2021年1月5日火曜日

「恒真式」と「爆発律(矛盾→Q)」と「関連性の誤謬」。

―「昨日(令和03年01月04日)」の記事を書き直します。―
(01)
証明の各行の左側に、仮定を(assumptions)数字で(by number)あげる方法は、伝統的な方法にくらべて遥かに明瞭であるとわたしには思われる。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、序ⅲ改)
従って、
(01)により、
(02)
例へば、
    (1)P→Q A
    (2)P   A
12   (3)  Q 12MPP
といふ「3行の計算」は、
P→Q  (1)P→Q A
P    (2)P   A
P→Q,P(3)  Q 12MPP
といふ「3行の計算」に、「等しく」、
P→Q  (1)
P    (2)
P→Q,P(3)
は「仮定(Assumptions)」である。
従って、
(02)により、
(03)
① P→Q,P├ Q
といふ「連式(Sequent)」に於いて、
① P→Q,P├
は「仮定(assumptions)」であって、
①      ├ Q
は「結論(Conclusion)」である。
然るに、
(04)
(ⅱ)
1(1)P   A
 (2)P→P 11CP
(ⅲ)
1(1)  P&~P  A
 (2)~(P&~P) 11RAA
(ⅳ) 1 (1) ~(~P∨P)  A
 2(2)   ~P     A
 2(3)   ~P∨P   2∨I
12(4) ~(~P∨P)&
       (~P∨P)  13&I
1 (5)  ~~P     24RAA
1 (6)    P     5DN
1 (7)   ~P∨P   6∨I
1 (8) ~(~P∨P)&
       (~P∨P)  17&I
  (9)~~(~P∨P)  18RAA
  (ア)  (~P∨P)  9DN
(ⅴ)
1      (1)    P      A
1      (2)    P∨ Q   1∨I
 3     (3)   ~P&~Q   A
  4    (4)    P      A
 3     (5)   ~P      3&E
 34    (6)    P&~P   45&I
  4    (7) ~(~P&~Q)  36RAA
   8   (8)       Q   A
 3     (9)      ~Q   3&E
 3 8   (ア)    Q&~Q   89&I
   8   (イ) ~(~P&~Q)  3アRAA
1      (ウ) ~(~P&~Q)  2478イ∨E
    エ  (エ)   ~P      A
     オ (オ)      ~Q   A
    エオ (カ)   ~P&~Q   エオ&I
1   エオ (キ) ~(~P&~Q)&
            (~P&~Q)  ウカ&I
1   エ  (ク)     ~~Q   オキRAA
1   エ  (ケ)       Q   クDN
1      (コ)    ~P→Q   エケCP
       (サ) P→(~P→Q)  1コCP
            ス(ス) P& ~P     A
      ス(セ) P         ス&E
      ス(ソ)    ~P→Q   サセMPP
      ス(タ)    ~P     ス&E
      ス(チ)       Q   ソタMPP
       (ツ)(P&~P)→Q   スチCP
(ⅵ)
    (1)   (P&~P)→Q TI(定理導入の規則)
2   (2)         ~Q A
2   (3)  ~(P&~P)   12MTT
 4  (4)  ~(~P∨P)   A
  5 (5)    ~P      A
  5 (6)    ~P∨P    5∨I
 45 (7)  ~(~P∨P)
          (~P∨P)&  46&I
 4  (8)   ~~P      57RAA
 4  (9)     P      8DN
   ア(ア)       P    A
   ア(イ)    ~P∨P    ア∨I
 4 ア(ウ)  ~(~P∨P)&
          (~P∨P)   4イ&I
 4  (エ)      ~P    アウRAA
 4  (オ)    P&~P    9エ&I
24  (カ)  ~(P&~P)&
          (P&~P)   3オ&I
2   (キ) ~~(~P∨P)   4カRAA
2   (ク)    ~P∨P    キDN
