2020年3月25日水曜日

「象は鼻が長い(象は鼻以外は長くない)」の「述語論理」(Ⅱ)。

(01)
② 理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない。
に於いて、
②=③ は、対偶(Contraposition)」である。
然るに、
(02)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会は、私が理事長です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 私理事長です。
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(03)により、
(04)
① 私が理事長です。
② 私以外は理事長ではない。
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)により、
(05)
① タゴール記念会は、私が理事長です。
② タゴール記念会は、私以外は理事長ではない。
に於いて、
①=② である。
従って、
(05)により、
(06)
① タゴール記念会は、私が理事長です。
② タゴール記念会は、私以外は理事長ではない。
に於いて、
タゴール記念会=象
    理事長=鼻
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
① 象は、鼻長い。
② 象は、鼻以外は長くない
に於いて、
①=② である。
従って、
(06)により、
(07)
① 象は、鼻長い。
② 象は、鼻以外は長くない
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(08)
(ⅲ)
1  (1) ∀z(~鼻zx→~長z) A
 2 (2) ∃z(~鼻zx& 長z) A
1  (3)    ~鼻ax→~長a  1UE
  4(4)    ~鼻ax& 長a  A
  4(5)    ~鼻ax      4&E
1 4(6)         ~長a  35MPP
  4(7)          長a  4&E
1 4(8)      ~長a&長a  67&I
12 (9)      ~長a&長a  248EE
1  (ア)~∃z(~鼻zx& 長z) 29RAA
(ⅳ)
1  (1)~∃z(~鼻zx& 長z) A
1  (2)∀z~(~鼻zx& 長z) 1量化子の関係
1  (3)  ~(~鼻ax& 長a) 2UE
1  (4)     鼻ax∨~長a  3ド・モルガンの法則
 5 (5)     鼻ax      A
 5 (6)   ~~鼻ax      5DN
 5 (7)   ~~鼻ax∨~長a  6∨I
  8(8)         ~長a  A
  8(9)   ~~鼻ax∨~長a  8∨I
1  (ア)   ~~鼻ax∨~長a  45789∨I
1  (イ)    ~鼻ax→~長a  ア含意の定義
1  (ウ) ∀z(~鼻zx→~長z) イUI
従って、
(08)により、
(09)
③  ∀z(~鼻zx→~長z)
④ ~∃z(~鼻zx& 長z)
に於いて、
③=④ である。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(07)(10)により、
(11)
① 象は、鼻が長い。
② 象は、鼻以外は長くない。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
⑤ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
⑥ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、あるzが、xの鼻ではなくて、長い、といふことはない。
に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
然るに、
(12)
(ⅳ)
1 (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}    A
1 (2)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)     1UE
 3(3)     ~∃y(鼻ya&長y)∨ ∃z(~鼻za&長z)     A
 3(4)    ~[∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)]    3ド・モルガンの法則
13(5)    ~象a                           24MTT
1 (6)   [~∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)]→~象a  45CP
1 (7)∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x} 6UI
(ⅴ)
1 (1)∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x} A
1 (2)   [~∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)]→~象a  1UE
 3(3)                              象a  A
 3(4)                            ~~象a  3DN
13(5)  ~[~∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)]      24MTT
13(6)    ∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)       5ド・モルガンの法則
1 (7)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)     36CP
1 (8)∀x{象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)}    7UI
従って、
(12)により、
(13)
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}
⑤ ∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}
に於いて、
④=⑤ は、「対偶」である。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
① 象は、鼻が長い。
② 象は、鼻以外は長くない。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
⑤ ∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。
⑥ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
⑦ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、あるzが、xの鼻ではなくて、長い、といふことはない。
⑧ すべてのxについて、あるyがxの鼻であって、長い、といふことがないか、もしくは、あるzはx鼻でなくて、長い、といふのであれば、xは象ではない。
に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥=⑦=⑧ である。
然るに、
(15)
⑤ ∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。⇔
⑧ すべてのxについて、あるyがxの鼻であって、長い、といふことがないか、もしくは、あるzはx鼻でなくて、長い、といふのであれば、xは象ではない。
といふことは、要するに、
(16)
(ⅰ)鼻が長くない。ならば、その動物は、象ではなく、
(ⅱ)鼻以外が長い。ならば、その動物は、象ではない。
といふ、ことである。
然るに、
(17)
(ⅰ)兎の鼻は長くない
(ⅱ)兎の耳は鼻ではないが、長い
従って、
(16)(17)により、
(18)
(ⅰ)鼻が長くないならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の鼻は長くない。     従って、兎は象でない
(ⅱ)鼻以外が長いならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の耳は鼻ではないが、長い。従って、兎は象でない
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(19)
(ⅰ)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(鼻yx&~長y)}              A
  3   (3)∃x(象x&兎x)                       A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya& 長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE  
 2    (5)   兎a→∃y(鼻ya&~長y)               A
   6  (6)   象a&兎a                        A
   6  (7)   象a                           6&E
1  6  (8)      ∃y(鼻ya& 長y)&∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
1  6  (9)      ∃y(鼻ya& 長y)               8&E
    ア (ア)         鼻ba& 長b                A
    ア (イ)              長b                ア&E
   6  (ウ)      兎a                        6&E
 2 6  (エ)      ∃y(鼻ya&~長y)               5ウMPP
     オ(オ)         鼻ba&~長b                A
     オ(カ)             ~長b                オ&E
    アオ(キ)          長b&~長b                イカ&I
1  6 オ(ク)          長b&~長b                9アキEE
12 6  (ケ)          長b&~長b                エオクEE
123   (コ)          長b&~長b                36ケEE
12    (サ)~∃x(象x&兎x)                      3コRAA
12    (シ)∀x~(象x&兎x)                      サ量化子の関係
12    (ス)  ~(象a&兎a)                      シUE
12    (セ)  ~象a∨~兎a                       ス、ド・モルガンの法則
12    (ソ)  ~兎a∨~象a                       セ交換法則
12    (タ)   兎a→~象a                       ソ含意の定義
12    (チ)∀x(兎x→~象x)                      タUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。    タUI
12    (〃)兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。         タUI
(ⅱ)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}          A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)∃x(象x&兎x)                               A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)           1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  2UE
   6  (6)   象a&兎a                                A
   6  (7)   象a                                   6&E
1  6  (8)      ∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)           47MPP
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)                        8&E
    ア (ア)         鼻ba&長b                         A
    ア (イ)             長b                         ア&E
1  6  (ウ)                 ~∃z(~鼻za&長z)           8&E
1  6  (エ)                 ∀z~(~鼻za&長z)           ウ量化子の関係
1  6  (オ)                   ~(~鼻ba&長b)           エUE
1  6  (カ)                   ~~鼻ba∨~長b            オ、ド・モルガンの法則
1  6  (キ)                    ~鼻ba→~長b            カ含意の定義
   6  (ク)      兎a                                6&E
 2 6  (ケ)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  5クMPP
 2 6  (コ)      ∃y(耳ya&長y)                        ケ&E
     サ(サ)         耳ba&長b                         A
     サ(シ)         耳ba                            サ&E
 2 6  (ス)                 ∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  ケ&E
 2 6  (セ)                    ~耳ba→~長b&耳ba→~鼻ba   スUE
 2 6  (ソ)                             耳ba→~鼻ba   ス&E
 2 6 サ(タ)                                 ~鼻ba   シソMPP
12 6 サ(チ)                         ~長b            キタMPP
12 6アサ(ツ)             長b&~長b                     イチ&I
12 6ア (テ)             長b&~長b                     コサツEE
12 6  (ト)             長b&~長b                     9アテEE
123   (ナ)             長b&~長b                     36トEE
12    (ニ)~∃x(象x&兎x)                              3ナRAA
12    (ヌ)∀x~(象x&兎x)                              ニ量化子の関係
12    (ネ)  ~(象a&兎a)                              ヌUE
12    (ノ)  ~象a∨~兎a                               ネ、ド・モルガンの法則
12    (ハ)  ~兎a∨~象a                               ノ交換法則
12    (ヒ)   兎a→~象a                               ハ含意の定義
12    (フ)∀x(兎x→~象x)                              フUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。            フUI
12    (〃)兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。                   フUI
従って、
(14)~(19)により、
(20)
果たして、
(ⅰ)鼻が長くないならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の鼻は長くない。     従って、兎は象でない。
(ⅱ)鼻以外が長いならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の耳は鼻ではないが、長い。従って、兎は象でない。
といふ「推論」は、「述語論理(Predicate logic)」としても、「妥当」である。
従って、
(01)~(20)により、
(21)
① 象は、鼻が長い。⇔
② 象は、鼻以外は長くない。⇔
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}⇔
⑤ ∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。
といふ「等式」を、「否定」するのであれば、
(ⅰ)鼻が長くないならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の鼻は長くない。     従って、兎は象でない。
(ⅱ)鼻以外が長いならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の耳は鼻ではないが、長い。従って、兎は象でない。
といふ「推論」は、「妥当」ではない。
然るに、
(22)
(ⅰ)鼻が長くないならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の鼻は長くない。     従って、兎は象でない。
(ⅱ)鼻以外が長いならば、その動物は、象ではない。然るに、兎の耳は鼻ではないが、長い。従って、兎は象でない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(21)(22)により、
(23)
① 象は、鼻が長い。⇔
② 象は、鼻以外は長くない。⇔
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}⇔
⑤ ∀x{[~∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。
といふ「等式」を、「否定」することは、出来ない
然るに、
(24)
金谷先生謂 主題 曰、
 象は、鼻が長い。<br />
この文には主語が一つもない。日本語にそもそも主語など不要であるから当然と言えば当然だが、二重主語どころではないのだ。「象は」は「主題」であり、文がここで切れている。「象について話しますよ」聞き手の注意を引いておき、それに続く話し手のコメントが「鼻が長い」だ。
(金谷武洋、日本語文法の謎を解く、2003年、79・80頁)
然るに、
(25)
① 象は、鼻が長い。
② 象は、鼻以外は長くない。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
⑤ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
⑥ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、あるzが、xの鼻ではなくて、長い、といふことはない}。
然るに、
(26)
⑤ すべてのxについて{xが象であるならば、
⑥ すべてのxについて{xが象であるならば、
といふことは、金谷先生が言ふやうに、確かに、「象について話しますよ」といふ「意味」である。
然るに、
(27)
⑦ 象は動物である。⇔
⑦ ∀x(象x→動物x)⇔
⑦ すべてのxについて(xが象であるならば、xは動物である)。
であっても、
⑦ すべてのxについて{xが象であるならば、
といふことは、この場合も、「象について話しますよ」といふ「意味」である。
然るに、
(28)
⑦ ∀x(象x→動物x)
といふ「論理式」に於いて、
③ 動物x=∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)
③ 動物x=∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)
といふ「代入(Substitution)」を行った「結果(instances)」が、
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
といふ「論理式」である。
従って、
(24)~(28)により、
(29)
① 象長い。
⑦ 象動物である。
に於ける、
① 象
⑦ 象
に於いて、
①=⑦ である。
従って、
(30)
⑦ 象動物である。
に於ける、
⑦「象」は、「主語」であると思ってゐる私からすれば、
① 象鼻が長い。
に於ける、
①「象」も、「主語」である。
令和02年03月25日、毛利太。

