2021年1月31日日曜日

「同一律」と「排中律」と「冪等律」。

 ―「昨日(令和03年01月30日)の記事」を書き直します。―
(01)
(ⅰ)
1  (1)    P→P  A
 2 (2) ~(~P∨P) A
  3(3)   ~P    A
  3(4)   ~P∨P  3∨I
 23(5) ~(~P∨P)&
        (~P∨P) 24&I
 2 (6)  ~~P    35RAA
 2 (7)    P    6DN
12 (8)      P  17MPP
12 (9)   ~P∨P  8∨I
12 (ア) ~(~P∨P)&
        (~P∨P) 29&I
1  (イ)~~(~P∨P) 2アRAA
1  (ウ)   ~P∨P  イDN
(ⅱ)
1     (1)  ~P∨P   A
 2    (2)  P&~P   A
  3   (3)  ~P     A
 2    (4)  P      2&E
 23   (5)  ~P&P   34&I
  3   (6)~(P&~P)  25RAA
   7  (7)     P   A
 2    (8)    ~P   2&E
 2 7  (9)  P&~P   78&I
   7  (ア)~(P&~P)  29RAA
1     (イ)~(P&~P)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  P      A
     エ(エ)    ~P   A
    ウエ(オ)  P&~P   ウエ&I
1   ウエ(カ)~(P&~P)&
          (P&~P)  イオ&I
1   ウ (キ)   ~~P   エカRAA
1   ウ (ク)     P   キDN
1     (ケ)  P→ P   ウクCP
従って、
(01)により、
(02)
①  P→P
② ~P∨P
に於いて、すなはち、
① Pならば、 Pである(同一律)。
② Pでないか、Pである(排中律)。
①=② である(含意の定義)。
(03)
(ⅲ)
1(1)P       A
1(2)P∨P     1∨I
 (3)P→(P∨P) 12CP
(ⅳ)
1  (1) P∨P    A
 2 (2) P      A
  3(3)   P    A
1  (4) P      12233∨I
   (5)(P∨P)→P 14CP
従って、
(03)により、
(04)
③ P→(P∨P)
④(P∨P)→P
に於いて、すなはち、
③ Pであるならば(Pか、Pである)。
④(Pか、Pである)ならばPである。
に於いて、
③=④ である(冪等律)。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1(1)   ~P∨P  A
1(2)    P→P  1含意の定義
1(3)~P∨(P→P) 2∨I
1(4) P→(P→P) 3含意の定義
(ⅱ)
1  (1)  P→( P→P) A
1  (2) ~P∨( P→P) 1含意の定義
1  (3) ~P∨(~P∨P) 1含意の定義
1  (4)(~P∨~P)∨P  3結合法則
 5 (5)(~P∨~P)    A
 5 (6) ~P        冪等律
 5 (7) ~P∨ P     6∨I
  8(8)        P  A
  8(9)    ~P∨ P  8∨I
1  (ア) ~P∨ P     15789∨E
(06)
(ⅰ)
1  (1) ~P∨P      A
 2 (2) ~P        A
 2 (3) ~P∨(~P→P) 2∨I
  4(4)    P      A
  4(5)~~P∨P      4∨I
  4(6) ~P→P      5含意の定義
  4(7) ~P∨(~P→P) 6∨I
1  (8) ~P∨(~P→P) 12347∨E
1  (9)  P→(~P→P) 8含意の定義
(ⅲ)
1  (1)  P→(~P→P) A
1  (2) ~P∨(~P→P) 1含意の定義
1  (3) ~P∨( P∨P) 2含意の定義
 4 (4) ~P        A
  4 (5) ~P∨P      4∨I
  6(6)      P∨P  A
  6(7)        P  6冪等律
  6(8)     ~P∨P  7∨I
1  (9) ~P∨P      34567∨E
(07)
(ⅰ)
1  (1)  ~P∨P     A
1  (2)   P→P     1含意の定義
 3 (3)   P       A
13 (4)   P∨P     3∨I
1  (5)P→(P∨P)    34CP
(ⅳ)
1  (1)P→(P∨P)    A
 2 (2)P          A
12 (3)   P∨P     12MPP
12 (4)   P       3冪等律
1  (5) P→P       24CP
1  (6)~P∨P       5含意の定義
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
①    ~P∨P
② P→( P→P)
③ P→(~P→P)
④ P→( P∨P)
に於いて、
①=② であって、
①=③ であって、
①=④ である。
然るに、
(09)
(ⅰ)
1 (1) ~(~P∨P)  A
 2(2)   ~P     A
 2(3)   ~P∨P   2∨I
12(4) ~(~P∨P)&
       (~P∨P)  13&I
1 (5)  ~~P     24RAA
1 (6)    P     5DN
1 (7)   ~P∨P   6∨I
1 (8) ~(~P∨P)&
       (~P∨P)  17&I
  (9)~~(~P∨P)  18RAA
  (ア)   ~P∨P   9DN
従って、
(09)により、
(10)
① ~P∨P(排中律)
① Pでないか、または、Pである。
は、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(08)(10)により、
(11)
①    ~P∨P
② P→( P→P)
③ P→(~P→P)
④ P→( P∨P)
に於いて、
①=② であって、
①=③ であって、
①=④ であって、尚且つ、
① は、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(11)により、
(12)
① Pでないか、または、Pである。
② Pならば(Pであるならば、Pである)。
③ Pならば(Pでないならば、Pである)。
④ Pならば(Pか、または、 Pである)。
に於いて、
①=②=③=④ であって、
これらの「四つ」は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(13)
② Pならば(Pであるならば、Pである)。
③ Pならば(Pでないならば、Pである)。
④ Pならば(Pか、または、 Pである)。
に於いて、
② は、「直観的」に「正しく」、
④ も、「直観的」に「正しい」ものの、
③ Pならば(Pでないならば、Pである)。
に関しては、「直観的」には、「正しくない」。
然るに、
(14)
(ⅰ)(Pでないならば、Qである)然るに、
(ⅱ)(Pでない。)故に、
(ⅲ)(Qである。)
といふ「推論(肯定肯定式)」は、「妥当」であって、
(ⅰ)(Pか、または、Qである。)然るに、
(ⅱ)(Pでない。)故に、
(ⅲ)(Qである。)
といふ「推論(選言三段論法)」も、「妥当」である。
従って、
(14)により、
(15)
③(Pでないならば、Qである)。
④(Pか、または、 Qである)。
に於いて、
③=④ である(含意の定義)。
従って、
(15)により、
(16)
③(Pでないならば、Qである)。
④(Pか、または、 Qである)。
に於いて、
③ Q=P
④ Q=P
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
③(Pでないならば、Pである)。
④(Pか、または、 Pである)。
に於いて、
③=④ である(含意の定義)。
従って、
(16)により、
(17)
③ Pならば(Pでないならば、Pである)。
④ Pならば(Pか、または、 Pである)。
に於いても、
③=④ である。
然るに、
(18)
④ Pならば(Pか、または、 Pである)。
といふ「日本語」は、明らかに、「」である。
従って、
(17)(18)により、
(19)
③ Pならば(Pでないならば、Pである)。
④ Pならば(Pか、または、 Pである)。
に於いても、
③=④ であって、尚且つ、
④ Pならば(Pか、または、 Pである)。
といふ「日本語」は、明らかに、「」である。
従って、
(19)により、
(20)
③ Pならば(Pでないならば、Pである)。
④ Pならば(Pか、または、 Pである)。
に於いても、
③=④ であって、尚且つ、
④ Pならば(Pか、または、 Pである)。
といふ「日本語」が、「」である以上、
③ Pならば(Pでないならば、Pである)。
といふ「日本語」も、「」でなければ、ならない。
従って、
(11)(12)(20)により、
(21)
①    ~P∨P
② P→( P→P)
③ P→(~P→P)
④ P→( P∨P)
といふ「論理式」、すなはち、
① Pでないか、または、Pである。
② Pならば(Pであるならば、Pである)。
③ Pならば(Pでないならば、Pである)。
④ Pならば(Pか、または、 Pである)。
に於いて、
①=②=③=④ であって、尚且つ、
これらの「四つ」は、「恒真式(トートロジー)」である。
令和03年01月31日、毛利太。

2021年1月29日金曜日

「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」と「同一律」。

(01)
(ⅰ)
1(1)     P  A
1(2)  ~Q∨P  1∨I
1(3)   Q→P  2含意の定義
 (4)P→(Q→P) 13CP
cf.
(ⅰ)
1     (1)     P   A
1     (2) ~Q∨ P   1∨I
 3    (3)  Q&~P   A
  4   (4) ~Q      A
 3    (5)  Q      3&E
 34   (6) ~Q&Q    45&I
  4   (7)~(Q&~P)  36RAA
   8  (8)     P   A
  3   (9)    ~P   3&E
  38  (ア)  P&~P   89&I
   8  (イ)~(Q&~P)  3アRAA
1     (ウ)~(Q&~P)  2478イ∨E
    エ (エ)  Q      A
     オ(オ)    ~P   A
    エオ(カ)  Q&~P   エオ&I
1   エオ(キ)~(Q&~P)&
          (Q&~P)  ウカ&I
1   エ (ク)   ~~P   オキRAA
1   エ (ケ)     P   クDN
1     (コ)   Q→P   エケCP
      (サ)P→(Q→P)  1コCP
従って、
(01)により、
(02)
① P→(Q→P)
① Pならば(QであるならばPである)。
は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(01)により、
(03)
1(1)      P  A
1(2)    Q∨P  1∨I
1(3)   ~Q→P  2含意の定義
 (4)P→(~Q→P) 13CP
cf.
1     (1)      P   A
1     (2)   Q∨ P   1∨I
 3    (3)  ~Q&~P   A
  4   (4)   Q      A
 3    (5)  ~Q      3&E
 34   (6)   Q&~Q   45&I
  4   (7)~(~Q&~P)  36RAA
   8  (8)      P   A
  3   (9)     ~P   3&E
  38  (ア)   P&~P   89&I
   8  (イ)~(~Q&~P)  3アRAA
1     (ウ)~(~Q&~P)  2478イ∨E
    エ (エ)  ~Q      A
     オ(オ)     ~P   A
    エオ(カ)  ~Q&~P   エオ&I
1   エオ(キ)~(~Q&~P)&
          (~Q&~P)  ウカ&I
1   エ (ク)    ~~P   オキRAA
1   エ (ケ)      P   クDN
1     (コ)   ~Q→P   エケCP
      (サ)P→(~Q→P)  1コCP
従って、
(03)により、
(04)
② P→(~Q→P)
② Pならば(QでないならばPである)。
も、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
① P→( Q→P)
② P→(~Q→P)
は、両方とも、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(06)
① P→( Q→P)
② P→(~Q→P)
に於いて、
① Q=P
② Q=P
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
③ P→( P→P)
④ P→(~P→P)
③ Pならば(PであるならばPである)。
④ Pならば(PでないならばPである)。
は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(07)
(ⅲ)
 (1)P→( P→P) TI(定理導入の規則)
2(2)P        A
2(3)    P→P  12MPP
2(4)      P  23MPP
 (5)P→P      24CP
(ⅳ)
 (1)P→(~P→P)  TI(定理導入の規則)
2(2)P         A
2(3)   ~P→P   12MPP
2(4)    P∨P   3含意の定義
2(5)    P     4反復律
 (6)P→P       25CP
cf.
(ⅳ)
     (1)P→(~P→P)  TI(定理導入の規則)
2    (2)P         A
2    (3)   ~P→P   12MPP
 4   (4)  ~(P∨P)  A
  5  (5)    P     A
  5  (6)    P∨P   5∨I
 45  (7)  ~(P∨P)&
           (P∨P)  46&I
 4   (8)   ~P     57RAA
24   (9)      P   38MPP
24   (ア)    P∨P   9∨I
24   (イ)  ~(P∨P)&
           (P∨P)  4ア&I
2    (ウ) ~~(P∨P)  4イRAA
2    (オ)    P∨P   ウDN
   カ (カ)    P     A
    キ(キ)      P   A
2    (ク)    P     2カカキキ∨E
     (ケ)  P→P     2クCP
従って、
(06)(07)により、
(08)
③ P→( P→P)
④ P→(~P→P)
③ Pならば(PであるならばPである)。
④ Pならば(PでないならばPである)。
が、「恒真式(トートロジー)」であるならば、
③ P→P
④ P→P
③ PならばPである。
④ PならばPである。
は、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(01)~(08)により、
(09)
① P→( Q→P)
② P→(~Q→P)
① Pならば(QであるならばPである)。
② Pならば(QでないならばPである)。
といふ「恒真式(トートロジー)」を、「公理」とするならば、
③ P→P(同一律)
④ P→P(同一律)
は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(10)
① P→( Q→P)
② P→(~Q→P)
に於いて、
① は、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」である。
然るに、
(11)
① P→( Q→P)
② P→( R→P)
に於いて、
① が、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」である。
といふのであれば、
② も、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」である。
従って、
(11)により、
(12)
例へば、
① 日本人ならば(性であるならば、日本人である。)
② 日本人ならば(性であるならば、日本人である。)
に於いて、
① は、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」であって、
② は、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」である。
従って、
(12)により、
(13)
① 日本人ならば(男性であるならば、日本人である。)
② 日本人ならば(男性でないならば、日本人である。)
に於いて、
① は、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」であって、
② は、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」である。
従って、
(13)により、
(14)
① 日本人ならば(男性であらうと、男性でなからうと、日本人である。)
② 日本人ならば(男性でなからうと、男性であらうと、日本人である。)
に於いて、
① は、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」であって、
② は、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」である。
従って、
(15)により、
(16)
① P→( Q→P)
② P→(~Q→P)
である所の、「ルカジェヴィッツの公理(Ⅰ)」は、
① Pならば(Qであらうと、なからうと、Pである。)
② Pならば(Qでなからうと、あらうと、Pである。)
といふ「意味」である。
令和03年01月29日、毛利太。