    (ケ)~Q→(~P∨P)   2クCP
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
① P→Q,P├ Q
②      ├   P→ P
③      ├ ~(P&~P)
④      ├  ~P∨ P
⑤      ├  (P&~P)→Q
⑥      ├  ~Q→(~P∨P)
といふ「連式(Sequents)」は、「妥当」である。
然るに、
(05)により、
(06)
P→Q├ Q
といふ「連式」には、「仮定」が(2つ)有るが、
②      ├   P→ P
③      ├ ~(P&~P)
④      ├  ~P∨ P
⑤      ├  (P&~P)→Q
⑥      ├  ~Q→(~P∨P)
といふ「連式」には、「結論」だけが有って、「仮定」が無い
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
②   P→ P
③ ~(P&~P)
④  ~P∨ P
⑤  (P&~P)→Q
⑥  ~Q→(~P∨P)
といふ「論理式(well-formed formulae」は、5つとも、「仮定の数が、である所の、証明可能な連式の、結論」である。
然るに、
(08)
②   P→ P
③ ~(P&~P)
④  ~P∨ P
すなはち、
② 同一律(Law of identity)
③ 矛盾律(Law of contradiction)
④ 排中律(Law of excluded middle)
等が、さうであるやうに、「恒真式(トートロジー)」とは、「仮定の数が、である所の、証明可能な連式の、結論」である。
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
「番号」を付け直すと、
① Pであるならば、Pである(同一律)。
② PであってPでない、といふことはない(矛盾律)。
③ Pでないか、または、Pである(排中律)。
④ PであってPでない、ならば、Qである(爆発律)。
⑤ Qでないならば、Pでないか、または、Pである(爆発律の対偶)。
である所の、
① P→ P
② ~(P&~P)
③  ~P∨ P
④  (P&~P)→Q
⑤ ~Q→(~P∨P)
といふ「論理式」は、「恒真式(仮定の数が、0である所の、証明可能な連式の、結論)」である。
然るに、
(10)
(ⅰ)
1 (1)  P→ P  A
 2(2)  P&~P  A
 2(3)  P     2&E
12(4)     P  13MPP
 2(5)    ~P  2&E
12(6)  P&~P  45&I
1 (7)~(P&~P) 26CP
(ⅱ)
1  (1)~(P&~P)  26CP
 2 (2)  P      A
  3(3)    ~P   A
 23(4)  P&~P   23&I
123(5)~(P&~P)&
       (P&~P)  14&I
12 (6)   ~~P   35DN
12 (7)     P   6DN
1  (8)  P→ P   27CP
従って、
(10)により、
(11)
①   P→ P
② ~(P&~P)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(12)
(ⅱ)
1   (1) ~(P&~P)  A
 2  (2) ~(~P∨P)  A
  3 (3)   ~P     A
  3 (4)   ~P∨P   3∨I
 23 (5) ~(~P∨P)& 
         (~P∨P)  23&I
 2  (6)  ~~P     35RAA
 2  (7)      P   6DN
   8(8)      P   A
   8(9)   ~P∨P   8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨P)& 
         (~P∨P)  29&I
 2  (イ)     ~P   8アRAA
 2  (ウ)   P&~P   7イ&I
12  (エ) ~(P&~P)&
         (P&~P)  1ウ&I
1   (オ)~~(~P∨P)  2エRAA
1   (カ)   ~P∨P   オDN
(ⅲ)
1   (1)   ~P∨P   A
 2  (2)   P&~P   A
  3 (3)   ~P     A
 2  (4)   P      2&E
 23 (5)   ~P&P   34&I
  3 (6) ~(P&~P)  25RAA