2020年3月24日火曜日

「対偶と、ド・モルガンの法則」は「当然」である。

(01)
① 犯人は(鈴木か佐藤)である。
といふのであれば、
② 高橋は犯人ではないし、
② 田中は犯人ではないし、
② 伊藤は犯人ではない。
従って、
(01)により、
(02)
① 犯人ならば(鈴木か佐藤)である。
②(鈴木でもなく、佐藤でもない)ならば犯人ではない。
に於いて、
①=② であることは、「当然」である。
然るに、
(03)
① 犯人ならば・・・・・。
② ・・・・・でないならば犯人ではない。
に於いて、
①=② は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(02)(03)により、
(04)
① 犯人ならば(鈴木か佐藤)である。
②(鈴木でもなく、佐藤でもない)ならば犯人ではない。
といふ「対偶」に於ける、
①(鈴木か佐藤)
②(鈴木でもなく、佐藤でもない)
に於いて、
① は、② の「否定」であり、
② は、① の「否定」である。
従って、
(05)
①(鈴木か佐藤)ではない。
②(鈴木でもなく、佐藤でもない)
に於いて、
①=② である。
従って、
(05)により、
(06)
「記号」で書くと、
① ~( 鈴木∨ 佐藤)
②  (~鈴木&~佐藤)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(07)
① ~( 鈴木∨ 佐藤)
②  (~鈴木&~佐藤)
に於いて、
①=② は、「ド・モルガンの法則」である。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
① 犯人ならば(鈴木か佐藤)である。
②(鈴木でもなく、佐藤でもない)ならば犯人ではない。
に於いて、
①=② であることが、「当然」である。
といふことは、「対偶と、ド・モルガンの法則」が、「当然」である。
といふことに、他ならない。
従って、
(08)により、
(09)
① 犯人ならば(鈴木か佐藤)である。
②(鈴木でもなく、佐藤でもない)ならば犯人ではない。
に於いて、
①=② であることを、知ってゐる人は、「対偶と、ド・モルガンの法則」を、知ってゐる。
といふ、ことになる。
然るに、
(10)
(ⅰ)
1      (1)∀x(犯人x→鈴木x∨ 佐藤x)   A
1      (2)   犯人a→鈴木a∨ 佐藤a    1UE
 3     (3)   犯人a             A
13     (4)       鈴木a∨ 佐藤a    23MPP
  5    (5)      ~鈴木a&~佐藤a    A
   6   (6)       鈴木a         A
  5    (7)      ~鈴木a         5&E
  56   (8)       鈴木a&~佐藤a    67&I
   6   (9)    ~(~鈴木a&~佐藤a)   58RAA
    ア  (ア)            佐藤a    A
  5    (イ)           ~佐藤a    5&E
  5 ア  (ウ)       佐藤a&~佐藤a    アイ&I
    ア  (エ)    ~(~鈴木a&~佐藤a)   5ウRAA
13     (オ)    ~(~鈴木a&~佐藤a)   469アエ∨E
135    (カ)     (~鈴木a&~佐藤a)&
              ~(~鈴木a&~佐藤a)   5オ&I
1 5    (キ)     ~(鈴木a∨ 佐藤a)   3カRAA
1 5    (ク)  ~犯人a             2キMTT
1      (ケ)   ~鈴木a&~佐藤a→~犯人a  5キCP
1      (コ)∀x(~鈴木x&~佐藤x→~犯人x) ケUI
(ⅱ)
1      (1)∀x(~鈴木x&~佐藤x→~犯人x) A
1      (2)   ~鈴木a&~佐藤a→~犯人a  1UE
 3     (3)              犯人a  A
 3     (4)            ~~犯人a  3DN
13     (5) ~(~鈴木a&~佐藤a)      24MTT
  6    (6)  ~(鈴木a∨ 佐藤a)      A
   7   (7)    鈴木a            A
   7   (8)    鈴木a∨ 佐藤a       7∨I
  67   (9)  ~(鈴木a∨ 佐藤a)&
             (鈴木a∨ 佐藤a)      68&I
  6    (ア)   ~鈴木a            79RAA
    イ  (イ)         佐藤a       A
    イ  (ウ)    鈴木a∨ 佐藤a       イ∨I
  6 イ  (エ)  ~(鈴木a∨ 佐藤a)&
             (鈴木a∨ 佐藤a)      6ウ&I
  6    (オ)        ~佐藤a       イエRAA
  6    (カ)   ~鈴木a&~佐藤a       アオ&I
136    (キ) ~(~鈴木a&~佐藤a)&    
            (~鈴木a&~佐藤a)      5カ&I
13     (ク) ~~(鈴木a∨ 佐藤a)      6キRAA
13     (ケ)    鈴木a∨ 佐藤a       クDN
1      (コ)    犯人a→鈴木a∨佐藤a    3ケCP
1      (サ) ∀x(犯人x→鈴木x∨佐藤x)   コUI
従って、
(10)により、
(11)
① ∀x(  犯人x→  鈴木x∨  佐藤x)
② ∀x(~鈴木x&~佐藤x→~犯人x)
に於いて、
①=② である。
従って、
(12)
「当然」ではあるものの、
① 犯人は(鈴木か佐藤)である。
②(鈴木でもなく、佐藤でもない)ならば犯人ではない。
に於いて、
①=② である。
といふことは、「述語論理(Predicate logic)」としても、「正しい」。
然るに、
(13)
(ⅰ)
13     (4)       鈴木a∨ 佐藤a    23MPP
  5    (5)      ~鈴木a&~佐藤a    A
   6   (6)       鈴木a         A
  5    (7)      ~鈴木a         5&E
  56   (8)       鈴木a&~佐藤a    67&I
   6   (9)    ~(~鈴木a&~佐藤a)   58RAA
    ア  (ア)            佐藤a    A
  5    (イ)           ~佐藤a    5&E
  5 ア  (ウ)       佐藤a&~佐藤a    アイ&I
    ア  (エ)    ~(~鈴木a&~佐藤a)   5ウRAA
13     (オ)    ~(~鈴木a&~佐藤a)   469アエ∨E
といふ「11行」は、「ド・モルガンの法則」の、「証明」になってゐて、
(ⅱ)
13     (5) ~(~鈴木a&~佐藤a)      24MTT
  6    (6)  ~(鈴木a∨ 佐藤a)      A
   7   (7)    鈴木a            A
   7   (8)    鈴木a∨ 佐藤a       7∨I
  67   (9)  ~(鈴木a∨ 佐藤a)&
             (鈴木a∨ 佐藤a)      68&I
  6    (ア)   ~鈴木a            79RAA
    イ  (イ)         佐藤a       A
    イ  (ウ)    鈴木a∨ 佐藤a       イ∨I
  6 イ  (エ)  ~(鈴木a∨ 佐藤a)&
             (鈴木a∨ 佐藤a)      6ウ&I
  6    (オ)        ~佐藤a       イエRAA
  6    (カ)   ~鈴木a&~佐藤a       アオ&I
136    (キ) ~(~鈴木a&~佐藤a)&
            (~鈴木a&~佐藤a)      5カ&I
13     (ク) ~~(鈴木a∨ 佐藤a)      6キRAA
13     (ケ)    鈴木a∨ 佐藤a       クDN
といふ「14行」も、「ド・モルガンの法則」の、「証明」になってゐる。
従って、
(10)(13)により、
(14)
「ド・モルガンの法則」を「公式」として用ひるならば、「計算(10)」は、次のやうになる。
(ⅰ)
1 (1)∀x(犯人x→鈴木x∨ 佐藤x)   A
1 (2)   犯人a→鈴木a∨ 佐藤a    1UE
 3(3)    ~(~鈴木a&~佐藤a)   A
 3(4)     ~(鈴木a∨ 佐藤a)   3ド・モルガンの法則
13(5)  ~犯人a             24MPP
1 (6)   ~鈴木a&~佐藤a→~犯人a  35CP
1 (7)∀x(~鈴木x&~佐藤x→~犯人x) 6UI
(ⅱ)
1 (1)∀x(~鈴木x&~佐藤x→~犯人x) A
1 (2)   ~鈴木a&~佐藤a→~犯人a  1UE
 3(3)              犯人a  A
 3(4)            ~~犯人a  3DN
13(5) ~(~鈴木a&~佐藤a)      24MTT
1 (6)    鈴木a∨ 佐藤a       5ド・モルガンの法則
1 (7)    犯人a→鈴木a∨佐藤a    36CP
1 (8) ∀x(犯人x→鈴木x∨佐藤x)   7UI
従って、
(15)
「計算(10)」も、「計算(14)」も、
① ∀x(  犯人x→  鈴木x∨  佐藤x)
② ∀x(~鈴木x&~佐藤x→~犯人x)
に於いて、
①=② である。
といふこと、すなはち。
① 犯人は(鈴木か佐藤)である。
②(鈴木でもなく、佐藤でもない)ならば犯人ではない。
に於いて、
①=② である。
といふことを、「対偶と、ド・モルガンの法則」によって、「証明」してゐる。
令和02年03月24日、毛利太。

2020年3月23日月曜日

「Aが犯人でないならば、Bが犯人である」の「述語論理」。

(01)
(ⅰ)
1      (1)∀x(犯人x→鈴木x∨ 佐藤x)  A
1      (2)   犯人a→鈴木a∨ 佐藤a   1UE
 3     (3)   犯人a            A
13     (4)       鈴木a∨ 佐藤a   23MPP
  5    (5)      ~鈴木a&~佐藤a   A
   6   (6)       鈴木a        A
  5    (7)      ~鈴木a        5&E
  56   (8)       鈴木a&~佐藤a   67&I
   6   (9)    ~(~鈴木a&~佐藤a)  58RAA
    ア  (ア)            佐藤a   A
  5    (イ)           ~佐藤a   5&E
  5 ア  (ウ)       佐藤a&~佐藤a   アイ&I
    ア  (エ)    ~(~鈴木a&~佐藤a)  5ウRAA
13     (オ)    ~(~鈴木a&~佐藤a)  469アエ∨E
     カ (カ)      ~鈴木a        A
      キ(キ)           ~佐藤a   A
     カキ(ク)      ~鈴木a&~佐藤a   カキ&I
13   カキ(ケ)    ~(~鈴木a&~佐藤a)&
               (~鈴木a&~佐藤a)  オク&I 
13   カ (コ)          ~~佐藤a   キケRAA
13   カ (サ)            佐藤a   コDN 
13     (シ)      ~鈴木a→ 佐藤a   カサCP
1      (ス) 犯人a→(~鈴木a→ 佐藤a)  3シCP 
      セ(セ) 犯人a& ~鈴木a        A
      セ(ソ) 犯人a              セ&E
1     セ(タ)      ~鈴木a→ 佐藤a   シソMPP
      セ(チ)      ~鈴木a        セ&E
1     セ(ツ)            佐藤a   タチMPP
1     セ(テ)        佐藤a&犯人a   ソツ&I
1      (ト)   犯人a&~鈴木a→
                  佐藤a&犯人a   セテCP
1      (ナ)∀x(犯人x&~鈴木x→
                  佐藤x&犯人x)  トUI
(ⅱ)
1      (1)∀x(犯人x&~鈴木x→
                  佐藤x&犯人x)  A
1      (2)   犯人a&~鈴木a→
                  佐藤a&犯人a   セテCP
 2     (3)   犯人a            A
  4    (4)       ~鈴木a       A
 24    (5)      犯人a&~鈴木a       34&I
124    (6)        佐藤a&犯人a   25MPP
124    (7)        佐藤a       6&E
12     (8)       ~鈴木a→犯人a   47CP

