(01)
ド・モルガンの法則により、
A∧B=¬(¬A∨¬B)
である。
然るに、
(02)
論理式 ¬(A)、(A)→(B)、∀x(A) などと書き表わすとき、誤解のおそれのない場合には、カッコを省略し、単に ¬A、A→B、∀xA などとすることが多い。
(前原昭二、数学基礎論入門、1977年、8頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
A∧B=(A)∧(B)=¬(¬(A)∨¬(B))
である。
然るに、
(04)
カッコを省略するのは、カッコが多いと読みにくくなるので、それを読みやすくする便法である。同じ精神にしたがい、( )の代わりに[ ]とか{ }というカッコをも便宜使用する。
(前原昭二、数学基礎論入門、1977年、9頁)
従って、
(03)(04)により、
(05)
¬¬A∨¬B=¬[¬(A)∨¬(B)]=(A∧B)
である。
然るに、
(06)
¬[¬(A)∨¬(B)]=(A∧B)。
に於いて、
¬[ ]⇒[ ]¬
¬( )⇒( )¬
¬( )⇒( )¬
=( )⇒( )=
といふ「倒置」を行ふと、
¬[¬(A)∨¬(B)]=(A∧B)⇔
[(A)¬∨(B)¬]¬(A∧B)=。
然るに、
(07)
[(A)¬∨(B)¬]¬(A∧B)=。
といふ「論理式」を、「左から右に読む」と、
[(Aで)ないか(Bで)ないといふことは]ない。といふことは、(AかつBである。)といふことに等しい。
といふ風に、読むことになる。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
① ¬¬A∨¬B⇔
① ¬[¬(A)∨¬(B)]=(A∧B)⇔
① [(A)¬∨(B)¬]¬(A∧B)=⇔
① [(Aで)ないか(Bで)ないといふことは]ない。といふことは、(AかつBである。)といふことに等しい。
といふ、「論理式訓読」が成立し、因みに、この場合、
① [( )( )]( )
といふ「括弧」は、
① 二 レ 一レ 二 一
といふ「返り点」に相当する。
然るに、
(09)
② ¬¬A∨¬B⇔
② ¬[¬(A)]∨¬(B)
の場合は、「AでないならばBでない。」といふ「日本語」に相当する。
cf.
「含意の定義」。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① ¬[¬(A)∨¬(B)]=AかつBである。
② ¬[¬(A)]∨¬(B)=AでないならばBでない。
に於いて、
①≠② である。
(11)
③ 如揮快刀断乱麻=
③ 如[揮(快刀)断(乱麻)]。
に於いて、
③ 如[ ]⇒[ ]如
③ 揮( )⇒( )揮
③ 断( )⇒( )断
といふ「倒置」を行ふと、
③ 如揮快刀断乱麻=
③ 如〔揮(快刀)断(乱麻)〕⇒
③ [(快刀)揮(乱麻)断]如=
③ [(快刀を)揮って(乱麻を)断つが]如し。
といふ「漢文訓読」が成立する。
然るに、
(12)
④ 如揮快刀断乱麻=
④ 如揮(快刀)断(乱麻)。
に於いて、
④ 揮( )⇒( )揮
④ 断( )⇒( )断
といふ「倒置」を行ふと、
④ 如揮快刀断乱麻=
④ 如揮(快刀)断(乱麻)⇒
④ 如(快刀)揮(乱麻)断=
④ 如し(快刀を)揮はば(乱麻を)断たん。
といふ「漢文訓読」が成立する。
従って、
(11)(12)により、
(13)
③ 如[揮(快刀)断(乱麻)]=快刀を揮って乱麻を断つが如し。
④ 如 揮(快刀)断(乱麻) =如し快刀を揮はば乱麻を断たん。
に於いて、
③≠④ である。
従って、
(10)(13)により、
(14)
① ¬[¬(A)∨¬(B)]=AかつBである。
② ¬[¬(A)]∨¬(B)=AでないならばBでない。
に於いて、
①≠② であって、
③ 如[揮(快刀)断(乱麻)]=快刀を揮って乱麻を断つが如し。
④ 如 揮(快刀)断(乱麻) =如し快刀を揮はば乱麻を断たん。
に於いて、
③≠④ である。
従って、
(15)
① ¬¬A∨¬B=AかつBである。
であるならば、
① ¬[¬(A)∨¬(B)]=AかつBである。
でなければならない、やうに、
③ 如揮快刀断乱麻=快刀を揮って乱麻を断つが如し。
であるならば、
③ 如[揮(快刀)断(乱麻)]=[(快刀を)揮って(乱麻を)断つが]如し。
でなければならない。
従って、
(16)
① ¬¬A∨¬B=AかつBである。
といふ「論理式」に対して、
① [( )( )]
といふ「括弧」を認めないことは、
③ 如揮快刀断乱麻=快刀を揮って乱麻を断つが如し。
といふ 「漢文」 に対して、
① [( )( )]
といふ「括弧」を認めないことに、等しい。
従って、
(16)により、
(17)
① ¬¬A∨¬B=AかつBである。
といふ「論理式」に対して、
① [( )( )]
といふ「括弧」を認めるのであれば、
③ 如揮快刀断乱麻=快刀を揮って乱麻を断つが如し。
といふ 「漢文」 に対しても、
① [( )( )]
といふ「括弧」を認めなければ、ならない。
平成28年08月06日、毛利太。
―「関連記事」―
「返り点と、括弧の関係(最も重要な記事)」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/07/blog-post_6.html)
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