(01)
10個の原始的規則、あるいは「定理」を用いて、つぎの連式を証明せよ(Using 10 primitive rules or theorems, prove the following sequent)。
{(P→Q)→P}→P ┤├{(P&~Q)∨P}→P
(ⅰ)
1 (1) {(P→ Q)→P}→P A
2 (2) (P&~Q)∨P A
3 (3) (P&~Q) A
3 (4)~~(P&~Q) 3DN
3 (5)~(~P∨ Q) 4ド・モルガンの法則
3 (6) ~(P→ Q) 5含意の定義
3 (7) ~(P→ Q)∨P 6∨I
8(8) P A
8(9) ~(P→ Q)∨P 8∨I
2 (ア) ~(P→ Q)∨P 23789∨E
2 (イ) (P→ Q)→P ア含意の定義
12 (ウ) P 1イMPP
1 (エ) {(P&~Q)∨P}→P 2ウCP
(ⅱ)
1 (1) {(P&~Q)∨ P}→P A
1 (2) ~{(P&~Q)∨ P}∨P 1含意の定義
3 (3) ~{(P&~Q)∨ P} A
3 (4) ~(P&~Q)&~P 3ド・モルガンの法則
3 (5) ~(P&~Q) 4&E
3 (6) ~P∨ Q 5ド・モルガンの法則
3 (7) P→ Q 6含意の定義
3 (8) ~P 4&E
3 (9) (P→ Q)&~P 78&I
3 (ア) {(P→ Q)&~P}∨P 9∨I
イ (イ) P A
イ (ウ) {(P→ Q)&~P}∨P イ∨I
1 (エ) {(P→ Q)&~P}∨P 23アイウ∨E
1 (オ)~~{(P→ Q)&~P}∨P エDN
1 (カ)~{~(P→ Q)∨ P}∨P オ、ド・モルガンの法則
1 (キ) ~{(P→ Q)→ P}∨P カ含意の定義
1 (ク) {(P→ Q)→ P}→P キ含意の定義
cf.
「含意の定義、ド・モルガンの法則」は、「定理(theorem)」である。
(02)
10個の原始的規則のみを用いて、つぎの連式を証明せよ(Using only 10 primitive rules, prove the following sequent)。
{(P→R)→P}→P ┤├{(P&~R)∨P}→P
〔解答〕
(ⅰ)
1 (1) {(P→ R)→ P}→P A
2 (2) (P&~R)∨ P A
3 (3) P&~R A
4 (4) P→ R A
3 (5) P 3&E
34 (6) R 45MPP
3 (7) ~R 3&E
34 (8) R&~R 67&I
3 (9) ~(P→ R) 48RAA
3 (ア) ~(P→ R)∨ P 9∨I
イ (イ) P A
イ (ウ) ~(P→ R)∨ P イ∨I
2 (エ) ~(P→ R)∨ P 23アイウ∨E
オ (オ) (P→ R)&~P A
カ (カ) ~(P→ R) A
オ (キ) (P→ R) オ&E
オカ (ク) ~(P→ R)&
(P→ R) カキ&I
カ (ケ)~{(P→ R)&~P} オクRAA
コ (コ) P A
オ (サ) ~P オ&E
オ コ (シ) P&~P コサ&I
コ (ス)~{(P→ R)&~P} オシRAA
2 (セ)~{(P→ R)&~P} エカケコス∨E
ソ (ソ) (P→ R) A
タ(タ) ~P A
ソタ(チ) (P→ R)&~P ソタ&I
2 ソタ(ツ)~{(P→ R)&~P}&
{(P→ R)&~P} スチ&I
2 ソ (テ) ~~P タツRAA
2 ソ (ト) P テDN
2 (ナ) (P→ R)→ P ソトCP
12 (ニ) P 1ナMPP
1 (ヌ) {(P&~R)∨ P}→P 2ニCP
(ⅱ)
1 (1) {(P&~R)∨ P}→P A
2 (2) (P→ R)→ P A
3 (3) ~(P&~R)&~P A
3 (4) ~(P&~R) A
5 (5) P A
6 (6) ~R A
56 (7) P&~R 56&I
356 (8) ~(P&~R)&
(P&~R) 47&I
35 (9) ~~R 68RAA
35 (ア) R 9DN
3 (イ) P→ R 5アCP
23 (ウ) P 2イMPP
3 (エ) ~P 3&E
23 (オ) P&~P ウエ&I
2 (カ)~{~(P&~R)&~P} 3オRAA
キ (キ) ~{(P&~R)∨ P} A
ク (ク) (P&~R) A
ク (ケ) (P&~R)∨ P ク∨I
キク (コ) ~{(P&~R)∨ P}&
{(P&~R)∨ P} キケ&I
キ (サ) ~(P&~R) クコRAA
シ(シ) P A
シ(ス) (P&~R)∨ P シ∨I
キ シ(セ) ~{(P&~R)∨ P}&
{(P&~R)∨ P} キス&I
キ (ソ) ~P シセRAA
キ (タ) ~(P&~R)&~P サソ&I
2 キ (チ)~{~(P&~R)&~P}&
{~(P&~R)&~P} カタ&I
2 (ツ)~~{(P&~R)∨ P} キチRAA
2 (テ) {(P&~R)∨ P} ツDN
12 (ト) P 1テMPP
1 (ナ) {(P→ R)→ P}→P 2トCP
従って、
(01)(02)により、
(03)
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
③{(P→ R)→P}→P
④{(P&~R)∨P}→P
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(04)