2021年1月28日木曜日

「パースの法則」は「当然」である(Ⅳ)。

(01)
10個の原始的規則、あるいは「定理」を用いて、つぎの連式を証明せよ(Using 10 primitive rules or theorems, prove the following sequent)。
{(P→Q)→P}→P ┤├{(P&~Q)∨P}→P
(ⅰ)
1   (1) {(P→ Q)→P}→P A
 2  (2)  (P&~Q)∨P    A
  3 (3)  (P&~Q)      A
  3 (4)~~(P&~Q)      3DN
  3 (5)~(~P∨ Q)      4ド・モルガンの法則
  3 (6) ~(P→ Q)      5含意の定義
  3 (7) ~(P→ Q)∨P    6∨I
   8(8)         P    A
   8(9) ~(P→ Q)∨P    8∨I
 2  (ア) ~(P→ Q)∨P    23789∨E
 2  (イ)  (P→ Q)→P    ア含意の定義
12  (ウ)            P 1イMPP
1   (エ) {(P&~Q)∨P}→P 2ウCP
(ⅱ)
1   (1)  {(P&~Q)∨ P}→P A
1   (2) ~{(P&~Q)∨ P}∨P 1含意の定義
 3  (3) ~{(P&~Q)∨ P}   A
 3  (4)  ~(P&~Q)&~P    3ド・モルガンの法則
 3  (5)  ~(P&~Q)       4&E
 3  (6)   ~P∨ Q        5ド・モルガンの法則
 3  (7)    P→ Q        6含意の定義
 3  (8)          ~P    4&E
 3  (9)   (P→ Q)&~P    78&I
 3  (ア)  {(P→ Q)&~P}∨P 9∨I
  イ (イ)              P A
  イ (ウ)  {(P→ Q)&~P}∨P イ∨I
1   (エ)  {(P→ Q)&~P}∨P 23アイウ∨E
1   (オ)~~{(P→ Q)&~P}∨P エDN
1   (カ)~{~(P→ Q)∨ P}∨P オ、ド・モルガンの法則
1   (キ) ~{(P→ Q)→ P}∨P カ含意の定義
1   (ク)  {(P→ Q)→ P}→P キ含意の定義
cf.
「含意の定義、ド・モルガンの法則」は、「定理theorem)」である。
(02)
10個の原始的規則のみを用いて、つぎの連式を証明せよ(Using only 10 primitive rules, prove the following sequent)。
{(P→R)→P}→P ┤├{(P&~R)∨P}→P
〔解答〕
(ⅰ)
1         (1) {(P→ R)→ P}→P A
 2        (2)  (P&~R)∨ P    A
  3       (3)   P&~R        A
   4      (4)   P→ R        A
  3       (5)   P           3&E
  34      (6)      R        45MPP
  3       (7)     ~R        3&E
  34      (8)   R&~R        67&I
  3       (9) ~(P→ R)       48RAA
  3       (ア) ~(P→ R)∨ P    9∨I
    イ     (イ)          P    A
    イ     (ウ) ~(P→ R)∨ P    イ∨I
 2        (エ) ~(P→ R)∨ P    23アイウ∨E
     オ    (オ)  (P→ R)&~P    A
      カ   (カ) ~(P→ R)       A
     オ    (キ)  (P→ R)       オ&E
     オカ   (ク) ~(P→ R)&
               (P→ R)       カキ&I
      カ   (ケ)~{(P→ R)&~P}   オクRAA
       コ  (コ)          P    A
     オ    (サ)         ~P    オ&E
     オ コ  (シ)       P&~P    コサ&I
       コ  (ス)~{(P→ R)&~P}   オシRAA
 2        (セ)~{(P→ R)&~P}   エカケコス∨E
        ソ (ソ)  (P→ R)       A
         タ(タ)         ~P    A
        ソタ(チ)  (P→ R)&~P    ソタ&I
 2      ソタ(ツ)~{(P→ R)&~P}&
              {(P→ R)&~P}   スチ&I
 2      ソ (テ)        ~~P    タツRAA
 2      ソ (ト)          P    テDN
 2        (ナ)  (P→ R)→ P    ソトCP
12        (ニ)             P 1ナMPP
1         (ヌ) {(P&~R)∨ P}→P 2ニCP
(ⅱ)
1       (1)  {(P&~R)∨ P}→P A
 2      (2)   (P→ R)→ P    A
  3     (3)  ~(P&~R)&~P    A
  3     (4)  ~(P&~R)       A
   5    (5)    P           A
    6   (6)      ~R        A
   56   (7)    P&~R        56&I
  356   (8)  ~(P&~R)&
              (P&~R)       47&I
  35    (9)     ~~R        68RAA
  35    (ア)       R        9DN
  3     (イ)    P→ R        5アCP
 23     (ウ)           P    2イMPP
  3     (エ)          ~P    3&E
 23     (オ)        P&~P    ウエ&I
 2      (カ)~{~(P&~R)&~P}   3オRAA
     キ  (キ) ~{(P&~R)∨ P}   A
      ク (ク)   (P&~R)       A
      ク (ケ)   (P&~R)∨ P    ク∨I
     キク (コ) ~{(P&~R)∨ P}&
             {(P&~R)∨ P}   キケ&I
     キ  (サ)  ~(P&~R)       クコRAA
       シ(シ)           P    A
       シ(ス)   (P&~R)∨ P    シ∨I
     キ シ(セ) ~{(P&~R)∨ P}&
             {(P&~R)∨ P}   キス&I
     キ  (ソ)          ~P    シセRAA
     キ  (タ)  ~(P&~R)&~P    サソ&I
 2   キ  (チ)~{~(P&~R)&~P}&
            {~(P&~R)&~P}   カタ&I
 2      (ツ)~~{(P&~R)∨ P}   キチRAA
 2      (テ)  {(P&~R)∨ P}   ツDN
12      (ト)              P 1テMPP
1       (ナ)  {(P→ R)→ P}→P 2トCP
従って、
(01)(02)により、
(03)
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
③{(P→ R)→P}→P
④{(P&~R)∨P}→P
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(04)
命題計算では、パースの法則は {(P→Q)→P}→P のことを言う。この意味するところを書き出すと、命題Pについて、命題Qが存在して、「PならばQ」からPが真であることが従うときには、Pは真でなければならないとなる。とりわけ、Qとして偽を選んだ場合には、Pから偽が従うときは常にPが真であるならば、Pは真であるとなる(ウィキペディア)。
従って、
(03)(04)により、
(05)
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
③{(P→ R)→P}→P
④{(P&~R)∨P}→P
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
① は、「パースの法則」である。
然るに、
(06)
①{(P→ Q)→P}→P
③{(P→ R)→P}→P
に於いて、
① が、「パースの法則」である以上、
② も、「パースの法則」である。
従って、
(06)により、
(07)
①{(P→ Q)→P}→P
③{(P→ R)→P}→P
に於いて、
③ R=~Q
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
①{(P→ Q)→P}→P
③{(P→~Q)→P}→P
に於いて、
① は、「パースの法則」であって、
② も、「パースの法則」である。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
③{(P→~Q)→P}→P
④{(P& Q)∨P}→P
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
① は、「パースの法則」であって、
③ も、「パースの法則」である。
従って、
(08)により、
(09)
「日本語」で言ふと、
①{(Pならば、 Qである)ならばP}ならばPである。
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
③{(Pならば、 Qでない)ならばP}ならばPである。
④{(Pであって、Qである)か、または、Pである}ならば、Pである。
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
① は、「パースの法則」であって、
③ も、「パースの法則」である。
然るに、
(10)
①{(Pならば、Qである)ならばP}ならばPである。
③{(Pならば、Qでない)ならばP}ならばPである。
に於いて、
① は、「パースの法則」であって、
③ も、「パースの法則」である。
といふのであれば、
①{(Pならば、Qであっても、Qでなくとも)、Pならば}Pである。
③{(Pならば、Qでなくとも、Qであっても)、Pならば}Pである。
に於いて、
① は、「パースの法則」であって、
③ も、「パースの法則」である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
①{(Pならば、 Qであっても、Qでなくとも)、Pならば}Pである。
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
③{(Pならば、 Qでなくとも、Qであっても)、Pならば}Pである。
④{(Pであって、Qである)か、または、Pである}ならば、Pである。
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
① は、「パースの法則」であって、
③ も、「パースの法則」である。
然るに、
(12)
①{(Pならば、 Qであっても、Qでなくとも)、Pならば}Pである。
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
③{(Pならば、 Qでなくとも、Qであっても)、Pならば}Pである。
④{(Pであって、Qである)か、または、Pである}ならば、Pである。
に於いて、
① が、「恒に真」であることは、「当然」であり、
② が、「恒に真」であることは、「当然」であり、
③ が、「恒に真」であることは、「当然」であり、
④ が、「恒に真」であることは、「当然」である。
従って、
(11)(12)により、
(13)
「記号」で書くと、
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
③{(P→~Q)→P}→P
④{(P& Q)∨P}→P
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
① は、「パースの法則」であって、
③ も、「パースの法則」であって、
① が、「恒に真」であることは、「当然」であり、
② が、「恒に真」であることは、「当然」であり、
③ が、「恒に真」であることは、「当然」であり、
④ が、「恒に真」であることは、「当然」である。
従って、
(13)により、
(14)
①{(P→ Q)→P}→P≡{(Pならば、Qである)ならばP}ならばPである。
③{(P→~Q)→P}→P≡{(Pならば、Qでない)ならばP}ならばPである。
である所の、「パースの法則」が「恒真式(トートロジー)」であることは、「当然」である。
令和03年01月28日、毛利太。

2021年1月27日水曜日

「パースの法則」は「当然」である(Ⅲ)。

(01)
 ―「含意の定義」の証明。―
(ⅰ)
1  (1)    P→Q  A
 2 (2) ~(~P∨Q) A
  3(3)   ~P    A
  3(4)   ~P∨Q  3∨I
 23(5) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q) 24&I
 2 (6)  ~~P    35RAA
 2 (7)    P    6DN
12 (8)      Q  17MPP
12 (9)   ~P∨Q  8∨I
12 (ア) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q) 29&I
1  (イ)~~(~P∨Q) 2アRAA
1  (ウ)   ~P∨Q  イDN
(ⅱ)
1     (1)  ~P∨Q   A
 2    (2)  P&~Q   A
  3   (3)  ~P     A
 2    (4)  P      2&E
 23   (5)  ~P&P   34&I
  3   (6)~(P&~Q)  25RAA
   7  (7)     Q   A
 2    (8)    ~Q   2&E
 2 7  (9)  Q&~Q   78&I
   7  (ア)~(P&~Q)  29RAA
1     (イ)~(P&~Q)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  P      A
     エ(エ)    ~Q   A
    ウエ(オ)  P&~Q   ウエ&I
1   ウエ(カ)~(P&~Q)&
          (P&~Q)  イオ&I
1   ウ (キ)   ~~Q   エカRAA
1   ウ (ク)     Q   キDN
1     (ケ)  P→ Q   ウクCP
(02)
 ―「ド・モルガンの法則」の証明(Ⅰ)。―
(ⅲ)
1   (1) ~( P& Q)  A
 2  (2) ~(~P∨~Q)  A
  3 (3)   ~P      A
  3 (4)   ~P∨~Q   3∨I
 23 (5) ~(~P∨~Q)&
         (~P∨~Q)  24&I
 2  (6)  ~~P      35RAA
 2  (7)    P      6DN
   8(8)      ~Q   A
   8(9)   ~P∨~Q   8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨~Q)&
          ~P∨~Q   29&I
 2  (イ)     ~~Q   8アRAA
 2  (ウ)       Q   イDN
 2  (エ)    P& Q   7ウ&I
12  (オ) ~( P& Q)&
         ( P& Q)  1エ&I
1   (カ)~~(~P∨~Q)  2オRAA
1   (キ)   ~P∨~Q   カDN
(ⅳ)
1   (1)   ~P∨~Q   A
 2  (2)    P& Q   A
  3 (3)   ~P      A
 2  (4)    P      2&E
 23 (5)   ~P&P    34&I
  3 (6) ~( P& Q)  25RAA
   7(7)      ~Q   A
 2  (8)       Q   2&E
 2 7(9)    ~Q&Q   78&I
   7(ア) ~( P& Q)  29RAA
1   (イ) ~( P& Q)  1367ア∨E
(03)
 ―「ド・モルガンの法則」の証明(Ⅱ)。―
(ⅴ)
1  (1)~( P∨ Q)  A
 2 (2)   P      A
 2 (3)   P∨ Q   2∨I
12 (4)~( P∨ Q)&
       ( P∨ Q)  12&I
1  (5)  ~P      24RAA
  6(6)      Q   A
  6(7)   P∨ Q   6∨I
1 6(8)~( P∨ Q)&
       ( P∨ Q)  17&I
1  (9)     ~Q   68RAA
1  (ア)  ~P&~Q   59&I
(ⅵ)
1   (1)  ~P&~Q   A
 2  (2)   P∨ Q   A
1   (3)  ~P      1&E
  4 (5)   P      A
1 4 (6)  ~P&P    35&I
  4 (7)~(~P&~Q)  16RAA
1   (8)     ~Q   1&E
   9(9)      Q   A
1  9(ア)   ~Q&Q   89&I
   9(イ)~(~P&~Q)  1アRAA
 2  (ウ)~(~P&~Q)  2479イ∨E
12  (エ) (~P&~Q)&
       ~(~P&~Q)  1ウ&I
1   (オ)~( P∨ Q)  2エRAA
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
「10個の原始的規則」により、
①    P→ Q
②   ~P∨ Q
③ ~( P& Q)
④  (~P∨~Q)
⑤ ~( P∨ Q)
⑥   ~P&~Q
に於いて、
①=② である(含意の定義)。
③=④ である(ド・モルガンの法則)。
⑤=⑥ である(ド・モルガンの法則)。
然るに、
(05)
10個の原始的規則、あるいは既に証明された「定理」を用いて、つぎの連式を証明せよ(Using 10 primitive rules or theorems already proved, prove the following sequent)。
{(P→Q)→P}→P ┤├{(P&~Q)∨P}→P
(ⅰ)
1   (1) {(P→ Q)→P}→P A
 2  (2)  (P&~Q)∨P    A
  3 (3)  (P&~Q)      A
  3 (4)~~(P&~Q)      3DN
  3 (5)~(~P∨ Q)      4ド・モルガンの法則
  3 (6) ~(P→ Q)      5含意の定義
  3 (7) ~(P→ Q)∨P    6∨I
   8(8)         P    A
   8(9) ~(P→ Q)∨P    8∨I
 2  (ア) ~(P→ Q)∨P    23789∨E
 2  (イ)  (P→ Q)→P    ア含意の定義
12  (ウ)            P 1イMPP
1   (エ) {(P&~Q)∨P}→P 2ウCP
(ⅱ)
1   (1)  {(P&~Q)∨ P}→P A
1   (2) ~{(P&~Q)∨ P}∨P 1含意の定義
 3  (3) ~{(P&~Q)∨ P}   A
 3  (4)  ~(P&~Q)&~P    3ド・モルガンの法則
 3  (5)  ~(P&~Q)       4&E
 3  (6)   ~P∨ Q        5ド・モルガンの法則
 3  (7)    P→ Q        6含意の定義
 3  (8)          ~P    4&E
 3  (9)   (P→ Q)&~P    78&I
 3  (ア)  {(P→ Q)&~P}∨P 9∨I
  イ (イ)              P A
  イ (ウ)  {(P→ Q)&~P}∨P イ∨I
1   (エ)  {(P→ Q)&~P}∨P 23アイウ∨E
1   (オ)~~{(P→ Q)&~P}∨P エDN
1   (カ)~{~(P→ Q)∨ P}∨P オ、ド・モルガンの法則
1   (キ) ~{(P→ Q)→ P}∨P カ含意の定義
1   (ク)  {(P→ Q)→ P}→P キ含意の定義
従って、
(05)により、
(06)
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
に於いて、
①=② である。
然るに、
(07)
②(Pであって、Qでない)とすれば、Pであり、
②(Pであって、Qである)としても、Pである。
といふことは、「当然」である。
従って、
(07)により、
(08)
②{(P&~Q)∨P}→P
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
といふことは、「当然」である。
従って、
(06)(08)により、
(09)
②{(P&~Q)∨P}→P
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
と、「同値」である所の、
①{(P→ Q)→P}→P
①{(Pならば、Qである)ならばP}ならばPである。
であっても、「当然」でなければ、ならない。
然るに、
(08)(09)により、
(10)
①{(Pならば、 Qである)ならばP}ならばPである。
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
に於いて、
① は、何故か、「奇異」である。
然るに、
(11)
(ⅰ)
1   (1)  (P→Q)→P   A
 2  (2)  ~P∨Q      A
 2  (3)   P→Q      2含意の定義
12  (4)        P   13MPP
1   (5) (~P∨Q)→P   24CP
1   (6)~(~P∨Q)∨P   5含意の定義
1   (7) (P&~Q)∨P   6ド・モルガンの法則
  8 (8)  P&~Q      A
  8 (9)  P         8&E
   ア(ア)        P   A
1   (イ)  P         189アア∨E
    (ウ){(P→Q)→P}→P 1イCP
従って、
(11)により、
(12)
①{(P→Q)→P}→P
といふ「式」は、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(12)により、
(13)
①{(P→Q)→P}→P
といふ「式」は、「恒に真」であるが故に、
① Qが「」であっても、
① Qが「」であっても、いづれにせよ、
①{(P→Q)→P}→P
といふ「式」自体は、「」である。
従って、
(13)により、
(14)
①{(P→Q)→P}→P
といふ「式」は、
①{(Pならば、Qであっても、Qでなくとも)、Pならば}Pである。
といふ「意味」になる。
従って、
(09)(12)(14)により、
(15)
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
といふ「恒真式(トートロジー)」は、
①{(Pならば、 Qであっても、Qでなくとも)、Pならば}Pである。
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
といふ「意味」になる。
従って、
(15)により、
(16)
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
といふ「パースの法則」は、例へば、
①{(日本人ならば、 男性であっても、女性であっても)、日本人ならば}日本人である。
②{(日本人であって、男性でない)か、または、日本人である}ならば、 日本人である。
といふ「意味」になる。
然るに、
(17)
①{(日本人ならば、 男性であっても、女性であっても)、日本人ならば}日本人である。
②{(日本人であって、男性でない)か、または、日本人である}ならば、 日本人である。
といふ「命題」は、少しも、「奇異」ではない
従って、
(16)(17)により、
(18)
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
といふ「パースの法則」が「恒真式(トートロジー)」であることは、「当然」である。
令和03年01月20日、毛利太。

