に於いて、「何を読むのか」と言へば、「文」である。
従って、
(07)により、
(08)
①   読(文)。
に於いて、「読」といふ「漢字の意味」は、 (文)に及んでゐる。
従って、
(06)(08)により、
(09)
① 不読文=文を読まず。
に於いて、
①「不」の「意味」は、「読文」に及んでゐて、
①「読」の「意味」は、 「文」に及んでゐる。
従って、
(09)により、
(10)
① 不読文。
といふ「漢文」は、
① 不〔読(文)〕。
といふ「補足構造」をしてゐる。
然るに、
(11)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、二九六頁)。
従って、
(10)(11)により、
(12)
① 不〔読(文)〕。
が、「漢文の補足構造」であるならば、その時に限って、
① 〔(文を)読ま〕ず。
は、「国語の補足構造」である。
従って、
(12)により、
(13)
① 不〔読(文)〕。
に於いて、
 不〔 〕⇒〔 〕不
 読( )⇒( )読
といふ「倒置」を行ふと、
① 不〔読(文)〕⇒
① 〔(文)読〕不=
① 〔(文を)読ま〕ず。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
然るに、
(14)
① 3〔2(1)〕。
に於いて、
 3〔 〕⇒〔 〕3
 2( )⇒( )2
といふ「倒置」を行ふと、
① 3〔2(1)〕⇒
① 〔(1)2〕3=
① 1<2<3。
従って、
(13)(14)により、
(15)
① 不 読 文。
といふ「漢文」に対して、
① 〔( )〕
といふ「括弧(補足構造)」を与へるならば、「結果」として、
① 不 読 文。
といふ「漢文」に対して、
① 3 2 1
といふ「訓読の順番」を与へることになる。
(16)
② 我不〔常読(漢文)〕。
に於いて、
 不〔 〕⇒〔 〕不
 読( )⇒( )読
といふ「倒置」を行ふと、
② 我不〔常読(漢文)〕⇒
② 我〔常(漢文)読〕不=
② 我〔常には(漢文を)読ま〕ず。
然るに、
(17)
② 16〔25(34)〕。
に於いて、
 6〔 〕⇒〔 〕6
 5( )⇒( )5
といふ「倒置」を行ふと、
② 16〔25(34)〕⇒
② 1〔2(34)5〕6=
② 1<2<3<4<5<6。
従って、
(16)(17)により、
(18)
② 我 不 常 読 漢 文。
といふ「漢文」に対して、
② 〔 (  )〕
といふ「括弧(補足構造)」を与へるならば、「結果」として、
② 我 不 常 読 漢 文。
といふ「漢文」に対して、
② 1 6 2 5 3 4
といふ「訓読の順番」を与へることになる。
(19)
② 我+不〔常+読(漢+文)〕。
に於いて、
② 我+ は、「 主語 」であり、「 主語 」は、② 不 を「修飾」する。
(20)
② 我+不〔常+読(漢+文)〕。
に於いて、
② 常+ は、「 副詞 」であり、「 副詞 」は、② 読 を「修飾」する。
(21)
② 我+不〔常+読(漢+文)〕。
に於いて、
② 漢+ は、「形容詞」であり、「形容詞」は、② 文 を「修飾」する。
然るに、
(22)
② 我+不〔常+読(漢+文)〕。
に於いて、「誰がしないのか」と言へば、「私+」である。
従って、
(19)(22)により、
(23)
② 我+不〔常+読(漢+文)〕。
に於いて、
②「私+」の「意味」は、「不」を介して、「不常読漢文」に及んでゐる。
従って、
(23)により、
(24)
③ 我+常+不〔読(漢+文)〕。
に於いて、
③「私+」の「意味」は、「常」を介して、「常不読漢文」に及んでゐる。
(25)
② 我+不〔常+読(漢+文)〕。
③ 我+常+不〔読(漢+文)〕。
に於いて、
② は、「常に、漢文を読むわけではない。」といふ「意味(部分否定)」であり、
③ は、「漢文を読むことは、決してない。」といふ「意味(全部否定)」である。
従って、
(15)(25)により、
(26)
① 不 読 文。
① 3 2 1
② 我 不 常 読 漢 文。
② 1 6 2 5 3 4
③ 我 常 不 読 漢 文。
③ 1 2 6 5 3 4
といふ「訓読の語順」は、「正しい」。
然るに、
(27)
不 常 読 漢 文。
常 不 読 漢 文。
がさうであるやうに、「漢文」に於ける「主語」は「文頭」に在る。
然るに、
(28)
④ 不 常 読 漢 文。
⑤ 不 常 読 漢 文。
⑥ 不 常 読 漢 文。
⑦ 不 常 読 漢 文。
⑧ 不 常 読 漢 文
の場合は、全て、「文頭」には「主語」が無い。
従って、
(27)(28)により、
(29)
④ 不 常 読 漢 文。
⑤ 不 常 読 漢 文。
⑥ 不 常 読 漢 文。
⑦ 不 常 読 漢 文。
⑧ 不 常 読 漢 文
は全て、「漢文」ではない。
従って、
(29)により、
(30)
④ 不 我 常 読 漢 文。
④ 6 2 5 3 4
⑤ 不 常 我 読 漢 文。
⑤ 6 2 5 3 4
⑥ 不 常 読 我 漢 文。
⑥ 6 2 5 3 4
⑦ 不 常 読 漢 我 文。
⑦ 6 2 5 3
⑧ 不 常 読 漢 文 我。
⑧ 6 2 5 3 4
は、全て、「漢文訓読の語順」ではない。
(31)
② 我 常 読 漢 文(部分否定)。
③ 我 常 読 漢 文(全部否定)。
がさうであるように、「」は、
②      読
③      読
よりもに無ければ、ならない。
従って、
(31)により、
(32)
⑨ 我 常 読 漢 文。
⑩ 我 常 読 漢 文。
⑪ 我 常 読 漢 文
は全て、「漢文」ではない。
従って、
(32)により、
(33)
⑨ 我 常 読 不 漢 文。
⑨ 1 2 5 3 4
⑩ 我 常 読 漢 不 文。
⑩ 1 2 5 3
⑪ 我 常 読 漢 文 不。
⑪ 1 2 5 3 4
は、全て、「漢文訓読の語順」ではない。
(34)
⑫ 文
と書いて、
カンブン
と読むことはない。
従って、
(34)により、
(35)
⑫ 我 不 常 読 漢。
⑫ 1 6 2 5
は、「漢文訓読の語順」ではない。
従って、
(26)(30)(33)(35)により、
(36)
① 不 読 文。
① 3 2 1
② 我 不 常 読 漢 文。
② 1 6 2 5 3 4
③ 我 常 不 読 漢 文。
③ 1 2 6 5 3 4
は、「漢文訓読の語順」であって、
④ 不 我 常 読 漢 文。
④ 6 1 2 5 3 4
⑤ 不 常 我 読 漢 文。
⑤ 6 2 1 5 3 4
⑥ 不 常 読 我 漢 文。
⑥ 6 2 5 1 3 4
⑦ 不 常 読 漢 我 文。
⑦ 6 2 5 3 1 4
⑧ 不 常 読 漢 文 我。
⑧ 6 2 5 3 4 1
⑨ 我 常 読 不 漢 文。
⑨ 1 2 5 6 3 4
⑩ 我 常 読 漢 不 文。
⑩ 1 2 5 3 6 4
⑪ 我 常 読 漢 文 不。
⑪ 1 2 5 3 4 6
⑫ 我 不 常 読 文 漢。
⑫ 1 6 2 5 4 3
の場合は、「漢文訓読の語順」ではない
然るに、
(37)
① 3 2 1
② 1 6 2 5 3 4
③ 1 2 6 5 3 4
④ 6 1 2 5 3 4
⑤ 6 2 1 5 3 4
⑥ 6 2 5 1 3 4
⑦ 6 2 5 3 1 4
⑧ 6 2 5 3 4 1
⑨ 1 2 5 6 3 4
⑩ 1 2 5 3 6 4
⑪ 1 2 5 3 4 6
⑫ 1 6 2 5 4 3
に対して、「括弧」を加へると、
① 3〔2(1)〕
② 16〔25(34)〕
③ 126〔5(34)〕
④ 6〔125(34)〕
⑤ 6〔2(1)5(34)〕
⑥ 6[2(5〔1)34〕]
⑦ 6{2(5[3〔1)〕4]}
⑧ 6〈2(5{3〔4[1)〕]}〉
⑨ 125(6〔34)〕
⑩ 125(36〔4)〕
⑪ 125(34)6
⑫ 16[25〔4(3)〕]
然るに、
(38)
⑥  [ ( 〔 )  〕]
⑦  { ( [ 〔 )〕 ]}
⑧  〈 ( { 〔 [ )〕]}〉
⑨    ( 〔  )〕
⑩    (  〔 )〕
従って、
(37)(38)により、
(39)
⑥ 2<5>1 & 2-1=1
⑦ 2<5>1 & 2-1=1
⑧ 2<5>1 & 2-1=1
⑨ 5<6>4 & 5-4=1
⑩ 5<6>4 & 5-4=1
のやうな、
⑥ N+1<M>N
といふ「順番」を含む「順番」は、「括弧」を用ゐて、
⑥ 1<2<3<4<5<6
といふ「順番」に、「並び替へ(ソートす)る」ことは、出来ない。
従って、
(40)
「逆」に言ふと、
④ 不 我 常 読 漢 文。
④ 6 1 2 5 3 4
⑤ 不 常 我 読 漢 文。
⑤ 6 2 1 5 3 4
⑪ 我 常 読 漢 文 不。
⑪ 1 2 5 3 4 6
⑫ 我 不 常 読 文 漢。
⑫ 1 6 2 5 4 3
であれば、「漢文」ではないにも拘はらず、次の通り、「括弧」を用ゐて、
⑥ 1<2<3<4<5<6
といふ「順番」に、「並び替へ(ソートす)る」ことが、出来る。
(41)
④ 不〔我常読(漢文)〕⇒
④ 〔我常(漢文)読〕不=
④ 〔我常には(漢文を)読ま〕ず。
(42)
⑤ 不〔常(我)読(漢文)〕⇒
⑤ 〔(我)常(漢文)読〕不=
⑤ 〔(我)常には(漢文を)読ま〕ず。
(43)
⑪ 我常読(漢文)不⇒
⑪ 我常(漢文)読不=
⑪ 我常には(漢文を)読まず。
(44)
⑫ 我不[常読〔文(漢)〕]⇒
⑫ 我[常〔(漢)文〕読]不=
⑫ 我[常には〔(漢)文を〕読ま]ず。
然るに、
(45)
「括弧」を用ゐることが出来る所の、
① 不 読 文。
② 我 不 常 読 漢 文。
③ 我 常 不 読 漢 文。
④ 不 我 常 読 漢 文。
⑤ 不 常 我 読 漢 文。
⑪ 我 常 読 漢 文 不。
⑫ 我 不 常 読 文 漢。
といふ「漢文と漢文」に対する「返り点」は、次の通りである。
(46)

(47)
「括弧」を用ゐることが出来ない所の、
⑥ 不 常 読 漢 文。
⑦ 不 常 読 漢 文。
⑧ 不 常 読 漢 文
⑨ 我 常 読 漢 文。
⑩ 我 常 読 漢 文。
といふ「非漢文」に対する「それ」は、次の通りである。
(48)

然るに、
(49)
(a)「一二点」の間に入ることが出来るのは、「レ点だけである。
(b)「からへ降りる点」は「返り点」ではない
従って、
(45)~(19)により、
(50)
「括弧」を用ゐることが出来る所の、
① 不 読 文。
② 我 不 常 読 漢 文。
③ 我 常 不 読 漢 文。
④ 不 我 常 読 漢 文。
⑤ 不 常 我 読 漢 文。
⑪ 我 常 読 漢 文 不。
⑫ 我 不 常 読 文 漢。
といふ「漢文と非漢文」に対する「返り点」である、
① レ レ
② 三 二 一
③ レ 二 一
④ 三 二 一
⑤ 三 レ 二 一
⑪ 二 一
⑫ 二 一レ レ
といふ「これら」が、「返り点」であるのに対して、
「括弧」を用ゐることが出来ない所の、
⑥ 不 常 読 我 漢 文。
⑦ 不 常 読 漢 我 文。
⑧ 不 常 読 漢 文 我。
⑨ 我 常 読 不 漢 文。
⑩ 我 常 読 漢 不 文。
といふ「非漢文」に対する「それ」である、
⑥ 下 二 中 一 上
⑦ 丁 二 丙 甲 一 乙
⑧ 下 二 中 上 一
⑨ 二 三 一
⑩ 二 三 一
といふ「これら」は、「返り点」ではない
然るに、
(51)
⑥ 不 常 読 我 漢 文。
⑦ 不 常 読 漢 我 文。
⑧ 不 常 読 漢 文 我。
⑨ 我 常 読 不 漢 文。
⑩ 我 常 読 漢 不 文。
に於ける、「訓読の語順」である所の。
⑥ 6 2 5 1 3 4
⑦ 6 2 5 3 1 4
⑧ 6 2 5 3 4 1
⑨ 1 2 5 6 3 4
⑩ 1 2 5 3 6 4
に対する「それ」は、次の通りである。
(52)