命題計算では、パースの法則は {(P→Q)→P}→P のことを言う。この意味するところを書き出すと、命題Pについて、命題Qが存在して、「PならばQ」からPが真であることが従うときには、Pは真でなければならないとなる。とりわけ、Qとして偽を選んだ場合には、Pから偽が従うときは常にPが真であるならば、Pは真であるとなる(ウィキペディア)。
従って、
(03)(04)により、
(05)
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
③{(P→ R)→P}→P
④{(P&~R)∨P}→P
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
① は、「パースの法則」である。
然るに、
(06)
①{(P→ Q)→P}→P
③{(P→ R)→P}→P
に於いて、
① が、「パースの法則」である以上、
② も、「パースの法則」である。
従って、
(06)により、
(07)
①{(P→ Q)→P}→P
③{(P→ R)→P}→P
に於いて、
③ R=~Q
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
①{(P→ Q)→P}→P
③{(P→~Q)→P}→P
に於いて、
① は、「パースの法則」であって、
② も、「パースの法則」である。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
③{(P→~Q)→P}→P
④{(P& Q)∨P}→P
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
① は、「パースの法則」であって、
③ も、「パースの法則」である。
従って、
(08)により、
(09)
「日本語」で言ふと、
①{(Pならば、 Qである)ならばP}ならばPである。
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
③{(Pならば、 Qでない)ならばP}ならばPである。
④{(Pであって、Qである)か、または、Pである}ならば、Pである。
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
① は、「パースの法則」であって、
③ も、「パースの法則」である。
然るに、
(10)
①{(Pならば、Qである)ならばP}ならばPである。
③{(Pならば、Qでない)ならばP}ならばPである。
に於いて、
① は、「パースの法則」であって、
③ も、「パースの法則」である。
といふのであれば、
①{(Pならば、Qであっても、Qでなくとも)、Pならば}Pである。
③{(Pならば、Qでなくとも、Qであっても)、Pならば}Pである。
に於いて、
① は、「パースの法則」であって、
③ も、「パースの法則」である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
①{(Pならば、 Qであっても、Qでなくとも)、Pならば}Pである。
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
③{(Pならば、 Qでなくとも、Qであっても)、Pならば}Pである。
④{(Pであって、Qである)か、または、Pである}ならば、Pである。
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
① は、「パースの法則」であって、
③ も、「パースの法則」である。
然るに、
(12)
①{(Pならば、 Qであっても、Qでなくとも)、Pならば}Pである。
②{(Pであって、Qでない)か、または、Pである}ならば、Pである。
③{(Pならば、 Qでなくとも、Qであっても)、Pならば}Pである。
④{(Pであって、Qである)か、または、Pである}ならば、Pである。
に於いて、
① が、「恒に真」であることは、「当然」であり、
② が、「恒に真」であることは、「当然」であり、
③ が、「恒に真」であることは、「当然」であり、
④ が、「恒に真」であることは、「当然」である。
従って、
(11)(12)により、
(13)
「記号」で書くと、
①{(P→ Q)→P}→P
②{(P&~Q)∨P}→P
③{(P→~Q)→P}→P
④{(P& Q)∨P}→P
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
① は、「パースの法則」であって、
③ も、「パースの法則」であって、
① が、「恒に真」であることは、「当然」であり、
② が、「恒に真」であることは、「当然」であり、
③ が、「恒に真」であることは、「当然」であり、
④ が、「恒に真」であることは、「当然」である。
従って、
(13)により、
(14)
①{(P→ Q)→P}→P≡{(Pならば、Qである)ならばP}ならばPである。
③{(P→~Q)→P}→P≡{(Pならば、Qでない)ならばP}ならばPである。
である所の、「パースの法則」が「恒真式(トートロジー)」であることは、「当然」である。
令和03年01月28日、毛利太。
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