2021年1月26日火曜日

「パースの法則」は「当然」である(Ⅱ)。

(01)
① ~(P&~Q)→P,~(P&~Q)├ P
②   (P&~Q)∨P, ~(P&~Q)├ P
に於いて、
① は「肯定肯定式」 であって、
② は「選言三段論法」である。
cf.
① Aならば、Bである。然るに、Aである。故に、Bである(肯定肯定式)。
② Aまたは、Bである。然るに、Aでない。故に、Bである(選言三段論法)。
従って、
(01)により、
(02)
① ~(P&~Q)→P
②   (P&~Q)∨P
に於いて、
①=② でなければ、ならない。
然るに、
(03)
10個の原始的規則のみを用いて、つぎの連式を証明せよ(Using only 10 primitive rules, prove the following sequent)。
~(P&~Q)→P ┤├(P&~Q)∨P
〔解答〕
(ⅰ)
1  (1)  ~(P&~Q)→P    A
 2 (2) ~{(P&~Q)∨P}    A
  3(3)   (P&~Q)      A
  3(4)   (P&~Q)∨P    3∨I
 23(5) ~{(P&~Q)∨P}&
        {(P&~Q)∨P}  24&I
 2 (6)   ~(P&~Q)     35RAA
12 (7)          P   16MPP
12 (8)    (P&~Q)∨P   7∨I
12 (9) ~{(P&~Q)∨P}&
        {(P&~Q)∨P}  28&I
1  (ア)~~{(P&~Q)∨P}  29RAA
1  (イ)   (P&~Q)∨P    アDN
(ⅱ)
1     (1)   (P&~Q)∨ P   A
 2    (2)  ~(P&~Q)&~P   A
  3   (3)   (P&~Q)      A
 2    (4)  ~(P&~Q)      2&E
 23   (5)   (P&~Q)&
           ~(P&~Q)      34&E
  3   (6)~{~(P&~Q)&~P}  25RAA
   7  (7)           P   A
 2    (8)          ~P   2&E
 2 7  (9)        P&~P   78&I
   7  (ア)~{~(P&~Q)&~P}  29RAA
1     (イ)~{~(P&~Q)&~P}  1367ア∨E
    ウ (ウ)  ~(P&~Q)      A
     エ(エ)          ~P   A
    ウエ(オ)  ~(P&~Q)&~P   ウエ&I
1   ウエ(カ)~{~(P&~Q)&~P}&
          {~(P&~Q)&~P}  イオ&I
1   ウ (キ)         ~~P   エカRAA
1   ウ (ケ)           P   キDN
1     (コ)  ~(P&~Q)→ P   ウケCP
cf.
(ⅰ)
1(1) ~(P&~Q)→P A
1(2)~~(P&~Q)∨P 1含意の定義
1(3)  (P&~Q)∨P 2DN
(ⅱ)
1(1)  (P&~Q)∨P A
1(2)~~(P&~Q)∨P 1DN
1(3) ~(P&~Q)→P 2含意の定義
従って、
(02)(03)により、
(04)
果たして、
① ~(P&~Q)→P
②   (P&~Q)∨P
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
10個の原始的規則のみを用いて、つぎの連式を証明せよ(Using only 10 primitive rules, prove the following sequent)。
~(P&~Q)┤├ P→Q
〔解答〕
(ⅰ)
1  (1)~(P&~Q)  A
 2 (2)  P      A
  3(3)    ~Q   A
 23(4)  P&~Q   23&I
123(5)~(P&~Q)&
       (P&~Q)  14&I
12 (6)   ~~Q   35RAA
12 (7)     Q   6DN
1  (8)  P→ Q   27CP
(ⅱ)
 1 (1)  P→ Q  A
  2(2)  P&~Q  A
  2(3)  P     2&E
 12(4)     Q  12MPP
  2(5)    ~Q  2&E
 12(6)  Q&~Q  45&I
 1 (7)~(P&~Q) 26RAA
cf.
(ⅰ)
1(1)~(P&~Q) A
1(2) ~P∨ Q  1ド・モルガンの法則
1(3)  P→ Q  2含意の定義
(ⅱ)
1(1)  P→ Q  A
1(2) ~P∨ Q  1含意の定義
1(3)~(P&~Q) 2ド・モルガンの法則
従って、
(05)により、
(06)
① ~(P&~Q)
②     P→ Q
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
「番号」を付け直すと、
① ~(P&~Q)→P
②  (P→ Q)→P
③   (P&~Q)∨P
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(07)により、
(08)
①{~(P&~Q)→P}→P
②  {(P→ Q)→P}→P
③  {(P&~Q)∨P}→P
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(08)により、
(09)
①{(PであってQでない)でないならば、Pである}ならばPである。
②{(Pならば、Qである)ならば、   Pである}ならばPである。
③{(PであってQでない)か、または、 Pである}ならばPである。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(09)により、
(10)
例へば、
P=日本人である。
Q= 男性である。
として、
①{(日本人であって男性でない)でないならば、日本人である}ならば日本人である。
②{(日本人ならば、男性である)ならば、   日本人である}ならば日本人である。
③{(日本人であって男性でない)か、または、 日本人である}ならば日本人である。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(11)
③{(日本人であって男性でない)か、または、日本人である}ならば、いづれにせよ、日本人である。
③{(日本人であって女性である)か、または、日本人である}ならば、いづれにせよ、日本人である。
といふ「命題」は、「偽」ではあり得ない。
従って、
(10)(11)により、
(12)
②{(日本人ならば、男性である)ならば、  日本人である}ならば日本人である。
③{(日本人であって男性でない)か、または、日本人である}ならば日本人である。
に於いて、
②=③ であって、
③{(日本人であって男性でない)か、または、日本人である}ならば日本人である。
といふ「命題」は、「恒に真」である。
従って、
(08)~(12)により、
(13)
「番号」を付け直すと、
①{(Pならば、Qである)ならば、  Pである}ならばPである。
②{(PであってQでない)か、または、Pである}ならばPである。
に於いて、
①=② であって、尚且つ、
② は、「恒に真」である。
従って、
(13)により、
(14)
①{(Pならば、Qである)ならば、Pである}ならばPである。
である所の、「パースの法則」は、それ自体は、「奇異」ではあるが、
それと「同値」である所の、
②{(PであってQでない)か、または、Pである}ならばPである。
といふ「言ひ方」からすれば、「少しも、奇異」ではない
令和03年01月26日、毛利太。

2021年1月25日月曜日

「パースの法則」は「当然」である。

(01)
命題計算では、パースの法則は ((P→Q)→P)→P のことを言う。この意味するところを書き出すと、命題Pについて、命題Qが存在して、「PならばQ」からPが真であることが従うときには、Pは真でなければならないとなる。とりわけ、Qとして偽を選んだ場合には、Pから偽が従うときは常にPが真であるならば、Pは真であるとなる(ウィキペディア)。
(02)
10個の原始的規則のみを用いて、つぎの連式を証明せよ(Using only 10 primitive rules, prove the following sequent)。
(P→Q)→P ┤├(P&~Q)∨P
〔解答〕
(ⅰ)
1       (1)   (P→Q)→ P    A
 2      (2)   (P→Q)&~P    A
 2      (3)   (P→Q)       2&E
12      (4)          P    13MPP
 2      (5)         ~P    2&E
12      (6)       P&~P    45&I
1       (7) ~{(P→Q)&~P}   26RAA
  8     (8) ~(P&~Q)&~P    A
  8     (9) ~(P&~Q)       8&E
   ア    (ア)   P           A
    イ   (イ)     ~Q        A
   アイ   (ウ)   P&~Q        アイ&I
  8アイ   (エ) ~(P&~Q)&
             (P&~Q)       9ウ&I
  8ア    (オ)    ~~Q        イエRAA
  8ア    (カ)      Q        オDN
  8     (キ)    P→Q        アカCP
  8     (ク)         ~P    8&E
  8     (ケ)   (P→Q)&~P    キク&I
1 8     (コ) ~{(P→Q)&~P}&
              (P→Q)&~P    7ケ&I
1       (サ)~{~(P&~Q)&~P}  8コRAA
     シ  (シ) ~{(P&~Q)∨ P}  A
      ス (ス)   (P&~Q)      A
      ス (セ)   (P&~Q)∨ P   シ∨I
     シス (ソ) ~{(P&~Q)∨ P}&
             {(P&~Q)∨ P}  シセ&I
     シ  (タ)  ~(P&~Q)      スソRAA
       チ(チ)           P   A
       チ(ツ)   (P&~Q)∨ P   チ∨I
     シ チ(テ) ~{(P&~Q)∨ P}&
             {(P&~Q)∨ P}  シチ&I
     シ  (ト)          ~P   チテRAA
     シ  (ナ)  ~(P&~Q)&~P   タト&I
1    シ  (ニ)~{~(P&~Q)&~P}&
            {~(P&~Q)&~P}  サナ&I
1       (ヌ)~~{(P&~Q)∨ P}  シニRAA
1       (ネ)   (P&~Q)∨ P   ヌDN
(ⅱ)
1        (1)   (P&~Q)∨ P  A
 2       (2)    P&~Q      A
  3      (3)    P→ Q      A
 2       (4)    P         2&E
 23      (5)       Q      34MPP
 2       (6)      ~Q      2&E
 23      (7)    Q&~Q      56&I
 2       (8)  ~(P→ Q)     37RAA
 2       (9)  ~(P→ Q)∨ P  8∨I
   ア     (ア)           P  A
1        (イ)  ~(P→ Q)∨ P  129アア∨E
    ウ    (ウ)   (P→ Q)&~P  A
     エ   (エ)  ~(P→ Q)     A
    ウ    (オ)   (P→ Q)     ウ&E
    ウエ   (カ) ~(P→Q)&(P→Q) エオ&I
     エ   (キ) ~{(P→Q)&~P}  ウカRAA
      ク  (ケ)           P  A
    ウ    (コ)          ~P  ウ&E
    ウク   (サ)        P&~P  ケコ&
     ク   (シ) ~{(P→Q)&~P}  ウサRAA
1        (ス) ~{(P→Q)&~P}  1エキクシ∨E
       セ (セ)   (P→Q)      A
        ソ(ソ)         ~P   A
       セソ(タ)   (P→Q)&~P   セソ&I
1      セソ(チ) ~{(P→Q)&~P}&
              {(P→Q)&~P}  キタ&I
1      セ (ツ)        ~~P   ソチRAA
1      セ (テ)          P   ツDN
1        (ト)   (P→Q)→ P   セテCP
従って、
(02)により、
(03)
①(P→ Q)→P
②(P&~Q)∨P
に於いて、
①=② である。
従って、
(03)により、
(04)
「日本語」で言ふと、
①(Pであるならば、Qである)ならば、Pである。
②(であって、Qでない)か、またはである。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
②(P&~Q)∨P
といふのであれば、すなはち、
②(であって、Qでない)か、またはである。
といふのであれば、いづれにせよ
② である。
従って、
(05)により、
(06)
②{(P&~Q)∨P}→P
②{(Pであって、Qでない)か、またはPである}ならば、Pである
といふ「式」は、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(05)(06)により、
(07)
①{(P→ Q)→P}→P
①{(Pであるならば、Qである)ならば、Pである}ならば、Pである。
といふ「式」も、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(08)
②{(P&~Q)∨P}→P
②{(Pであって、Qでない)か、またはPである}ならば、Pである
といふのであれば、
②(Qでなく)とも、Pである
従って、
(07)(08)により、
(09)
①{(P→ Q)→P}→P
といふ「式」は、
①{(Pであるならば、Qであらうと、Qでなからうと)、Pである}ならば、Pである
といふ「意味」になる。
従って、
(02)~(09)により、
(10)
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
に於いて、
①=② である所の、「パースの法則」は、「日本語」で言ふと、
①{(Pであるならば、Qであらうと、Qでなからうと)、Pである}ならば、Pである。
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
に於いて、
①=② である。
従って、
(01)(10)により、
(11)
①{(Pであるならば、Qであらうと、Qでなからうと)、Pである}ならば、Pである。
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
に於いて、
①=② である所の「パースの法則」と、
③ 命題Pについて、命題Qが存在して、「PならばQ」からPが真であることが従うときには、Pは真でなければならないとなる(ウィキペディア)。
といふこととは、「関係」が無い
令和03年01月25日、毛利太

2021年1月24日日曜日

「英文・訓読」と「括弧」について。

(01)
① 我非必不求以解中文法解漢文者也。
① 我非〈必不{求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]}者〉也。
に於いて、
非〈 〉⇒〈 〉非
不{ }⇒{ }不
求[ ]⇒[ ]求
以〔 〕⇒〔 〕以
解( )⇒( )解
解( )⇒( )解
といふ「移動」を行ふことによって、
① 我非〈必不{求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]}者〉也⇒
① 我〈必{[〔(中文)解法〕以(漢文)解]求}不者〉非也=
① 我は〈必ずしも{[〔(中文を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざるなり=
① 私は〈必ずしも{[〔(中国語を)理解する法を〕用いて(漢文を)理解しようと]}しない者で〉はない。
といふ「漢文・訓読」を、得ることが出来る。
cf.
① 我非必不中文漢文也。
然るに、
(02)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている。
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 我非〈必不{求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]}者〉也。
① 我は〈必ずしも{[〔(中文を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざる也。
に於ける、
①〈 { [ 〔 ( )( ) 〕 ] } 〉
①〈 { [ 〔 ( )( ) 〕 ] } 〉
といふ「括弧」は、
①「漢文補足構造」と、
①「国語補足構造」と、
①「漢文訓読語順」を、同時に、表してゐる
(04)
②              【 『 「 《 〈 { [ 〔 ( ) 〕 ] } 〉 》 」 』 】
で、足りない場合は、
②              【 『 「 《 〈 { [ 〔 ( ) 〕 ] } 〉 》 」 』 】を、
②【 『 「 《 〈 { [ 〔 (                            ) 〕 ] } 〉 》 」 』 】で「括って」、
②【 『 「 《 〈 { [ 〔 ( 【 『 「 《 〈 { [ 〔 ( ) 〕 ] } 〉 》 」 』 】 ) 〕 ] } 〉 》 」 』 】とする。
然るに、
(05)
② I am not always a person who does not try to understand kanbun by the method of understanding chinese.
② I am《not「always a{person〈who[does(not〔try【to『understand「kanbun《by〈the[method{of〔understanding(chinese)〕]}〉》」』】)〕]}〉》」.
に於いて、
           am《 》⇒《 》am
          not「 」⇒「 」not
            a{ }⇒{ }a
       person〈 〉⇒〈 〉person
          who[ ]⇒[ ]who
         does( )⇒( )does
          not〔 〕⇒〔 〕not
          try【 】⇒【 】try
           to『 』⇒『 』to
   understand「 」⇒「 」understand
       kanbun《 》⇒《 》kanbun
           by〈 〉⇒〈 〉by
          the[ ]⇒[ ]the
           of〔 〕⇒〔 〕of
understanding( )⇒( )understanding
といふ「移動」を行ふことによって、
② I amnotalways apersonwho[doesnottry【to『understand「kanbun《by〈themethodof〔understanding(chinese)〕]}〉》」』】)〕]}〉》」⇒
② I 《「always {〈[(〔【『「《〈[{〔(chinese)understanding〕of]the}method〉by》kanbun」understand』to】try)does〕not]who}a〉person》am」not=
② 私は《「必ずしも {〈[(〔【『「《〈[{〔(中国語を)理解する〕の]その}方法〉によって》漢文を」理解する』ことを】試みようと)し〕ない}所の}一人の〉人》で」はない。
といふ「英文・訓読」を、得ることが出来る。
然るに、
(06)
この場合、
② I amnotalways apersonwho[doesnottry【to『understand「kanbun《by〈themethodof〔understanding(chinese)〕]}〉》」』】)〕]}〉》」.
に於ける、
《 「 { 〈 ( 〔 【 『 「 《 〈 [ { 〔 ( ) 〕 ] } 〉 》 」 』 】 ) 〕 ] } 〉 》 」は、
②「 《 〈 { [ 〔 ( 【 『 「 《 〈 { [ 〔 ( ) 〕 ] } 〉 》 」 』 】 ) 〕 ] } 〉 》 」でなく、それ故、
《 「 { 〈( 〔 【 『 「 《 〈 [ { 〔 ( ) 〕 ] } 〉 》 」 』 】 ) 〕 ] } 〉 》 」は、「括弧」ではない
然るに、
(07)
② I am not always a person who does not try to understand kanbun by the method of understanding chinese.
に於いて、
② am not
② a person
② the method
② does not
といふ「語」を、
③ am-not(ain't)
③ a-person
③ the-method
③ does-not(doesn't)
といふ「語」とするならば、
③ I am《not「always a{person〈who[does(not〔try【to『understand「kanbun《by〈the[method{of〔understanding(chinese)〕]}〉》」』】)〕]}〉》」.
ではなく、
③ I am-not[always a-person〔who(does-not【try『to「understand《kanbun〈by{the-method[of〔understanding(chinese)〕]}〉》」』】)〕].
といふ風に、書くことになり、この場合、
③[ 〔 ( 【 『 「 《 〈 { [ 〔 ( ) 〕 ] } 〉 》 」 』 】 ) 〕 ]は、「括弧」である。
然るに、
(08)
③ I am-not[always a-person〔who(does-not【try『to「understand《kanbun〈by{the-method[of〔understanding(chinese)〕]}〉》」』】)〕]⇒
③ I[always〔(【『「《〈{[〔(chinese)understanding〕of]the-method}by〉kanbun》understand」to』try】does-not)who〕a-person]am-not=
③ 私は[必ずしも〔(【『「《〈{[〔(中国語を)理解する〕の]方法}によって〉漢文を》理解する」ことを』試み】ない)所の〕人]ではない。
といふ「語順で読む」ことは、
③(I)am-not(always)a-person who does-not try to understand kanbun by the-method of understanding chinese.
といふ風に、「括弧」で括った上で、
③(I,always)に関しては、「そのままの順」で読み、
③(I,always)以外は、「からへ」読むことと、「同じ」である。
従って、
(01)~(08)により、
(09)
① 我非必不求以解中文法解漢文者也。
③ I am not always a person who does not try to understand kanbun by the method of understanding chinese.
といふ「漢文」と「英文」を、
① 我は必ずしも中文を解する法を以て漢文を解せんことを求め不る者に非ざるなり。
③ 私は必ずしも中国語を理解するの方法によって漢文を理解することを試みない所の人ではない。
といふ「語順」で読む場合には、
① 我非〈必不{求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]}者〉也。
③(I)am-not(always)a-person who does-not try to understand kanbun by the-method of understanding chinese.
といふ風に、「括弧」で、括れば良い。
然るに、
(03)(08)により、
(10)
① 我非〈必不{求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]}者〉也。
① 我は〈必ずしも{[〔(中文を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざる也。
に於ける、
①〈 { [ 〔 ( )( ) 〕 ] } 〉
①〈 { [ 〔 ( )( ) 〕 ] } 〉
といふ「括弧」は、
①「漢文補足構造」と、
①「国語補足構造」と、
①「漢文訓読語順」を、同時に、表してゐるものの、その一方で、
③(I)am-not(always)a-person who does-not try to understand kanbun by the-method of understanding chinese.
に於ける、
③( )( )
は、ただ単に、「英文和訳」の際の、「語順」を示してゐるに、過ぎない
従って、
(10)により、
(11)
① 我非必不求以解中文法解漢文者也。
といふ「漢文」を、
① 我は必ずしも中文を解する法を以て漢文を解せんことを求め不る者に非ざるなり。
といふ風に「訓読」することと、
③ I am not always a person who does not try to understand kanbun by the method of understanding chinese.
といふ「英文」を、
③ 私は必ずしも中国語を理解するの方法によって漢文を理解することを試みない所の人ではない。
といふ風に「和訳」することは、「本質的」に、「同じ」ではない
令和03年01月24日、毛利太。