   8   (8)      ~(鈴木a∨佐藤a)  A
    9  (9)        鈴木a       A
    9  (ア)        鈴木a∨佐藤a   9∨I
   89  (イ)      ~(鈴木a∨佐藤a)&
                 (鈴木a∨佐藤a)  8ア&I
   8   (ウ)       ~鈴木a       9イRAA
13 8   (エ)            佐藤a   7ウMPP
13 8   (オ)        鈴木a∨佐藤a   エ∨I
13 8   (カ)      ~(鈴木a∨佐藤a)&
                 (鈴木a∨佐藤a)  8オ&I
13     (キ)     ~~(鈴木a∨佐藤a)  8カRAA
13     (ク)        鈴木a∨佐藤a   キDN
1      (ケ)    犯人a→鈴木a∨佐藤a   3クCP
1      (コ) ∀x(犯人x→鈴木x∨佐藤x)  ケUI
(ⅰ)
1      (1)∀x(犯人x→鈴木x∨ 佐藤x)   A
1      (2)   犯人a→鈴木a∨ 佐藤a    1UE
 3     (3)   犯人a             A
13     (4)       鈴木a∨ 佐藤a    23MPP
  5    (5)      ~鈴木a&~佐藤a    A
   6   (6)       鈴木a         A
  5    (7)      ~鈴木a         5&E
  56   (8)       鈴木a&~佐藤a    67&I
   6   (9)    ~(~鈴木a&~佐藤a)   58RAA
    ア  (ア)            佐藤a    A
  5    (イ)           ~佐藤a    5&E
  5 ア  (ウ)       佐藤a&~佐藤a    アイ&I
    ア  (エ)    ~(~鈴木a&~佐藤a)   5ウRAA
13     (オ)    ~(~鈴木a&~佐藤a)   469アエ∨E
135    (カ)     (~鈴木a&~佐藤a)&
              ~(~鈴木a&~佐藤a)   5オ&I
1 5    (キ)     ~(鈴木a∨ 佐藤a)   3カRAA
1 5    (ク)  ~犯人a             2キMTT
1      (ケ)   ~鈴木a&~佐藤a→~犯人a  5キCP
1      (コ)∀x(~鈴木x&~佐藤x→~犯人x) ケUI
(ⅲ)
1      (1)∀x(~鈴木x&~佐藤x→~犯人x) A
1      (2)   ~鈴木a&~佐藤a→~犯人a  1UE
 3     (3)              犯人a  A
 3     (4)            ~~犯人a  3DN
13     (5) ~(~鈴木a&~佐藤a)      24MTT
  6    (6)  ~(鈴木a∨ 佐藤a)      A
   7   (7)    鈴木a            A
   7   (8)    鈴木a∨ 佐藤a       7∨I
  67   (9)  ~(鈴木a∨ 佐藤a)&
             (鈴木a∨ 佐藤a)      68&I
  6    (ア)   ~鈴木a            79RAA
    イ  (イ)         佐藤a       A
    イ  (ウ)    鈴木a∨ 佐藤a       イ∨I
  6 イ  (エ)  ~(鈴木a∨ 佐藤a)&
             (鈴木a∨ 佐藤a)      6ウ&I
  6    (オ)        ~佐藤a       イエRAA
  6    (カ)   ~鈴木a&~佐藤a       アオ&I
136    (キ) ~(~鈴木a&~佐藤a)&    
            (~鈴木a&~佐藤a)      5カ&I
13     (ク) ~~(鈴木a∨ 佐藤a)      6キRAA
13     (ケ)    鈴木a∨ 佐藤a       クDN
1      (コ)    犯人a→鈴木a∨佐藤a    3ケCP
1      (サ) ∀x(犯人x→鈴木x∨佐藤x)   コUI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x(  犯人x→鈴木x∨佐藤x)
② ∀x(  犯人x&~鈴木x→佐藤x&犯人x)
③ ∀x(~鈴木x&~佐藤x→~犯人x)
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(02)により、
(03)
① すべてのxについて、xが犯人であるならば、xは鈴木か、xは佐藤である。
② すべてのxについて、xが犯人であって、xが鈴木でないならば、xは佐藤であって、xは犯人である。
③ すべてのxについて、xが鈴木ではなく、xが佐藤ではないならば、xは犯人ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(03)により、
(04)
① 犯人は、鈴木か佐藤である。
② 犯人が、鈴木でないならば、佐藤が犯人である。
③ 鈴木でもなく、佐藤でもない、ならば、犯人ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(05)
普通」は、
② 犯人は、鈴木か佐藤である。しかし、犯人は鈴木ではない。従って、佐藤犯人だ。
と言ふのであって、
② 犯人は、鈴木か佐藤である。しかし、犯人は鈴木ではない。従って、佐藤犯人だ。
とは、言はない
然るに、
(06)
② 犯人は、鈴木か佐藤である。しかし、犯人は鈴木ではない。
といふのであれば、
②「鈴木」は、すなはち、「佐藤以外」である。
従って、
(05)(06)により、
(07)
② 犯人は、鈴木か佐藤である。しかし、犯人は鈴木ではない。従って、佐藤が犯人だ。
といふことは、
① 犯人は、鈴木か佐藤である。しかし、犯人は佐藤以外ではない。従って、佐藤が犯人だ。
然るに、
(08)
② 犯人は佐藤以外ではない。
といふことは、
① 佐藤以外は犯人ではない。
といふことである。
従って、
(07)(08)により、
(09)
② 佐藤が犯人だ。
といふ「日本語」は、
① 佐藤以外は犯人ではない。
といふ「日本語」に、「等しい」。
然るに、
(10)
① 佐藤以外は犯人ではない。
③ 犯人は佐藤である。
に於いて、
①=③ は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
「番号」を付け直すと、
① 佐藤犯人だ。
犯人は佐藤だ。
③ 佐藤以外に犯人はいない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(01)~(11)により、
(12)
① 佐藤が犯人だ。
② 犯人は佐藤だ。
③ 佐藤以外に犯人はいない。
に於いて、
①=②=③ である。
といふことは、「述語論理(Predicate logic)」としても、「正しい」。
従って、
(12)により、
(13)
① 鼻が長い。
② 長いのは鼻である。
③ 鼻以外長くない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(13)により、
(14)
④ 象は鼻が長い。⇔
④ 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
④ すべてのxについて、xが象ならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」が、成立する。
令和02年03月23日、毛利太。

「私が理事長です(理事長は私です)。」と「述語論理」。

(01)
(ⅰ)
1      (1)∀x(理事長x→鈴木x∨ 私x)  A
1      (2)   理事長a→鈴木a∨ 私a   1UE
 3     (3)   理事長a           A
13     (4)        鈴木a∨ 私a   23MPP
  5    (5)       ~鈴木a&~私a   A
   6   (6)        鈴木a       A
  5    (7)       ~鈴木a       5&E
  56   (8)        鈴木a&~私a   67&I
   6   (9)     ~(~鈴木a&~私a)  58RAA
    ア  (ア)             私a   A
  5    (イ)            ~私a   5&E
  5 ア  (ウ)         私a&~私a   アイ&I
    ア  (エ)     ~(~鈴木a&~私a)  5ウRAA
13     (オ)     ~(~鈴木a&~私a)  469アエ∨E
     カ (カ)       ~鈴木a       A
      キ(キ)            ~私a   A
     カキ(ク)       ~鈴木a&~私a   カキ&I
13   カキ(ケ)     ~(~鈴木a&~私a)&
                (~鈴木a&~私a)  オク&I 
13   カ (コ)           ~~私a   キケRAA
13   カ (サ)             私a   コDN 
13     (シ)       ~鈴木a→ 私a   カサCP
1      (ス) 理事長a→(~鈴木a→ 私a)  3シCP 
      セ(セ) 理事長a& ~鈴木a       A
      セ(ソ) 理事長a             セ&E
1     セ(タ)       ~鈴木a→ 私a   シソMPP
      セ(チ)       ~鈴木a       セ&E
1     セ(ツ)             私a   タチMPP
1      (テ)   理事長a&~鈴木a→私a   セツCP
1      (ト)∀x(理事長x&~鈴木x→私x)  テUI
(ⅱ)
1      (1)∀x(理事長x&~鈴木x→私x)  A
1      (2)   理事長a&~鈴木a→私a   1UE
 3     (3)   理事長a           A
  4    (4)        ~鈴木a      A
 34    (5)   理事長a&~鈴木a      34&I
134    (6)             私a   25MPP
13     (7)        ~鈴木a→私a   46CP
   8   (8)       ~(鈴木a∨私a)  A
    9  (9)         鈴木a      A
    9  (ア)         鈴木a∨私a   9∨I
   89  (イ)       ~(鈴木a∨私a)&
                  (鈴木a∨私a)  8ア&I
   8   (ウ)        ~鈴木a      9イRAA
13 8   (エ)             私a   7ウMPP
13 8   (オ)         鈴木a∨私a   エ∨I
13 8   (カ)       ~(鈴木a∨私a)&
                  (鈴木a∨私a)  8オ&I
13     (キ)      ~~(鈴木a∨私a)  8カRAA
13     (ク)         鈴木a∨私a   キDN
1      (ケ)    理事長a→鈴木a∨私a   3クCP
1      (コ) ∀x(理事長x→鈴木x∨私x)  ケUI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x(理事長x→ 鈴木x∨私x)
② ∀x(理事長x&~鈴木x→私x)
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて、xが理事長であるならば、xは鈴木か、xは私である。
② すべてのxについて、xが理事長であって、xが鈴木でないならば、xは私である。
に於いて、
①=② である。
従って、
(02)により、
(03)
① 理事長は、鈴木氏か、私である。
② 理事長が、鈴木氏でないならば、理事長は私である。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念館は、私理事です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念館」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(03)(04)により、
(05)
① 理事長は、鈴木氏か、私である。
② 鈴木氏が理事長でないならば、理事長は私である。
③ 鈴木氏が理事長でないならば、私理事長である。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(06)
① 私以外は理事長ではない。
② 理事長は私です。
に於いて、
①=② は「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(05)(06)により、
(07)
① 鈴木氏が理事長でないならば、私以外は理事長ではない
② 鈴木氏が理事長でないならば、理事長は私である
③ 鈴木氏が理事長でないならば、私が理事長である
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(07)により、
(08)
「番号」を付け直すと、
① 私が理事長です。
② 理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(09)
③ 私は、唯一の、私であって、
③ 私以外に、私はゐない
従って、
(09)により、
(10)
その「意味」でも、
① 私理事長です。
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(04)により、
(11)
「日本語の論理、1963年」を書いた、三上章先生は、
① 私理事長です。
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
①=② である。といふことには、気付いてはゐても、その上、
②=③ である。といふことにまでは、気付いてゐない。
(12)
かりに大倉氏が、
タゴール記念館は、私理事です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念館」を品評するという心持ちの文である。
といふことが、「本当であれ、ウソであれ」、そのことからは、
③ 私以外は理事長ではない
といふことには、ならない。
令和02年03月23日、毛利太。