然るに、
(52)により、
(53)
(a)「一二点」の間に入ることが出来るのは、「レ点」だけである。
(b)「上から下へ降りる点」は「返り点」ではない。
といふ「ルール」を満たせない「原因」もまた、
⑥ 2<5>1 & 2-1=1
⑦ 2<5>1 & 2-1=1
⑧ 2<5>1 & 2-1=1
⑨ 5<6>4 & 5-4=1
⑩ 5<6>4 & 5-4=1
といふ「順番」に有る。といふことが、分る。
従って、
(39)(53)により、
(54)
⑥ 2<5>1 & 2-1=1
⑦ 2<5>1 & 2-1=1
⑧ 2<5>1 & 2-1=1
⑨ 5<6>4 & 5-4=1
⑩ 5<6>4 & 5-4=1
のやうな、
⑥ N+1<M>N
といふ「順番」を含む「順番」は、「括弧」を用ゐても、「返り点」を用ゐても、
⑥ 1<2<3<4<5<6
といふ「順番」に、「並び替へ(ソートす)る」ことは、出来ない
従って、
(36)(54)により、
(55)
① 不 読 文。
① 3 2 1
② 我 不 常 読 漢 文。
② 1 6 2 5 3 4
③ 我 常 不 読 漢 文。
③ 1 2 6 5 3 4
④ 不 我 常 読 漢 文。
④ 6 1 2 5 3 4
⑤ 不 常 我 読 漢 文。
⑤ 6 2 1 5 3 4
⑥ 不 常 読 我 漢 文。
⑥ 6 2 5 1 3 4
⑦ 不 常 読 漢 我 文。
⑦ 6 2 5 3 1 4
⑧ 不 常 読 漢 文 我。
⑧ 6 2 5 3 4 1
⑨ 我 常 読 不 漢 文。
⑨ 1 2 5 6 3 4
⑩ 我 常 読 漢 不 文。
⑩ 1 2 5 3 6 4
⑪ 我 常 読 漢 文 不。
⑪ 1 2 5 3 4 6
⑫ 我 不 常 読 文 漢。
⑫ 1 6 2 5 4 3
に於いて、
「①、②、③」    は、「漢文訓読の語順」であって、「括弧&返り点」を用ゐて、「訓読」することが、「可能」であり、
「④、⑤、⑪、⑫」  は、「漢文訓読の語順」ではなく、「括弧&返り点」を用ゐて、「訓読」することが、「可能」であり
「⑥、⑦、⑧、⑨、⑩」は、「漢文訓読の語順」ではなく、「括弧&返り点」を用ゐて、「訓読」することが、「可能」ではない
といふ、ことになる。
(56)
⑬ カサブランカ=家+白い。
といふことなので、
⑬ I live in a house white.
といふ「語順」の「言葉」が、有っても、良いはずである。
然るに、
(57)
⑬ I live in a house white=
⑬ I live[in a〔house(white)〕]⇒
⑬ I [ a〔(white)house〕in]live=
⑬ 私は[ある〔(白い)家〕に]住んでゐる。
に於いて、
⑬ [〔( )〕] は、「括弧」である。
(58)
⑭ ヒシュカナリア語
の場合は、「主語」を「文末」に置く。といふことなので、
⑭ Live in a white house I.
といふ「語順」の「言葉」も、有るのかも、知れない。
然るに、
(59)
⑭ Live in a white house I=
⑭ Live〈in{a(white〔house[I)〕]}〉⇒
⑭ 〈{(〔[I)a〕white]house}in〉Live=
⑭ 〈{(〔[私は)ある〕白い]家}に〉住んでゐる。
に於いて、
⑭ 〈{(〔[ )〕]}〉 は、「括弧」ではない。
然るに、
(60)
⑬ I live in a house white.
に対する「返り点」は、
⑬ 四 三 二 一
である。
然るに、
(61)
⑭ Live in a white house I
に対する「それ」である所の、
⑭ 下 中 二 三 上 一
は、「返り点」ではない。
然るに、
(62)
⑭ 下 中 二 三 上 一
といふ「それ」は、
⑭ 六 五 二 三 四 一
といふ「一二点」に相当する。
然るに、
(63)
⑭ 六 五 二 三 四 一
といふ「それ」は、
⑭         二<三  >一 & 2-1=1
⑭         二  <四>一 & 2-1=1
といふ「順番」、すなはち、
⑥ N+1<M>N
といふ「順番」を、含んでゐる。
平成28年08月31日、毛利太。
―「関連記事」―
(a)「レ点」は要らない。「括弧」があれば、「返り点」も要らない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_22.html
(b)「括弧」は「返り点」の「代用」ではない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/01_25.html
(c)「一二点」だけでは、「読みにくい」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_26.html
(d)「(レ点を含む)返り点」は、「構造(syntax)」を表してゐない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/syntax.html
(e)「括弧」の読み方。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post.html
(f)「返り点、括弧、構造化。」(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post_11.html

2016年8月28日日曜日

「(レ点を含む)返り点」は、「構造(syntax)」を表してゐない。

(01)
① 恐衆狙之不馴己。
① 衆狙の己になれざるを恐る。
① 猿たちが自分(狙公)に馴れ従はなくなることを(狙公が)心配する。
然るに、
(02)
① 恐衆狙之不馴己。
に於いて、「何を恐れるのか」と言へば、[衆狙が己に馴れないこと]である。
(03)
① 不馴己。
に於いて、「何をしないのか」と言へば、〔己に馴れること〕である。
(04)
① 馴己。
に於いて、「誰に馴れるのか」と言へば、(己に)である。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① 恐衆狙之不馴己。
に於いて、
「恐」といふ「漢字の意味」は、[衆狙之不馴己]に及んでゐて、
「不」といふ「漢字の意味」は、〔馴己〕に及んでゐて、
「馴」といふ「漢字の意味」は、(己)に及んでゐる。
従って、
(05)により、
(06)
① 恐衆狙之不馴己。
といふ「漢文」は、
① 恐[衆狙之不〔馴(己)〕]。
といふ「補足構造」をしてゐる。
然るに、
(07)
「志学」は意義からだけいえば、「志学」で十分であるが、語調をゆるやかにして、落ち着きを持たせるために「」を添えたのである。
(中澤希夫・澁谷玲子、漢文訓読の基礎、1985年、217頁、269頁)
従って、
(06)(07)により、
(08)
① 恐衆狙之不馴 己。
② 恐衆狙之不馴己。
といふ「漢文」は、両方とも、
① 恐[衆狙之不〔馴( 己)〕]。
② 恐[衆狙之不〔馴(己)〕]。
といふ「補足構造」をしてゐる。
然るに、
(09)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、二九六頁)
従って、
(08)(09)により、
(10)
① 恐衆狙之不馴 己=
② 恐衆狙之不馴於己=
② 恐[衆狙之不〔馴(於己)〕]⇒
② [衆狙之〔(於己)馴〕不]恐=
② [衆狙の〔(己に)馴れ〕不るを]恐る。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
従って、
(08)(10)により、
(11)
① 恐[衆狙之不〔馴( 己)〕]。
② 恐[衆狙之不〔馴(於己)〕]。
に於ける、
① [〔( )〕]
② [〔( )〕]
といふ「括弧」は、
① 恐衆狙之不馴 己。
② 恐衆狙之不馴於己。
といふ「漢文」の「補足構造」を表してゐて、尚且つ、
① 衆狙の己になれざるを恐る。
② 衆狙の己になれざるを恐る。
といふ「訓読」の「語順」を表してゐる。
然るに、
(12)

に於いて、
③ 二 一レ レ ‐
といふ「返り点」は、「過去」に有ったはずであるが、「現在」は、無い。
従って、
(12)
① 恐衆狙之不馴 己。
② 恐衆狙之不馴於己。
に対する「返り点」は、
① 二 一レ レ
② 二 一レ 二 一
であるため、「返り点」に於いて、
② である。
然るに、
(11)により、
(13)
① 恐衆狙之不馴 己。
② 恐衆狙之不馴於己。
に対する「括弧」は、
① [〔( )〕]
② [〔( )〕]
であるため、「括弧」に於いて、
①=② である。
従って、
(08)(12)(13)により、
(14)
①=② である所の、
① [〔( )〕]
② [〔( )〕]
といふ「括弧」は、
① 恐衆狙之不馴 己。
② 恐衆狙之不馴於己。
といふ「漢文」の「補足構造」を、表してゐる一方で、
② である所の、
① 二 一レ レ
② 二 一レ 二 一
といふ「返り点」は、
① 恐衆狙之不馴 己。
② 恐衆狙之不馴於己。
といふ「漢文」の「補足構造」を、表してはゐない。
(15)
③ 読(書) =(書を)読む。
④ 読(英文)=(英文を)読む。
に於いて、
③ の「補足構造」と、
④ の「補足構造」は、「等しい」。
然るに、
(16)
「レ点」が有るため、
③ 読(書) =(書を)読む。
④ 読(英文)=(英文を)読む。
の「返り点」は、
③ レ
④ 二 一
である。
然るに、
(17)
③ レ
④ 二 一
に於いて、
④ である。
従って、
(15)(17)により、
(18)
④ である所の、
③ レ
④ 二 一
といふ「返り点」は、
③ 読書。
④ 読英文。
といふ「漢文」の「補足構造」を、表してはゐない。
(19)

に於いて、これらの「四つ」は、「同じ語順」で「訓読」される。
(20)
④ 三 レ 二 一
の場合は、「よく有る間違ひ」とされるものの、
① 二 一レ 二 一
と較べれば、
④ 三 レ 二 一
の方が、「素直で、分りやすい」。
従って、
(21)
「過去」に於いて、
① 二 一レ 二 一
といふ「語順」を表す所の、
④ 三 レ 二 一
といふ「返り点」が有ったとしても、「不思議」ではない。
(22)
(a)一 二 三 四 五 六 七
(b)甲 乙 丙 丁 戊 己
(c)上 中 下 松 竹
(d)天 地 人 間
(e)-(ハイフン)
ではなく、
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(b)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
(c)上 中 下
(d)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(e)天 地 人
(f)-(ハイフン)
からなる、「学校で習ふ、返り点」を「マスター」しようと思ふのであれば、「返り点」は、必ずしも「合理的」ではない。
といふことを、「確認する必要」が有る。
平成28年08月28日、毛利太。
―「関連記事」―
(a)「レ点」は要らない。「括弧」があれば、「返り点」も要らない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_22.html
(b)「括弧」は「返り点」の「代用」ではない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/01_25.html
(c)「一二点」だけでは、「読みにくい」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_26.html
(d)「括弧と返り点」で表すこと出来る「訓読」の「順番」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_31.html
(e)「括弧」の読み方。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post.html
(f)「返り点、括弧、構造化。」(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post_11.html

2016年8月26日金曜日

「一二点」だけでは、「読みにくい」。

―「08月26日の記事」に加筆します。―
(01)

(02)
① 懸 羊 頭 売 狗 肉
① 二   一 二   一
① 3 1 2 6 4 5
① 羊頭を懸けて狗肉を売る。
に於いて、
「一段目」は「 漢文 」である。
「二段目」は「返り点」である。
「三段目」は「 語順 」である。
「四段目」は「 訓読 」である。
然るに、
(03)
①   懸 羊 頭 売 狗 肉
①    二   一 二   一
に対して、
② 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
② 三 二   一 二   一
であるとする。
然るに、
(04)
② 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
② 三 二   一 二   一
であれば、
② 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
② 三 二   一 二   一
② 4 3 1 2 7 5 6
② 羊頭を懸けるが如く狗肉を売る。
であって、
③ 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
③ 三 二   一 二   一
③ 7 3 1 2 6 4 5
③ 羊頭を懸けて狗肉を売るが如し。
ではない。
従って、
(01)(04)により、
(05)
② 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
② 三 二   一 二   一
② 7 3 1 2 6 4 5
② 羊頭を懸けて狗肉を売るが如し。
の場合は、
一・二点を同じ文中で二度以上使うと混乱する場合であって、それ故、「返り点」は、
③ 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
③ 下 二   一 中   上
③ 7 3 1 2 6 4 5
であって、
② 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
② 三 二   一 二   一
② 7 3 1 2 6 4 5
ではない。
然るに、
(06)
③ 下 二   一 中   上
③ 7 3 1 2 6 4 5
に於いて、
③ 3=2+1
③ 6=5+1
③ 7=6+1
である。
然るに、
(07)
③ 下 二   一 中   上
③ 7 3 1 2 6 4 5
に於いて、
③ 7と6の間にある数は、3 1 2 である。
③ 3と2の間にある数は、1 である。
③ 6と5の間にある数は、4 である。
従って、
(08)
③ 下 二   一 中   上
③ 7 3 1 2 6 4 5
に於いて、
③    3<4>2
③    6<7>5
③    7<8>6
のやうな「順番」、すなはち、
③ N+1<M>N
のやうな「順番」は、存在しない。
(09)
③    3<4>2
を含むやうに、
③ 7 3 1 2 6 4 5
ではなく、例へば、
④ 7 3 4 1 2 6 5
とするならば、「返り点」は、
④ 下 二 三  一 中 上
④ 7 3 4 1 2 6 5
である。
然るに、
(10)
「返り点」は、「下から、上へ返る点」であるため、「から、に降りる点」は、「返り点」ではない
従って、
(09)(10)により、
(11)
 二 
 ↑ ↓
   