2021年1月21日木曜日

「パースの法則」の「対偶(?)」。

(01)
(a)「対偶の証明」は、   (13)を参照せよ。
(b)「含意の定義の証明」は、(14)を参照せよ。
(c)「ド・モルガンの法則」は(15)を参照せよ。
(02)
 ―「パースの法則」の証明。―
1   (1)  (P→Q)→P   A
 2  (2)  ~P∨Q      A
 2  (3)   P→Q      2含意の定義
12  (4)        P   13MPP
1   (5) (~P∨Q)→P   24MPP
1   (6)~(~P∨Q)∨P   5含意の定義
  7 (7)~(~P∨Q)     A
  7 (8)  P&~Q      7ド・モルガンの法則
  7 (9)  P         8&E
   ア(ア)        P   A
1   (イ)  P         179アア∨E
    (ウ)((P→Q)→P)→P 1イCP
然るに、
(03)
1   (1)  (P→Q)→~Q     A
 2  (2)  ~P∨Q         A
 2  (3)   P→Q         2含意の定義
12  (4)        ~Q     13MPP
1   (5) (~P∨Q)→~Q     24MPP
1   (6)~(~P∨Q)∨~Q     5含意の定義
  7 (7)~(~P∨Q)        A
  7 (8)  P&~Q         7ド・モルガンの法則
  7 (9)    ~Q         8&E
   ア(ア)        ~Q     A
1   (イ)    ~Q         679アア∨E
    (ウ) ((P→Q)→~Q)→~Q 1イCP
従って、
(02)(03)により、
(04)
①((P→Q)→ P)→ P
②((P→Q)→~Q)→~Q
に於いて、
① は、「恒真式(トートロジー)」であって、
② も、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(05)
②   P→ Q
~Q→~P
に於いて、
②=③ は、「対偶」である。
従って、
(05)により、
(06)
②(( P→ Q)→~Q)→~Q
③((~Q→~P)→~Q)→~Q
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(07)
①(( P→ Q)→ P)→ P
に於いて、
P=~Q
Q=~P
といふ「代入」を行ふと、
③((~Q→~P)→~Q)→~Q
従って、
(07)により、
(08)
P=~Q
Q=~P
であるとすると、
①(( P→ Q)→ P)→ P
③((~Q→~P)→~Q)→~Q
に於いて、
①=③ である。
e.g.
P(奇数である)=Q(偶数でない)。
Q(偶数である)=P(奇数でない)。
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
P=~Q
Q=~P
であるとすると、
①(( P→ Q)→ P)→ P
②(( P→ Q)→~Q)→~Q
③((~Q→~P)→~Q)→~Q
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(09)により、
(10)
Pである=Qでない。
Qである=Pでない。
とすると、
①((Pであるならば、Qである)ならば、Pである)ならばPである。
②((Pであるならば、Qである)ならば、Qでない)ならばQでない。
③((Qでないならば、Pでない)ならば、Qでない)ならばQでない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(11)
命題計算では、パースの法則は((P→Q)→P)→P のことを言う。
(ウィキペディア)
従って、
(10)(11)により、
(12)
①((Pであるならば、Qである)ならば、Pである)ならばPである。
②((Pであるならば、Qである)ならば、Qでない)ならばQでない。
③((Qでないならば、Pでない)ならば、Qでない)ならばQでない。
といふ「不思議なトートロジー」は、「パースの法則」である。
(13)
 ―「対偶」の証明。―
(ⅰ)
1  (1) P→ Q A
 2 (2)   ~Q A
  3(3) P    A
1 3(4)    Q 13MPP
123(5) ~Q&Q 24&I
12 (6)~P    35RAA
1  (7)~Q→~P 26CP
(ⅱ)
1  (1) ~Q→~P 26CP
 2 (2)  P    A
  3(3) ~Q    A
1 3(4)    ~P 13MPP
123(5)  P&~P 24&I
12 (6)~~Q    3RAA
12 (7)  Q    6DN
1  (8)  P→Q  27CP
(14)
 ―「含意の定義」の証明。―
(ⅰ)
1  (1)    P→Q  A
 2 (2) ~(~P∨Q) A
  3(3)   ~P    A
  3(4)   ~P∨Q  3∨I
 23(5) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q) 24&I
 2 (6)  ~~P    35RAA
 2 (7)    P    6DN
12 (8)      Q  17MPP
12 (9)   ~P∨Q  8∨I
12 (ア) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q) 29&I
1  (イ)~~(~P∨Q) 2アRAA
1  (ウ)   ~P∨Q  イDN
(ⅱ)
1     (1)  ~P∨Q   A
 2    (2)  P&~Q   A
  3   (3)  ~P     A
 2    (4)  P      2&E
 23   (5)  ~P&P   34&I
  3   (6)~(P&~Q)  25RAA
   7  (7)     Q   A
 2    (8)    ~Q   2&E
 2 7  (9)  Q&~Q   78&I
   7  (ア)~(P&~Q)  29RAA
1     (イ)~(P&~Q)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  P      A
     エ(エ)    ~Q   A
    ウエ(オ)  P&~Q   ウエ&I
1   ウエ(カ)~(P&~Q)&
          (P&~Q)  イオ&I
1   ウ (キ)   ~~Q   エカRAA
1   ウ (ク)     Q   キDN
1     (ケ)  P→ Q   ウクCP
(15)
 ―「ド・モルガンの法則」の証明。―
(ⅰ)
1   (1) ~( P& Q)  A
 2  (2) ~(~P∨~Q)  A
  3 (3)   ~P      A
  3 (4)   ~P∨~Q   3∨I
 23 (5) ~(~P∨~Q)&
         (~P∨~Q)  24&I
 2  (6)  ~~P      35RAA
 2  (7)    P      6DN
   8(8)      ~Q   A
   8(9)   ~P∨~Q   8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨~Q)&
          ~P∨~Q   29&I
 2  (イ)     ~~Q   8アRAA
 2  (ウ)       Q   イDN
 2  (エ)    P& Q   7ウ&I
12  (オ) ~( P& Q)&
         ( P& Q)  1エ&I
1   (カ)~~(~P∨~Q)  2オRAA
1   (キ)   ~P∨~Q   カDN
(ⅱ)
1   (1)   ~P∨~Q   A
 2  (2)    P& Q   A
  3 (3)   ~P      A
 2  (4)    P      2&E
 23 (5)   ~P&P    34&I
  3 (6) ~( P& Q)  25RAA
   7(7)      ~Q   A
 2  (8)       Q   2&E
 2 7(9)    ~Q&Q   78&I
   7(ア) ~( P& Q)  29RAA
1   (イ) ~( P& Q)  1367ア∨E
令和03年01月20日、毛利太。

2021年1月18日月曜日

「ド・モルガンの法則」と「グー・チョキ・パー」。

(01)
 ―「ド・モルガンの法則」の証明。―
(ⅰ)
1   (1) ~( P& Q)  A
 2  (2) ~(~P∨~Q)  A
  3 (3)   ~P      A
  3 (4)   ~P∨~Q   3∨I
 23 (5) ~(~P∨~Q)&
         (~P∨~Q)  24&I
 2  (6)  ~~P      35RAA
 2  (7)    P      6DN
   8(8)      ~Q   A
   8(9)   ~P∨~Q   8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨~Q)&
          ~P∨~Q   29&I
 2  (イ)     ~~Q   8アRAA
 2  (ウ)       Q   イDN
 2  (エ)    P& Q   7ウ&I
12  (オ) ~( P& Q)&
         ( P& Q)  1エ&I
1   (カ)~~(~P∨~Q)  2オRAA
1   (キ)   ~P∨~Q   カDN
(ⅱ)
1   (1)   ~P∨~Q   A
 2  (2)    P& Q   A
  3 (3)   ~P      A
 2  (4)    P      2&E
 23 (5)   ~P&P    34&I
  3 (6) ~( P& Q)  25RAA
   7(7)      ~Q   A
 2  (8)       Q   2&E
 2 7(9)    ~Q&Q   78&I
   7(ア) ~( P& Q)  29RAA
1   (イ) ~( P& Q)  1367ア∨E
(01)により、
(02)
① ~(P& Q)≡(Pであって、その上、Qである)といふことはない。
②  ~P∨~Q ≡ Pでないか、または、Qでない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
(ⅲ)
1  (1)~{(P&Q)&R}  A
1  (2)~(P&Q)∨~R   1ド・モルガンの法則
 3 (3)~(P&Q)      A
 3 (4)(~P∨~Q)     3ド・モルガンの法則
 3 (5)(~P∨~Q)∨~R  4∨I
  6(6)       ~R   A
  6(7)(~P∨~Q)∨~R  6∨I
1  (8)(~P∨~Q)∨~R  13567∨E
1  (9) ~P∨~Q ∨~R  8結合法則
(ⅳ)
1  (1) ~P∨~Q ∨~R  A
1  (2)(~P∨~Q)∨~R  1結合法則
 3 (3)(~P∨~Q)     A
 3 (4) ~(P&Q)     3ド・モルガンの法則
 3 (5) ~(P&Q)∨~R  4∨I
   6(6)        ~R  A
  6(7) ~(P&Q)∨~R  6∨I
1  (8) ~(P&Q)∨~R  13567∨E
1  (9)~{(P&Q)&R}  6ド・モルガンの法則
従って、
(03)により、
(04)
③ ~{(P&Q)&R}≡{(Pであって、その上、Qであって、)その上、Rである}といふことはない。
④   ~P∨~Q∨~R ≡  Pでないか、または、Qでないか、または、Rでない。
に於いて、
③=④ である。
(05)
(a)~(P&Q∨R)
であれば、
(b)~{(P&Q)∨R}
であるか、
(c)~{P&(Q∨R)}
であるかの、いづれかである。
然るに、
(06)
(ⅴ)
1(1)~{(P&Q)∨ R} A
1(2) ~(P&Q)&~R  1ド・モルガンの法則
1(3) ~(P&Q)     2&E
1(4)(~P∨~Q)     3ド・モルガンの法則
1(5)        ~R  2&E
1(6)(~P∨~Q)&~R  45&E
(ⅵ)
1(1)(~P∨~Q)&~R  A
1(2)(~P∨~Q)     1&E
1(3) ~(P&Q)     2ド・モルガンの法則
1(4)        ~R  1&E
1(5) ~(P&Q)&~R  34&I
1(6)~{(P&Q)∨ R} 5ド・モルガンの法則
従って、
(06)により、
(07)
⑤ ~{(P&Q)∨ R}≡{(Pであって、その上、Qであるか、)または、Rである}といふことはない。
⑥ (~P∨~Q)&~R ≡ (Pでないか、または、Qでなくて、)その上、Rではない。
に於いて、
⑤=⑥ である。
(08)
(ⅶ)
1  (1)~{P&(Q∨R)} A
1  (2)~P∨~(Q∨R)  1ド・モルガンの法則
 3 (3)~P         A
 3 (4)~P∨(~Q&~R) 3∨I
  5(5)   ~(Q∨R)  A
  5(6)   (~Q&~R) 5ド・モルガンの法則
  5(7)~P∨(~Q&~R) 6∨I
1  (8)~P∨(~Q&~R) 13457∨E
(ⅷ)
1  (1)~P∨(~Q&~R) A
 2 (2)~P         A
 2 (3)~P∨~(Q∨R)  2∨I
  4(4)   (~Q&~R) A
  4(5)   ~(Q∨R)  4ド・モルガンの法則
  4(6)~P∨~(Q∨R)  4∨I
1  (7)~P∨~(Q∨R)  12346∨E
1  (8)~{P&(Q∨R)} 7ド・モルガンの法則
従って、
(08)により、
(09)
⑦ ~{P&(Q∨ R)}≡{Pであって、その上、(Qであるか、または、Rである)}といふことはない。
⑧ ~P∨(~Q&~R) ≡ Pでないか、または、(Qでなくて、その上、Rでない)。
に於いて、
⑦=⑧ である。
然るに、
(09)により、
(10)
「含意の定義」により、
⑧ ~P∨(~Q&~R) ≡ Pでないか、または、(Qでなくて、その上、Qでない)。
⑨   P→(~Q&~R) ≡ Pであるならば、  (Qでなくて、その上、Rでない)。
に於いて、
⑧=⑨ である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
⑦ ~{P&(Q∨ R)}≡{Pであって、その上、(Qであるか、または、Rである)}といふことはない。
⑨  P→(~Q&~R) ≡ Pであるならば、  (Qでなくて、その上、Rでない)。
に於いて、
⑦=⑨ である。
然るに、
(12)
(ⅸ)
1 (1) P→(~Q&~R) A
 2(2)     Q∨ R  A
 2(3)  ~(~Q&~R) 2ド・モルガンの法則
12(4)~P         13MTT
1 (5) (Q∨R)→~P  24CP
(ⅹ)
1 (1) (Q∨R)→~P  A
 2(2)        P  A
 2(3)      ~~P  2DN
12(4)~(Q∨R)     13MTT
12(5)(~Q&~R)    4ド・モルガンの法則
1 (6) P→(~Q&~R) 25CP
従って、
(12)により、
(13)
⑨ P→(~Q&~R)≡ Pであるならば、(Qでなくて、その上、Rでない)。
⑩ (Q∨R)→~P ≡(Qであるか、または、Rである)ならば、Pでない。
に於いて、
⑨=⑩ は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
⑦ ~{P&(Q∨ R)}≡{Pであって、その上、(Qであるか、または、Rである)}といふことはない。
⑨  P→(~Q&~R) ≡ Pであるならば、  (Qでなくて、その上、Rでない)。
⑩ (Q∨R)→~P  ≡(Qであるか、または、Rである)ならば、Pでない。
に於いて、
⑦=⑨=⑩ である。
従って、
(14)により、
(15)
「番号」を付け直すと、
①{Pであって、その上、(Qであるか、または、Rである)}といふことはない。
②  Pであるならば、  (Qでなくて、その上、Rでない)。
③(Qであるか、または、Rである)ならば、Pでない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(15)により、
(16)
例へば、
P=グー である。
Q=チョキである。
R=パー である。
とするならば、
①{グーであって、その上、(チョキであるか、または、パーである)}といふことはない。
②  グーであるならば、  (チョキでなくて、その上、パーでない)。
③(チョキであるか、または、パーである)ならば、グーでない。
に於いて、
①=②=③ である。
令和03年01月18日、毛利太。