2020年3月22日日曜日

「括弧」と「返り点」(23)―「返り点」の「順番」―。

(01)
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
に於いて、
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
の場合は、
(Ⅰ)二 一
(〃)三 二 一
(〃)下 中 上
(〃)丙 乙 甲
(〃)人 地 天
と、「同じ」である。
従って、
(01)により、
(02)
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
といふ「返り点」が表す「順番」は、
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅱ)上 中 下
(Ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅳ)天 地 人
といふ「返り点」が表す「順番」に、「等しい」。
然るに、
(03)
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅱ)上 中 下
(Ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅳ)天 地 人
または、
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅱ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)天 地 人
に於いて、
(Ⅰ)を挟んで返る場合には、
(Ⅱ)を用ひ、
(Ⅱ)を挟んで返る場合には、
(Ⅲ)を用ひ、
(Ⅲ)を挟んで返る場合には、
(Ⅳ)を用ひる。
といふ『ルール』が有る。
従って、
(03)により、
(04)
(Ⅰ)と(Ⅱ)の「関係」は、
(Ⅱ)と(Ⅲ)の「関係」に「等しく」、
(Ⅲ)と(Ⅳ)の「関係」に「等しい」。
従って、
(04)により、
(05)
(Ⅰ)一 二 三
(Ⅱ)上 中 下
に於いて、「言へること」は、
(Ⅱ)上 中 下
(Ⅲ)甲 乙 丙
に於いても「言へること」になり、
(Ⅱ)上 中 下
(Ⅲ)甲 乙 丙
に於いて、「言へること」は、
(Ⅲ)甲 乙 丙
(Ⅳ)天 地 人
に於いても「言へること」になる。
然るに、
(06)
(Ⅱ)上 中 下
の場合は、「それ」を「2つ」用ひるときは、
(〃)上 下 であるが、以下では、
(〃)上 中 であるとする。
然るに、
(03)により、
(07)
① 下
が有るならば、
① 下 の右側には、
① 三 二 一 が無ければ、ならない。
従って、
(08)
① 下 三 二 一 中 上。
② 下 中 三 二 一 上。
③ 下 三 二 一 中 三 二 一 上。
であるか、いづれかである。
然るに、
(09)
① 下 三 二 一 中 上。
② 下 中 三 二 一 上。
③ 下 三 二 一 中 三 二 一 上。
であるならば、
① 6 3 2 1 5 4
② 6 5 3 2 1 4
③ 9 3 2 1 8 6 5 4 7
の「順(9個の、1桁の10進数」である。
然るに、
(10)
① # 下 # 三 # 二 # 一 # 中 # 上 #。
② # 下 # 中 # 三 # 二 # 一 # 上 #。
③ # 下 # 三 # 二 # 一 # 中 # 三 # 二 # 一 # 上 #。
に於いて、「返り点」は、「返り点」そのものではなく、「返り点が付いてゐる、漢字」である。
とする。
(11)
① # 下 # 三 # 二 # 一 # 中 # 上 #。
② # 下 # 中 # 三 # 二 # 一 # 上 #。
③ # 下 # 三 # 二 # 一 # 中 # 三 # 二 # 一 # 上 #。
に於いて、「#」は、「n(n≧0)個の、返り点が、付いてゐない、漢字」である。
とする。
従って、
(11)により、
(12)
n=0 であるならば、
① 下 三 二 一 中 上。
② 下 中 三 二 一 上。
③ 下 三 二 一 中 三 二 一 上。
に「等しく」、それ故、(09)により、
① 6 3 2 1 5 4
② 6 5 3 2 1 4
③ 9 3 2 1 8 6 5 4 8
の「順(9個の、1桁の10進数)」である。
従って、
(11)により、
(13)
n=1 であるならば、
① 1 C 2 7 3 6 4 5 8 B 9 A D。
② 1 C 2 B 3 8 4 7 5 6 9 A D。
③ 1 I 2 7 3 6 4 5 8 H 9 E A D B C F G J。
の「順(19個の、1桁の20進数)」である。
然るに、
(14)
① 6[3〔2(1)〕5(4)]。
② 6{5[3〔2(1)〕4]}。
③ 9{3〔2(1)〕8[6〔5(4)〕7]}。
① 1 C[2 7〔3 6(4 5)〕8 B(9 A)]D。
② 1 C{2 B[3 8〔4 7(5 6)〕9 A]}D。
③ 1 I{2 7〔3 6(4 5)〕8 H[9 E〔A D(B C)〕F G]}J。
従って、
(14)により、
(15)
①   6[  3〔  2(1  )〕  5(4  )]。
① 1 C[2 7〔3 6(4 5)〕8 B(9 A)]D。
②   6{  5[  3〔  2(1  )〕  4]}。
② 1 C{2 B[3 8〔4 7(5 6)〕9 A]}D。
③   9{  3〔  2(1  )〕  8[  6〔  5(4  )〕  7]}
③ 1 I{2 7〔3 6(4 5)〕8 H[9 E〔A D(B C)〕F G]}J。
従って、
(10)~(15)により、
(16)
① # 下 # 三 # 二 # 一 # 中 # 上 #。
② # 下 # 中 # 三 # 二 # 一 # 上 #。
③ # 下 # 三 # 二 # 一 # 中 # 三 # 二 # 一 # 上 #。
に於いて、「#」は、「n(n≧0)個の、返り点が、付いてゐない、漢字」である。
として、
n=0 であっても、
n=1 であっても、
①   6[  3〔  2(1  )〕  5(4  )]。
① 1 C[2 7〔3 6(4 5)〕8 B(9 A)]D。
②   6{  5[  3〔  2(1  )〕  4]}。
② 1 C{2 B[3 8〔4 7(5 6)〕9 A]}D。
③   9{  3〔  2(1  )〕  8[  6〔  5(4  )〕  7]}
③ 1 I{2 7〔3 6(4 5)〕8 H[9 E〔A D(B C)〕F G]}J。
に於ける、
①[ 〔 ( ) 〕( ) ]
①[ 〔 ( ) 〕( ) ]
②{ [ 〔 ( ) 〕 ] }
②{ [ 〔 ( ) 〕 ] }
③{ 〔 ( )〕[ 〔 ( ) 〕 ] }
③{ 〔 ( )〕[ 〔 ( ) 〕 ] }
といふ「括弧の配置」に「変化」はない。
然るに、
(17)
n=2 であれば、
① # # 下 # # 三 # # 二 # # 一 # # 中 # # 上 # #。
② # # 下 # # 中 # # 三 # # 二 # # 一 # # 上 # #。
③ # # 下 # # 三 # # 二 # # 一 # # 中 # # 三 # # 二 # # 一 # # 上 # #。
に於いて、例へば、
① ならば、
① 1 2 I 3 4 B 5 6 A 7 8 9 C D H E F G J K。
であるため、
① 1 2 I[3 4 B〔5 6 A(7 8 9)〕C D H(E F G)]J K。
の、「括弧」も、
①[ 〔 ( ) 〕( ) ]
である。
従って、
(16)(17)により、
(18)
① # 下 # 三 # 二 # 一 # 中 # 上 #。
② # 下 # 中 # 三 # 二 # 一 # 上 #。
③ # 下 # 三 # 二 # 一 # 中 # 三 # 二 # 一 # 上 #。
に於いて、「#」は、「n(n≧0)個の、返り点が、付いてゐない、漢字」である。
として、
n=0 であっても、
n=1 であっても、
n=2 であっても、
n=3 であっても、
n=4 であっても、
n=5 であっても、
①[ 〔 ( ) 〕( ) ]
②{ [ 〔 ( ) 〕 ] }
②{ [ 〔 ( ) 〕 ] }
③{ 〔 ( )〕[ 〔 ( ) 〕 ] }
といふ「括弧配置」に「変化」はない
然るに、
(19)
① 6[3〔2(1)〕5(4)]。
に於いて、
6[ ]⇒[ ]6
3〔 〕⇒〔 〕3
2( )⇒( )2
5( )⇒( )5
といふ「移動」を行ふと、
① 6[3〔2(1)〕5(4)]⇒
① [〔(1)2〕3(4)5]6=
①      1<2<3<4<5<6。
といふ「並び替へ(ソート)」を行ふことになる。
(20)
② 6{5[3〔2(1)〕4]}。
に於いて、
6{ }⇒{ }6
5[ ]⇒[ ]5
3〔 〕⇒〔 〕3
2( )⇒( )2
といふ「移動」を行ふと、
② 6{5[3〔2(1)〕4]}⇒
② {[〔(1)2〕34]5}6=
②      1<2<3<4<5<6。
といふ「並び替へ(ソート)」を行ふことになる。
(21)
③ 9{3〔2(1)〕8[6〔5(4)〕7]}。
に於いて、
9{ }⇒{ }9
3〔 〕⇒〔 〕3
8[ ]⇒[ ]8
6〔 〕⇒〔 〕6
5( )⇒( )5
といふ「移動」を行ふと、
③ 9{3〔2(1)〕8[6〔5(4)〕7]}⇒
③ {〔(1)2〕3[〔(4)5〕67]8}9=
③    1<2<3<4<5<6<7<8<9。
といふ「並び替へ(ソート)」を行ふことになる。
従って、
(07)~(21)により、
(22)
(Ⅰ)一 二 三
(Ⅱ)上 中 下
といふ「返り点」が表すこと出来る「順番」は、
① 6 3 2 1 5 4
② 6 5 3 2 1 4
③ 9 3 2 1 8 6 5 4 8
といふ「順番」で、「代表」させることが、出来る。
然るに、
(23)
① 6 3 2 1 5 4
② 6 5 3 2 1 4
③ 9 3 2 1 8 6 5 4 8
といふ「順番」の中に、
④ n+1<n+m>n(nは、0より大きい整数で、mは1より大きい整数である。)
といふ「順番」は無い。
然るに、
(24)
仮に、
(Ⅰ)二<三>一
(Ⅱ)中<下>上
といふ「返り点」が有るとすると、その場合は、
「(横書きであれば、)右から、左へ返って、右に戻ってゐる。」
然るに、
(25)
「(横書きであれば、)右から、左へ返るための」が「返り点」である。
従って、
(24)(25)により、
(26)
(Ⅰ)二<三>一
(Ⅱ)中<下>上
といふ「返り点」は、有り得ない
従って、
(22)(26)により、
(27)
(Ⅰ)一 二 三
(Ⅱ)上 中 下
といふ「返り点」が表すこと出来る「順番」の中に、
④ n+1<n+m>n(nは、0より大きい整数で、mは1より大きい整数である。)
といふ「順番」は無い
従って、
(04)(27)により、
(28)
少なくとも、
(Ⅰ)一 二 三
(Ⅱ)甲 乙 丙
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)天 地 人
といふ「返り点」が表すこと出来る「順番」の中に、
④ n+1<n+m>n(nは、0より大きい整数で、mは1より大きい整数である。)
といふ「順番」は無い
令和02年03月22日、毛利太。

「括弧」と「返り点」(22)―「返り点」と「補足構造」―。

(01)
① 我非必求以解中文法解漢文事者=
① 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}。
に於いて、
非{ }⇒{ }非
求[ ]⇒[ ]求
以〔 〕⇒〔 〕以
解( )⇒( )解
解( )⇒( )解
といふ「移動」を行ふと、
① 我非必求以解中文法解漢文事者=
① 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}⇒
① 我{必[〔(中文)解法〕以(漢文)解事]求者}非=
① 我は{必ずしも[〔(中文を)解する法を〕以て(漢文を)解する事を]求むる者に}非ず。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
然るに、
(02)
② 我不必求以解中文解漢文=
② 我不{必求[以〔解(中文)〕解(漢文)]}。
不{ }⇒{ }不
求[ ]⇒[ ]求
以〔 〕⇒〔 〕以
解( )⇒( )解
解( )⇒( )解
といふ「移動」を行ふと、
② 我不{必求[以〔解(中文)〕解(漢文)]}⇒
② 我{必[〔(中文)解〕以(漢文)解]求}不=
② 我{は必ずしも[〔(中文を)解するを〕以て(漢文を)解するを]求め}不。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
然るに、
(03)
① 我 非 必 求 以 解 中 文 法 解 漢 文 事 者。
に於ける、
①                        法     事 者
の3つは、「被修飾語」である。
従って、
(03)により、
(04)
① 我 非 必 求 以 解 中 文 法 解 漢 文 事 者。
といふ「漢文」から、
①                        法     事 者
の3つの、「被修飾語」を除いても、
① 我 非 必 求 以 解 中 文 法 解 漢 文 事 者。
といふ「漢文の、補足構造」は、「不変」である。
従って、
(04)により、
(05)
① 我 非 必 求 以 解 中 文 法 解 漢 文 事 者。
② 我 不 必 求 以 解 中 文 解 漢 文。
といふ「漢文の、補足構造」自体は、「同じ」である。
然るに、
(06)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(01)~(06)により、
(07)
① 我 非 必 求 以 解 中 文 法 解 漢 文 事 者。
② 我 不 必 求 以 解 中 文 解 漢 文。
といふ「漢文」に付く所の、
①{ [ 〔 ( ) 〕( ) ] }
②{ [ 〔 ( ) 〕( ) ] }
といふ「括弧」は、
① 我 非 必 求 以 解 中 文 法 解 漢 文 事 者。
② 我 不 必 求 以 解 中 文 解 漢 文。
といふ「漢文の、補足構造」を、表してゐる。
然るに、
(08)
① 我非必求以解中文法解漢文事者=
① 我非必求中文漢文
① 我必中文漢文
① 我は必ずしも中文を解する法を以て漢文を解する事を求むる者に非ず。
従って、
(01)(08)により、
(09)
二 一 は、( )であって、
下 上 は、〔 〕であって、
乙 甲 は、[ ]であって、
地 天 は、{ }である。
従って、
(01)(08)(09)により、
(10)
① 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}。
① 我非必求中文漢文
に於ける、
①  {  [ 〔 (  ) 〕 (  ) ] }
①  地  乙 下 二  一 上 二  一 甲 天
といふ「括弧」と「返り点」は、「同じ」である。
従って、
(07)(10)により、
(11)
① 我非必求中文漢文
である所の、
① 地 乙 下 二 一 上 二 一 甲 天
といふ「返り点」もまた、
① 我 非 必 求 以 解 中 文 法 解 漢 文 事 者。
といふ「漢文の、補足構造」を表してゐる。
従って、
(07)~(11)により、
(12)
② 我 不 必 求 以 解 中 文 解 漢 文。
といふ「漢文」に対しても、
② 地 乙 下 二 一 上 二 一 甲 天
といふ「返り点」が付くのであれば、そのときに限って
② 我 不 必 求 以 解 中 文 解 漢 文。
といふ「漢文」に付く「返り点」もまた、
② 我 不 必 求 以 解 中 文 解 漢 文。
といふ「漢文の、補足構造」を表してゐる。
然るに、
(13)
② 我不必求以解中文解漢文=
② 我不必求中文漢文
② 我不必求中文漢文
② 我必中文漢文
② 我必ずしも中文を解するを以て漢文を解するを求め不
従って、
(13)により、
(14)
② 我 不 必 求 以 解 中 文 解 漢 文。
に付く「返り点」は、
② 丁 丙 レ 二 一 乙 甲
であって、
② 地 乙 下 二 一 上 二 一 甲 天
ではない
従って、
(12)(14)により、
(15)
例へば、
② 我不必求以解中文解漢文=
② 我不必求中文漢文
に於ける、
② 丁 丙 レ 二 一 乙 甲
といふ「返り点」は、
② 我不必求以解中文解漢文。
といふ「漢文の、補足構造」を表してはゐない
令和02年03月22日、毛利太。

2020年3月21日土曜日

「括弧」と「返り点」(21)―「括弧」と「管到」(Ⅲ)―

(01)
Pater =父は(主格)
dat   =与へる(三単現)
filio =息子に(与格)
librum=本を(対格)
である。
従って、
(01)により、
(02)
① Pater dat(filo librum).
に於いて、
dat( )⇒( )dat
といふ「移動」を行ふと、
① Pater dat(filo librum)⇒
① Pater(filo librum)dat =
① 父は (息子に本を)与へる。
といふ「語順」になる。
然るに、
(03)
① Pater dat(filo librum).
から、
① Pater
を除いても、
①    dat(filo librum).
は、「ラテン語」として「正しい」ものの、
① Pater dat(filo librum).
から、
①       dat
を除いた、
① Pater   (filo librum).
は、「ラテン語」として「正しく」ない
然るに、
(04)
同様なことは、
① 父与(息子本)。
といふ「漢文」に於いても、さうである。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① Pater dat(filo librum).
① 父与(息子本)。
の場合は、両方とも、
① Pater
① 父
といふ「語」ではなく、
① dat
① 与
といふ「語」が、
①(filo librum).
①(息子本)。
といふ「2つの語」に係ってゐる
然るに、
(06)
管到というのは「上の語が、下のことばのどこまでかかるか」ということである。なんのことはない。諸君が古文や英語の時間でいつも練習している、あの「どこまでかかるか」である。漢文もことばである以上、これは当然でてくる問題である(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年、389頁)。
従って、
(06)により、
(07)
管到というのは「(横書きであれば)の語が、のことばのどこまでかかるか」ということである。
従って、
(05)(07)により、
(08)
① Pater dat(filo librum).
① 父与(息子本)。
の場合は、両方とも、
① dat
① 与
といふ「語」が、
①(filo librum).
①(息子本)。
といふ「2つの語」に「管到」してゐる。
従って、
(09)
① dat(filo librum).
① 与(息子本)。
に於ける、
①( )
①( )
といふ「括弧」は、「管到」を表してゐる。
然るに、
(10)
「漢文」とは異なり、「ラテン語」の場合は、例へば、
② Filio dat librum pater.
であっても、「その語順」ではなく、「その語形」から、
② 父は息子に本を与へる。
といふ「意味」である。。
然るに、
(11)
②  Filio(dat[librum〔pater)〕].
に於いて、
 Filio( )⇒( )Filio
  dat[ ]⇒[ ]dat
librum〔 〕⇒〔 〕librum
といふ「移動」を行ふと、
②  Filio(dat[librum〔pater)〕]⇒
②  ([〔pater)Filio〕librum]dat=
②  ([〔父は)息子に〕本を]与へる。
といふ「語順」になる。
従って、
(11)により、
(12)
②  息子(与[本〔父)〕].
に於いて、
 息子( )⇒( )息子
  与[ ]⇒[ ]与
  本〔 〕⇒〔 〕本
といふ「移動」を行ふと、
②  息子(与[本〔父)〕]⇒
②  ([〔父)息子〕本]与=
②  ([〔父は)息子に〕本を]与へる。
といふ「語順」になる。
然るに、
(13)
①( )
①( )
は「括弧」であるが、
②([〔 )〕]
は「括弧」ではない
加へて、
(14)
② 息子与本於父。
といふ「語順」が有って、この場合は。
② 息子与〔本於(父)〕⇒
② 息子は〔本を(父)に〕与へる。
といふ「意味」である。
従って、
(01)~(14)により、
(15)
① Pater dat filo librum.
といふ「ラテン語」の「管到」は、「括弧」で表すことが出来ても、
② Filio dat librum pater.
といふ「ラテン語」の「管到」は、「括弧」で表すことが出来ない
然るに、
(16)
「漢文」の場合は、「ラテン語」とは異なり、
① 父は(息子に本を)与へる。
といふ「意味」を表す「語順」は、
① 父与(息子本)。
といふ「語順」しか無い。
従って、
(15)(16)により、
(17)
  「漢文の語順」と「日本語の語順」の「関係」は、
「ラテン語の語順」と「日本語の語順」の「関係」と、「同じ」ではない
令和02年03月21日、毛利太。