 一
のやうな「順番」を含む、
④ 下   一    上
④ 7 3 4 1 2 6 5
といふ「それ」は、「返り点」ではない
(12)
③    7<8>6
を含むやうに、
③ 7 3 1 2 6 4 5
ではなく、例へば、
⑤ 7 3 1 8 2 6 4 5
とするならば、「返り点」は、
⑤ 丙 二  丁 一 乙  甲
⑤ 7 3 1 8 2 6 4 5
である。
然るに、
(13)
「一二点」の間に入ることが出来る「返り点」は、「レ点」だけであるため、
⑤      
を含む、
⑤ 丙    乙  甲
は、「返り点」ではない
(14)
③    3<4>2
を含む、例へば、
③ 1 3 4 2。
といふ「順番」があると、「仮定」する。
然るに、
(15)
③ 1 3(4 2)。
に於いて、
 3( )⇒( )3
といふ「倒置」を行ふと、
③ 1 3(4 2)⇒
③ 1 (4 2)3=
③ 1 4 2 3。
従って、
(15)により、
(16)
③ 1 3(4 2)
であれば、「括弧」を用ゐて、
③ 1 2 3 4。
といふ「順番」で「訓読」することは、出来ない。
然るに、
(17)
③ 1 3(4 2)。
に対して、
③ 1 3(4 〔2)〕。
とするならば、
(〔 )〕
は、「括弧」ではない
従って、
(11)(13)(17)により、
(18)
「返り点」と「括弧」は、
③ N+1<M>N
といふ「順番」を含む「順番」を、
③ 1<2<・ ・ ・<N<(N+1)<M<・ ・ ・
といふ「順番」に「並び替へ(ソート)」することが、出来ない
従って、
(18)により、
(19)
A=10
B=11
C=12
D=13
E=14
F=15
であるとして、例へば、
⑥ F 9 7 3 1 2 6 4 5 8 E B A D C
⑥ 人 乙 下 二   一 中   上 甲 地 レ  天レ
⑥ F{9[7〔3(1 2)6(4 5)〕8] E〔B(A)D(C)〕}
の中に、
⑥ N+1<M>N
といふ「順番」は、無い。
すなはち、
(20)
⑥ F 9 7 3 1 2 6 4 5 8 E B A D C
⑥ 人 乙 下 二   一 中   上 甲 地 レ  天レ
に於いて、
⑥ FとEの間にある数は、9 7 3 1 2 6 4 5 8 である。
⑥ 9と8の間にある数は、7 3 1 2 6 4 5 である。
⑥ 7と6の間にある数は、4 3 1 2 である。
⑥ 3と2の間にある数は、1 である。
⑥ 6と5の間にある数は、4 である。
⑥ BとAの間に、数は、無い。
⑥ DとCの間に、数は、無い。
然るに、
(21)
③ 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
③ 下 二   一 中   上
③ 7 3 1 2 6 4 5
であれば、
③ 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
③ 五 二   一 四   三
③ 7 3 1 2 6 4 5
であっても、良い。
然るに、
(22)
③ 下 二   一 中   上
であれば、
 二 下
 ↑ ↑
 一 中
  ↑
    上
であるため、「下から上へ、返ってゐる」。
然るに、
(23)
③ 五 二   一 四   三
であるならば、
    五
 二
 ↑ ↓ ↑
 一
    四
  ↓ ↑
  
であるため、「下から上へ、からへ、返ってゐる」。
従って、
(22)(23)により、
(24)
⑥ F 9 7 3 1 2 6 4 5 8 E B A D C
⑥ 人 乙 下 二   一 中   上 甲 地 レ  天レ
⑥ 間 乙 下 二   一 中   上 甲 人 二 一 地 天
であれば、「下から上へ、返ってゐる」のに対して、
⑥  F  9 7 3 1 2 6 4 5 8   E  B  A   D C
⑥ 十三 二  一 四  三  十二   十一
の場合は、「下から上へ、からへ、返ってゐる」。
然るに、
(25)
「下から上へ、返ってゐる」場合と、
「下から上へ、からへ、返ってゐる」場合とでは、
「下から上へ、からへ、返ってゐる」場合の方が、当然、「読みにくい」。
従って、
(24)(25)により、
⑥ F 9 7 3 1 2 6 4 5 8 E B A D C
といふ「順番」を表す際の、
⑥ 人 乙 下 二 一 中 上 甲 地 レ  天レ
⑥ 間 乙 下 二 一 中 上 甲 人 二 一 地 天
といふ「返り点」を、
⑥ 十三 七 五 二 一 四 三 六 十二 九 八 十一 十
といふ「一二点」だけで表す場合は、「極めて、読みにくい」。
cf

然るに、
(25)
大学生に返り点を打たせると、レ点の原則違反から生じる誤りが大半をしめます(古田島洋介、これならわかる返り点、2009年、60頁)。
従って、
(25)により、
(26)
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(b)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
(c)上 中 下
(d)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(e)天 地 人
といふ「セット」から、
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
といふ「レ点」を除けば、「返り点」は、「簡単」になる。
然るに、
(27)
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
に於いて、
(a) レ は、「一二点」で表すことが出来る。
(a)一レ も、「一二点」で表すことが出来る。
(a)上レ は、「上下点」で表すことが出来る。
(a)甲レ は、「甲乙点」で表すことが出来る。
(a)天レ は、「天地点」で表すことが出来る。
従って、
(26)(27)により、
(28)
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
といふ「レ点」は「不要」であり、尚且つ、「レ点」を除けば、「返り点」は「簡単」になる。
然るに、
(29)
例へば、
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也=
⑦ 知{我不〔羞(小節)〕而恥[功名不〔顕(于天下)〕]}也⇒
⑦ {我〔(小節)羞〕不而[功名〔(于天下)顕〕不]恥}知也=
⑦ {我の〔(小節を)羞ぢ〕ずして[功名の〔(天下に)顕はれ〕ざるを]恥づるを}知ればなり。
の「返り点」は、
⑦ 下 レ 二 一 中 上レ 二 一
である。
従って、
(30)
⑦ 下 レ 二 一 中 上レ 二 一
ではなく、
⑦ 囗 三 二 一 下 中 上 二 一
のやうに、「レ点」を除くと、
(c)上<中<下
といふ「三つ」では、「不足」し、そのため、
(c)上<中<下<囗
でなければ、ならない。
然るに、
(31)

従って、
(32)
(c)上 中 下
(d)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
といふ「順番」を、
(c)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(d)上 中 下
といふ「順番」に変へるならば、
⑦ 知{我不〔羞(小節)〕而恥[功名不〔顕(于天下)〕]}也。
に於いて、「返り点」の「不足」は、起こらない。
従って、
(33)
以上を要するに、
(Ⅰ)「レ点」を除いても、「返り点」は成立し、尚且つ、その方が、「簡単」になる。
(Ⅱ)「一二点」だけを「返り点」として用ゐようとすると、「極めて、読みにくい」。
(Ⅲ)「上 中 下」の三つでは、「不足する」場合がある。
といふ、ことになる。
従って、
(34)
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(b)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
(c)上 中 下
(d)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(e)天 地 人
ではなく
(a)一 二 三 四 五 六 七
(b)甲 乙 丙 丁 戊 己
(c)上 中 下 松 竹
(d)天 地 人 間
くらひの「それ」を以て、「返り点」とするのが、「適切」である。
然るに、
(35)
「試験」の際に、例へば、
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也。
⑦ 戊  三 二    一   丁    丙 乙    甲
⑦ 我の小節を羞ぢずして、功名の天下に顕はれざるを恥づるを知ればなり。
とするならば、「0点」である。
そのため、
(36)
受験生に対しては、初めに、
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也。
⑦    レ 二   一
⑦ 我の小節を羞ぢして、
であって、「而(接続詞)」は「置き字」であることを、確認したい。
次に、
(37)
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也。
⑦    レ 二    一       レ 二    一
⑦ 我の小節を羞ぢして、功名の天下に顕はれざるを
であって、「于(前置詞)」は「置き字」であることを、確認したい。
最後に、
(38)
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不  顕 于 天 下 也。
⑦ 下  レ 二    一  中    上レ二       一
⑦ 我の小節を羞ぢずして、功名の天下に顕はれざるを恥づるを知ればなり。
であることを、確認したい。
然るに、
(39)
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也。
に対して、
⑧ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也。
⑧ 我の小節を羞ぢずして、功名の、常には天下に顕はれざるを恥づるを知ればなり。
であるならば、
⑧ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 常 顕 于 天 下 也。
⑧ 戊  レ 二    一  丁    丙   乙    甲
とせざるを得ない。
従って、
(38)(39)により、
(40)
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不  顕 于 天 下 也。
⑧ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也。
の場合は、「」といふ「一字の有無」により、
⑦ 下  レ 二    一  中    上レ二       一
といふ「返り点」の、
あああああああああああああああi上レ
が「無効」となって、
⑧ 戊  レ 二    一  丁    丙   乙    甲
といふ「返り点」に、変はらざるを得ない。
然るに、
(41)
「返り点」が、
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(b)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
(c)上 中 下
(d)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(e)天 地 人
ではなく、
(a)一 二 三 四 五 六 七
(b)甲 乙 丙 丁 戊 己
(c)上 中 下 松 竹
(d)天 地 人 間
であるならば、(40)のやうなことは、起こらない。
平成28年08月26・27日、毛利太。
―「関連記事」―
(a)「レ点」は要らない。「括弧」があれば、「返り点」も要らない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_22.html
(b)「括弧」は「返り点」の「代用」ではない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/01_25.html
(c)「(レ点を含む)返り点」は、「構造(syntax)」を表してゐない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/syntax.html
(d)「括弧と返り点」で表すこと出来る「訓読」の「順番」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_31.html
(e)「括弧」の読み方。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post.html
(f)「返り点、括弧、構造化。」(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post_11.html

2016年8月25日木曜日

「括弧」は「返り点」の「代用」ではない。

(01)
任意の表述の否定は、その表述を’~(  )’という空所にいれて書くことにしよう(W.O.クワイン、現代論理学入門、1972年、15頁改)。
従って、
(01)により、
(02)
① 読漢文。
の「否定」は、
① ~(読漢文)。
といふ風に、書くことにする。
然るに、
(03)
括弧は、論理演算子のスコープ(scope)を明示する働きを持つ。スコープは、論理演算子の働きが及ぶ範囲のことをいう(産業図書、数理言語学辞典、2013年、四七頁:命題論理、今仁生美)。
従って、
(02)(03)により、
(04)
① ~(読漢文)。
に於いて、「~」といふ「演算子の意味」は、(読漢文)に及んでゐる
然るに、
(05)