2021年1月14日木曜日

「括弧」と「返り点」と「補足構造」。

(01)
① 読漢文=
① 読(漢文)。
に於いて、
① 読( )⇒( )読
といふ「移動」を行ふと、
① 読漢文=
① 読(漢文)⇒
① (漢文)読=
① (漢文を)読む。
といふ「国語」を、得ることが出来る。
(02)
② 読文漢=
② 読〔文(漢)〕。
に於いて、
② 文( )⇒( )文
② 読〔 〕⇒〔 〕読
といふ「移動」を行ふと、
② 読文漢=
② 読〔文(漢)〕⇒
② 〔(漢)文〕読=
② 〔(漢)文を〕読む。
といふ「国語」を、得ることが出来る。
(03)
③ 文読漢=
③ 文(読〔漢)〕。
に於いて、
② 文( )⇒( )文
② 読〔 〕⇒〔 〕読
といふ「移動」を行ふと、
③ 文(読〔漢)〕⇒
③ (〔漢)文〕読=
③ (〔漢)文を〕読む。
といふ「国語」を、得ることが出来る。
然るに、
(04)
① Read English sentence.
に対して、
② Read sentence English.
③ Sentence read English.
といふ「英語の語順」が無いやうに、
① 読漢文
に対して、
② 読文漢

といふ「漢文の語順」は無い
然るに、
(05)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている。
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)
従って、
(01)(05)により、
(06)
① 読(漢文)。
① (漢文を)読む。
に於ける、
①( )
②( )
といふ「括弧」は、
①「漢文補足構造」であって、尚且つ、
②「国語補足構造」である。
然るに、
(07)
⑤ 我非必不求以解中文法解漢文者也。
⑤ 我非〈必不{求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]}者〉也。
に於いて、
非〈 〉⇒〈 〉非
不{ }⇒{ }不
求[ ]⇒[ ]求
以〔 〕⇒〔 〕以
解( )⇒( )解
解( )⇒( )解
といふ「移動」を行ふことによって、
⑤ 我非〈必不{求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]}者〉也⇒
⑤ 我〈必{[〔(中文)解法〕以(漢文)解]求}不者〉非也=
⑤ 我は〈必ずしも{[〔(中文を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざる也。
といふ「訓読」を、得ることが出来る。
cf.
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
⑤ 我非〈必不{求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]}者〉也。
⑤ 我は〈必ずしも{[〔(中文を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざる也。
に於ける、
⑤{ [ 〔 ( )( ) 〕 ] }
⑤{ [ 〔 ( )( ) 〕 ] }
といふ「括弧」は、
⑤「漢文補足構造」と、
⑤「国語補足構造」と、
⑤「漢文訓読語順」を、同時に、表してゐる
然るに、
(09)
管到」とは、ある語句がそのあとのどの漢字までかかっているか、という範囲のことである。白文訓読では、それぞれの漢字の意味や品詞を自分で考え、その漢字が後ろのどこまでかかっているか、考えねばならない。
(加藤徹、白文攻略 漢文ひとり学び、2013年、143頁)
従って、
(08)(09)により、
(10)
白文訓読では、それぞれの漢字の意味や品詞を自分で考え、その漢字が後ろのどこまでかかっているか、考えねばならない。
が、「管到」、すなはち、「どこまでかかっているか」、すなはち、「補足構造」は、
⑤ 我非〈必不{求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]}者〉也⇒
⑤ 我〈必{[〔(中文)解法〕以(漢文)解]求}不者〉非也=
⑤ 我は〈必ずしも{[〔(中文を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざる也。
のやうに、『括弧』で、表すことが、出来る。
然るに、
(11)
その所謂漢文は固より過去支那の文であって、今現に支那や満州国で行はれてゐる文章ではない
(塚本哲三、更訂 漢文解釈法、1942年、3頁)
(12)
ラテン語も英文も、同じローマ字で書いてありますが、だからとてラテン語と英文を同時に、同じ方法で学ぼうとするするのはムチャでしょう。中国の口語文(白話文)も、漢文とおなじように漢字を使っていますが、もともと二つのちがった体系で、単語も文法もたいへんちがうのですから、いっしょにあつかうことはできません。漢文と中国語は別のものです
(魚返善雄、漢文入門、1966年、17頁)
(13)
博士課程後期に六年間在学して訓読が達者になった中国の某君があるとき言った。「自分たちは古典を中国音で音読することができる。しかし、往々にして自ら欺くことがあり、助詞などいいかげんに飛ばして読むことがある。しかし日本式の訓読では、「欲」「将」「当」「謂」などの字が、どこまで管到して(かかって)いるか、どの字から上に返って読むか、一字もいいかげんにできず正確に読まなければならない」と、訓読が一字もいやしくしないことに感心していた。これによれば倉石武四郎氏が、訓読は助詞の類を正確に読まないと非難していたが、それは誤りで、訓読こそ中国音で音読するよりも正確な読み方なのである
(原田種成、私の漢文 講義、1995年、27頁)
(14)
国語漢字と現代中国語のくいちがいを示すひとつのパターンは、国語漢語中国古典の語彙をかなり残し、現に使用しているが、本場の中国においては、そのことばが死語になっていて、現在では別のいいかたがふつうになっているという場合である。
(鈴木修次、漢語と日本人、1978年、206頁)
(15)
普通文(読み)ふつうぶん
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
日本語の文章語の一つの文体。文語体の一種。漢文訓読の語法が基礎になって、擬古文や消息文の要素が加わり、漢字かな交りで書かれる。明治期に発達し広く使われるようになった。言文一致運動の影響で大正以後は次第に口語体に取って代られ、現在ではほとんど用いられない。
従って、
(11)~(15)により、
(16)
漢文」を理解する上で、
日本語(普通文)」を知ってゐることは、「アドバンテージ」に、なり得ても、
中国語(普通話)」を知ってゐることは、「アドバンテージ」に、なりさうもない。
然るに、
(17)
例へば、
⑦ 是以當世之人無不學其學焉者無不有以知其性分之所固有職分之所當爲而各俛焉以盡其力。
といふ「漢文(白文)」を、
⑦ ゼイイトウセイシジンムフツガウキガクエンシャムフツユウイチキショウブンシショコユウショクブンシショウトウヰジカクイツエンイジンキリョク。
⑦ Shì yǐ dāng shì zhī rén wú bù xué qí xué yān zhě wú bù yǒu yǐ zhī qí xìng fēn zhī suǒ gùyǒu zhí fèn zhī suǒ dāng wèi ér gè fǔ yān yǐ jìn qí lì.
といふ風に、「音読」出来たとしても、
⑦ 是以當世之人、無〔不(學)〕、其學(焉)者、無《不〈有{以知[其性分之所(固有)、職分之所〔當(爲)〕]、而各俛焉以盡(其力)}〉》。
といふ「管到補足構造)」を、「把握出来るわけではない
cf.
是以當世之人、無學、其學焉者、無以知其性分之所固有職分之所當上レ爲、而各俛焉以盡其力
従って、
(17)により、
(18)
我々には、「音読をする」のではなく、「観察をする以外に、例へば、
⑦ 是以當世之人無不學其學焉者無不有以知其性分之所固有職分之所當爲而各俛焉以盡其力。
といふ「漢文」を、
⑦ 是を以て当世の人、学ばざるは無く、其の焉に学ぶ者は、以て其の性分の固有する所、職分の当に為すべき所を知りて、各〻の俛焉として以て其の力を尽すこと有らざるは無し。
といふ風に、「訓読」する「手段」は無い
然るに、
(19)
徂徠は「題言十則」のなかで以下のように述べている。
中華の人多く言へり、「読書、読書」と。予は便ち謂へり、書を読むは書を看るに如かず、と。此れ中華と此の方との語言同じからざるに縁りて、故に此の方は耳口の二者、皆な力を得ず、唯だ一双の眼のみ、三千世界の人を合はせて、総て殊なること有ること莫し。
ここでの「読書」は、文脈からして音読であろう(勉誠出版、「訓読」論、2008年、27・244頁)。
従って、
(17)(18)(19)により、
(20)
荻生徂徠も、例へば、
⑦ 是以當世之人無不學其學焉者無不有以知其性分之所固有職分之所當爲而各俛焉以盡其力。
⑧ 蓋我朝之初建國也政體簡易文武一途擧海内皆兵而天子爲之元帥大臣大連爲之褊裨未嘗別置將帥也豈復有所謂武門武士者哉。
といふ「漢文」の、
⑦ 是以當世之人、無〔不(學)〕、其學(焉)者、無《不〈有{以知[其性分之所(固有)、職分之所〔當(爲)〕]、而各俛焉以盡(其力)}〉》。
⑧ 蓋我朝之初(建國)也、政體簡易文武一途、擧(海内)皆兵、而天子爲(之元帥)大臣大連爲(之褊裨)、未〔嘗別置(將帥)〕也。豈復有(所謂武門武士者)哉。
といふ「管到(補足構造)」を「把握」するには、「唯だ一双の眼」によって、「看る」しか無い(読書不如看書)。
といふ風に、言ってゐる。
然るに、
(21)
漢文は読む前に見ることが大切。パズルなんだから。パッと見る、そしてフィーリングというか、造形的センスというか、そこには美的な配列があることを見てとってほしい。そこからパズルが始まる。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年、323・4頁)
従って、
(20)(21)により、
(22)
荻生徂徠先生だけでなく、二畳庵主人こと、加地伸行先生も、「漢文(白文)」の「管到(補足構造)」を「把握」するには、「唯だ一双の眼」によって、「看る」しか無い
といふ風に、言ってゐる。
然るに、
(23)
文語体と口語体の区別は、もし簡便な基準を探すとなれば、それは耳で聞いてわかるのが口語体で、目で見なければわからないのが文語体だ、といえる。(「開明文言読本」開明書店、1948、導言)呂叔湘氏は人も知る「中國文法要略」(商務印書館、1942)の著者であり、解放後は中國科学院言語研究所長を勤めている超一流の言語学者であり、文化人である。
(牛島徳次、中國語の学び方、1977年、60頁)
従って、
(23)により、
(24)
中國科学院言語研究所長を勤めている超一流の言語学者である、呂叔湘先生も、「漢文(文語体)」は、目で見なければわからない
と、言ってゐる。
令和03年01月14日、毛利太。

{太郎、花子、トム、エマ}と「ド・モルガンの法則」と「ならば」。

(01)
① 太郎(は日本人の男性。)
② 花子(は日本人の女性。)
③ トム(は外国人の男性。)
④ エマ(は外国人の女性。)
であるとする。
従って、
(01)により、
(02)
(a)太郎ではない。
(b)花子か、トムか、エマである。
に於いて、
(a)=(b)である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
(a)太郎ではない。
(b)女性であるか、日本人でないか、女性である。
に於いて、
(a)=(b)である。
従って、
(03)により、
(04)
(a)太郎ではない。
(b)日本人でないか、女性である。
に於いて、
(a)=(b)である。
然るに、
(05)
① 太郎(日&男)
② 花子(日&女)
③ トム(外&男)
④ エマ(外&女)
と書いて、
① 太郎(は日本人の男性。)
② 花子(は日本人の女性。)
③ トム(は外国人の男性。)
④ エマ(は外国人の女性。)
であるとする。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
(a)太郎ではない。
(b)日本人でないか、女性である。
に於いて、すなはち、
(a)~(日&~女)
(b) ~日∨ 女
に於いて、
(a)=(b)であって、この「等式」を、「ド・モルガンの法則」と謂ふ。
然るに、、
(06)により、
(07)
(a)~(日&~女)
といふことは、
(a)(日本人であって、女性でない)といふことはない。
といふことであって、
(a)(日本人であって、女性でない)といふことはない。
といふことは、
(c) 日本人であるならば、女性である
といふことに、他ならない。
然るに、
(01)により、
(08)
(ⅰ)太郎ではない。然るに、
(ⅱ)日本人である。従って、
(ⅲ)花子である。
といふ「推論」は、「妥当」であって、尚且つ、
(ⅳ)花子は女性である
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
(a)(日本人であって、女性でない)といふことはない。
(b) 日本人でないか、または、女性である。
(c) 日本人であるならば、女性である
に於いて、すなはち、
(a)~(日&~女)
(b) ~日∨ 女
(c)  日→ 女
に於いて、
(a)=(b)=(c)である。
従って、
(01)~(09)により、
(10)
① 太郎(は日本人の男性。)
② 花子(は日本人の女性。)
③ トム(は外国人の男性。)
④ エマ(は外国人の女性。)
といふ「モデル」を用ひて、「日本語」で考へた「結果」として、
① ~(P&~Q)
②  ~P∨ Q
③   P→ Q
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(11)
(ⅰ)
1   (1) ~(P&~Q)  A
 2  (2) ~(~P∨Q)  A
  3 (3)   ~P     A
  3 (4)   ~P∨Q   3∨I
 23 (5) ~(~P∨Q)&
         (~P∨Q)  24&I
 2  (6)  ~~P     35RAA
 2  (7)    P     6DN
   8(8)      Q   A
   8(9)   ~P∨Q   8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨Q)&
         (~P∨Q)  29&I
 2  (イ)     ~Q   8アRAA
 2  (ウ)   P&~Q   7イ&I
12  (エ) ~(P&~Q)&
         (P&~Q)  1ウ&I
1   (オ)~~(~P∨Q)  2エRAA
1   (カ)   ~P∨Q   オDN
(ⅱ)
1   (1)  ~P∨Q   A
 2  (2)  P&~Q   A
  3 (3)  ~P     A
 2  (4)  P      2&E
 23 (5)  ~P&P   34&I
  3 (6)~(P&~Q)  25RAA
   7(7)     Q   A
 2  (8)    ~Q   2&E
 2 7(9)  Q&~Q   78&I
   7(ア)~(P&~Q)  29RAA
1   (イ)~(P&~Q)  1367ア∨E
従って、
(11)により、
(12)
① ~(P&~Q)
②  ~P∨ Q
に於いて、
①=② である。
然るに、
(13)
(ⅰ)
1  (1)~(P&~Q)  A
 2 (2)  P      A
  3(3)    ~Q   A
 23(4)  P&~Q   23&I
123(5)~(P&~Q)&
       (P&~Q)  14&I
12 (6)   ~~Q   35RAA
12 (7)     Q   6DN
1  (8)  P→ Q   27CP
(ⅲ)
1  (1)  P→ Q  A
 2 (2)  P&~Q  A
 2 (3)  P     2&E
12 (4)     Q  13MPP
 2 (5)    ~Q  2&E
12 (6)  Q&~Q  45&I
1  (7)~(P&~Q) 26RAA
従って、
(13)により、
(14)
① ~(P&~Q)
③   P→ Q
に於いて、
①=③ である。
従って、
(12)(14)により、
(15)
① ~(P&~Q)
②  ~P∨ Q
③   P→ Q
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(10)(15)により、
(16)
① 太郎(は日本人の男性。)
② 花子(は日本人の女性。)
③ トム(は外国人の男性。)
④ エマ(は外国人の女性。)
といふ「モデル」を用ひて、
日本語」で考へた「結果」としても、
命題計算(propositional calculus)」の「結果」としても、
① ~(P&~Q)
②  ~P∨ Q
③   P→ Q
に於いて、
①=②=③ である。
令和03年01月14日、毛利太。