「括弧」と「返り点」(20)―「括弧」と「管到」(Ⅱ)―。

(01)
① 3{2(1)}。
に於いて、
3{ }⇒{ }3
2( )⇒( )2
といふ「移動」を行ふと、
① 3{2(1)}⇒
① 〔(1)2〕3=
①     1<2<3。
といふ「並び替へ(ソート)」を行ふことになる。
(02)
② 2(3{1)}。
に於いて、
2( )⇒( )2
3{ }⇒{ }3
といふ「移動」を行ふと、
② 2(3{1)}⇒
②({1) 2}3=
②     1<2<3。
といふ「並び替へ(ソート)」を行ふことになる。
然るに、
(01)(02)により、
(03)
①{( )}
②({ )}
に於いて、
① は「括弧」であるが、
② は「括弧」ではない。
(04)
③ 7[3〔2(1)〕5(4)6]。
に於いて、
7[ ]⇒[ ]7
3〔 〕⇒〔 〕3
2( )⇒( )2
5( )⇒( )5
といふ「移動」を行ふと、
③ 7[3〔2(1)〕5(4)6]⇒
③ [〔(1)2〕3(4)56]7=
③    1<2<3<4<5<6<7。
といふ「並び替へ(ソート)」を、行ふことになる。
(05)
④ 3〔7{2(5[1)〕4]6}。
に於いて、
3〔 〕⇒〔 〕3
7{ }⇒{ }7
2( )⇒( )2
5[ ]⇒[ ]5
といふ「移動」を行ふと、
④ 3〔7{2(5[1)〕4]6}⇒
④ 〔{([1)2〕34]56}7=
④    1<2<3<4<5<6<7。
といふ「並び替へ(ソート)」を、行ふことになる。
然るに、
(06)
③[〔( )〕( )]
④  〔{([ )〕]}
に於いて、
③ は「括弧」であるが、
④ は「括弧」ではない。
従って、
(01)~(06)により、
(07)
「括弧」は、
② n+1<n+m>n(nは、0より大きい整数で、mは1より大きい整数である。)
といふ「順番」を、含んでゐないのであれば、そのときに限って、「その順番」を、
② 1<2<3<4<5<6<7<8<9・・・・・・
といふ「順番」に「並び替へる」ことが、出来る。
然るに、
(08)
(a)1<2<3
(b)1 3>2
(c)2>1<3
(d)2<③>1
(e)3>1<2
(f)3>2<1
然るに、
(09)
(a)1<2<3
の場合は、そのままで、
(a)1<2<3
である。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
「3桁の順番」であれば、
(d)2<③>1
だけが、「括弧」を用ひて、
② 1<2<3
といふ「順番」に「並び替へる」ことが、出来ない。
然るに、
(11)
「4桁」になると、
(a)1 2 3
(b)1 3 2
(c)2 1 3
(d)2 3 1
(e)3 1 2
(f)3 2 1
に於いて、
(a)1 2 3
であるならば、
(a)4 1 2 3
(〃)1 4 2 3
(〃)1 2 4 3
(〃)1 2 3 4
である。
従って、
(11)により、
(12)
(a)は「4倍」になり、
(b)も「4倍」になり、
(c)も「4倍」になり、
(d)も「4倍」になり、
(e)も「4倍」になり、
(f)も「4倍」になる。
従って、
(11)(12)により、
(13)
「3桁」が「6通リ」ならば、
「4桁」は「6×4=24通リ」である。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
「3桁」が「6通リ」ならば、
「4桁」は「6×4=24通リ」であり、
「5桁」は「24×5=120通り」であり、
「6桁」は「120×6=720通り」である。
従って、
(14)により、
(15)
「n桁」であれば、「nの階乗(n!)通り」である。
然るに、
(16)
① 無非欲不揮快刀不断乱麻者。
の場合は、「12文字」であるため、「12桁」に相当する。
従って、
(11)(15)(16)により、
(17)
「3桁」であれば、
(a)1 2 3
(b)1 3 2
(c)2 1 3
(d)2 3 1
(e)3 1 2
(f)3 2 1
といふ風に、
①(3×2×1)通り。
であるのに対して、
⑩ 無非欲不揮快刀不断乱麻者
といふ「12個の漢字」を、「並べる」のであれば、
⑩(12×11×10×9×8×7×6×5×4×3×2×1)通り。
を、「調べる」ことになるが、もちろん、そんなことは、「人力(man power)」では「無理」である。
然るに、
(18)
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
に於いて、
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
の場合は、
(Ⅰ)二 一
(〃)三 二 一
(〃)下 中 上
(〃)丙 乙 甲
(〃)人 地 天
と、「同じ」である。
従って、
(18)により、
(19)
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
といふ「返り点」が表す「順番」は、
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅱ)上 中 下
(Ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅳ)天 地 人
といふ「返り点」が表す「順番」に、「等しい」。
然るに、
(20)
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅱ)上 中 下
(Ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅳ)天 地 人
または、
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅱ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)天 地 人
に於いて、
(Ⅰ)を挟んで返る場合には、
(Ⅱ)を用ひ、
(Ⅱ)を挟んで返る場合には、
(Ⅲ)を用ひ、
(Ⅲ)を挟んで返る場合には、
(Ⅳ)を用ひる。
といふ『ルール』が有る。
然るに、
(21) 