を、「漢字」で書けば、この場合は、
~=不
である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① 不(読漢文)。
に於いて、「不」といふ「漢字の意味」は、(読漢文)に及んでゐる。
然るに、
(07)
① 読漢文。
に於いて、「何を読むのか」と言へば、「漢文」である。
従って、
(07)により、
(08)
① 読(漢文)。
に於いて、「読」といふ「漢字の意味」は、 (漢文)に及んでゐる。
従って、
(07)(08)により、
(09)
① 不読漢文。
に於いて、「不」といふ「漢字の意味」は、(読漢文)に及んでゐて、
① 読漢文。
に於いて、「読」といふ「漢字の意味」は、 (漢文)に及んでゐる。
然るに、
従って、
(09)により、
(10)
① 不読漢文。
といふ「漢文」は、
① 不〔読(漢文)〕。
といふ「構造(シンタックス)」をしてゐる。
然るに、
(11)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である(鈴木直治、
中国語と漢文、1975年、二九六頁)。
然るに、
(12)
① 不〔読(漢文)〕。
に於いて、
 不〔 〕⇒〔 〕不
 読( )⇒( )読
といふ「倒置」を行ふと、
① 不〔読(漢文)〕⇒
① 〔(漢文)読〕不=
① 〔(漢文を)読ま〕ず。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
従って、
(11)(12)により、
(13)
① 不〔読(漢文)〕。
といふ「括弧」は、「漢文の補足構造」であって、
① 〔(漢文を)読ま〕ず。
といふ「括弧」は、「国語の補足構造」である。
従って、
(14)
① 不読漢文=
① 不〔読(漢文)〕⇒
① 〔(漢文)読〕不=
① 〔(漢文を)読ま〕ず。
に於ける、
① 〔( )〕
といふ「括弧」は、単なる、「返り点」の「代用」ではなく、むしろ、
① レ 二 一
といふ「返り点」こそが、
① 〔( )〕
といふ「括弧(補足構造)」を「写し」てゐる。
然るに、
(15)
我非生而知之(論語)。
非必怪奇偉麗也(蘇軾)。
といふ「二つ」を合わせた、
我非生而知之(論語+蘇軾)。
といふ「漢文(作例)」は、「正しい」。
従って、
(16)
我非必生而知之(論語+蘇軾)。
② 求以解英文法解漢文(旺文社、漢文の基礎)。
といふ「二つ」を合わせた、
我非必求以解英文法解漢文(論語+蘇軾+旺文社)。
といふ「漢文(作例)」は「正しい」。
従って、
(16)により、
(17)
我非必求以解英文法解漢文
我は必ずしも英文を解する法を以って漢文を解せんことを求むる者に非ず
といふ「漢文訓読」は、「正しい」。
cf.
漢字には、品詞も、性も数も格も、時制もなく、漢字で綴られた漢文には文法もない。漢文の意味を理解する手掛かりは、古典の熟字の用例しかない。そのため漢字の使用法に精通するには、膨大な量の古典のテキストを丸暗記しなければならない(岡田英弘、誰が中国を作ったか、2005年、19頁)。
然るに、
(18)
② 我非必求以解英文法解漢文者。
② 我は必ずしも英文を解する法を以って漢文を解せんことを求むる者に非ず。
に於いて、『何が「否定」されてゐるのか』と言へば、「必ず英文を解する法を以って漢文を解せんことを求むる者である。といふこと」である。
(19)
② 求以解英文法解漢文。
に於いて、「何を求めてゐるのか」と言へば、「英文を解する法を以って漢文を解せんこと」である。
(20)
② 以解英文法。
に於いて、「何を用ゐるのか」と言へば、「英文を解する法」である。
(21)
② 解英文。
に於いて、「何を解するのか」と言へば、「英文」である。
(22)
② 解漢文。
に於いて、「何を解するのか」と言へば、「漢文」である。
従って、
(18)~(22)により、
(23)
② 我非必求以解英文法解漢文者。
といふ「漢文」が、
② 我は必ずしも英文を解する法を以って漢文を解せんことを求むる者に非ず。
といふ風に、「訓読」出来る以上、
「非」といふ「漢字の意味」は、{必求以解英文法解漢文者}に及んでゐて、
「求」といふ「漢字の意味」は、[以解英文法解漢文]に及んでゐて、
「以」といふ「漢字の意味」は、〔解英文法〕に及んでゐて、
「解」といふ「漢字の意味」は、(英文)に及んでゐて、
「解」といふ「漢字の意味」は、(漢文)に及んでゐる。
従って、
(10)(23)により、
(24)
① 我不読漢文。
② 我非必求以解英文法解漢文者。
といふ「漢文」は、
① 我不〔読(漢文)〕。
② 我非{必求[以〔解(英文)法〕解(漢文)]者}。
といふ「構造(シンタックス)」をしてゐる。
従って、
(11)(24)により、
(25)
② 我非必求以解英文法解漢文者=
② 我非{必求[以〔解(英文)法〕解(漢文)]者}⇒
② 我{必[〔(英文)解法〕以(漢文)解]求者}非=
② 我は{必ずしも[〔(英文を)解する法を〕以って(漢文を)解せんことを]求むる者に}非ず=
② 私は{必ずしも[〔(英文を)理解する方法を〕用ゐて(漢文を)理解しようと]努める者}ではない。
といふ「括弧」による、「漢文訓読」が、成立する。
(26)
② 必求=必+求
② 英文=英+文
② 漢文=漢+文
に於いて、
② 必+ は、「 副詞 」であって、
② 英+ は、「形容詞」であって、
② 漢+ も、「形容詞」である。
然るに、
(27)
「副詞」は「動詞」修飾し、「形容詞」は「名詞」を修飾する。
従って、
(26)(27)により、
(28)
② 必求=必+求
② 英文=英+文
② 漢文=漢+文
に於いて、
「必」は、「求」に及んでゐて、
「英」は、「文」に及んでゐて、
「漢」は、「文」に及んでゐる。
然るに、
(29)
② 英文を解する法
② 必ず英文を解する法を以って漢文を解せんことを求むる者
に於いて、
             「英文を解する」      といふ「連体形」は、「法」を修飾してゐて、
「必ず英文を解する法を以って漢文を解せんことを求むる」といふ「連体形」は、「者」を修飾してゐる。
従って、
(24)(29)により、
(30)
② 解英文+法
② 必求以解英文法解漢文+者
に於いて、
       「解英文」は、「法」に及んでゐて、
「必求以解英文法解漢文」は、「者」に及んでゐる。
加へて、
(31)
② 我非
の場合も、
② 我非=我+非
であって、「我+」は、「非」に及んでゐる。
とする。
従って、
(25)(29)(30)(31)により、
(32)
② 我非必求以解英文法解漢文者。
② 我+非{必+求[以〔解(英+文)+法〕解(漢+文)]+者}。
に於いて、「我+」は、「非」を介して、{必求以解英文法解漢文者}の「全体」に及んでゐる。
従って、
(33)
③ 若+非(吾+故人)。
③ なんぢは吾が故人に非ず。
に於いて、「若+」も、「非」を介して、(吾故人)の「全体」に及んでゐる。
然るに、
(34)
③ 若+非(吾+故人)。
③ なんぢは吾が故人に非ず。
④ 若+非(吾+故人)乎。
④ なんぢは吾故人に非ざるか。
に於いて、
④ は、③ の「疑問形」である。
従って、
(34)により、
(35)
③ 若+非(吾+故人)。
に対して、
③ 乎
が加はると、
③ 若+非(吾+故人)。
の「全体」が、「疑問形」に変はる。
従って、
(36)
③ 若+非(吾+故人)。
に対して、
④ 若+非(吾+故人)乎。
の場合は、
④ 〔若+非(吾+故人)〕乎。
といふ、ことになる。
(37)
⑤ 不(走)。
に対して、
⑥ 不(走)乎。
が「疑問」ではなく、「反語」であれば、
⑥ 不(走)乎=
⑥ 〔不(走)〕乎=
⑥ 〔不(走)〕無⇒
⑥ 〔(走)不〕無=
⑥ 〔(走ら)不るは〕無し。
といふ、「意味」になる。
平成28年08月25日、毛利太。
―「関連記事」―
(a)「レ点」は要らない。「括弧」があれば、「返り点」も要らない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_22.html) (b)「一二点」だけでは、「読みにくい」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_26.html
(c)「(レ点を含む)返り点」は、「構造(syntax)」を表してゐない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/syntax.html
(d)「括弧と返り点」で表すこと出来る「訓読」の「順番」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_31.html
(e)「括弧」の読み方。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post.html
(f)「返り点、括弧、構造化。」(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post_11.html

2016年8月22日月曜日

「レ点」は要らない。「括弧」があれば、「返り点」も要らない。

(01)
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(b)一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
(c)上 中 下
(d)甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
(e)天 地 人
は、「普通の、返り点」である。
然るに、
(02)
(c)上 中 下
では「不足」するため、
(c)上 中 下 松 竹 梅
とする。
加へて、
(03)
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
であれば、
(b)一 二 三 四 五 六
(c)上 中 下 松 竹 梅
(d)甲 乙 丙 丁 戊 己
(e)天 地 人 ・ ・ ・
で「置き換へ」ることが出来る。
従って、
(04)
① 我、 刀を揮って 麻を断たんと欲す。
② 我、 刀を揮って乱麻を断たんと欲す。
③ 我、快刀を揮って 麻を断たんと欲す。
④ 我、快刀を揮って乱麻を断たんと欲す。
⑤ 快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
⑥ 必ずしも快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
といふ風に、「訓読」する所の、

といふ「返り点」は、
といふ「返り点」に等しい。
然るに、
(05)

従って、
(04)(05)により、
(06)
「返り点」は、
① 163254。
② 1732645。
③ 1742365。
④ 18423756。
⑤ 87312645。
⑥ 918423756。
といふ「順番」を、
① 123456。
② 1234567。
③ 1234567。
④ 18423756。
⑤ 12345678。
⑥ 123456789
といふ「順番」に「並び替へ(ソートす)る」ことが、出来る。
然るに、
(07)
① 16〔3(2)5(4)〕。
② 17〔3(2)6(45)〕。
③ 17〔4(23)6(5)〕。
④ 18〔4(23)7(56)〕。
⑤ 8[7〔3(12)6(45)〕]。
⑥ 9[18〔4(23)7(56)〕]。
の内の、例へば、
⑥ 9[18〔4(23)7(56)〕]。
に於いて、
 9[ ]⇒[ ]9
 8〔 〕⇒〔 〕8
 4( )⇒( )4
 7( )⇒( )7
といふ「倒置」を行ふと、
⑥ 9[18〔4(23)7(56)〕]⇒
⑥ [1〔(23)4(56)7〕8]9=
⑥ 123456789。
従って、
(06)(07)により、
(08)
「返り点&括弧」は、
① 163254。
② 1732645。
③ 1742365。
④ 18423756。
⑤ 87312645。
⑥ 918423756。
といふ「順番」を、
① 123456。
② 1234567。
③ 1234567。
④ 18423756。
⑤ 12345678。
⑥ 123456789
といふ「順番」に「並び替へ(ソートす)る」ことが、出来る。
然るに、
(09)
① 163254。
② 1732645。
③ 1742365。
④ 18423756。
⑤ 87312645。
⑥ 918423756。
といふ「順番」を、
① 3<5>2
② 6<7>5
③ 4<6>3
④ 7<8>6
⑤ 3<7>2
⑥ 7<9>6
といふ「順番」を含む所の、
① 163524。
② 1326745。
③ 17635。
④ 142378
⑤ 837645。
⑥ 1842359
に変へるならば、その際の「返り点」は、

である。
然るに、
(10)
「上下点」の間には、「一二点」が無くてはならず、
「一二点」の間には、「上下点」が有ってはならない。
従って、
(09)(10)により、
(11)
① 163524。
③ 1742635。
⑤ 83712645。
といふ「順番」に付く、
① 下 二 中 一 上
③ 下 二 中 一 上
⑤ 二 下 一 中 上
といふ「それ」は、「返り点」ではない
加へて、
(12)
「返り点」は、「下から、上へ返る点」であるため、「から、に降りる点」は、「返り点」では
従って、
(09)(12)により、
(13)
② 1326745。
④ 14237856。
⑥ 1423756。
といふ「順番」に付く、
② 二 一 中 下 上
④ 二 一 中 下 上
 二 一 中  上
といふ「返り点」の、