   7(7)      P   A
 2  (8)     ~P   2&E
 2 7(9)   P&~P   78
   7(ア) ~(P&~P)  29RAA
1   (イ) ~(P&~P)  1367ア∨E
従って、
(12)により、
(13)
② ~(P&~P)
③  ~P∨ P
に於いて、
②=③ である。
従って、
(11)(13)により、
(14)
①   P→ P
② ~(P&~P)
③  ~P∨ P
に於いて、すなはち、
① 同一律(Law of identity)
② 矛盾律(Law of contradiction)
③ 排中律(Law of excluded middle)
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(15)
(ⅳ)
    (1)   (P&~P)→Q TI(定理導入の規則)
2   (2)         ~Q A
2   (3)  ~(P&~P)   12MTT
 4  (4)  ~(~P∨P)   A
  5 (5)    ~P      A
  5 (6)    ~P∨P    5∨I
 45 (7)  ~(~P∨P)
          (~P∨P)&  46&I
 4  (8)   ~~P      57RAA
 4  (9)     P      8DN
   ア(ア)       P    A
   ア(イ)    ~P∨P    ア∨I
 4 ア(ウ)  ~(~P∨P)&
          (~P∨P)   4イ&I
 4  (エ)      ~P    アウRAA
 4  (オ)    P&~P    9エ&I
24  (カ)  ~(P&~P)&
          (P&~P)   3オ&I
2   (キ) ~~(~P∨P)   4カRAA
2   (ク)    ~P∨P    キDN
    (ケ)~Q→(~P∨P)   2クCP
(ⅴ)
    (1)~Q→(~P∨P)  TI(定理導入の規則)
2   (2)    P&~P   A
 3  (3)   ~P∨ P   A
2   (4)    P      2&E
  5 (5)   ~P      A
2 5 (6)    P&~P   45&I
  5 (7)  ~(P&~P)  26RAA
2   (8)      ~P   2&E
   9(9)       P   A
2  9(ア)    ~P&P   89&I
   9(イ)  ~(P&~P)  2アRAA
 3  (ウ)  ~(P&~P)  3579イ∨E
23  (エ)   (P&~P)&
         ~(P&~P)  2ウ&I
2   (オ) ~(~P∨ P)  3エRAA
    (カ)~~Q        1オMTT
2   (キ)  Q        カDN
    (ク)(P&~P)→Q   2キCP
従って、
(15)により、
(16)
④ (P&~P)→Q
⑤ ~Q→(~P∨P)
に於いて、
④=⑤ は、「対偶(Contraposition)」である。
然るに、
(17)
(ⅴ)
1  (1)  ~Q→(~P∨P)   A
 2 (2) ~{Q∨(~P∨P)}  A
  3(3)   Q          A
  3(4)   Q∨(~P∨P)   3∨I
 23(5) ~{Q∨(~P∨P)}&
        {Q∨(~P∨P)}  24&I
 2 (6)  ~Q          35RAA
12 (7)     (~P∨P)   16MPP
12 (8)   Q∨(~P∨P)   7∨I
12 (9) ~{Q∨(~P∨P)}&
        {Q∨(~P∨P)}  28&I
1  (ア)~~{Q∨(~P∨P)}  29RAA
1  (イ)   Q∨(~P∨P)   アDN
(ⅵ)
1     (1)   Q∨ (~P∨P)   A
 2    (2)  ~Q&~(~P∨P)   A
  3   (3)   Q           A
 2    (4)  ~Q           2&E
 23   (5)   Q&~Q        34&I
  3   (6)~(~Q&~(~P∨P)}  25RAA
   7  (7)      (~P∨P)   A
 2    (8)     ~(~P∨P)   2&E
 2 7  (9)      (~P∨P)&
              ~(~P∨P)   78&I
   7  (ア)~(~Q&~(~P∨P)}  29RAA