cf.
① 快刀を揮ふ。
② 快刀を揮はんと欲す。
③ 快刀を揮って乱麻を断たんと欲す。
④ 快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
⑤ 快刀を揮って乱麻を断たんと欲する者に非ず。
⑥ 快刀を揮はずして乱麻を断たんと欲する者に非ず。
⑦ 快刀を揮って乱麻を断たざらんと欲する者に非ず。
⑧ 快刀を揮はずして乱麻を断たざらんと欲する者に非ず。
⑨ 快刀を揮はずして乱麻を断たざらんと欲する者に非ざるは無し。
従って、
(20)(21)により、
(22)
① 二 一
② 三 二 一
③ 下 二 一 中 上
④ 丁 丙 二 一 乙 甲
⑤ 乙 下 二 一 中 上 甲
⑥ 乙 下 三 二 一 中 上 甲
⑦ 地 丁 二 一 丙 乙 甲 天
⑧ 地 丁 三 二 一 丙 乙 甲 天
⑨ 人 地 丁 三 二 一 丙 乙 甲 天
といふ「返り点」は、『ルール』を、満たしてゐる。
然るに、
(23)
① 二 一。
② 三 二 一。
③ 下 二 一 中 上。
④ 丁 丙 二 一 乙 甲。
⑤ 乙 下 二 一 中 上 甲。
⑥ 乙 下 三 二 一 中 上 甲。
⑦ 地 丁 二 一 丙 乙 甲 天。
⑧ 地 丁 三 二 一 丙 乙 甲 天。
⑨ 人 地 丁 三 二 一 丙 乙 甲 天。
といふ「それ」は、「返り点」そのものではなく、「返り点が付いてゐる、漢字」であるとする。
然るに、
(24)
① 二 # 一。
② 三 # 二 # 一。
③ 下 # 二 # 一 # 中 # 上。
④ 丁 # 丙 # 二 # 一 # 乙 # 甲。
⑤ 乙 # 下 # 二 # 一 # 中 # 上 # 甲。
⑥ 乙 # 下 # 三 # 二 # 一 # 中 # 上 # 甲。
⑦ 地 # 丁 # 二 # 一 # 丙 # 乙 # 甲 # 天
⑧ 地 # 丁 # 三 # 二 # 一 # 丙 # 乙 # 甲 # 天。
⑨ 人 # 地 # 丁 # 三 # 二 # 一 # 丙 # 乙 # 甲 # 天。
に於いて、「#」は、「n(n≧0)個以上の、返り点が、付いてゐない、漢字」であるとする。
従って、
(23)(24)により、
(25)
⑨ 人 # 地 # 丁 # 三 # 二 # 一 # 丙 # 乙 # 甲 # 天。
に於いて、
⑨ n=1
であるならば、
⑨ J 1 I 2 F 3 8 4 7 5 6 9 E A D B C G H。
といふ「順番(19個の、20進数)」で「読む」ことになる。
然るに、
(26)
⑨ J〈1 I{2 F[3 8〔4 7(5 6)〕9 E〔A D(B C)〕]G H}〉。
に於いて、
J〈 〉⇒〈 〉J
I{ }⇒{ }I
F[ ]⇒[ ]F
8〔 〕⇒〔 〕8
7( )⇒( )7
E〔 〕⇒〔 〕E
D( )⇒( )D
といふ「移動」を行ふと、
⑨ 〈1 {2 [3 〔4 (5 6)7〕89 〔A (B C)D〕E]FG H}I〉J=
⑨  1<2<3<4<5<6<7<8<9<A<B<C<D<E<F<G<H<I<J。
といふ「並び替へ(ソート)」を行ふことになる。
然るに、
(24)(25)(26)により、
(27)
かうした「並び替へ(ソート)」は、
n=  0 であっても、
n= 10 であっても、
n=100 であっても、「同様」に、「可能」である。
従って、
(07)(23)~(27)により、
(28)
少なくとも、
① 二 一
② 三 二 一
③ 下 二 一 中 上
④ 丁 丙 二 一 乙 甲
⑤ 乙 下 二 一 中 上 甲
⑥ 乙 下 三 二 一 中 上 甲
⑦ 地 丁 二 一 丙 乙 甲 天
⑧ 地 丁 三 二 一 丙 乙 甲 天
⑨ 人 地 丁 三 二 一 丙 乙 甲 天
といふ「返り点」で表すことが出来る「順番」は、
① 二(一)
② 三〔二(一)〕
③ 下〔二(一)中(上)〕
④ 丁[丙〔二(一)乙(甲)〕]
⑤ 乙[下〔二(一)中(上)〕甲]
⑥ 乙{下[三〔二(一)〕中(上)]甲}
⑦ 地{丁[二(一)丙〔乙(甲)〕]天}
⑧ 地{丁[三〔二(一)〕丙〔乙(甲)〕]天}
⑨ 人〈地{丁[三〔二(一)〕丙〔乙(甲)〕]天}〉
といふ「括弧」で表すことが出来る「順番」に「等しい」。
然るに、
(29)
「返り点」といふのは、
「(横書きであれば、)右から左へ、返る点」であって、
「(横書きであれば、)からへ、戻る点」ではない
然るに、
(30)
⑩ 二 三 一
であれば、
⑩ 一 から、
⑩ 二 へ「返って」、次に、
⑩ 二 から、
⑩ 三 へ、「戻ってゐる」。
従って、
(07)(20)(29)(30)により、
(31)
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
だけを用ひる場合であっても、
⑩ 二<三>一
のやうな、
⑩ n+1<n+m>n(nは、0より大きい整数で、mは1より大っきい整数である。)
といふ「順番」は、有り得ない。
然るに、
(32)
⑪ 下 二 一 上
といふ「順番」は、
⑪ 4 2 1 3
であるが、
⑫ 二 下 上 一
⑬ 二 下 一 上
⑭ 下 二 上 一
といふ「順番」は、
⑫ 2<4>3 1
⑬ 2<4>1 3
⑭ 4 2<3>1
である。
然るに、
(20)により、
(33)
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅱ)上 中 下
(Ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅳ)天 地 人
または、
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅱ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)天 地 人
に於いて、
(Ⅰ)を挟んで返る場合には、
(Ⅱ)を用ひ、
(Ⅱ)を挟んで返る場合には、
(Ⅲ)を用ひ、
(Ⅲ)を挟んで返る場合には、
(Ⅳ)を用ひる。
といふ『ルール』に従ふ限り、
(Ⅳ)は、
(Ⅰ)
(Ⅱ)
(Ⅲ)
の間には、「現れない」し、
(Ⅲ)は、
(Ⅰ)
(Ⅱ)
の間には、「現れない」し、
(Ⅱ)は、
(Ⅰ)
の間には、「現れない」。
従って、
(33)により、
(34)
例へば、
⑫ 二 下 上 一
⑬ 二 下 一 上
⑭ 下 二 上 一
といふ「順番」は、
⑫ 2<4>3 1
⑬ 2<4>1 3
⑭ 4 2<3>1
であるものの、その一方で、
⑫ 二 下 上 一
⑬ 二 下 一 上
⑭ 下 二 上 一
といふ「返り点」自体が、有り得ない。
従って、
(07)(19)(20)(28)~(34)により、
(35)
① 二 一
② 三 二 一
③ 下 二 一 中 上
④ 丁 丙 二 一 乙 甲
⑤ 乙 下 二 一 中 上 甲
⑥ 乙 下 三 二 一 中 上 甲
⑦ 地 丁 二 一 丙 乙 甲 天
⑧ 地 丁 三 二 一 丙 乙 甲 天
⑨ 人 地 丁 三 二 一 丙 乙 甲 天
といふ「返り点」で表すことが出来る「順番」だけでなく、
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
といふ「返り点」が表し得る「順番」は、「括弧」が表し得る「順番」に、「等しい」。
然るに、
(36)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
然るに、
(37)
例へば、
⑨ 夫子非{必欲[不〔揮(快刀)〕不〔断(乱麻)〕]者}而已矣。
といふ「作例」に於いて、
非{ }⇒{ }非
欲[ ]⇒[ ]欲
不〔 〕⇒〔 〕不
揮( )⇒( )揮
不〔 〕⇒〔 〕不
断( )⇒( )断
といふ「移動」を行ふと、
⑨ 夫子非{必欲[不〔揮(快刀)〕不〔断(乱麻)〕]者}而已矣⇒
⑨ 夫子{必[〔(快刀)揮〕不〔(乱麻)断〕不]欲者}非而已矣=
⑨ 夫子は{必ずしも[〔(快刀を)揮は〕ずして〔(乱麻を)断た〕ざらんと]欲する者に}非ざるのみ。
といふ「訓読」を、行ふことが、出来る。
従って、
(37)により、
(38)
例へば、
⑨ 夫子非{必欲[不〔揮(快刀)〕不〔断(乱麻)〕]者}而已矣。
といふ「漢文」に於ける、
⑨{ [ 〔 ( ) 〕〔 ( ) 〕 ] }
といふ「括弧」は、
(ⅰ)「漢文の、補足構造」と、「同時」に、
(ⅱ)「漢文訓読、の語順」を、表してゐる。
従って、
(39)
括弧」は、ただ単に
(ⅱ)「漢文訓読、の語順」だけを、表してゐる。
といふ、わけではない
然るに、
(40)
管到というのは「上の語が、下のことばのどこまでかかるか」ということである。なんのことはない。諸君が古文や英語の時間でいつも練習している、あの「どこまでかかるか」である。漢文もことばである以上、これは当然でてくる問題である(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年、389頁)。
然るに、
(41)
⑦ 欲〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
であれば、
⑦ 欲 は、
⑦  〔揮(快刀)断(乱麻)〕までに係ってゐて
⑦     揮 は、
⑦       (快刀)までに係ってゐて
⑦         断 は、
⑦                 (乱麻)までに係ってゐる
従って、
(38)(40)(41)により、
(42)
例へば、
⑨ 夫子非{必欲[不〔揮(快刀)〕不〔断(乱麻)〕]者}而已矣。
といふ「漢文」に於ける、
⑨{ [ 〔 ( ) 〕〔 ( ) 〕 ] }
といふ「括弧」は、
(ⅰ)「漢文の、補足構造」と、
(ⅱ)「漢文訓読、の語順」と、
(ⅲ)「漢文の、管到」を、表してゐる。
従って、
(42)により、
(43)
例へば、
⑨ 夫子非必欲不揮快刀不断乱麻者而已矣。
といふ「漢文」の「管到」が分からなければ、
⑨ 夫子非{必欲[不〔揮(快刀)〕不〔断(乱麻)〕]者}而已矣。
といふ「括弧」を、付けることは、出来ないし、「括弧」を付けることが、出来ないのであれば、
⑨ 夫子は{必ずしも[〔(快刀を)揮は〕ずして〔(乱麻を)断た〕ざらんと]欲する者に}非ざるのみ。
といふ「訓読」も、出来ない。
従って、
(44)
「漢文の白文」が「読める」ようになることは、私が思ふに、「漢文の白文」に、「括弧」を付けれるようになることである。
従って、
然るに、
(45)
(青木)二百年前、正徳の昔に於て荻生徂徠は夙に道破した。漢学の授業法はまず支那語から取りかからねばならぬ。教うるに俗語を以てし、誦するに支那音を以てし、訳するに日本の俗語を以てし、決して和訓廻環の読み方をしてはならぬ。先ず零細な二字三字の短句から始めて、後には纏った書物を読ませる、斯くて支那語が熟達して支那人と同様になつてから、而る後段々と経子史集四部の書を読ませると云う風にすれば破竹の如しだ、是が最良の策だ(勉誠出版、「訓読」論、2008年、56頁)。
(倉石)徂徠は、単に唐音を操るといふ様なことに満足せず、漢文を学ぶには先ず支那語からとりかり、支那の俗語をば支那語で暗誦させ、これを日本語の俗語に訳し、決して和訓の顚倒読みをしてはならない、始めは零細な二字三字の句から始めて、遂に纏った書物を読ます、支那語が支那人ほど熟達してから、古い書物を読ませば、破竹の勢いで進歩すると説いたこれは、今日の様に外国語に対する理念が発達した時代から見れば、何の不思議もないことであるが、その当時、つとに、かかる意見を吐いたのは、たしかに一世に抜きんでた見識に相違ない(勉誠出版、「訓読」論、2008年、56頁)。
然るに、
(46)
以前にも書いた通り、
中國以北京語爲國語矣。然、
若北京語非漢文也。是以、
中國語直読法雖盛、中華人民共和國語、不可以書中夏之書審矣。
如日本之学生有欲能書漢文者、則宜以括弧学其管到。
古、漢文之於日本語、猶古文之於日本語也。故、漢文亦日本語也。
学中國語、莫若音読、学漢文、莫若以訓読学之。
(47)
中國以(北京語)爲(國語)矣。然、
若(北京語)、非(漢文)也。是以、
中國語直読法雖(盛)中華人民共和國語不[可〔以書(中夏之書)〕]審矣。
如日本之学生有[欲〔能書(漢文)〕者]則宜〔以(括弧)学(其管到)〕。
古、漢文之於(日本語)、猶〔古文之於(日本語)〕也。故、漢文亦日本語也。
学(中國語)、莫〔若(音読)〕、学(漢文)、莫[若〔以(訓読)学(之)〕]。
(48)
中國は北京語を以て國語と爲せり。然れども、
北京語の若きは漢文に非ざるなり。是を以て、
中國語直読法は盛んなりと雖も、中華人民共和國語は以て中華の書を書く可から不ること審かなり。
如し日本の学生に能く漢文を書かむと欲する者有らば則ち、宜しく括弧を以て其の管到を学ぶべし。
古へ、漢文の日本語に於けるや、猶ほ古文の日本語のごときなり。故に、漢文も亦た日本語なり。
中國語を学ぶは、音読に若くは莫く、漢文を学ぶは、訓読を以て之を学ぶに若くは莫し。
といふのが、独学で漢文を学んでゐる、私の見解である。
令和02年03月21日、毛利太。

2020年3月20日金曜日

「括弧」と「返り点」(19)―「括弧」と「管到」―。

(01)

cf.
① 無非欲不揮快刀不断乱麻者。
は、もちろん、私による「作例」です。
(02)

cf.
⑨ 快刀を揮ふ。
⑧ 快刀を揮はんと欲す。
⑦ 快刀を揮って乱麻を断たんと欲す。
⑥ 快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
⑤ 快刀を揮って乱麻を断たんと欲する者に非ず。
④ 快刀を揮はずして乱麻を断たんと欲する者に非ず。
③ 快刀を揮って乱麻を断たざらんと欲する者に非ず。
② 快刀を揮はずして乱麻を断たざらんと欲する者に非ず。
① 快刀を揮はずして乱麻を断たざらんと欲する者に非ざるは無し。
然るに、
(03)
① 無〈非{欲[不〔揮(快刀)〕不〔断(乱麻)〕]者}〉。
に於いて、
無〈 〉⇒〈 〉無
非{ }⇒{ }非
欲[ ]⇒[ ]欲
不〔 〕⇒〔 〕不
揮( )⇒( )揮
不〔 〕⇒〔 〕不
断( )⇒( )断
といふ「移動」を行ふと、
① 無〈非{欲[不〔揮(快刀)〕不〔断(乱麻)〕]者}〉⇒
① 〈{[〔(快刀)揮〕不〔断(乱麻)〕不]欲者}非〉無=
① 〈{[〔(快刀を)揮は〕ずして〔(乱麻を)断た〕ざらんと]欲する者に}非ざるは〉無し。
といふ「訓読」を行ふことが、出来る。
然るに、
(04)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
⑨       揮(快刀)。
⑧     欲〔揮(快刀)〕。
⑦     欲〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
⑥   不[欲〔揮(快刀)断(乱麻)〕]。
⑤   非[欲〔揮(快刀)断(乱麻)〕者]。
④   非{欲[不〔揮(快刀)〕断(乱麻)]者}。
③   非{欲[揮(快刀)不〔断(乱麻)〕]者}。
②   非{欲[不〔揮(快刀)〕不〔断(乱麻)〕]者}。
① 無〈非{欲[不〔揮(快刀)〕不〔断(乱麻)〕]者}〉。
に於ける、
⑨       ( )
⑧     〔 ( ) 〕
⑦     〔 ( )( ) 〕
⑥    [ 〔 ( )( ) 〕 ]
⑤    [ 〔 ( )( ) 〕 ]
④  { [ 〔 ( )〕( ) ] }
③  { [ ( )〔 ( )〕 ] }
②  { [ 〔 ( )〕〔 ( ) 〕 ] }
①〈 { [ 〔 ( )〕〔 ( ) 〕 ] } 〉
といふ「括弧」は、それぞれが、
⑨    揮快刀。
⑧   欲揮快刀。
⑦   欲揮快刀断乱麻。
⑥  不欲揮快刀断乱麻。
⑤  非欲揮快刀断乱麻者。
④  非欲不揮快刀断乱麻者。
③  非欲揮快刀不断乱麻者。
②  非欲不揮快刀不断乱麻者。
① 無非欲不揮快刀不断乱麻者。
といふ「漢文」の、「補足構造」を表してゐる。
従って、
(05)により、
(06)
「漢文(⑨~①)」に、「括弧」が無いのであれば、
「漢文(⑨~①)」には「補足構造」が無い
然るに、
(07)
「漢文(⑨~①)」には「補足構造」が有る
従って、
(06)(07)により、
(08)
「漢文(⑨~①)」には、
⑨       揮(快刀)。
⑧     欲〔揮(快刀)〕。
⑦     欲〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
⑥   不[欲〔揮(快刀)断(乱麻)〕]。
⑤   非[欲〔揮(快刀)断(乱麻)〕者]。
④   非{欲[不〔揮(快刀)〕断(乱麻)]者}。
③   非{欲[揮(快刀)不〔断(乱麻)〕]者}。
②   非{欲[不〔揮(快刀)〕不〔断(乱麻)〕]者}。
① 無〈非{欲[不〔揮(快刀)〕不〔断(乱麻)〕]者}〉。
といふ「括弧が、無ければ、ならない
然るに、
(09)
Q. ラテン語語順自由さについて
Q. 突然のメールで恐縮ですが、私がラテン語学習で感じた感想を述べさせてください。ラテン語学習で私が特に(接続法の次に)面食らったのが、語順の自由さです。
古代ローマの人たちは、この語順をはたしてどのように受け止めていたのでしょうか。
例えば、こういう一節があります。
Parva necat morsū spatiōsum vīpera taurum.
順通りの訳は「小さいのが、殺す、一咬みで、大きいのを、蛇が、牛を。」となります。
私はロシア語を長年学習していたこともあり、格変化などについてはほぼ理解できていますが、それにしてもこの語順は、人間の自然な言語としてはおよそ信じられないほどに出鱈目です。
(山下太郎のラテン語入門)
従って、
(09)により、
(10)
⑩ Parva necat morsū spatiōsum vīpera taurum.
といふ「ラテン語」が、
⑩ 小さい蛇が、一咬みで、大きい牛を殺す。
とといふ「意味」であったとしても、「その語」ではなく、「その語」が、
⑩ 小さい蛇(主語)が、一咬みで(副詞句)、大きい牛(目的語)を殺す(動詞)。
といふ「意味」を表してゐる。
然るに、
(11)
漢文」であれば、
⑩ 小蛇以(一咬)殺(大牛)。
といふ「語順」を「変へ」て、
⑩ 小 殺 一咬 大 蛇 牛。
とするならば、
⑩ 小さい蛇(主語)が、一咬みで(副詞句)、大きい牛(目的語)を殺す(動詞)。
といふ「意味」には、決して、ならない
従って、
(04)(11)により、
(12)
⑩ Parva necat morsū spatiōsum vīpera taurum.
といふ「ラテン語」には、「括弧」が無い「代はり」に、「語の別」が有って
⑩ 小蛇以(一咬)殺(大牛)。
といふ「漢文」には、「括弧」が有る「代はり」に、「語の別」が無い
といふ、ことになる。
然るに、
(13)
漢語におけるこのような表現のしかたは、単語の間の関係を文法的な形式によって示すことを重んじている西欧の言語になれている人にとっては、まことに奇妙なことに思われるものと考えられる。カールグレン氏は、その著書《中国の言語》において、このような奇妙な孤立的な漢語の文法は、「非常に貧弱なものであり」、「漢語においては、文法的な分析は、あまり役に立たず、実際に役立つのは、広い読書を通じて習得した経験、つまり、中国人がどのようにして文をつくりあげているかということに対する感覚が、唯一のものである」と説き、更に、漢語の文の意味を理解するためには、「豊富な直観が、必要である」とも述べている(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、293頁)。
(14)
① 無非欲不揮快刀不断乱麻者。
のやうな「漢文」には、「ラテン語の文法」のやうな「文法」は無いので、「語順」だけが、「漢文の文法」である。
といふ風に、言へないこともない。
(15)
管到というのは「上の語が、下のことばのどこまでかかるか」ということである。なんのことはない。諸君が古文や英語の時間でいつも練習している、あの「どこまでかかるか」である。漢文もことばである以上、これは当然でてくる問題である(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年、389頁)。
然るに、
(16)
⑦ 欲〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
であれば、
⑦ 欲 は、
⑦  〔揮(快刀)断(乱麻)〕までに係ってゐて
⑦     揮 は、
⑦       (快刀)までに係ってゐて
⑦         断 は、
⑦                 (乱麻)までに係ってゐる
従って、
(17)
「漢文に、括弧は有ります!」といふ「言ひ方」は、
「漢文に、管到は有ります!」といふ「言ひ方」と、「同じ」である。
従って、
(15)(16)(17)により、
(18)
漢文に、括弧は有ります!」。
令和02年03月20、毛利太。