といふの「部分」が、「返り点」ではない
然るに、
(14)
① 16[3(5〔2)4〕]。
② 13(2)6(7〔45)〕。
③ 17[4(26〔3)5〕]。
④ 14(23)7(8〔56)〕。
⑤ 8[3(7〔12)6(45)〕]。
⑥ 18〔4(23)7(59[6)〕]。
の内の、例へば、
② 13(2)6(7〔45)〕。
に於いて、
 3( )⇒( )3
 6( )⇒( )6
 7〔 〕⇒〔 〕7
といふ「倒置」を行ふと、
② 13(2)6(7〔45)〕⇒
② 1(2)3(〔45)6〕7=
② 1234567。
然るに、
(15)
①   [ ( 〔  〕]
②   ( ) ( 〔  
③   [ (  〔  〕]
④   (  ) ( 〔  
⑤  [ ( 〔   (  )〕]
⑥   〔 (  ) (  [ )〕
は、「括弧」ではない。
従って、
(09)(11)(13)(14)により、
(15)
「返り点&括弧」は、
① 3<5>2
② 6<7>5
③ 4<6>3
④ 7<8>6
⑤ 3<7>2
⑥ 7<9>6
といふ「順番」を含む所の、
① 163524。
② 1326745。
③ 1742635。
④ 14237856。
⑤ 83712645。
⑥ 184237596。
といふ「順番」を、
① 123456。
② 1234567。
③ 1234567。
④ 18423756。
⑤ 12345678。
⑥ 123456789
といふ「順番」に「並び替へ(ソートす)る」ことが、出来ない
従って、
(08)(15)により、
(16)
「返り点&括弧」は、
① 163254。
② 1732645。
③ 1742365。
④ 18423756。
⑤ 87312645。
⑥ 918423756。
といふ「順番」を、
① 123456。
② 1234567。
③ 1234567。
④ 18423756。
⑤ 12345678。
⑥ 123456789
といふ「順番」に「並び替へ(ソートす)る」ことが、出来るものの、
「返り点&括弧」は、
① 3<5>2
② 6<7>5
③ 4<6>3
④ 7<8>6
⑤ 3<7>2
⑥ 7<9>6
といふ「順番」を含む所の、
① 163524。
② 1326745。
③ 1742635。
④ 14237856。
⑤ 83712645。
⑥ 184237596。
といふ「順番」を、
① 123456。
② 1234567。
③ 1234567。
④ 18423756。
⑤ 12345678。
⑥ 123456789
といふ「順番」に「並び替へ(ソートす)る」ことが、出来ない
然るに、
(17)
「返り点」を用ゐて、「返読」出来ない「漢文」は、存在しない
従って、
(16)(17)により、
(18)
① 3<5>2
② 6<7>5
③ 4<6>3
④ 7<8>6
⑤ 3<7>2
⑥ 7<9>6
といふ「順番」を含む所の、「漢文訓読」は、存在しない
従って、
(03)(09)(17)により、
(19)
① 我欲揮刀断麻。
② 我欲揮刀断乱麻。
③ 我欲揮快刀断麻。
④ 我欲揮快刀断乱麻。
⑤ 不欲揮快刀断乱麻。
⑥ 不必欲揮快刀断乱麻。
ではなく、
① 我欲刀断揮麻。
② 我揮刀断欲乱麻。
③ 我欲揮快断刀麻。
④ 我揮快刀断欲乱麻。
⑤ 不揮欲快刀断乱麻。
⑥ 必欲揮快刀断乱不麻。
といふ「それ」を、
① 我、刀を揮って麻を断たんと欲す。
② 我、刀を揮って乱麻を断たんと欲す。
③ 我、快刀を揮って麻を断たんと欲す。
④ 我、快刀を揮って乱麻を断たんと欲す。
⑤ 快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
⑥ 必ずしも快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
といふ風に、「訓読」することは、出来ないし、固より、
① 我欲刀断揮麻。
② 我揮刀断欲乱麻。
③ 我欲揮快断刀麻。
④ 我揮快刀断欲乱麻。
⑤ 不揮欲快刀断乱麻。
⑥ 必欲揮快刀断乱不麻。
といふ「それ」は、「漢文」としては、有り得ない
(20)
⑦ 欲揮刀断乱麻。
⑧ 欲揮快刀断乱麻。
といふ「漢文」を、
⑦ 刀を揮って乱をち麻をたんと欲す。
⑧ 快刀を揮って乱をち麻をたんと欲す。
と読むのであれば、「返り点」は、

である。
然るに、
(21)
⑦ 欲揮刀断乱麻。
⑧ 欲揮快刀断乱麻。
といふ「漢文」の「訓読」は、
⑦ 刀を揮って乱麻をたんと欲す。
⑧ 快刀を揮って乱麻をたんと欲す。
である。
従って、
(20)(21)により、
(22)
一レ 上レ 甲レ 天レ
に対して、
二レ 中レ 乙レ 地レ
等の「それ」は、存在しない。
(23)
(a)一 二 三 四 五 六
(b)上 中 下 松 竹 梅
(c)甲 乙 丙 丁 戊 己
に於いて、
(a)を超えて「返る」場合に、
(b)を用ゐ、
(b)を超えて「返る」場合に、
(c)を用ゐる、とする。
従って、
(24)
例へば、
⑨ 丙 下 二 一 中 二 一 上 乙 三 二 一 甲
である。
(25)
A=10
B=11
C=12
D=13
E=14
F=15
G=16
H=17
I=18
J=19
K=20
であるとする。
従って、
(24)(25)により、
(26)
⑨ K1C2534B6879ADJHEGFI。
⑨ 丙 下 二 一中 二一 上 乙三 二一甲
に於いて、「上段」は「語順」であり、「下段」はそれに付く「返り点」である。
然るに、
(27)
⑨ K{1C[25(34)B〔68(7)9A〕]DJ[H〔EG(F)〕I]}。
に於いて、
 K{ }⇒{ }K
 C[ ]⇒[ ]C
 5( )⇒( )5
 B〔 〕⇒〔 〕B
 8( )⇒( )8
 J[ ]⇒[ ]J
 H〔 〕⇒〔 〕H
 G( )⇒( )G
といふ「倒置」を行ふと、
⑨ K{1C[25(34)B〔68(7)9A〕]DJ[H〔EG(F)〕I]}⇒
⑨ {1[2(34)5〔6(7)89A〕B]CD[〔E(F)G〕HI]J}K=
⑨ 123456789ABCDEFGHIJK。
然るに、
(28)
⑨ 丙 下 二 一中 二一 上 乙三 二一甲
といふ「返り点」は、「レ点」を用ゐると、
⑨ 丙 下 二 一中 レ  上 乙二 一レ甲
に相当する。
従って、
(27)(28)により、
(29)
⑨ 〈{[( )〔( )〕][〔( )〕]}〔( )〕〉
といふ「括弧」は、例へば、
⑨ 丙 下 二 一 中 レ 上 乙 二 一レ 甲
といふ「返り点」に相当する。
(30)
⑩ 人 丙 下 二 一 中 レ 上 乙 二 一レ 甲 地 天レ
であれば、「括弧」は、
⑩ 〈{[( )〔( )〕][〔( )〕]}〔( )〕〉
である。
従って、
(31)
⑩ 地〔天(囗)〕
ではなく、
⑪ 地〔天(囗囗)〕
であるならば、
(e)天 地 人
では、不足する。
従って、
(32)
⑪ 地〔天(囗囗)〕
であるならば、例へば、
⑪ 間〈{[( )〔( )〕][〔( )〕]}人〔地(囗天)〕〉⇒
⑪ 〈{[( )〔( )〕][〔( )〕]}〔(囗天)地〕人〉間。
である。
(33)
⑫ 3<4>2
といふ「順番」を含んでゐても、
⑫ 訓‐読漢文。
⑫ 3‐412。
のやうに、
⑫ 漢文を訓‐読す。
の場合は、すなはち、「述語」が「熟語」である場合は、
⑫ 訓‐読漢文=
⑫ 3‐412=
⑫ 3‐4(12)⇒
⑫ (12)3‐4=
⑫ (漢文)訓‐読=
⑫ 漢文を訓-読す。
である。
(34)
⑫ 訓‐読漢文。
の「返り点」は、

のやうに、「二通り」が「可能」であるが、「正しい」のは、「前者(右)」である。
(35)
「ハイフン」が付いてゐる「語」は、「単語」であると見做し、尚且つ、
(a)一 二 三 四 五 六
(b)上 中 下 松 竹 梅
(c)甲 乙 丙 丁 戊 己
(d)天 地 人 間 ・ ・
は、「単語の左下」に付くとすると、「任意の語順」に付く「返り点」は、「括弧」と同じく、「一通り」しか無い。
然るに、
(36)
「漢文の返り点は大体の標準はあったが、細かいところには違いがあった(原田種成り、漢文のすすめ、1992年、112頁)」とあるやうに、
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(b)一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
(c)上 中 下
(d)甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
(e)天 地 人
の場合は、「一通り」には、決まらない
従って、
(37)
「返り点」を付ける本人が「それで良い」と思っても、「漢文の句読・返点・添仮名・読方法(官報、明治四十五年三月二十九日)」がそれを認めない場合は、「間違ひ」となる。
(38)
⑨ K{1+C[2+5(3+4)B〔6+8(7)9+A〕]D+J[H〔E+G(F)〕+I]}。
に於いて、
⑨「Kの意味」は、{1+C[2+5(3+4)B〔6+8(7)9+A〕]D+J[H〔E+G(F)〕+I]}の「全体」に及んでゐて、
⑨「Cの意味」は、[2+5(3+4)B〔6+8(7)9+A〕]D+J[H〔E+G(F)〕+I]の「全体」及んでゐて、
⑨「1の意味」は、Cに及んでゐて、「以下同様」である。
(39)
⑥ 我+不[必+欲〔揮(快+刀)断(乱+麻)〕]。
であれば、
⑥「私」は、「不」に及んでゐて、
⑥「不」は、[必+欲〔揮(快+刀)断(乱+麻)〕]に及んでゐて、
⑥「必」は、「欲」に及んでゐて、
⑥「欲」は、〔揮(快+刀)断(乱+麻)〕に及んでゐて、
⑥「揮」は、(快+刀)に及んでゐて、
⑥「快」は、「刀」に及んでゐて、
⑥「断」は、(乱+麻)に及んでゐて、
⑥「乱」は、「麻」に及んでゐる。
従って、
(39)により、
(40)
⑥ 我不必欲揮快刀断乱麻。
に於いて、
⑥「我」は、「不」を介して、「不必欲揮快刀断乱麻」の「全体」に及んでゐる。
従って、
(40)により、
(41)
⑥ 我不必欲揮快刀断乱麻。
に於いて、
⑥「我」は、「語(major word)」である。
平成28年08月22・23日、毛利太。
―「関連記事」―
(a)「括弧」は「返り点」の「代用」ではない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/01_25.html
(b)「一二点」だけでは、「読みにくい」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_26.html
(c)「(レ点を含む)返り点」は、「構造(syntax)」を表してゐない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/syntax.html
(d)「括弧と返り点」で表すこと出来る「訓読」の「順番」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_31.html
(e)「括弧」の読み方。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post.html
(f)「返り点、括弧、構造化。」(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post_11.html

2016年8月20日土曜日

「白話文(中国語)のそれ」は「返り点」ではない。

(01)
① 漢文読。
② 漢読文。
③ 文漢読。
④ 文読漢。
⑤ 読漢文。
⑥ 読文漢。
に於いて、
① 漢文読=漢文を読む。
は、そのまま、「訓読の語順」である。
従って、
(02)
① 漢文読=漢文を読む。
の場合は、
① 漢→文→読。
といふ「順番」で、
① 漢文を読む。
といふ風に、読むことになる。
従って、
(03)
① 漢文読=漢文を読む。
の場合は、「縦書き」であれば、「からへ読む」だけなので、「返り点」を必要としない。
(04)
② 漢読(文)。
③ 文(漢)読。
④ 文(読漢)。
⑤ 読(漢文)。
⑥ 読文(漢)。
に於いて、
② 読( )⇒( )読
③ 文( )⇒( )文
④ 文( )⇒( )文
⑤ 読( )⇒( )読
といふ「倒置」を行ふと、
② 漢(文)読。
③ (漢)文読。
④ (読漢)文。
⑤ (漢文)読。
⑥ 読(漢)文。
然るに、
(05)
② 漢(文)読=漢(文を)読む。
③ (漢)文読=(漢)文を読む。
⑤ (漢文)読=(漢文を)読む。
従って、
(04)(05)により、
(06)
② 漢読(文)。
③ 文(漢)読。
⑤ 読(漢文)。
に関しては、「括弧」を用ゐた「訓読」が、可能であり、特に、⑤は「漢文訓読」である。
然るに、
(07)
⑥ 読{文(漢)}。
に於いて、
⑥ 読{ }⇒{ }読
⑥ 文( )⇒( )文
といふ「倒置」を行ふと、
⑥ 読{文(漢)}⇒
⑥ {(漢)文}読={(漢)文を}読む。
従って、
(06)(07)により、
(08)
② 漢読(文)。
③ 文(漢)読。
⑤ 読(漢文)。
⑥ 読{文(漢)}。
に関しては、「括弧」を用ゐた「訓読」が、可能である。
然るに、
(09)
④ 文(読{漢)}。
に於いて、
④ 文( )⇒( )文
④ 読{ }⇒{ }読
といふ「倒置」を行ふと、
④ 文(読{漢)}⇒
④ ({漢)文}読= ({漢)文を}読む。
然るに、
(10)
②  ( )
③  ( )
⑤  ( )
⑥ {( )}
は「括弧」であるが、
({ )}
は「括弧」ではない。
従って、
(09)(10)により、
(11)
② 漢読(文)。
③ 文(漢)読。
⑤ 読(漢文)。
⑥ 読{文(漢)}。
に関しては、「括弧」を用ゐた「訓読」が、可能であるが、
④ 文(読{漢)}。
に関しては、「括弧」を用ゐた「訓読」が、可能ではない。
然るに、
(12)
漢=1
文=2
読=3
であるならば、
② 漢読文=132。
③ 文漢読=213。
④ 文読漢=231。
⑤ 読漢文=312。
⑥ 読文漢=321。
従って、
(11)(12)により、
(13)
④ 2<3>1
のやうな「順番」に関しては、「括弧」を用ゐた「訓読」が、可能ではない。
然るに、
(14)
② 漢読文=132。
③ 文漢読=213。
④ 文読漢=231。
⑤ 読漢文=312。
⑥ 読文漢=321。
に於いて、それぞれの「返り点」は、
②   レ
③ レ
④ 二 三 一
⑤ 二 一
⑥ レ レ
である。
cf.