2021年1月11日月曜日

「ド・モルガンの法則」と「ならば(→)」。

―「先程(令和03年01月11日)」の記事を書き直します。―
(01)
(ⅰ)
1   (1)  ~P∨Q   A
 2  (2)  P&~Q   A
  3 (3)  ~P     A
 2  (4)  P      2&E
 23 (5)  ~P&P   34&I
  3 (6)~(P&~Q)  25RAA
   7(7)     Q   A
 2  (8)    ~Q   2&E
 2 7(9)  Q&~Q   78&I
   7(ア)~(P&~Q)  29RAA
1   (イ)~(P&~Q)  1367ア∨E
(ⅱ)
1   (1) ~(P&~Q)  A
 2  (2) ~(~P∨Q)  A
  3 (3)   ~P     A
  3 (4)   ~P∨Q   3∨I
 23 (5) ~(~P∨Q)&
         (~P∨Q)  24&I
 2  (6)  ~~P     35RAA
 2  (7)    P     6DN
   8(8)      Q   A
   8(9)   ~P∨Q   8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨Q)&
         (~P∨Q)  29&I
 2  (イ)     ~Q   8アRAA
 2  (ウ)   P&~Q   7イ&I
12  (エ) ~(P&~Q)&
         (P&~Q)  1ウ&I
1   (オ)~~(~P∨Q)  2エRAA
1   (カ)   ~P∨Q   オDN
従って、
(01)により、
(02)
①  ~P∨ Q
② ~(P&~Q)
に於いて、
①=② は、「ド・モルガンの法則」である。
従って、
(02)により、
(03)
「日本語」で言ふと、
① Pでないか、または、Qである。
② Pであって、尚且つ、Qでない。といふことはない。
に於いて、
①=② は、「ド・モルガンの法則」である。
然るに、
(04) (ⅱ)
1  (1)~(P&~Q)  A
 2 (2)  P      A
  3(3)    ~Q   A
 23(4)  P&~Q   23&I
123(5)~(P&~Q)&
       (P&~Q)  14&I
12 (6)   ~~Q   35RAA
12 (7)     Q   6DN
1  (8)  P→ Q   27CP
(ⅲ)
1  (1)  P→ Q  A
 2 (2)  P&~Q  A
 2 (3)  P     2&E
12 (4)     Q  13MPP
 2 (5)    ~Q  2&E
12 (6)  Q&~Q  45&I
1  (7)~(P&~Q) 26RAA
従って、
(04)により、
(05)
② ~(P&~Q)
③   P→ Q
に於いて、
②=③ である。
従って、
(05)により、
(06)
「日本語」で言ふと、
② Pであって、尚且つ、Qでない。といふことはない。
③ Pであるならば、Qである。
に於いて、
②=③ である。
従って、
(01)~(06)により、
(07)
①  ~P∨ Q ≡ Pでないか、または、Qである。
② ~(P&~Q)≡(Pであって、Qでない)といふことはない。
③   P→ Q ≡ Pであるならば、Qである。
に於いて、
①=②=③ であって、
①=② は、「ド・モルガンの法則」である。
従って、
(07)により、
(08)
① 2は奇数でないか、または、明日は雪である。
②(2が奇数であって、明日が雪でない)といふことはない。
③ 2が奇数であるならば、明日は雪である。
に於いて、
①=②=③ であって、
①=② は、「ド・モルガンの法則」である。
然るに、
(09)
④ 明日が雪であらうと、雪でなからうと、2は奇数でない。
従って、
(10)
③「2が奇数でない」ことと、
④「明日が雪である」こととは、「関係」が無い。
従って、
(10)により、
(11)
③ 2が奇数であるならば、明日は雪である。
といふ「仮言命題」は、「普通」ではなく、「変」である。
然るに、
(12)
① 2は偶数である。
といふ「命題」は、「真」である。
従って、
(12)により、
(13)
① 2は偶数であるか、または、明日は雪である。
といふ「選言命題」は、「真」である。
然るに、
(14)
① 2は奇数でないか、または、明日は雪である。
といふことは、
① 2は偶数であるか、または、明日は雪である。
といふことに、他ならない。
従って、
(13)(14)により、
(15)
① 2は奇数でないか、または、明日は雪である。
といふ「選言命題」は、「真」である。
従って、
(08)(14)(15)により、
(16)
① 2は奇数でないか、または、明日は雪である。
③ 2が奇数であるならば、明日は雪である。
に於いて、
①=③ であって、尚且つ、
① は、「真」であり、それ故、
③ も、「真」である。
従って、
(11)(16)により、
(17)
③ 2が奇数であるならば、明日は雪である。
といふ「仮言命題」は、「変」であるが、「真」である。
然るに、
(18)
③ 2が奇数であるならば、明日は雪である。
といふ「仮言命題」は、「真」であるが、その一方で、
③ 2は奇数である。
といふ「命題」は、「偽」であって、「真」ではない。
従って、
(18)により、
(19)
③ 2が奇数であるならば、明日は雪である。
といふ「仮言命題」は、「真」であるが、
③ 2は奇数である。
といふ「命題」は、「偽」である。 が故に、
③ 明日は雪であるか、
③ 明日は雪でないかは、「不明」である。
従って、
(20)
(ⅰ)2が奇数であるならば、明日は雪である。然るに、
(ⅱ)2は奇数である(はウソである)。故に、
(ⅲ)明日は雪である。
といふ「論証」は、「健全」ではない。
然るに、
(21)
論理学が主として関心をもつのは、論証の健全性(soundness)および不健全性(unsoundness)であって、論理学は検証 ― どのような研究領域であれ ― が受け入れられるための条件を、出来るだけ正確にしめそうとするのである。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、3頁)
従って、
(19)(20)(21)により、
(22)
(ⅰ)2が奇数であるならば、明日は雪である。然るに、
(ⅱ)2は奇数である(はウソである)。故に、
(ⅲ)明日は雪である。
といふ「論証」は、「健全」ではない。
といふことを、「理解」してゐるのであれば、
③ 2が奇数であるならば、明日は雪である。
といふ「仮言命題」は、「変」であって、「真」であるとしても、敢へて、
③ 2が奇数であるならば、明日は雪である。
といふ「仮言命題」を、「偽」であるとする「必要」は、無い。
令和03年01月11日、毛利太。

2021年1月9日土曜日

「ならば(→)」について。

(01)
(ⅰ)
1  (1)~(P&~Q)  A
 2 (2)  P      A
  3(3)    ~Q   A
 23(4)  P&~Q   23&I
123(5)~(P&~Q)&
       (P&~Q)  14&I
12 (6)   ~~Q   35RAA
12 (7)     Q   6DN
1  (8)  P→ Q   27CP
(ⅱ)
1  (1)  P→ Q  A
 2 (2)  P&~Q  A
 2 (3)  P     2&E
12 (4)     Q  13MPP
 2 (5)    ~Q  2&E
12 (6)  Q&~Q  45&I
1  (7)~(P&~Q) 26RAA
従って、
(01)により、
(02)
① ~(P&~Q)
②   P→ Q
に於いて、
①=② である。
(03)
(ⅰ)
1  (1)~(P&~Q)  A
 2 (2)  P      A
  3(3)    ~Q   A
 23(4)  P&~Q   23&I
123(5)~(P&~Q)&
       (P&~Q)  14&I
1 3(6) ~P      25RAA
1  (7) ~Q→~P   36CP
(ⅲ)
1  (1) ~Q→~P   A
 2 (2)  P&~Q   A
 2 (3)    ~Q   2&E
12 (4)    ~P   13MPP
 2 (5)  P      2&E
12 (6) ~P&P    45&I
1  (7)~(P&~Q)  26RAA
従って、
(03)により、
(04)
① ~(P&~Q)
③  ~Q→~P
に於いて、
①=③ である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
① ~(P&~Q)≡(Pであって、Qでない)といふことはない。
②   P→ Q ≡ Pであるならば、Qである。
③  ~Q→~P ≡ Qでないならば、Pでない。
に於いて、
①=②=③ であって、
  ②=③ は、「対偶(Contraposition)」である。
然るに、
(06)
①(Pであって、Qでない)といふことはない。
といふことは、
①(Pがであって、Qがである)といふことはない
といふことである。
従って、
(05)(06)により、
(07)
① 真→真
真→偽
③ 偽→真
④ 偽→偽
に於いて、
② が、「」であるならば、そのときに限って
① P→Q(Pであるならば、Qである。)
といふ「仮言命題」は、「」になる。
従って、
(07)により、
(08)
「番号」を付け直すと、
① 真→

→偽
といふ「3通り」が「」であるならば、そのときに限って、
① P→Q(Pであるならば、Qである。)
といふ「仮言命題」は、「」になる。
然るに、
(09)
① 真→
② 偽→
であるといふことは、
① P→Q
に於いて、
①   Q が「」であるならば、
① P   が「真」であっても、
① P   が「偽」であっても、両方とも、「」である。
といふことを、「意味」してゐる。
(10)
→真
→偽
であるといふことは、
① P→Q
に於いて、
① P が  「」であるならば、
①   Qが「真」であっても、
①   Qが「偽」であっても、両方とも、「」である。
といふことを、「意味」してゐる。
従って、
(05)~(10)により、
(11)
① ~(P&~Q)≡(Pであって、Qでない)といふことはない。
②    P→ Q ≡ Pであるならば、Qである。
③  ~Q→~P ≡ Qでないならば、Pでない。
に於いて、
①=②=③ であって、
  ②=③ は、「対偶(Contraposition)」である。
が故に、
① Q が「真」であるならば、Pの「真偽」に拘らず、
① P→Q は、「真」であり、
① P が「偽」であるならば、Qの「真偽」に拘らず、
① P→Q は、「真」である。
然るに、
(12)
「2は偶数である。」は、「」である。
「2は奇数である。」は、「」である。
従って、
(11)(12)により、
(13)
①「明日が晴である」ならば「2は偶数である()。」
①「2が奇数である()」ならば「明日は雨である。」
といふ「仮言命題」は、両方とも、「」になる。
然るに、
(14)
①「明日である」ならば「明日に居る。」
といふのであれば、「普通」であるが、
①「明日である」ならば「偶数である。」
といふのは、「」である。
然るに、
(15)
(ⅰ)
1   (1) ~(P&~Q)  A
 2  (2) ~(~P∨Q)  A
  3 (3)   ~P     A
  3 (4)   ~P∨Q   3∨I
 23 (5) ~(~P∨Q)&
         (~P∨Q)  24&I
 2  (6)  ~~P     35RAA
 2  (7)    P     6DN
   8(8)      Q   A
   8(9)   ~P∨Q   8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨Q)&
         (~P∨Q)  29&I
 2  (イ)     ~Q   8アRAA
 2  (ウ)   P&~Q   7イ&I
12  (エ) ~(P&~Q)&
         (P&~Q)  1ウ&I
1   (オ)~~(~P∨Q)  2エRAA
1   (カ)   ~P∨Q   オDN
(ⅳ)
1   (1)  ~P∨Q   A
 2  (2)  P&~Q   A
  3 (3)  ~P     A
 2  (4)  P      2&E
 23 (5)  ~P&P   34&I
  3 (6)~(P&~Q)  25RAA
   7(7)     Q   A
 2  (8)    ~Q   2&E
 2 7(9)  Q&~Q   78&I
   7(ア)~(P&~Q)  29RAA
1   (イ)~(P&~Q)  1367ア∨E
従って、
(15)により、
(16)
① ~(P&~Q)≡(Pであって、Qでない)といふことはない。
④   ~P∨ Q ≡ Pでないか、または、Qである。
に於いて、
①=④ は、「ド・モルガンの法則」である。
従って、
(11)(16)により、
(17)
① ~(P&~Q)≡(Pであって、Qでない)といふことはない。
②     P→ Q ≡ Pであるならば、Qである。
③   ~Q→~P ≡ Qでないならば、Pでない。
④   ~P∨ Q ≡ Pでないか、または、Qである。
に於いて、
①=②=③=④ であって、
②=③ は、「対偶」である。
①=④ は、「ド・モルガンの法則」である。
従って、
(17)により、
(18)
①「明日が晴である」ならば「2は偶数である。」
①「2が奇数である」ならば「明日は雨である。」
といふ「仮言命題」は、
④「明日は晴でない」か、または、「2は偶数である。」
④「2は奇数でない」か、または、「明日は雨である。」
といふ「選言命題」に、「等しい」。
然るに、
(19)
④「2は偶数である。」は、「」であり、そのため、
④「2は奇数でない。」も、「」である。
従って、
(19)により、
(20)
④「明日は晴でない」か、または、「2は偶数である。」
④「2は奇数でない」か、または、「明日は雨である。」
といふ「選言命題」、すなはち、
④「2は偶数ある」か、または、「明日は晴でない。」
④「2は奇数ない」か、または、「明日は雨である。」
といふ「選言命題」は、「」である。
従って、
(18)(19)(20)により、
(21)
①「明日が晴である」ならば「2は偶数である。」
①「2が奇数である」ならば「明日は雨である。」
といふ「仮言命題」が「」である。
といふことは、確かに、「」であるが、その一方で、
④「2は偶数ある」か、または、「明日は晴でない。」
④「2は奇数ない」か、または、「明日は雨である。」
といふ「選言命題」が「」である。
といふことは、「当然」である。
従って、
(17)~(21)により、
(22)
「番号」を付け直すと、
①   P→ Q≡Pであるならば、Qである。
② ~Q→~P≡Qでないならば、Pでない。
③ ~P∨ Q≡Pでないか、または、Qである。
に於いて、
①=③ であって、
②=③ である。
といふことに、「注目」する限り、
①「明日が晴である」ならば「2は偶数である。」
②「2が奇数である」ならば「明日は雨である。」
といふ「仮言命題」が「」であることは、「(eccentric)」ではあるが、「論理的(logical)」である。
令和03年01月09日、毛利太。

2021年1月8日金曜日

「自然演繹」は、「自然」である。

(01)
(ⅰ)
1  (1) P→ Q A
 2 (2)   ~Q A
  3(3) P    A
1 3(4)    Q 13MPP
123(5) ~Q&Q 24&I
12 (6)~P    35RAA
1  (7)~Q→~P 26CP
(ⅱ)
1  (1)~Q→~P A
 2 (2)    P A
  3(3)~Q    A
1 3(4)   ~P 13MPP
123(5) P&~P 24&I
12 (6)~~Q   35RAA
12 (7)  Q   6DN
1  (8) P→ Q 27CP
従って、
(01)により、
(02)
①  P→ Q(Pであるならば、Qである。)
② ~Q→~P(Qでないならば、Pでない。)
に於いて、
①=② は、「対偶(Contraposition)」である。
然るに、
(03)
以上の「自然演繹(Natural deduction)」と「同じ推論」を、「自然言語(natural language)」である所の、「日本語」で行ふと、次のやうになる。
(04)
(1)「PであるならばQである。」とする。その上、
(2)       「Qでない。」とする。その上、
(3)「Pである」とする。
従って、
(04)により、
(05)
(2)「Qでない。」が、
(3)「Qである。」
然るに、
(06)
(2)「Qでない。」が、
(3)「Qである。」
といふこと(矛盾)は、有り得ない。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
(1)「PであるならばQである。」然るに、
(2)       「Qでない。」従って、
(3)「Pでない。」
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(07)により、
(08)
① Pであるならば、Qである。
② Qでないならば、Pでない。
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(09)
(1)「QでないならばPでない。」とする。その上、
(2)       「Pである。」とする。その上、
(3)「Qでない」とする。
従って、
(09)により、
(10)
(2)「Pである。」が、
(3)「Pでない。」
然るに、
(11)
(2)「Pである。」が、
(3)「Pでない。」
といふこと(矛盾)は、有り得ない。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
(1)「QでないならばPでない。」然るに、
(2)       「Pである。」従って、
(3)「Qである。」
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(12)により、
(13)
③ Qでないならば、Pでない。
④ Pであるならば、Qである。
に於いて、
③ ならば、④ である。
従って、
(08)(13)により、
(14)
① Pであるならば、Qである。
② Qでないならば、Pでない。
③ Qでないならば、Pでない。
④ Pであるならば、Qである。
に於いて、
① ならば、② である。
③ ならば、④ である。
従って、
(14)により、
(15)
① Pであるならば、Qである。
② Qでないならば、Pでない。
に於いて、
①=② は、「対偶(Contraposition)」である。
令和03年01月08日、毛利太。