2020年3月19日木曜日

「括弧」と「返り点」(18)。

(01)
① 3{2(1)}。
に於いて、
3{ }⇒{ }3
2( )⇒( )2
といふ「移動」を行ふと、
① 3{2(1)}⇒
① 〔(1)2〕3=
①     1<2<3。
といふ「並び替へ(ソート)」を行ふことになる。
(02)
② 2(3{1)}。
に於いて、
2( )⇒( )2
3{ }⇒{ }3
といふ「移動」を行ふと、
② 2(3{1)}⇒
②({1) 2}3=
②     1<2<3。
といふ「並び替へ(ソート)」を行ふことになる。
然るに、
(01)(02)により、
(03)
①{( )}
②({ )}
に於いて、
① は「括弧」であるが、
② は「括弧」ではない。
(04)
③ 7[3〔2(1)〕5(4)6]。
に於いて、
7[ ]⇒[ ]7
3〔 〕⇒〔 〕3
2( )⇒( )2
5( )⇒( )5
といふ「移動」を行ふと、
③ 7[3〔2(1)〕5(4)6]⇒
③ [〔(1)2〕3(4)56]7=
③    1<2<3<4<5<6<7。
といふ「並び替へ(ソート)」を、行ふことになる。
(05)
④ 3〔7{2(5[1)〕4]6}。
に於いて、
3〔 〕⇒〔 〕3
7{ }⇒{ }7
2( )⇒( )2
5[ ]⇒[ ]5
といふ「移動」を行ふと、
④ 3〔7{2(5[1)〕4]6}⇒
④ 〔{([1)2〕34]56}7=
④    1<2<3<4<5<6<7。
といふ「並び替へ(ソート)」を、行ふことになる。
然るに、
(06)
③[〔( )〕( )]
④  〔{([ )〕]}
に於いて、
③ は「括弧」であるが、
④ は「括弧」ではない。
従って、
(01)~(06)により、
(07)
「括弧」は、
② n+1<n+m>n(nは、0より大きい整数で、mは1より大っきい整数である。)
といふ場合には、その「順番」を、
といふ「順番」を、含んでゐないのであれば、そのときに限って、「その順番」を、
② 1<2<3<4<5<6<7<8<9・・・・・・
といふ「順番」に、「並び替へ」ることが、出来る。
然るに、
(08)
(a)1 2 3 4
(b)1 2 4 3
(c)1 3 2 4
(d)1 3 ④ 2
(e)1 4 2 3
(f)1 4 3 2
(g)2 1 3 4
(h)2 1 4 3
(i)2 ③ 1 4
(j)2 ③ ④ 1
(k)2 ④ 1 3
(l)2 ④ ③ 1
(m)3 1 2 4
(n)3 1 ④ 2
(o)3 2 1 4
(p)3 2 ④ 1
(q)3 ④ 1 2
(r)3 ④ 2 1
(s)4 1 2 3
(t)4 1 3 2
(u)4 2 1 3
(v)4 2 ③ 1
(w)4 3 1 2
(x)4 3 2 1
従って、
(07)(08)により、
(09)
「24通り」の内の、
(d)1 3 ④ 2
(i)2 ③ 1 4
(j)2 ③ ④ 1
(k)2 ④ 1 3
(l)2 ④ ③ 1
(n)3 1 ④ 2
(p)3 2 ④ 1
(q)3 ④ 1 2
(r)3 ④ 2 1
(v)4 2 ③ 1
といふ「10通り」に対しては、「括弧」を加へることは、出来ない。
然るに、
(10)
  「1234」のやうな「1バイト文字」に対して、
「1234」のやうな「2バイト文字」は、
「1234」であれば「8文字」であるとする。
従って、
(10)により、
(11)
(d)1 3 ④ 2
(i)2 ③ 1 4
(j)2 ③ ④ 1
(k)2 ④ 1 3
(l)2 ④ ③ 1
(n)3 1 ④ 2
(p)3 2 ④ 1
(q)3 ④ 1 2
(r)3 ④ 2 1
(v)4 2 ③ 1
に対して、敢へて、「返り点」を付けるとしたら、
(d)# 二 三 一
(i)二 三 一 #
(j)二 三 四 一
(k)二 下 一 上
(l)二 四 三 一
(n)三 一 四 二
(p)上 二 下 一
(q)二 三 # 一
(r)三 四 二 一
(v)下 二 上 一
であるものの、「(縦書きであれば)から戻る点」は、「返り点」ではないため、これらは全て、「返り点」ではない
然るに、
(12)
(a)1 2 3 4
の場合は、初めから、
(a)1<2<3<4
である。
然るに、
(13)
(b)1 2 4(3)
(c)1 3(2)4
(e)1 4(2 3)
(f)1 4〔3(2)〕
(g)2(1)3 4
(h)2(1)4(3)
(m)3(1 2)4
(o)3〔2(1)〕4
(s)4(1 2 3)
(t)4〔1 3(2)〕
(u)4〔2(1)3〕
(w)4〔3(1 2)〕
(x)4[3〔2(1)〕]
に対して、
(b)1 2 二(一)
(c)1 二(一)4
(e)1 二(2 一)
(f)1 三〔二(一)〕
(g)二(一)3 4
(h)二(一)二(一)
(m)二(1 一)4
(o)三〔二(一)〕4
(s)三(1 2 一)
(t)三〔1 二(一)〕
(u)下〔二(一)上〕
(w)三〔二(1 一)〕
(x)四[三〔二(一)〕]
である。
然るに、
(14)
(Ⅰ)レ
下の一字から上の一字に返る場合に用いる。
(原田種成、私の漢文講義、1995年、41頁)
といふ「ルール」を「無視」すれば、「返り点」は、
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
といふ「返り点」が表す「順番」に「等しい」。
従って、
(01)~(14)により、
(15)
(a)1 2 3 4
(b)1 2 4 3
(c)1 3 2 4
(d)1 3 ④ 2
(e)1 4 2 3
(f)1 4 3 2
(g)2 1 3 4
(h)2 1 4 3
(i)2 ③ 1 4
(j)2 ③ ④ 1
(k)2 ④ 1 3
(l)2 ④ ③ 1
(m)3 1 2 4
(n)3 1 ④ 2
(o)3 2 1 4
(p)3 2 ④ 1
(q)3 ④ 1 2
(r)3 ④ 2 1
(s)4 1 2 3
(t)4 1 3 2
(u)4 2 1 3
(v)4 2 ③ 1
(w)4 3 1 2
(x)4 3 2 1
といふ「4桁の全ての、順番」に於いて、「括弧が表すことが出来る順番」は、「返り点が表すことが出来る順番」に、「等しい」。
然るに、
(16)
「5桁の全ての、順番」は、「120通り」なので、「今と同じ方法」でやると、「途中で、嫌になる」。
然るに、
(17)
「5桁の全ての、順番」ではなく、
「3桁の全ての、順番」であれば、
(a)1<2<3
(b)1 3>2
(c)2>1<3
(d)2<③>1
(e)3>1<2
(f)3>2<1
であって、
(b)1 3(2)
(c)2(1)3
(e)3(1 2)
(f)3〔2(1)〕
である。
従って、
(17)により、
(18)
(b)1 3(2)
(c)2(1)3
(e)3(1 2)
(f)3〔2(1)〕
であって、
(b)1 二(一)
(c)二(一)3
(e)二(1 一)
(f)三〔二(一)〕
である。
従って、
(03)(17)(18)により、
(19)
(a)1<2<3
(b)1 3>2
(c)2>1<3
(d)2<③>1
(e)3>1<2
(f)3>2<1
といふ「3桁の全ての、順番」に於いて、「括弧が表すことが出来る順番」は、「返り点が表すことが出来る順番」に、「等しい」。
従って、
(15)(19)により、
(20)
「3桁の全ての、順番」に於いて、「括弧が表すことが出来る順番」は、「返り点が表すことが出来る順番」に「等しく」、
「4桁の全ての、順番」に於いて、「括弧が表すことが出来る順番」は、「返り点が表すことが出来る順番」に「等しい」。
従って、
(20)により、
(21)
数学が得意な方であれば、「数学的帰納法」によって、
「4桁の全ての、順番」に於いて、「括弧が表すことが出来る順番」は、「返り点が表すことが出来る順番」に「等しく」、
「5桁の全ての、順番」に於いて、「括弧が表すことが出来る順番」は、「返り点が表すことが出来る順番」に「等しい」。
といふことを、「証明」出来るに、違ひない。
令和02年03月19日、毛利太。