然るに、
(15)
  一
といふことは、「縦書き」であれば、
 二
 ↑↓
  
 一
といふ風に、「下から上へ返り、からへ降りる」ことになる。
然るに、
(03)により、
(16)
「上から下へ読む」場合は、「返り点」を用ゐないため、
 二
 ↑↓
  
 一
のやうに、「からへ降りる」所の「それ」は、「返り点」ではない。
従って、
(13)(16)により、
(17)
④ 2<3>1
のやうな「順番」を、「括弧&返り点」を用ゐて「訓読」することは、出来ない。
然るに、
(18)
上中下点(上・下、上・中・下)は、
必ず一二点をまたいで返る場合に用いる。数学の式における( )が一二点で、{ }が上中下点に相当するものと考えるとわかりやすい。
(原田種成、私の漢文講義、1995年、43頁改)
然るに、
(19)
⑦ 下 二 上 一
であれば、
⑦ 下 二 上
⑦   二 上 一
であるため、「上下点の間に、一二点が挟まれてゐる」とは、言へない。
従って、
(18)(19)により、
(20)
⑦ 下 二 上 一
は、「返り点」ではない。
(21)
 五  一 
であれば、
 二
 ↑↓ 五
  三三
 ↑ ↓↑
   
 一
である。
従って、
(16)(20)により、
(22)
⑧ 二 五 三 一 四
は、「返り点」ではない。
(23)
〔説明〕二つの返り点がいっしょになるのは、一とレ、上とレ、甲とレ、天とレの四つだけである。
(志村和久、漢文早わかり、1982年、18頁)
従って、
(24)
⑨ 二 三レ 一
は、「返り点」ではない。
従って、
(20)(22)(24)により、
(25)
⑦ 下 二 上 一
⑧ 二 五 三 一 四
⑨ 二 三レ 一
のやうな「それ」は、「返り点」としては、「デタラメ」である。
加へて、
(26)
⑦ 下 二 上 一
⑧ 二 五 三 一 四
⑨ 二 三レ 一
であれば、
⑦ 4 2<3>1
⑧ 2<5 3>1 4
⑨ 2<4 3>1
である。
従って、
(17)(26)により、
(27)
いづれにせよ、
⑦   2<3>1
⑧ 2<5 3>1
⑨ 2<4 3>1
といふ「順番」を、「括弧&返り点」を用ゐて「訓読」することは、出来ない。
然るに、
(28)

従って、
(25)(27)(28)により、
(29)
⑦ 只管要纏擾我。
⑧ 端的看不出這婆子的本事来。
⑧ 西門慶應促忙促急僭造不出床来。
⑨ 乞了不多酒。
といふ「中国語(白話)」は、「括弧&返り点」を用ゐて「訓読」することは、出来ない。
然るに、
(30)
⑦ 下 二 上 一
⑧ 二 五 三 一 四
⑨ 二 三レ 一
ではなく、
⑦ 下 二 一 上
⑧ 下 三 二 一 上
⑨ 三 二 一レ
であれば、「括弧」を用ゐて、「訓読」することが、出来る。
従って、
(29)(30)により、
(31)
⑦ 只管要纏擾
⑧ 端的不出這婆子的本事来。
⑧ 西門慶應促忙促急僭造不出床来。
乞了不多酒。
ではなく、
⑦ 只管要纏擾。
⑧ 端的不出這婆子的本事来。
⑨ 不多乞了酒。
であれば、
⑦ 只管要〔纏(我)擾〕。
⑧ 端的不[出〔看(這婆子的本事)〕来]。
⑨ 不[多〔乞了(酒)〕]。
のやうに、「括弧」を用ゐることが、出来る。
然るに、
(32)
⑦ 只管要纏擾
⑧ 端的不出這婆子的本事来。
乞了不多酒。
が、「漢文」ではないやうに、
⑦ 只管要纏擾。
⑧ 端的不出這婆子的本事来。
⑨ 不多乞了酒。
は、「白話(中国語)」ではない。
然るに、
(33)
⑩ Whatisthis)}?
といふ「英語」に対して、
⑪ Is(this what)?
は、「英語」ではない。
従って、
(32)(33)により、
(34)
⑪ Is(this what)?
は、「漢文的」であり、
⑩ Whatisthis)}?
は、「白話的」である。
平成28年08月20日、毛利太。
(a)一二点と、上下点。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_19.html)
(b)ジョン万次郎の「返り点」、英文訓読。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_17.html
(c)「論理学の括弧」と「漢文の括弧」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_6.html
(d)「返り点と、括弧の関係(最も重要な記事)」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/07/blog-post_6.html

2016年8月19日金曜日

一二点と、上下点。

(01)
  三
  ↑
 二二
 ↑
 一
(02)
 二
 ↑↓
  
 一
(03)
 二
 ↑↓
 一
  
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 三 二 一
  一
 一 
を「縦書き」にすると、
① は、「下から上に返り、下から上に返ってゐる。」
② は、「下から上に返り、からに降りてゐる。」
③ も、「下から上に返り、からに降りてゐる。」
然るに、
(05)
例へば、
① 不必読漢文=必ずしも漢文を読まず。
② 必読不漢文=必ずしも漢文を読まず*
③ 必読漢文者=必ず漢文を読む者。
であれば、

である。
従って、
(06)
③ 二 一 三
の場合は、
③ 二 一
が「正しい」。
従って、
(04)(06)により、
(07)
① 三 二 一
  一
③ 二 一
といふ「返り点」を「縦書き」にすると、
① は、「下から上に返り、下から上に返ってゐる。」
② は、「下から上に返り、からに降りてゐる。」
③ は、「下から上に返ってゐる。」
然るに、
(08)
からに読む」場合、「返り点」は「不要」であるため、
「下から上へ 返る点 」は「返り点」であるが、
からへ降りる点」は「返り点」ではない
従って、
(07)(08)により、
(09)
① 三 二 一
  一
③ 二 一
に於いて、
② は、「返り点」ではない。
(10)
 二
 ↑↓
  三三
 ↑ ↓
   
 一
(11)
 二
  ↓四
 ↑ ↑
  
 一
従って、
(10)(11)により、
(12)
   一
 四 三 一
といふ「返り点」を「縦書き」にすると、
④ は、「下から上に返り、からに降り、からに降りてゐる。」
⑤ は、「下から上に返り、からに降り、下から上に返ってゐる。」
従って、
(08)(09)(12)により、
(13)
① 三 二 一
  一
③ 二 一
   一
 四  一
に於いて、
②と④と⑤ は、「返り点」ではない
然るに、
(14)
上中下点(上・下、上・中・下)は、
必ず一二点をまたいで返る場合に用いる。数学の式における( )が一二点で、{ }が上中下点に相当するものと考えるとわかりやすい(原田種成、私の漢文講義、1995年、43頁改)。
従って、
(14)により、
(15)
⑥ 下 中 二 一 上
⑦ 下    上
に於いて、
⑦ は、「返り点」ではない
従って、
(13)(15)により、
(16)
① 三 二 一
② 二 三 一
③ 二 一
④ 二 三 四 一
⑤ 二 四 三 一
⑥ 下 中 二 一 上
⑦ 下 二 中 一 上
に於いて、
②と④と⑤と⑦ は、「返り点」ではない
従って、
(17)
① 三 二 一
③ 二 一
⑥ 下 中 二 一 上
は、「返り点」であるが、
② 二 三 一
④ 二 三 四 一
⑤ 二 四 三 一
⑦ 下 二 中 一 上
は、「返り点」ではない
然るに、
(18)
① 三〔二(一)〕。
に於いて、
 三〔 〕⇒〔 〕三
 二( )⇒( )二
といふ「倒置」を行ふと、
① 三〔二(一)〕⇒
① 〔(一)二〕三。
(19)
③ 二(一)。
に於いて、
 二( )⇒( )二
といふ「倒置」を行ふと、
③ 二(一)⇒
③ (一)二。
(19)
⑥ 下[中〔二(一)上〕]。
に於いて、
 下[ ]⇒[ ]下
 中〔 〕⇒〔 〕中
 二( )⇒( )二
といふ「倒置」を行ふと、
⑥ 下[中〔二(一)上〕]⇒
⑥ [〔(一)二上〕中]下。
(20)
〔一)〕。
に於いて、
 三〔 〕⇒〔 〕三
 二( )⇒( )二
といふ「倒置」を行ふと、
② 二(三〔一)〕⇒
② (〔一)二〕三。
(21)
[一)〕]。
に於いて、
 四[ ]⇒[ ]四
 三〔 〕⇒〔 〕三
 二( )⇒( )二
といふ「倒置」を行ふと、
④ 二(三〔四[一)〕]⇒
④ (〔[一)二〕三]四。
(22)
(四[〔一)〕]。
に於いて、
 四[ ]⇒[ ]四
 三〔 〕⇒〔 〕三
 二( )⇒( )二
といふ「倒置」を行ふと、
⑤ 二(四[三〔一)〕]⇒
⑤ ([〔一)二〕三]四。
(23)
⑦ 下[)上〕]。
に於いて、
 下[ ]⇒[ ]下
 三〔 〕⇒〔 〕三
 中( )⇒( )中
といふ「倒置」を行ふと、
⑦ 下[二(中〔一)上〕]⇒
⑦ [(〔一)二上〕中]下。
然るに、
(24)
① 三〔二(一)〕。
③ 二(一)。
⑥ 下[中〔二(一)上〕]。
② 二(三〔一)〕。
④ 二(三〔四[一)〕]。
⑤ 二(四[三〔一)〕]。
⑦ 下[二(中〔一)上〕]。
に於いて、
①  〔( )〕
③   ( )
⑥ [〔( )〕]
は、「括弧」であるが、
②  (〔 )〕
(〔[ )〕]
([〔 )〕]
[(〔 )〕]
は、「括弧」でない
従って、
(17)(24)により、
(25)
① 三〔二(一)〕。
③ 二(一)。
⑥ 下[中〔二(一)上〕]。
は、「返り点&括弧」であるが、
② 二(三〔一)〕。
④ 二(三〔四[一)〕]。
⑤ 二(四[三〔一)〕]。
⑦ 下[二(中〔一)上〕]。
は、「返り点&括弧」ではない。
従って、
(25)により、
(26)
「返り点」と「括弧」は、
① 3>2>1
③ 2>1
⑥ 5>4<2>1<3
といふ「順番」を、
① 1<2<3
③ 1<2
⑥ 1<2<3<4<5
といふ「順番」に「並び替へ(ソートす)る」ことは、出来るものの、
「返り点」と「括弧」は、

3<4
4>3
⑦ 5><3
といふ「順番」を、
② 1<2<3
④ 1<2<3<4
⑤ 1<2<3<4
⑦ 1<2<3<4<5
といふ「順番」に「並び替へ(ソートす)る」ことが、出来ない

平成28年08月19日、毛利太。
―「関連記事」―
(a)ジョン万次郎の「返り点」、英文訓読。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_17.html
(b)「論理学の括弧」と「漢文の括弧」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_6.html
(c)「返り点と、括弧の関係(最も重要な記事)」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/07/blog-post_6.html

2016年8月17日水曜日

ジョン万次郎の「返り点」、英文訓読。

(01)
① 我地〈必丁{丙[下〔二(漢一)上〕乙(漢甲)]}天〉也。
に於いて、
 地〈 〉⇒〈 〉地
 丁{ }⇒{ }丁
 丙[ ]⇒[ ]丙
 下〔 〕⇒〔 〕下
 二( )⇒( )二
 乙( )⇒( )乙
といふ「倒置」を行ふと、
① 我〈必{[〔(漢一)二上〕下(漢甲)乙]丙}丁天〉地也。
然るに、
(02)
 地=非
 丁=不
 丙=求
 下=以
 二=解
 一=語
 上=法
 乙=解
 甲=文
 天=者
であるとする。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 我地〈必丁{丙[下〔二(漢一)上〕乙(漢甲)]}天〉也=
① 我非〈必不{求[以〔解(漢語)法〕解(漢文)]}者〉也⇒
② 我〈必{[〔(漢語)解法〕以(漢文)解]求}不者〉非也=
② 我は〈必ずしも{[〔(漢語を)解する法を〕以って(漢文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざるなり。
然るに、
(04)