2021年1月7日木曜日

所謂、「関連性の誤謬(fallacy of relevance)」。

(01)
①    Q├ P→Q
②   ~P├ P→Q
③    P├ Q→Q
④    P├ Q∨~Q
⑤ P&~P├ Q
こういうのを「関連性誤謬」と言うんですが、こういう推論が「古典論理」にはたくさん含まれているということで、こういう「おかしな推論」をブロックするような論理を作ろう、それが「関連性論理」です。
(cf.大西琢朗 2020年度後期哲学演習I 関連性論理(1) 関連性の誤謬と3項関係)
従って、
(01)により、
(02)
①├   Q→(P→Q)
②├ ~P→(P→Q)
③├  P→(Q→Q)
④├  P→(Q∨~Q)
⑤├ (P&~P)→Q
といふ「恒真式(トートロジー)」を、「関連性誤謬(fallacy of relevance)」といふ。
然るに、
(03)
(ⅰ)
 ―「含意の定義」の証明 ―
1  (1)    P→Q  A
 2 (2) ~(~P∨Q) A
  3(3)   ~P    A
  3(4)   ~P∨Q  3∨I
 23(5) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q) 24&I
 2 (6)  ~~P    35RAA
 2 (7)    P    6DN
12 (8)      Q  17MPP
12 (9)   ~P∨Q  8∨I
12 (ア) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q) 29&I
1  (イ)~~(~P∨Q) 2アRAA
1  (ウ)   ~P∨Q  イDN
(ⅱ)
1     (1)  ~P∨Q   A
 2    (2)  P&~Q   A
  3   (3)  ~P     A
 2    (4)  P      2&E
 23   (5)  ~P&P   34&I
  3   (6)~(P&~Q)  25RAA
   7  (7)     Q   A
 2    (8)    ~Q   2&E
 2 7  (9)  Q&~Q   78&I
   7  (ア)~(P&~Q)  29RAA
1     (イ)~(P&~Q)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  P      A
     エ(エ)    ~Q   A
    ウエ(オ)  P&~Q   ウエ&I
1   ウエ(カ)~(P&~Q)&
          (P&~Q)  イオ&I
1   ウ (キ)   ~~Q   エカRAA
1   ウ (ク)     Q   キDN
1     (ケ)  P→ Q   ウクCP
従って、
(03)により、
(04)
①  P→Q(Pならば、Qである。)
② ~P∨Q(PでないかQである。)
に於いて
①=② である(含意の定義)。
(05) (ⅰ)
1(1)   Q     A
1(2)~P∨Q     1∨I
1(3) P→Q     2含意の定義
 (4) Q→(P→Q) 13CP
(ⅱ)
1(1)~P       A
1(2)~P∨Q     1∨I
1(3) P→Q     2含意の定義
 (4)~P→(P→Q) 13CP
(ⅲ)
1(1)Q   A
 (2)Q→Q 11CP
(〃)
 (1)    Q→Q  TI(定理導入の規則)
 (2)~P∨(Q→Q) 1∨I
 (3) P→(Q→Q) 2含意の定義
(ⅳ)
 (1)     Q→Q  TI(定理導入の規則)
 (2)    ~Q∨Q  1含意の定義
 (3)    Q∨~Q  2交換法則
 (4)~P∨(Q∨~Q) 3∨I
 (5) P→(Q∨~Q) 4含意の定義
(ⅴ)
1(1) P&~P    A
1(2)   ~P    1&E
1(3) ~P∨Q    2∨I
1(4)  P→Q    3含意の定義
1(5)  P      1&E
1(6)    Q    45MPP
 (7)(P&~P)→Q 16CP
従って、
(02)(05)により
(06)
①  Q→(P→Q)
② ~P→(P→Q)
③  P→(Q→Q)
④  P→(Q∨~Q)
⑤ (P&~P)→Q
といふ「論理式(関連性の誤謬)」は、5つとも、「古典論理(自然演繹)」によって、「恒真式(トートロジー)」として、「証明」出来る。
然るに、
(07)
(ⅱ)
1 (1) ~P→(P→Q) A
 2(2)  P&~P    A
 2(3)    ~P    2&E
12(4)     P→Q  13MPP
 2(5)  P       2&E
12(6)       Q  45MPP
1 (7)(P&~P)→Q  26CP
(ⅴ)
1  (1)(P&~P)→Q  A
 2 (2)   ~P     A
  3(3) P        3
 23(4) P&~P     23&I
123(5)       Q  14MPP
12 (6)     P→Q  35CP
1  (7) ~P→(P→Q) 26CP
従って、
(06)(07)により、
(08)
②  ~P→(P→Q)
⑤(P&~P)→Q
に於いて、
②=⑤ である。
然るに、
(09)
(ⅲ)
1 (1) P→(Q→Q) A
 2(2) P       A
12(3)    Q→Q  12MPP
12(4)   ~Q∨Q  3含意の定義
12(5)   Q∨~Q  4交換法則
1 (6)P→(Q∨~Q) 25CP
(ⅳ)
1 (1)P→(Q∨~Q) A
 2(2)P        A
12(3)   Q∨~Q  12MPP
12(4)   ~Q∨Q  3交換法則
12(5)    Q→Q  4含意の定義
1 (6) P→(Q→Q) 25CP
従って、
(09)により、
(10)
③ P→(Q→Q)
④ P→(Q∨~Q)
に於いて、
③=④ である。
従って、
(06)(08)(10)により、
(11)
①  Q→(P→Q)
② ~P→(P→Q)
③   P→(Q→Q)
④   P→(Q∨~Q)
⑤ (P&~P)→Q
に於いて、
②=⑤ であって、
③=④ である。
従って、
(02)(11)により、
(12)
「番号」を付け直すと、
① Q→(P→Q)
② P→(Q→Q)
③(P&~P)→Q
といふ「恒真式(トートロジー)」等を、「関連性の誤謬」といふ。
然るに、
(13)
「→」は、普通は、「ならば」と読む。
従って、
(12)(13)により、
(14)
① Q→(P→Q)
といふ「恒真式(トートロジー)」は、普通は、
① Qならば(PならばQである)。
と読む。
然るに、
(15)
① Q→(P→Q)
は、「恒に真(トートロジー)」であるため、
① Q→(真→Q)
① Q→(偽→Q)
は、両方とも「真」である。
然るに、
(16)
① Q→(P→Q)
に於いて、
① Q→(真→Q)
① Q→(偽→Q)
の、両方が「真」である。
といふことは、
① Qが真であるならば(Pの真偽に拘らず、Qは真である。)
といふことに、他ならない。
従って、
(13)~(16)により、
(17)
① Q→(P→Q)
といふ「式」は、それが「恒真式(トートロジー)」である。
といふことを、考慮する限り、
① Qならば(PならばQである)。
といふ「意味」ではなく、
① Qが真であるならば(Pの真偽に拘らず、Qは真である。)
といふ「意味」になる。
然るに、
(18)
① Qが真であるならば(Pの真偽に拘らず、いづれにせよ、Qは真である。)
といふことは、「常識」であって、「誤謬(fallacy)」ではない
(19)
(ⅰ)真→真
(ⅱ)真→偽
(ⅲ)偽→真
(ⅳ)偽→偽
に於いて、
(ⅱ)以外は、「真」である。
従って、
(19)により、
(20)
「番号」を付け直すと、
(ⅰ)真→真
(ⅱ)偽→真
(ⅲ)偽→偽
の3つが、「真」である。
従って、
(20)により、
(21)
(ⅰ)真→
(ⅱ)偽→
は、2つとも「真」である。
といふことからすると、
「仮言命題(P→Q)」は、
「後件(Q)」が「真」 であるならば、「前件(P)の真偽」に拘らず、「全体として、真」である。
従って、
(21)により、
(22)
② P→(Q→Q)
に於いて、
②   (Q→Q)
が「真」であるならば、
② Pの「真偽」に拘らず、
② P→(Q→Q)
は「真」である。
然るに、
(23)
②(Q→Q)
② QならばQである(同一律)
は、「真」である。
従って、
(21)(22)(23)により、
(24)
② P→(Q→Q)
に於いて、
②   (Q→Q)
が「真」であるが故に、
② Pの「真偽」に拘らず、
② P→(Q→Q)
は「真」である。
然るに、
(25)
② Pの「真偽」に拘らず、
② P→(Q→Q)
は「真」である。
といふのであれば、
② P→(Q→Q)
に於いて、
② Pと(Q→Q)は、「無関係」であると、言はざるを得ない。
従って、
(26)
② P→(Q→Q)
② Pならば(Q→Q)である。
に於いて、
② Pと(Q→Q)は、「無関係」であってはならない
とするならば、
② P→(Q→Q)
② Pならば(Q→Q)である。
は、「関連性誤謬」である。
然るに、
(20)により、
(27)
(ⅱ)→真
(ⅲ)→偽
は、2つとも「真」である。
といふことからすると、
「仮言命題(P→Q)」は、
「前件(P)」が「偽」 であるならば、「後件(Q)の真偽」に拘らず、「全体として、真」である。
従って、
(27)により、
(28)
③(P&~P)→Q
に於いて、
③(P&~P)
が「偽」であるならば、
③        Qの「真偽」に拘らず、
③(P&~P)→Q
は「真」である。
然るに、
(29)
③(P&~P)
③ Pであって、Pでない(矛盾)
は、「偽」である。
従って、
(27)(28)(29)により、
(30)
③(P&~P)→Q
に於いて、
③(P&~P) が「偽」であるが故に、
③        Qの「真偽」に拘らず、
③(P&~P)→Q
は「真」である。
然るに、
(31)
③        Qの「真偽」に拘らず、
③(P&~P)→Q
は「真」である。
といふのであれば、
③(P&~P)→Q
に於いて、
③(P&~P)とQは、「無関係」であると、言はざるを得ない。
従って、
(32)
③(P&~P)→Q
③(Pであって、Pでない)ならばQである。
に於いて、
③(P&~P)とQは、「無関係」であってはならない。
とするならば、
③(P&~P)→Q
③(Pであって、Pでない)ならばQである。
は、「関連性誤謬」である。
然るに、
(33)
関連性の誤謬」をブロックしようとするとですね、「トートロジー(Pならば、Pである。)」を「」にしないといけない。という、「まあなかなか大変なところ」に到達するわけですが、それをどう実現するのか、そのアイディアをお話したいと思います。
(cf.大西琢朗 2020年度後期哲学演習I 関連性論理(1) 関連性の誤謬と3項関係)
然るに、
(34)
「トートロジー(Pならば、Pである。)」を「」にしないといけない。というのであれば、そこまでして、「関連性の誤謬」をブロックする必要は、ないのでは。
といふ風に、私には、思へて、ならない。
令和03年01月07日、毛利太。