1     (イ)~(~Q&~(~P∨P)}  1367ア
    ウ (ウ)  ~Q           A
     エ(エ)     ~(~P∨P)   A
    ウエ(オ)  ~Q&~(~P∨P)   ウエ&I
1   ウエ(カ)~(~Q&~(~P∨P)}&
          {~Q&~(~P∨P)}  イオ&I
1   ウ (キ)    ~~(~P∨P)   エカRAA
1   ウ (ク)      (~P∨P)   キDN
1     (ケ)   ~Q→(~P∨P)   ウクCP
従って、
(17)により、
(18)
⑤ ~Q→(~P∨P)
⑥   Q∨(~P∨P)
に於いて、
⑤=⑥ は、「含意の定義」である。
従って、
(16)(17)(18)により、
(19)
④ (P&~P)→Q
⑤ ~Q→(~P∨P)
⑥   Q∨(~P∨P)
に於いて、
④=⑤=⑥ である。
従って、
(09)(14)(19)により、
(20)
① Pであるならば、Pである(同一律)。
② PであってPでない、といふことはない(矛盾律)。
③ Pでないか、または、Pである(排中律)。
④ PであってPでない、ならば、Qである(爆発律)。
⑤ Qでないならば、Pでないか、または、Pである(爆発律の対偶)。
⑥ Qであるか、または、Pでないか、または、Pである(爆発律の対偶の、含意の定義)。
である所の、
①    P→ P
② ~(P&~P)
③  ~P∨ P
④  (P&~P)→Q
⑤   ~Q→(~P∨P)
⑥   Q∨(~P∨P)
といふ「論理式」は、「恒真式」であって、尚且つ、
①=②=③ であって、
④=⑤=⑥ である。
従って、
(20)により、
(21)
④ (矛盾)→Q
⑤ ~Q→(排中律)
といふ「論理式」は、「恒真式」であって、尚且つ、
④=⑤ は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(21)により、
(22)
④ (偽)→Q
⑤ ~Q→(真)
は、「真」である。
然るに、
(23)
④  P→Q(Pであるならば、Qである。)
⑤ ~Q→P(Qでないならば、Pである。)
は、「仮言命題」であって、
④  P→Q(Pであるならば、Qである。)
であれば、
④  Pを、「前件」と言ひ、
④  Qを、「後件」と言ふ。
従って、
(22)(23)により、
(24)
④「仮言命題」は、「前件」が「偽」であれば、「後件」の「真偽」に拘らず、「真」あり、
⑤「仮言命題」は、「後件」が「真」であれば、「前件」の「真偽」に拘らず、「真」ある。
従って、
(20)(24)により、
(25)
④(P&~P)→Q
④  PであってPでない、ならば、Qである(爆発律)。
であれば、
④「前件」である、(P&~P)が「偽(矛盾)」であるため、
④「前件」である、 Qは、「(本当)」であらうと、「(ウソ)」であらうと、
④(P&~P)→Q
④  PであってPでない、ならば、Qである(爆発律)。
といふ「仮言命題」自体は、「恒に」である。
従って、
(25)により、
(26)
例へば、
④(太陽が東から昇り、太陽が西から昇る)のであれば、バカボンのパパは天才である。
がさうである所の、「爆発律」の場合は、
④(バカボンのパパは天才である)。
といふことと、「無関係」に、
④「仮言命題」自体は、「恒真(トートロジー)」である。
cf.
関連性の誤謬(Relevance fallacy)」
然るに、
(20)により、
(27)
② PであってPでない、といふことはない(矛盾律)。
④ PであってPでない、ならば、Qである(爆発律)。
である所の、
② ~(P&~P)
④  (P&~P)→Q
の場合は、両方とも、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(27)により、
(28)
(ⅰ)PであってPでない、ならば、Qである(爆発律)。然るに、
(ⅱ)PであってPでない、といふことはない(矛盾律)。従って、
(ⅲ)Qであるか、Qでないかは、「不明」である。
従って、
(26)(27)により、
(28)
(ⅰ)(太陽が東から昇り、太陽が西から昇る)のであれば、バカボンのパパは天才である(爆発律)。然るに、
(ⅱ)(太陽が東から昇り、太陽が西から昇る)といふことはない(矛盾律)。従って、
(ⅲ)バカボンのパパが、天才であるかどうかは、「不明」である。
令和03年01月05日、毛利太、

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