従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
① 我非必不求以解漢語法解漢文者也。
といふ「漢文」の「訓読」が、
② 我は必ずしも漢語を解する法を以って漢文を解せんことを求め不る者に非ざるなり。
である時、
① 我非必不求以解漢語法解漢文者也。
といふ「漢文」に付く「返り点」は、
① 地 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
① 地 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
である。
然るに、
(06)
①  地〈囗レ{丙[下〔二(囗一)上〕乙(囗甲)]}天〉
①  地〈囗丁{丙[下〔二(囗一)上〕乙(囗甲)]}天〉
がさうであるやうに、
(a)レ点
(b)一・二点
(c)上・下点
(d)甲・乙点
(e)天・地点
に於いて、
(a)は、「一字だけ、上(左)へ返る」際に、用ゐる。
(b)は、「二字以上、上(左)へ返る」際に、用ゐる。
(c)は、「(b)」      を超えて、「下(右)から上(左)へ返る」際に、用ゐる。
(d)は、「(c)(b)」   を超えて、「下(右)から上(左)へ返る」際に、用ゐる。
(e)は、「(d)(c)(b)」を超えて、「下(右)から上(左)へ返る」際に、用ゐる。
従って、
(06)により、
(07)
(a)レ点
(b)一・ニ点
(c)上・下点
(d)甲・乙点
(e)天・地点
は全て、「上へ返る」際に用ゐる。
然るに、
(08)

従って、
(08)により、
(09)
《いかが三 ひよりは二 あらふ四 それ けふの一
  ハッタ   ワ ザ   イジ イータ  ツデイ
  What weather  is it today?》
といふ「それ」、すなはち、
 二  一
といふ「それ」は、
   
に於いて、
③「(左)から(右)へ返る」際に、「一・二点」を用ゐてゐる。
従って、
(07)(09)により、
(10)
③ What weather is it today?
といふ「英語」は、「返り点」を用ゐて、「訓読」することが、出来ない。
然るに、
(11)
③ 三〔二(四[一)〕]
に於いて、
 四[ ]⇒[ ]四
 三〔 〕⇒〔 〕三
 二( )⇒( )二
といふ「倒置」を行ふと、
③ 三〔二(四[一)〕]⇒
③ 〔([一)二〕三]四=
③ 一 二 三 四。
然るに、
(12)
〔([ )〕]
は、「括弧」ではない。
従って、
(10)(11)(12)により、
(13)
③ What weather is it today?
といふ「英語」は、「返り点・括弧」を用ゐて、「訓読」することが、出来ない。
然るに、
(14)
Ⅵ〈Ⅴ{Ⅳ[Ⅲ〔Ⅱ(Ⅰ)〕]}〉
と書かれてゐる「紙面」を、「裏返し」にして、「鏡」に向ければ、「鏡の中」で、
Ⅵ〈Ⅴ{Ⅳ[Ⅲ〔Ⅱ(Ⅰ)〕]}〉 は、
〈{[〔(Ⅰ)Ⅱ〕Ⅲ]Ⅵ}Ⅴ〉Ⅳ といふ風に、見える。
従って、
(15)
〈{[〔(Ⅰ)Ⅱ〕Ⅲ]Ⅵ}Ⅴ〉Ⅳ は、
Ⅵ〈Ⅴ{Ⅳ[Ⅲ〔Ⅱ(Ⅰ)〕]}〉 の、文字通りの「鏡像(mirror image)」である。
然るに、
(16)
  Ⅵ Ⅴ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ=
Ⅵ〈Ⅴ{Ⅳ[Ⅲ〔Ⅱ(Ⅰ)〕]}〉.
といふ「ⅠⅡ点(一二点)」に対して、
 Ⅵ〈 〉⇒〈 〉Ⅵ
 Ⅴ{ }⇒{ }Ⅴ
 Ⅳ[ ]⇒[ ]Ⅳ
 Ⅲ〔 〕⇒〔 〕Ⅲ
 Ⅱ( )⇒( )Ⅱ
といふ「倒置」を行ふと、当然、
Ⅵ〈Ⅴ{Ⅳ[Ⅲ〔Ⅱ(Ⅰ)〕]}〉⇒
〈{[〔(Ⅰ)Ⅱ〕Ⅲ]Ⅳ}Ⅴ〉Ⅵ=
     Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ.
といふ「ソート(並び替へ)」が、実現する。
然るに、
(17)
SOVを代表する日本語とSVOを代表する英語で、主語・目的語・動詞以外の語順に視野を広げて考えると、「鏡像」(mirror image)に近い順序を示すことがしばしば指摘される(竹沢幸一・Jhon Whiteman、格と語順と統語構造、1998年、104頁)。
従って、
(15)(16)(17)により、
(18)
「日本語」と「英語」に於いて、「鏡像」(mirror image)に近い順序を示すことが多い。
 と、言ふのであれば、
「英語の多く」は、「括弧」を用ゐて、「訓読」出来なければ、ならない。
然るに、
(19)
④ The old man went[to(the mountains)to〔gather(wood)〕]⇒
④ The old man [(the mountains)to〔(wood)gather〕to]went=
④ お爺さんは[(山)へ〔(芝を)刈り〕に]行きました。
であれば、「返り点」は、
④ 丁 二 一 丙 乙 甲
である。
(20)
⑤ The-relationships〔among(those three people)〕are(complicated)⇒
⑤ 〔(those three people)among〕The-relationships(complicated)are=
⑤ 〔(あの三人)の間の〕関係は(複雑)である。
であれば、「返り点」は、
⑤ 三 二 一 二 一
である。
(21)
⑥ The weather forecaster says《that〈this summer will{be[cooler〔than(usual year)〕]}〉》⇒
⑥ The weather forecaster 《〈this summer {[〔(usual year)than〕cooler]be}will〉that》says=
⑥ 天気予報官は 《〈今年の夏は{[〔(平年)よりも〕涼しく]なる}であらう〉といふ風に》言ふ。
であれば、「返り点」は、
⑥ 七 六 五 四 三 二 一
である。
(22)
⑦ Will《you lend〈me the-first-and-second-volumes{of["BUDDHA"〔by(Osamu Tezuka)〕]}for(about a week)〉》?⇒
⑦ 《you 〈me {[〔(Osamu Tezuka)by〕"BUDDHA"]of}the-first-and-second-volumes(about a week)for〉lend》Will?=
⑦ 《あなたは〈私に{[〔(手塚治虫)の〕"ブッダ"]の}第一巻と第二巻を(約一週)間〉貸してくれる》でしょうか。
であれば、「返り点」は、
⑦ 丁 丙 五 四 三 二 一 乙 甲
である。
(23)
⑧ I saw〈an old man walking{in[the park〔with(his dog)〕]}〉⇒
⑧ I 〈an old man{[〔(his dog)with〕the-park]in} walking〉saw=
⑧ 私は〈一人の老人が{[〔(彼の犬)と一緒に〕公園]を}歩いてゐるのを〉見た。
であれば、「返り点」は、
⑧ 六 五 四 三 二 一
(24)
⑨ I「studied in《England〈for{two-years[when〔I was(a student)〕]}〉》」⇒
⑨ I「《〈{[〔I (a student)was〕when]two-years}for〉England》in」studied =
⑨ 私は「《〈{[〔私が(学生)であった〕ときに]二年}間〉イングランド》で」勉強した。
であれば、「返り点」は、
⑨ 八 七 六 五 四 三 二 一
である。
従って、
(13)(18)~(24)により、
(25)
③ What weather is it today?
ではなく、
④ The old man went to the mountains to gather wood.
⑤ The-relationships among those three people are complicated.
⑥ The weather forecaster says that this summer will be cooler than usual year.
⑦ Will you lend me the-first-and-second-volumes of "BUDDHA" by Osamu Tezuka for about a week?
⑧ I saw an old man walking in the park with his dog.
⑨ I studied in England for two-years when I was a student.
であれば、「返り点・括弧」を用ゐて、「訓読」することは、可能である。
然るに、
(26)
漢文はその発生の初めから知的に整理された中国の文章語で、紀元前の文献である『論語』や『孟子』のころにはすでに記載語として成立していた。その文章は当時の口語の煩雑さを整理して、より簡潔な形に凝集させたものである(ウィキペディア)。
従って、
(27)
「漢文」は、初めから「読み書き」のための「書記言語」であるため、固より、「漢文のネイティブスピーカー」はゐない。
従って、
(28)
「漢文」を用ゐて、「会話」をすることは、有り得ない。
然るに、
(29)
「英語」は、「会話+読み書き」のため「言語」である。
従って、
(28)(29)により、
(30)
④ The old man went[to(the mountains)to〔gather(wood)〕].
といふ「英語」を、
④ お爺さんは[(山)へ〔(芝を)刈り〕に]行きました。
といふ風にしか、読めないのであれば、「問題」であるが、
① 我非〈必不{求[以〔解(漢語)法〕解(漢文)]}者〉也。
といふ「漢文」を、
① wǒ feī bì bù qiú yǐ jiě hàn yǔ fǎ jiě hàn wén zhě yě
といふ風に、「北京語」で読めないとしても、「問題」にはならない。
従って、
(31)
漢学は断じてシナ語学ではないのですから、日本の大学には「中国語文学科」でけでなく「漢学科」があってもいいのではないかと思います。その「漢学科」ではチャイニーズカンバセーションができなくなくてもかまわない。漢文を徹底的に腑分けして理解したうえで、それを正確に日本語に移す。日本的漢学の伝統にのっとった、そうした学科があってもいいのでないでしょうか(渡辺昇一、英語の早期教育・社内公用語化は百害あって一利なし、2014年、92頁)。
といふ、渡辺先生の意見に対して、私も、賛成である。
(32)
「漢文を徹底的に腑分けして理解する。」といふ「譬へ」は、
じっさい漢学では、本場のシナ人がこれをどう読むのか、といったことはおかまいなく、いきなり「どうすれば、この漢文を日本語のシンタックスに入れることができるか」といって、日本語に直してしまいます。いいかえれば、漢文を〝 読む〟のではなく、〝 厳密に解釈する〟という知的作業をほどこすのです。そんなことをしたら、外国語はもはや外国語ではなく、自国語になり変わってしまうではないか――と驚きながらも、金さんは、これこそ日本人の恐るべき〝 解剖癖〟を示していると結論づけるにいたったのです(渡辺昇一、英語の早期教育・社内公用語化は百害あって一利なし、2014年、85頁)。
といふ、「意味」である。
平成28年08月17日、毛利太。
―「関連記事」―
「論理学の括弧」と「漢文の括弧」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_6.html
「返り点と、括弧の関係(最も重要な記事)」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/07/blog-post_6.html