2021年1月5日火曜日

「恒真式」と「爆発律(矛盾→Q)」と「関連性の誤謬」。

―「昨日(令和03年01月04日)」の記事を書き直します。―
(01)
証明の各行の左側に、仮定を(assumptions)数字で(by number)あげる方法は、伝統的な方法にくらべて遥かに明瞭であるとわたしには思われる。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、序ⅲ改)
従って、
(01)により、
(02)
例へば、
    (1)P→Q A
    (2)P   A
12   (3)  Q 12MPP
といふ「3行の計算」は、
P→Q  (1)P→Q A
P    (2)P   A
P→Q,P(3)  Q 12MPP
といふ「3行の計算」に、「等しく」、
P→Q  (1)
P    (2)
P→Q,P(3)
は「仮定(Assumptions)」である。
従って、
(02)により、
(03)
① P→Q,P├ Q
といふ「連式(Sequent)」に於いて、
① P→Q,P├
は「仮定(assumptions)」であって、
①      ├ Q
は「結論(Conclusion)」である。
然るに、
(04)
(ⅱ)
1(1)P   A
 (2)P→P 11CP
(ⅲ)
1(1)  P&~P  A
 (2)~(P&~P) 11RAA
(ⅳ) 1 (1) ~(~P∨P)  A
 2(2)   ~P     A
 2(3)   ~P∨P   2∨I
12(4) ~(~P∨P)&
       (~P∨P)  13&I
1 (5)  ~~P     24RAA
1 (6)    P     5DN
1 (7)   ~P∨P   6∨I
1 (8) ~(~P∨P)&
       (~P∨P)  17&I
  (9)~~(~P∨P)  18RAA
  (ア)  (~P∨P)  9DN
(ⅴ)
1      (1)    P      A
1      (2)    P∨ Q   1∨I
 3     (3)   ~P&~Q   A
  4    (4)    P      A
 3     (5)   ~P      3&E
 34    (6)    P&~P   45&I
  4    (7) ~(~P&~Q)  36RAA
   8   (8)       Q   A
 3     (9)      ~Q   3&E
 3 8   (ア)    Q&~Q   89&I
   8   (イ) ~(~P&~Q)  3アRAA
1      (ウ) ~(~P&~Q)  2478イ∨E
    エ  (エ)   ~P      A
     オ (オ)      ~Q   A
    エオ (カ)   ~P&~Q   エオ&I
1   エオ (キ) ~(~P&~Q)&
            (~P&~Q)  ウカ&I
1   エ  (ク)     ~~Q   オキRAA
1   エ  (ケ)       Q   クDN
1      (コ)    ~P→Q   エケCP
       (サ) P→(~P→Q)  1コCP
            ス(ス) P& ~P     A
      ス(セ) P         ス&E
      ス(ソ)    ~P→Q   サセMPP
      ス(タ)    ~P     ス&E
      ス(チ)       Q   ソタMPP
       (ツ)(P&~P)→Q   スチCP
(ⅵ)
    (1)   (P&~P)→Q TI(定理導入の規則)
2   (2)         ~Q A
2   (3)  ~(P&~P)   12MTT
 4  (4)  ~(~P∨P)   A
  5 (5)    ~P      A
  5 (6)    ~P∨P    5∨I
 45 (7)  ~(~P∨P)
          (~P∨P)&  46&I
 4  (8)   ~~P      57RAA
 4  (9)     P      8DN
   ア(ア)       P    A
   ア(イ)    ~P∨P    ア∨I
 4 ア(ウ)  ~(~P∨P)&
          (~P∨P)   4イ&I
 4  (エ)      ~P    アウRAA
 4  (オ)    P&~P    9エ&I
24  (カ)  ~(P&~P)&
          (P&~P)   3オ&I
2   (キ) ~~(~P∨P)   4カRAA
2   (ク)    ~P∨P    キDN
    (ケ)~Q→(~P∨P)   2クCP
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
① P→Q,P├ Q
②      ├   P→ P
③      ├ ~(P&~P)
④      ├  ~P∨ P
⑤      ├  (P&~P)→Q
⑥      ├  ~Q→(~P∨P)
といふ「連式(Sequents)」は、「妥当」である。
然るに、
(05)により、
(06)
P→Q├ Q
といふ「連式」には、「仮定」が(2つ)有るが、
②      ├   P→ P
③      ├ ~(P&~P)
④      ├  ~P∨ P
⑤      ├  (P&~P)→Q
⑥      ├  ~Q→(~P∨P)
といふ「連式」には、「結論」だけが有って、「仮定」が無い
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
②   P→ P
③ ~(P&~P)
④  ~P∨ P
⑤  (P&~P)→Q
⑥  ~Q→(~P∨P)
といふ「論理式(well-formed formulae」は、5つとも、「仮定の数が、である所の、証明可能な連式の、結論」である。
然るに、
(08)
②   P→ P
③ ~(P&~P)
④  ~P∨ P
すなはち、
② 同一律(Law of identity)
③ 矛盾律(Law of contradiction)
④ 排中律(Law of excluded middle)
等が、さうであるやうに、「恒真式(トートロジー)」とは、「仮定の数が、である所の、証明可能な連式の、結論」である。
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
「番号」を付け直すと、
① Pであるならば、Pである(同一律)。
② PであってPでない、といふことはない(矛盾律)。
③ Pでないか、または、Pである(排中律)。
④ PであってPでない、ならば、Qである(爆発律)。
⑤ Qでないならば、Pでないか、または、Pである(爆発律の対偶)。
である所の、
① P→ P
② ~(P&~P)
③  ~P∨ P
④  (P&~P)→Q
⑤ ~Q→(~P∨P)
といふ「論理式」は、「恒真式(仮定の数が、0である所の、証明可能な連式の、結論)」である。
然るに、
(10)
(ⅰ)
1 (1)  P→ P  A
 2(2)  P&~P  A
 2(3)  P     2&E
12(4)     P  13MPP
 2(5)    ~P  2&E
12(6)  P&~P  45&I
1 (7)~(P&~P) 26CP
(ⅱ)
1  (1)~(P&~P)  26CP
 2 (2)  P      A
  3(3)    ~P   A
 23(4)  P&~P   23&I
123(5)~(P&~P)&
       (P&~P)  14&I
12 (6)   ~~P   35DN
12 (7)     P   6DN
1  (8)  P→ P   27CP
従って、
(10)により、
(11)
①   P→ P
② ~(P&~P)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(12)
(ⅱ)
1   (1) ~(P&~P)  A
 2  (2) ~(~P∨P)  A
  3 (3)   ~P     A
  3 (4)   ~P∨P   3∨I
 23 (5) ~(~P∨P)& 
         (~P∨P)  23&I
 2  (6)  ~~P     35RAA
 2  (7)      P   6DN
   8(8)      P   A
   8(9)   ~P∨P   8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨P)& 
         (~P∨P)  29&I
 2  (イ)     ~P   8アRAA
 2  (ウ)   P&~P   7イ&I
12  (エ) ~(P&~P)&
         (P&~P)  1ウ&I
1   (オ)~~(~P∨P)  2エRAA
1   (カ)   ~P∨P   オDN
(ⅲ)
1   (1)   ~P∨P   A
 2  (2)   P&~P   A
  3 (3)   ~P     A
 2  (4)   P      2&E
 23 (5)   ~P&P   34&I
  3 (6) ~(P&~P)  25RAA
   7(7)      P   A
 2  (8)     ~P   2&E
 2 7(9)   P&~P   78
   7(ア) ~(P&~P)  29RAA
1   (イ) ~(P&~P)  1367ア∨E
従って、
(12)により、
(13)
② ~(P&~P)
③  ~P∨ P
に於いて、
②=③ である。
従って、
(11)(13)により、
(14)
①   P→ P
② ~(P&~P)
③  ~P∨ P
に於いて、すなはち、
① 同一律(Law of identity)
② 矛盾律(Law of contradiction)
③ 排中律(Law of excluded middle)
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(15)
(ⅳ)
    (1)   (P&~P)→Q TI(定理導入の規則)
2   (2)         ~Q A
2   (3)  ~(P&~P)   12MTT
 4  (4)  ~(~P∨P)   A
  5 (5)    ~P      A
  5 (6)    ~P∨P    5∨I
 45 (7)  ~(~P∨P)
          (~P∨P)&  46&I
 4  (8)   ~~P      57RAA
 4  (9)     P      8DN
   ア(ア)       P    A
   ア(イ)    ~P∨P    ア∨I
 4 ア(ウ)  ~(~P∨P)&
          (~P∨P)   4イ&I
 4  (エ)      ~P    アウRAA
 4  (オ)    P&~P    9エ&I
24  (カ)  ~(P&~P)&
          (P&~P)   3オ&I
2   (キ) ~~(~P∨P)   4カRAA
2   (ク)    ~P∨P    キDN
    (ケ)~Q→(~P∨P)   2クCP
(ⅴ)
    (1)~Q→(~P∨P)  TI(定理導入の規則)
2   (2)    P&~P   A
 3  (3)   ~P∨ P   A
2   (4)    P      2&E
  5 (5)   ~P      A
2 5 (6)    P&~P   45&I
  5 (7)  ~(P&~P)  26RAA
2   (8)      ~P   2&E
   9(9)       P   A
2  9(ア)    ~P&P   89&I
   9(イ)  ~(P&~P)  2アRAA
 3  (ウ)  ~(P&~P)  3579イ∨E
23  (エ)   (P&~P)&
         ~(P&~P)  2ウ&I
2   (オ) ~(~P∨ P)  3エRAA
    (カ)~~Q        1オMTT
2   (キ)  Q        カDN
    (ク)(P&~P)→Q   2キCP
従って、
(15)により、
(16)
④ (P&~P)→Q
⑤ ~Q→(~P∨P)
に於いて、
④=⑤ は、「対偶(Contraposition)」である。
然るに、
(17)
(ⅴ)
1  (1)  ~Q→(~P∨P)   A
 2 (2) ~{Q∨(~P∨P)}  A
  3(3)   Q          A
  3(4)   Q∨(~P∨P)   3∨I
 23(5) ~{Q∨(~P∨P)}&
        {Q∨(~P∨P)}  24&I
 2 (6)  ~Q          35RAA
12 (7)     (~P∨P)   16MPP
12 (8)   Q∨(~P∨P)   7∨I
12 (9) ~{Q∨(~P∨P)}&
        {Q∨(~P∨P)}  28&I
1  (ア)~~{Q∨(~P∨P)}  29RAA
1  (イ)   Q∨(~P∨P)   アDN
(ⅵ)
1     (1)   Q∨ (~P∨P)   A
 2    (2)  ~Q&~(~P∨P)   A
  3   (3)   Q           A
 2    (4)  ~Q           2&E
 23   (5)   Q&~Q        34&I
  3   (6)~(~Q&~(~P∨P)}  25RAA
   7  (7)      (~P∨P)   A
 2    (8)     ~(~P∨P)   2&E
 2 7  (9)      (~P∨P)&
              ~(~P∨P)   78&I
   7  (ア)~(~Q&~(~P∨P)}  29RAA
1     (イ)~(~Q&~(~P∨P)}  1367ア
    ウ (ウ)  ~Q           A
     エ(エ)     ~(~P∨P)   A
    ウエ(オ)  ~Q&~(~P∨P)   ウエ&I
1   ウエ(カ)~(~Q&~(~P∨P)}&
          {~Q&~(~P∨P)}  イオ&I
1   ウ (キ)    ~~(~P∨P)   エカRAA
1   ウ (ク)      (~P∨P)   キDN
1     (ケ)   ~Q→(~P∨P)   ウクCP
従って、
(17)により、
(18)
⑤ ~Q→(~P∨P)
⑥   Q∨(~P∨P)
に於いて、
⑤=⑥ は、「含意の定義」である。
従って、
(16)(17)(18)により、
(19)
④ (P&~P)→Q
⑤ ~Q→(~P∨P)
⑥   Q∨(~P∨P)
に於いて、
④=⑤=⑥ である。
従って、
(09)(14)(19)により、
(20)
① Pであるならば、Pである(同一律)。
② PであってPでない、といふことはない(矛盾律)。
③ Pでないか、または、Pである(排中律)。
④ PであってPでない、ならば、Qである(爆発律)。
⑤ Qでないならば、Pでないか、または、Pである(爆発律の対偶)。
⑥ Qであるか、または、Pでないか、または、Pである(爆発律の対偶の、含意の定義)。
である所の、
①    P→ P
② ~(P&~P)
③  ~P∨ P
④  (P&~P)→Q
⑤   ~Q→(~P∨P)
⑥   Q∨(~P∨P)
といふ「論理式」は、「恒真式」であって、尚且つ、
①=②=③ であって、
④=⑤=⑥ である。
従って、
(20)により、
(21)
④ (矛盾)→Q
⑤ ~Q→(排中律)
といふ「論理式」は、「恒真式」であって、尚且つ、
④=⑤ は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(21)により、
(22)
④ (偽)→Q
⑤ ~Q→(真)
は、「真」である。
然るに、
(23)
④  P→Q(Pであるならば、Qである。)
⑤ ~Q→P(Qでないならば、Pである。)
は、「仮言命題」であって、
④  P→Q(Pであるならば、Qである。)
であれば、
④  Pを、「前件」と言ひ、
④  Qを、「後件」と言ふ。
従って、
(22)(23)により、
(24)
④「仮言命題」は、「前件」が「偽」であれば、「後件」の「真偽」に拘らず、「真」あり、
⑤「仮言命題」は、「後件」が「真」であれば、「前件」の「真偽」に拘らず、「真」ある。
従って、
(20)(24)により、
(25)
④(P&~P)→Q
④  PであってPでない、ならば、Qである(爆発律)。
であれば、
④「前件」である、(P&~P)が「偽(矛盾)」であるため、
④「前件」である、 Qは、「(本当)」であらうと、「(ウソ)」であらうと、
④(P&~P)→Q
④  PであってPでない、ならば、Qである(爆発律)。
といふ「仮言命題」自体は、「恒に」である。
従って、
(25)により、
(26)
例へば、
④(太陽が東から昇り、太陽が西から昇る)のであれば、バカボンのパパは天才である。
がさうである所の、「爆発律」の場合は、
④(バカボンのパパは天才である)。
といふことと、「無関係」に、
④「仮言命題」自体は、「恒真(トートロジー)」である。
cf.
関連性の誤謬(Relevance fallacy)」
然るに、
(20)により、
(27)
② PであってPでない、といふことはない(矛盾律)。
④ PであってPでない、ならば、Qである(爆発律)。
である所の、
② ~(P&~P)
④  (P&~P)→Q
の場合は、両方とも、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(27)により、
(28)
(ⅰ)PであってPでない、ならば、Qである(爆発律)。然るに、
(ⅱ)PであってPでない、といふことはない(矛盾律)。従って、
(ⅲ)Qであるか、Qでないかは、「不明」である。
従って、
(26)(27)により、
(28)
(ⅰ)(太陽が東から昇り、太陽が西から昇る)のであれば、バカボンのパパは天才である(爆発律)。然るに、
(ⅱ)(太陽が東から昇り、太陽が西から昇る)といふことはない(矛盾律)。従って、
(ⅲ)バカボンのパパが、天才であるかどうかは、「不明」である。
令和03年01月05日、毛利太、

2021年1月1日金曜日

「3Bは坂本が担任である」の「述語論理」:三上文法批判。

(01)
① 3Bは、坂本担任である。
② 3Bは、坂本担任である。
に於いて、
① は、「普通」であって、
② は、「普通」ではない
然るに、
(02)
1     (1)∀x{3Bx→∃y[(坂本y&担任yx)&∀z(担任zx→(z=y)]} A
1     (2)   3Ba→∃y[(坂本y&担任ya)&∀z(担任za→(z=y)]  1UE
 3    (3)   3Ba                               A
13    (4)       ∃y[(坂本y&担任ya)&∀z(担任za→(z=y)]  23MPP
  5   (5)          (坂本b&担任ba)&∀z(担任za→(z=b)   A
  5   (6)           坂本b&担任ba                  5&E
  5   (7)                     ∀z(担任za→(z=b)   5&E
  5   (8)                        担任ca→(c=b)   7UE
   9  (9)        ∃z(渡辺z&~坂本z)                 A
    ア (ア)           渡辺c&~坂本c                  A
    ア (イ)           渡辺c                       ア&E
    ア (ウ)               ~坂本c                  ア&E
  5   (エ)           坂本b                       5&E
     オ(オ)                  c=b                A
  5  オ(カ)           坂本c                       エオ=E
  5 アオ(キ)           坂本c&~坂本c                  ウカ&I
  5 ア (ク)                  c≠b                オキRAA
  5 ア (ケ)                       ~担任ca         8クMTT
  5 ア (コ)           渡辺c&~担任ca                 イケ&I
  5 ア (サ)        ∃z(渡辺z&~担任za)                コEI
  59  (シ)        ∃z(渡辺z&~担任za)                9アサEE
13 9  (ス)        ∃z(渡辺z&~担任za)                45シEE
1  9  (セ)    3Ba→∃z(渡辺z&~担任za)                3スCP
1  9  (ソ) ∀x{3Bx→∃z(渡辺z&~担任zx)}                セUI
従って、
(02)により、
(03)
(ⅰ)∀x{3Bx→∃y[(坂本y&担任yx)&∀z(担任zx→(z=y)]}。然るに、
(ⅱ)∃z(渡辺z&~坂本z)。従って、
(ⅲ)∀x{3Bx→∃z(渡辺z&~担任zx)}。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが3Bならば、あるyは[(坂本であって、xの担任であって)、すべてのzについて(zがxの担任であるならば、zとyは、「同じ人物」である)]}。然るに、
(ⅱ)あるzは(渡辺であって、坂本ではない)。従って、
(ⅲ)すべてのxについて{xが3Bならば、あるzは渡辺であって、zは、xの担任ではない}。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(03)により、
(04)
(ⅰ)3Bは、坂本担任である。然るに、
(ⅱ)渡辺は、坂本ではない。従って、
(ⅲ)3Bは、渡辺、担任ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① 3Bは、坂本担任である。⇔
① 3Bは、坂本は担任であり、坂本以外は担任ではない。⇔
① ∀x{3Bx→∃y[(坂本y&担任yx)&∀z(担任zx→(z=y)]}⇔
① すべてのxについて{xが3Bならば、あるyは[(坂本であって、xの担任であって)、すべてのzについて(zがxの担任であるならば、zとyは、「同じ人物」である)]}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(06)
三上章(みかみあきら)が提唱。「」は文末まで働くが(この機能を主題と言う。)「」は用言の語幹までしか働かない(この機能を主格と言う。)という、機能上大きな違いがあるのであって、両者を「主語」を表わす助詞として一括するのは、西洋文法を無批判に取り入れた結果であると痛烈に批判​した。​三上章の主語廃止論は、これまで「主語」という括りで「ハ」と「ガ」を同一視していたものを、「主題」(文全体のレベル)と「主格」(命題レベル)という2つの異なる次元のものであるということを明確にした点で、日本語の文法(統語論)に大きく貢献したといえます(主語廃止論(しゅごはいしろん) | 株式会社篠研)。
従って、
(06)により、
(07)
>「ガ」は用言の語幹までしか働かないが(この機能を主格と言う。)「ハ」は文末まで働くが(この機能を主題と言う。)
従って、
(07)により、
(08)
① 3年B組、坂本先生の、担任である。
② 2年C組、坂本先生の、担任ではない。
に於いて、
① 3年B組 の「意味」は、「担任である(文末)」にまで、届いてゐないが、
② 2年C組 の「意味」は、「担任でない(文末)」にまで、届いてゐる)。
然るに、
(09)
① 3年B組、坂本先生の、担任である。
② 2年C組、坂本先生の、担任ではない。
に於いて、
① 3年B組 の「意味」は、「担任である(文末)」にまで、届いてゐないが、
② 2年C組 の「意味」は、「担任でない(文末)」にまで、届いてゐる
といふことは、有り得ない
(10)
「命題(proposition)」といふのは、「フィクション」であれ「現実」であれ、「本当か、ウソか」を「判断し得る文」を言ふ。
従って、
(10)により、
(11)
① 3年B組、坂本先生の、担任である。
② 2年C組、坂本先生の、担任ではない。
といふ「文全体」は、「命題」である。
従って、
(12)
>ハ」と「ガ」を同一視していたものを、「主題」(文全体のレベル)と「主格」(命題レベル)という2つの異なる次元のものであるということを明確にした。
といふ場合の、「文全体のレベル」といふ「用語」と、「命題レベル」といふ「用語」の「違ひ」が、私には、「理解」出来ない。
(13)
ギリシャ語では通常
αποστολος λεγει λογον である。だが、
λεγει αποστολος λογον も、
λογον λεγει αποστολος も共に全く可能である。
だから、和訳、英訳は、共に順序ではなく、語尾を観察することによって決定しなければならない。
(J・G・メイチェン著、田辺滋訳、新約聖書ギリシャ語原典入門、1974年、29頁)
従って、
(13)により、
(14)
ギリシャ語であれば、例へば、
① λογον(目的格) ανθρωποις(与格) αποστολος(主格) λεγει(動詞).
② λεγει(動詞) αποστολος(主格) ανθρωποις(与格) λογον(目的格).
③ λογον(目的格) ανθρωποις(与格) λεγει(動詞) αποστολος(主格).
といふ「語順」は、3つとも、
① An apostle say a word to(the)people(言葉を、人々に、使徒が、言ふ). といふ「意味」である。
然るに、
(15)
文章の主語は、主格で表される。それゆえ、αποστολος γινωσκει は、「使徒は知る」(An apostle knows)という意味である。
(J・G・メイチェン著、田辺滋訳、新約聖書ギリシャ語原典入門、1974年、27頁)
従って、
(15)により、
(16)
「ギリシャ語や、ラテン語の教科書」でいふ所の、「主格(nominative)」といふのは、要するに、「主語」を表す所の「語形」である。
加へて、
(17)
格助詞「」には、『主格』『連体修飾格』『同格』『体言の代用』の4つの用法があります。
格助詞「」の『主格』用法
主格とは、格助詞の付いた語が主語になることを示します。
(国語 古文 漢文 徹底研究)
現代語訳はそのまま「~が」となります。
例文で確認してみましょう。
例文『主格』
(1)雀(すずめ)の子を、犬君(いぬき)が逃がしつる 〔源氏物語〕
(現代語訳:雀の子を、犬君(=召使の童女の名)が逃がしてしまったの)
従って、
(06)(15)(16)(17)により、
(18)
>文章の主語は、主格で表される。
主格とは、格助詞の付いた語が主語になることを示します。
といふことからすれば、
三上章先生が行ふ所の、「主語」と「主格」を「区別」する「説明」は、私には、「理解」出来ない。
令和三年正月元日、毛利太。