(01)
命題計算では、パースの法則は ((P→Q)→P)→P のことを言う。この意味するところを書き出すと、命題Pについて、命題Qが存在して、「PならばQ」からPが真であることが従うときには、Pは真でなければならないとなる。とりわけ、Qとして偽を選んだ場合には、Pから偽が従うときは常にPが真であるならば、Pは真であるとなる(ウィキペディア)。
(02)
10個の原始的規則のみを用いて、つぎの連式を証明せよ(Using only 10 primitive rules, prove the following sequent)。
(P→Q)→P ┤├(P&~Q)∨P
〔解答〕
(ⅰ)
1 (1) (P→Q)→ P A
2 (2) (P→Q)&~P A
2 (3) (P→Q) 2&E
12 (4) P 13MPP
2 (5) ~P 2&E
12 (6) P&~P 45&I
1 (7) ~{(P→Q)&~P} 26RAA
8 (8) ~(P&~Q)&~P A
8 (9) ~(P&~Q) 8&E
ア (ア) P A
イ (イ) ~Q A
アイ (ウ) P&~Q アイ&I
8アイ (エ) ~(P&~Q)&
(P&~Q) 9ウ&I
8ア (オ) ~~Q イエRAA
8ア (カ) Q オDN
8 (キ) P→Q アカCP
8 (ク) ~P 8&E
8 (ケ) (P→Q)&~P キク&I
1 8 (コ) ~{(P→Q)&~P}&
(P→Q)&~P 7ケ&I
1 (サ)~{~(P&~Q)&~P} 8コRAA
シ (シ) ~{(P&~Q)∨ P} A
ス (ス) (P&~Q) A
ス (セ) (P&~Q)∨ P シ∨I
シス (ソ) ~{(P&~Q)∨ P}&
{(P&~Q)∨ P} シセ&I
シ (タ) ~(P&~Q) スソRAA
チ(チ) P A
チ(ツ) (P&~Q)∨ P チ∨I
シ チ(テ) ~{(P&~Q)∨ P}&
{(P&~Q)∨ P} シチ&I
シ (ト) ~P チテRAA
シ (ナ) ~(P&~Q)&~P タト&I
1 シ (ニ)~{~(P&~Q)&~P}&
{~(P&~Q)&~P} サナ&I
1 (ヌ)~~{(P&~Q)∨ P} シニRAA
1 (ネ) (P&~Q)∨ P ヌDN
(ⅱ)
1 (1) (P&~Q)∨ P A
2 (2) P&~Q A
3 (3) P→ Q A
2 (4) P 2&E
23 (5) Q 34MPP
2 (6) ~Q 2&E
23 (7) Q&~Q 56&I
2 (8) ~(P→ Q) 37RAA
2 (9) ~(P→ Q)∨ P 8∨I
ア (ア) P A
1 (イ) ~(P→ Q)∨ P 129アア∨E
ウ (ウ) (P→ Q)&~P A
エ (エ) ~(P→ Q) A
ウ (オ) (P→ Q) ウ&E
ウエ (カ) ~(P→Q)&(P→Q) エオ&I
エ (キ) ~{(P→Q)&~P} ウカRAA
ク (ケ) P A
ウ (コ) ~P ウ&E
ウク (サ) P&~P ケコ&
ク (シ) ~{(P→Q)&~P} ウサRAA
1 (ス) ~{(P→Q)&~P} 1エキクシ∨E
セ (セ) (P→Q) A
ソ(ソ) ~P A
セソ(タ) (P→Q)&~P セソ&I
1 セソ(チ) ~{(P→Q)&~P}&
{(P→Q)&~P} キタ&I
1 セ (ツ) ~~P ソチRAA
1 セ (テ) P ツDN
1 (ト) (P→Q)→ P セテCP
従って、
(02)により、
(03)
①(P→ Q)→P
②(P&~Q)∨P
に於いて、
①=② である。
従って、
(03)により、
(04)
「日本語」で言ふと、
①(Pであるならば、Qである)ならば、Pである。
②(Pであって、Qでない)か、または、Pである。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
②(P&~Q)∨P
といふのであれば、すなはち、
②(Pであって、Qでない)か、または、Pである。
といふのであれば、いづれにせよ、
② Pである。
従って、
(05)により、
(06)
②{(P&~Q)∨P}→P
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
といふ「式」は、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(05)(06)により、
(07)
①{(P→ Q)→P}→P
①{(Pであるならば、Qである)ならば、Pである}ならば、Pである。
といふ「式」も、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(08)
②{(P&~Q)∨P}→P
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
といふのであれば、
②(Qでなく)とも、Pである。
従って、
(07)(08)により、
(09)
①{(P→ Q)→P}→P
といふ「式」は、
①{(Pであるならば、Qであらうと、Qでなからうと)、Pである}ならば、Pである。
といふ「意味」になる。
従って、
(02)~(09)により、
(10)
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
に於いて、
①=② である所の、「パースの法則」は、「日本語」で言ふと、
①{(Pであるならば、Qであらうと、Qでなからうと)、Pである}ならば、Pである。
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
に於いて、
①=② である。
従って、
(01)(10)により、
(11)
①{(Pであるならば、Qであらうと、Qでなからうと)、Pである}ならば、Pである。
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
に於いて、
①=② である所の「パースの法則」と、
③ 命題Pについて、命題Qが存在して、「PならばQ」からPが真であることが従うときには、Pは真でなければならないとなる(ウィキペディア)。
といふこととは、「関係」が無い。
令和03年01月25日、毛利太
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