2016年8月6日土曜日

論理学の「括弧」と漢文の「括弧」。

(01)
ド・モルガンの法則により、
A∧B=¬(¬A∨¬B)
である。
然るに、
(02)
論理式 ¬(A)、(A)→(B)、∀x(A) などと書き表わすとき、誤解のおそれのない場合には、カッコを省略し、単に ¬A、A→B、∀xA などとすることが多い。
(前原昭二、数学基礎論入門、1977年、8頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
A∧B=(A)∧(B)=¬(¬(A)∨¬(B))
である。
然るに、
(04)
カッコを省略するのは、カッコが多いと読みにくくなるので、それを読みやすくする便法である。同じ精神にしたがい、( )の代わりに[ ]とか{ }というカッコをも便宜使用する。
(前原昭二、数学基礎論入門、1977年、9頁)
従って、
(03)(04)により、
(05)
¬¬A∨¬B=¬[¬(A)∨¬(B)]=(A∧B)
である。
然るに、
(06)
¬[¬(A)∨¬(B)]=(A∧B)。
に於いて、
¬[ ]⇒[ ]¬
¬( )⇒( )¬
¬( )⇒( )¬
=( )⇒( )=
といふ「倒置」を行ふと、
¬[¬(A)∨¬(B)]=(A∧B)⇔
[(A)¬∨(B)¬]¬(A∧B)=。
然るに、
(07)
[(A)¬∨(B)¬]¬(A∧B)=。
といふ「論理式」を、「左から右に読む」と、
[(Aで)ないか(Bで)ないといふことは]ない。といふことは、(AかつBである。)といふことに等しい。
といふ風に、読むことになる。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
① ¬¬A∨¬B⇔
① ¬[¬(A)∨¬(B)]=(A∧B)⇔
① [(A)¬∨(B)¬]¬(A∧B)=⇔
① [(Aで)ないか(Bで)ないといふことは]ない。といふことは、(AかつBである。)といふことに等しい。
といふ、「論理式訓読」が成立し、因みに、この場合、
① [( )( )]( )
といふ「括弧」は、
① 二 レ 一レ 二 一
といふ「返り点」に相当する。
然るに、
(09)
② ¬¬A∨¬B⇔
② ¬[¬(A)]∨¬(B)
の場合は、「AでないならばBでない。」といふ「日本語」に相当する。
cf.
「含意の定義」。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① ¬[¬(A)∨¬(B)]=AかつBである。
② ¬[¬(A)]∨¬(B)=AでないならばBでない。
に於いて、
①≠② である。
(11)
③ 如揮快刀断乱麻=
③ 如[揮(快刀)断(乱麻)]。
に於いて、
③ 如[ ]⇒[ ]如
③ 揮( )⇒( )揮
③ 断( )⇒( )断
といふ「倒置」を行ふと、
③ 如揮快刀断乱麻=
③ 如〔揮(快刀)断(乱麻)〕⇒
③ [(快刀)揮(乱麻)断]如=
③ [(快刀を)揮って(乱麻を)断つが]如し。
といふ「漢文訓読」が成立する。
然るに、
(12)
④ 如揮快刀断乱麻=
④ 如揮(快刀)断(乱麻)。
に於いて、
④ 揮( )⇒( )揮
④ 断( )⇒( )断
といふ「倒置」を行ふと、
④ 如揮快刀断乱麻=
④ 如揮(快刀)断(乱麻)⇒
④ 如(快刀)揮(乱麻)断=
④ 如し(快刀を)揮はば(乱麻を)断たん。
といふ「漢文訓読」が成立する。
従って、
(11)(12)により、
(13)
③ 如[揮(快刀)断(乱麻)]=快刀を揮って乱麻を断つが如し。
④ 如  揮(快刀)断(乱麻) =如し快刀を揮はば乱麻を断たん。
に於いて、
③≠④ である。
従って、
(10)(13)により、
(14)
① ¬[¬(A)∨¬(B)]=AかつBである。
② ¬[¬(A)]∨¬(B)=AでないならばBでない。
に於いて、
①≠② であって、
③ 如[揮(快刀)断(乱麻)]=快刀を揮って乱麻を断つが如し。
④ 如  揮(快刀)断(乱麻) =如し快刀を揮はば乱麻を断たん。
に於いて、
③≠④ である。
従って、
(15)
① ¬¬A∨¬B=AかつBである。
であるならば、
① ¬[¬(A)∨¬(B)]=AかつBである。
でなければならない、やうに、
③ 如揮快刀断乱麻=快刀を揮って乱麻を断つが如し。
であるならば、
③ 如[揮(快刀)断(乱麻)]=[(快刀を)揮って(乱麻を)断つが]如し。
でなければならない。
従って、
(16)
① ¬¬A∨¬B=AかつBである。
といふ「論理式」に対して、
① [( )( )]
といふ「括弧」を認めないことは、
③ 如揮快刀断乱麻=快刀を揮って乱麻を断つが如し。
といふ 「漢文」 に対して、
① [( )( )]
といふ「括弧」を認めないことに、等しい。
従って、
(16)により、
(17)
① ¬¬A∨¬B=AかつBである。
といふ「論理式」に対して、
① [( )( )]
といふ「括弧」を認めるのであれば、
③ 如揮快刀断乱麻=快刀を揮って乱麻を断つが如し。
といふ 「漢文」 に対しても、
① [( )( )]
といふ「括弧」を認めなければ、ならない。
平成28年08月06日、毛利太。
―「関連記事」―
「返り点と、括弧の関係(最も重要な記事)」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/07/blog-post_6.html)

2016年8月4日木曜日

Aこそ(が)Bである。

(01)
「(お婆さんではなく、)お爺さんが川へ洗濯に行きました。」に於ける「が」と「は」に関しては、
「07月12日の記事(http://kannbunn.blogspot.com/2016/07/blog-post_12.html)」をお読み下さい。
(02)
「(他ならぬ)あのチャップリンが大往生」に於ける「が」に関しては、
「07月14日の記事(http://kannbunn.blogspot.com/2016/07/blog-post_14.html)」をお読み下さい。
(03)
「鼻はゾウが長く、首はキリンが長い。東京には空が無い。」に於ける「が」と「は」に関しては、
「07月17日の記事(http://kannbunn.blogspot.com/2016/07/blog-post_17.html)」をお読み下さい。
(04)
「仮言命題(仮定条件)」に於ける「が」に関しては、
「07月24日の記事(http://kannbunn.blogspot.com/2016/07/blog-post_24.html)」をお読み下さい。
(05)
「うなぎ(チキン)文」に於ける、「は」と「が」に関しては、
「07月25日の記事(http://kannbunn.blogspot.com/2016/07/blog-post_25.html)」をお読み下さい。
(06)
「小をば学んで大をば遺る。」に於ける、「は(ば)」に関しては、
「07月29日の記事(http://kannbunn.blogspot.com/2016/07/blog-post_29.html)」をお読み下さい。
(07)
清音の方は、小さくきれいで速い感じで、コロコロと言うと、ハスの上を水玉がころがるような時の形容である。ロと言うと、大きく荒い感じで、力士が土俵でころがる感じである(金田一春彦、日本語(上)、1988年、131頁)。
(08)
もし濁音を発音するときの物理的・身体的な口腔の膨張によって「濁音大きい」とイメージがつくられているのだとしたら、面白いですね。この仮説が正しいとすると、なぜ英語話者や中国語話者も濁音に対して「大きい」というイメージを持っているか説明がつきます(川原繁人、音とことばの不思議な世界、2015年、13頁)。
従って、
(07)(08)により、
(09)
②「濁音」を含む「A」の方が、
①「清音」を含む「Aは」よりも、「心理的な音量」が「大きい」。
(09)により、
(10)
② A
① Aは
に於いて、
② は、① に対する、「強調形」である。
然るに、
(11)
② I said fifteen, not fifty.
と言ふ場合は、
い fifteen の、
い   teen を「強調(強く発音)」する。
従って、
(11)により、
(12)
② 私が言ったのは、
②{15、50}
の内の、
②{15}であって、
②{50}ではない
と言ふ場合は、
②{15}を、「強調」する。
然るに、
(13)
② AはBであって、A以外はBでない
といふ「命題」を、「排他的命題(exclusive proposition)」と言ふ。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
② What I said is fifteen, not fifty.
② 私は15と言ったのであって、50とは言ってゐない
といふ場合がさうであるやうに、
②「強調」は、「排他的命題」を主張する。
従って、
(09)(14)により、
(15)
① AはBである。
といふ「日本語」に対する、
② AがBである。
といふ「日本語」は、
② AがBである=
② AはBであり、A以外はBでない
といふ「意味」である所の、「排他的命題」である。
然るに、
(16)
(BならばAである。)⇔
(Bであって、Aでない)といふことはない。⇔
(Aでなくて、Bである)といふことはない。⇔
(AでないならばBでない。)
従って、
(17)
(BならばAである。)   といふ「命題」は、その「対偶」である所の、
(AでないならばBでない。)といふ「命題」に等しい。
cf.
(B→A)=~(B&~A)=~(~A&B)={~(~A)∨~B}=(~A→~B)
従って、
(17)により、
(18)
(BならばAである。)   =(BはAである。)  といふ「命題」は、
(AでないならばBでない。)=(A以外はBでない。)といふ「命題」に等しい。
従って、
(15)(18)により、
(19)
① AはBである。
といふ「日本語」に対する、
② AがBである。
といふ「日本語」は、
② ABである=
② AはBであり、A以外はBでないはAである)。
といふ「意味」である所の、「排他的命題」である。
然るに、
(20)
③ ABである=
③ AはBであり、A以外Bである。
従って、
(19)(20)により、
(21)
① AはBである=AはBである。
② AがBである=AはBであり、A以外はBでない。
③ AもBである=AはBであり、A以外もBである。
といふ、ことになる。
(22)
① AはBである。
② ABである。
③ AもBである。
に於いて、
①  は 
②  
③  も
は、
① 係助詞。
助詞。
③ 係助詞。
である。
然るに、
(23)
(1)格助詞 体言、または体言に準ずる語に付き、文節の関係の関係を示す。
  の・・を・・へ・・より・にて・して・から
(2)係助詞 文中の種々の語に付き、上の語を強め、下の用言などに勢力を及ぼす。
  ・ぞ・なむ・こそ・や(やは)・か(かは)
(中村菊一、基礎からわかる古典文法、1978年、152頁改)
従って、
(22)(23)により、
(24)
④ 彼は、話が合はない。
④ 庭は、ニワトリがゐる。
④ 私からは、それは言へない。
④ 私からも、お願いします。
といふ「言ひ方」に対して、
④ 彼と、話が合はない*
④ 庭に、ニワトリがゐる*
④ 私から、それは言へない*
④ 私から、お願いします*
といふ「言ひ方」は無い。
然るに、
(25)
⑤ これまでは、うまく行ったが、
⑤ これから、大変である。
の場合は、
⑤ これから=これ(体言)+から助詞)+助詞)
であって、
から助詞)
は、もちろん、
⑤ 体言、または体言に準ずる語
ではない。
従って、
(23)(25)により、
(26)
(1)格助詞 体言、または体言に準ずる語に付く。
といふ「ルール」に対して、
⑤ これから
の場合は、「例外」である。
然るに、
(27)
⑤{これまで、これから}
に於いて、
⑤(これまでは大変ではなく)これから、大変である。
と言ふのであれば、
⑤ これから、大変である。
は、「排他的命題」である。
従って、
(14)(15)(26)(27)により、
(28)
⑤ これから
は、「古文のルール」からすれば、「破格」であるが、
② ABである=
② AはBであり、A以外はBでない
といふ「ルール」からすれば、「正格」である。
然るに、
(29)
こそ
強意を表し、文末を然形で結ぶ。
(中村菊一、基礎からわかる古典文法、1978年、193頁改)
従って、
(29)により、
(30)
⑥ やあやあ、 吾こそ 三河の国の住人、足助次郎重範なれ然形)。
であるべきであるが、
⑥ やあやあ、吾こそ三河の国の住人、足助次郎重範なり止形)。
である。
然るに、
(31)
⑥ 君 こそ スターだ!
⑥ 君こそスターだ!
に対して、
⑥ 君こそスターだ!
といふ「現代語」は無い。
cf.
『君こそスターだ!』(きみこそスターだ)は、1973年10月7日から1980年3月30日までフジテレビ系列局で放送されたオーディション番組である。略称は「君スタ」(ウィキペディア)。
然るに、
(32)
こそ(副助)① 特にその語を取り立てて強調する主体の気持ちを表わす。
(三省堂、新明解国語辞典、1991年、437頁)
こそ(係助)① 強意を表す。② 多くの中から一つのものを取りたてていう。
(旺文社、英訳つき国語総合辞典、1990年、480頁)
従って、
(32)により、
(33)
① A は Bである。
⑥ AこそBである。
に於いて、
① A は
に対する、
⑥ Aこそ
は、「強調形」である。
従って、
(10)(13)(33)により、
(34)
① A  は  Bである。
② A    Bである。
⑥ A こそ Bである。
⑥ AこそがBである。
に於いて、
① A  は
に対する、
② A  
⑥ A こそ
⑥ Aこそが
は、「強調形」であって、尚且つ、
② A    Bである。
⑥ A こそ Bである。
⑥ AこそがBである。
といふ「日本語」は、「排他的命題」である。
従って、
(15)(34)により、
(35)
① A  は  Bである。
② A    Bである。
⑥ A こそ Bである。
⑥ AこそがBである。
に於いて、
② A    Bである。
⑥ A こそ Bである。
⑥ AこそがBである。
といふ「三通りの、日本語」は、
⑥ AはBであり、A以外はBでない
といふ「意味」である所の、「排他的命題」である。
従って、
(35)により、
(36)
⑥{A、B、C}
に於いて、
① A は スターだ。
と言ふのではなく、
② A    スターだ。
⑥ A こそ スターだ。
⑥ Aこそがスターだ。
と言ふ場合は、
⑥ {A} はスターであって、
⑥{B、C}はスターではない
といふ、「意味」になる。
(37)
⑥{A、B、C}
に於いて、
① A は スターである。
と言ふ場合は、
① B  スターである。
① C  スターである。
といふことを、「否定」しない
然るに、
(38)
⑥{A、B、C}
に於いて、
② A    スターだ。
⑥ A こそ スターだ。
⑥ Aこそがスターだ。
と言ふのであれば、
① B  スターである。
① C  スターである。
といふことを、「否定する
平成28年08月04日、毛利太。