「括弧」と「返り点」(17)― レ点と、丸括弧 ―。

(01)
(1)レ
下の一字から上の一字に返る場合に用いる。
(2)一二点(一・二・三・・・・・・)二字以上隔てて返る場合。
(原田種成、私の漢文講義、1995年、41・42頁改)
従って、
(01)により、
(02)
① 読書 =書を読む。
② 読漢文=漢文を読む。
であれば、
① 読書。
② 読漢文
である。
然るに、
(03)
② 漢‐文
のやうに、「‐(接続線)」を用ひるならば、
② 漢‐文
は「2字」ではなく、「1字」と「見做す」ことが、出来る。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 読書。
② 読漢文
ではなく、
① 読書。
② 読漢‐文。
である。
然るに、
(05)
②(漢文)
のやうに、「括弧」を用ひるならば、
②(漢文)
は「2字」ではなく、「1字」と「見做す」ことが、出来る。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① 読書。
② 読漢‐文。
であると「同時」に、
① 読書。
② 読(漢文)である。
然るに、
(07)
② ( ) は、
② 二 一 であると、「見做す」ことが出来る。
従って、
(06)(07)により、
(08)
① 読書。
② 読(漢文)。
であると「同時」に、
① 読書。
② 読レ二漢文
である。
然るに、
(09)
丸括弧内の文字列は、丸括弧外の文字列との関係においては一字として扱う。
丸括弧の導入により、一二点・上下点などの各種の返り点は不要となり、レ点のみで用が足りる。
(松山厳、漢文訓読の返り点に括弧を導入して構造化する試み、2014年)
従って、
(08)(09)により、
(10)
松山先生の「それ」は、
① 読書。
② 読(漢文)。
であるが、その場合は、
① 読書 =動詞+補語。
② 読漢文=動詞+補語。
といふ「同一の、補足構造」に対して、
① レ
② レ( )
といふ、「2通りの表記」が有ることになる。
従って、
(10)により、
(11)
① 読書。
② 読(漢文)。
であるよりは、
① 読(書)。
② 読(漢文)。
である方が、望ましい
然るに、
(12)
① 読(書)。
に於いて、
読( )⇒( )読
といふ「移動」を行ふと、
① 読(漢文)⇒
①(書)読=
①(書を)読む。
(13)
② 読(漢文)。
に於いて、
読( )⇒( )読
といふ「移動」を行ふと、
② 読(漢文)⇒
②(漢文)読=
②(漢文を)読む。
然るに、
(14)
繰り返し、書いて来た通り、
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(12)(13)(14)より、
(15)
① 読(書)。
② 読(漢文)。
といふ「漢文」に於ける、
①( )
②( )
といふ「括弧」は、両方とも、「漢文補足構造」を表してゐる。
従って、
(10)(15)により、
(16)
松山先生の「それ」は、
① 読書。
② 読(漢文)。
であるが、その場合は、
① 読書 =動詞+補語。
② 読漢文=動詞+補語。
といふ「同一の、補足構造」に対して、
① レ
② レ( )
といふ、「2通りの表記」が、有ることになるし、仮に、
① レ( )
② レ( )
といふ風に、「統一」したとしても、
① レ
② レ
は、「不要」である。
然るに、
(17)

(松山厳、漢文訓読の返り点に括弧を導入して構造化する試み、2014年)を参照。
然るに、
(18)
一つには、
(ⅰ)「丸括弧」の「直上」には、必ず、「レ点」が有る。といふことからすれば、
(〃)「丸括弧」の「直上」に有る「レ点」は、「省略」出来る。
従って、
(17)(18)により、
(19)

(20)
一つには、
(ⅱ)「丸括弧」の「直上」に有る「レ点」を、「省略」した場合は、
(〃)(取捨)と(所以)に「レ点」が有ったものと、誤解を与へるため、
(〃)「取‐捨、所‐以」とする。
従って、
(19)(20)により、
(21)

然るに、
(22)
(ⅲ)「レ点」の「直下」には「丸括弧」が有るが、「省略」されてゐる。
従って、
(18)(22)により、
(23)

然るに、
(24)

従って、
(17)~(24)により、
(25)
① 百聞不(一見)。
② 不(以(千里)称)也。
③ 天帝(我長(百獣))。
④ 欲(取捨)之。
⑤ 君子不(以(其(所以)(養人)者)害人)。
⑥ 使(籍誠不(以(畜(妻子)憂(飢寒))乱心)有(銭財)以済(医薬))。
といふ、「漢文訓読の返り点に括弧を導入して構造化する試み」が表す「順番」は、
① 百聞不〔如(一見)〕。
② 不〔以(千里)称〕也。
③ 天帝使〔我長(百獣)〕。
④ 欲〔取‐捨(之)〕。
⑤ 君子不{以[其所‐以〔養(人)〕者]害(人)}。
⑥ 使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(心)]有(銭財)以済(医薬)}。
といふ「括弧」が表す「順番」に、「等しい」。
令和02年03月19日、毛利太。

2020年3月18日水曜日

「括弧」と「返り点」(16)―「括弧」は有ります!―。

―「話の流れ」を作るために、 先程(02年03月18日)の記事の「(01)~(09)」を繰り返します。―
(01)
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
に於いて、
④ の中には、1組以上の③が有り、
③ の中には、1組以上の②が有り、
② の中には、1組以上の①が有るならば、そのときに限って、「括弧」である。
従って、
(01)により、
(02)
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
に於いて、
① が無ければ、② は無く、
② が無ければ、③ は無く、
③ が無ければ、④ は無い。
従って、
(01)(02)により、
(03)
例へば、
①( )
②〔 ( )( ) 〕
③[ 〔 ( ) 〕 ]
④{ [ 〔 ( ) 〕( )] }
は、「括弧」である。
従って、
(03)により、
(04)
例へば、
① 我読(漢文)。
② 有〔揮(快刀)断(乱麻)者〕。
③ 耕者不[可〔以不(益急)〕]。
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}也。
に於いて、これらは、「漢文と括弧」である
(05)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}也。
に於いて、
非{ }
求[ ]
以〔 〕
解( )
解( )
の「5つの漢字」は、『括弧の直前の漢字』である。
然るに、
(06)
(ⅰ)「原則」として「からへ」読む。ただし、
(ⅱ)『括弧の直前の漢字』に関しては、各々の、「直後の括弧の中の全ての漢字」を、「読み終へた直後」に読む。
といふ「ルール」を、定めることにする。
従って、
(05)(06)により、
(07)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}也。
であれば、
④ 我  必      中文 法   漢文 事 者 也
に関しては、「そのまま、左から右に読み」、
④ 非 は、{ }の中に有る{必求以解中文法解漢文者}を読み終へた「直後」に読む。
④ 求 は、[ ]の中に有る  [以解中文法解漢文] を読み終へた「直後」に読む。
④ 以 は、〔 〕の中に有る   〔解中文法〕    を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある    (中文)     を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある        (漢文) を読み終へた「直後」に読む。
然るに、
(08)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}也。
に於いて、
非{ }⇒{ }非
求[ ]⇒[ ]求
以〔 〕⇒〔 〕以
解( )⇒( )解
解( )⇒( )解
といふ「移動」を行ふと、
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}也⇒
④ 我{必[〔(中文)解法〕以(漢文)解]事者}求非也。
といふ「語順」になる。
従って、
(07)(08)により、
(09)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}也。
に於いて、
④ 我  必      中文 法   漢文 事 者 也
に関しては、「そのまま、左から右に読み」、
④ 非 は、{ }の中に有る{必求以解中文法解漢文者}を読み終へた「直後」に読む。
④ 求 は、[ ]の中に有る  [以解中文法解漢文] を読み終へた「直後」に読む。
④ 以 は、〔 〕の中に有る   〔解中文法〕    を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある    (中文)     を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある        (漢文) を読み終へた「直後」に読む。
といふことは、
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}也。
といふ「括弧」が付いた「漢文」を、
④ 我{必[〔(中文)解法〕以(漢文)解事]求者}非也。
といふ「語順」で読む。
といふことに、他ならない。
従って、
(09)により、
(10)
④ 我非必求以解中文法解漢文事者也=
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}也⇒
④ 我{必[〔(中文)解法〕以(漢文)解事]求者}非也=
④ 我は{必ずしも[〔(中文を)解する法を〕以て(漢文を)解する事を]求むる者に}非ざるなり。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
然るに、
(11)
④ 我非必求以解中文法解漢文事者也=
④ 我非必求中文漢文也⇒
④ 我必中文漢文也=
④ 我は必ずしも中文を解する法を以て漢文を解する事を求むる者に非ざる也。
従って、
(10)(11)により、
(12)
④ 我 非 必 求 以 解 中 文 法 解 漢 文 事 者 也。
といふ「漢文」に付く「返り点」は、
④  地  乙 下 二  一 上 二  一 甲 天
である。
従って、
(01)(09)(12)により、
(13)
① 二 一
② 下 上
③ 乙 甲
④ 地 天
に於いて、
④ の中には、1組以上の③が有り、
③ の中には、1組以上の②が有り、
② の中には、1組以上の①が有るならば、そのときに限って、「返り点」である。
とするならば、
④ 我非必求以解中文法解漢文事者也。
といふ「漢文」に付く、
④ { [ 〔 ( ) 〕 ( ) ] }
といふ「括弧」は、
④ 地 乙 下 二 一 上 二 一 甲 天
といふ「返り点」に、「等しい」。
然るに、
(14)
「(レ点を含まない)返り点」が「漢字」に付いてゐる。といふことと、
漢字」が「(レ点を含まない)返り点」に付いてゐる。といふことは、「同じ」である。
従って、
(15)
④  地  乙 下 二  一 上 二  一 甲 天
といふ「それ」が、「括弧」ではなく、「返り点」であるならば、
④ 我 非 必 求 以 解 中 文 法 解 漢 文 事 者 也。
といふ「漢文」から、
④                  法     事 者
といふ「3つの漢字」  を「削除」した場合は、それと「同時」に、   
④                        上     甲 天
といふ「3つの返り点」も「削除」される。
然るに、
(16)
⑤ 我不必求以解中文解漢文也=
⑤ 我不{必求[以〔解(中文)〕解(漢文)]}也=
⑤ 我{必[〔(中文)解〕以(漢文)解]求}不也⇒
⑤ 我は{必ずしも[〔(中文を)解するを〕以て(漢文を)解するを]求め}ず。
然るに、
(17)
⑤ 我不必求以解中文解漢文也=
⑤ 我不必求中文漢文也⇒
⑤ 我は必ずしも中文を解するを以て漢文を解するを求めず。
従って、
(14)~(17)により、
(18)
④  地  乙 下 二  一 上 二  一 甲 天
といふ「それ」が、「括弧」ではなく、「返り点」であるならば、
④ 我 非 必 求 以 解 中 文 法 解 漢 文 事 者 也。
といふ「漢文」から、
④                  法     事 者
といふ「3つの漢字」  を「削除」した場合は、それと「同時」に、   
④                         上     甲 天
といふ「3つの返り点」も「削除」され、その「結果」として、「返り点」は、
④ 「地  乙 下 二  一  二  一」ではなく、
④  「丁  丙 レ 二  一 乙  甲」でなければ、ならない。
従って、
(13)(15)(18)により、
(19)
「逆」に言へば、
⑤ 我不{必求[以〔解(中文)〕解(漢文)]}也。
であっても、
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}也。
と「同じく」、
⑤ 我不{必求[以〔解(中文)#〕解(漢文)#]#}也。
であるものの、
⑤                           #      # #
に関しては、「3つ」とも、「音」であって、尚且つ、「書かない」とするならば、
⑤ 我非必求中文漢文也。
といふ「返り点」も、「可」である。
然るに、
(20)
繰り返し、書いて来た通り、
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(08)(10)(19)(20)により、
(21)
④ 我非必求以解中文法解漢文事者也=
④ 我非必求中文漢文也=
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}也。
に於いて、
非{ }⇒{ }非
求[ ]⇒[ ]求
以〔 〕⇒〔 〕以
解( )⇒( )解
解( )⇒( )解
といふ「移動」を行ふと、
④ 我非必求以解中文法解漢文事者也=
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}也⇒
④ 我{必[〔(中文)解法〕以(漢文)解事]求者}非也=
④ 我は{必ずしも[〔(中文を)解する法を〕以て(漢文を)解する事を]求むる者に}非ざるなり。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
といふことは、
④ 我非必求以解中文法解漢文事者也。
④ 我は必ずしも中文を解する法を以て漢文を解する事を求むる者に非ざるなり。
といふ「漢文」と「日本語」の、両方に、
④{ [ 〔 (  ) 〕 (  ) ] }
④{ [ 〔 (  ) 〕 (  ) ] }
といふ「括弧」で「表現可能」な、「補足構造」が有る。
といふことを、「意味」してゐる。
従って、
(21)により、
(22)
④ 我非必求以解中文法解漢文事者也。
といふ「漢文」に、
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}也。
といふ「補足構造」が、無い
といふのであれば、
④ 我非必求以解中文法解漢文事者也。
といふ「漢文」には、固より、「補足構造」が無い
然るに、
(23)
④ 我非必求以解中文法解漢文事者也。
といふ「漢文」には、「補足構造」が有る
従って、
(01)(22)(23)により、
(24)
例へば、
① 我読漢文。
② 有揮快刀断乱麻者。
③ 耕者不可以不益急。
④ 我非必求以解中文法解漢文事者也。
といふ「漢文」には
① 我読(漢文)。
② 有〔揮(快刀)断(乱麻)者〕。
③ 耕者不[可〔以不(益急)〕]。
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)事]者}也。
といふ「括弧補足構造)」が、無ければ、ならない(従って、「括弧」は有ります!)。
従って、
(21)(24)により、
(25)
④ 我非必求以解中文法解漢文事者也。
といふ「漢文」を、
④ 我は必ずしも中文を解する法を以て漢文を解する事を求むる者に非ざるなり。
といふ「語順」で「訓読」したとしても、「漢文をむりやり並び替えて、日本語のように読んでいる(みかちー)。」
といふことには、ならない。
然るに、
(26)
そして重野の講演を後れること七年、文化大学の講師を務めていたイギリス人チャンバレン氏も一八八六年『東洋学芸雑誌』第六一号に「支那語読法ノ改良ヲ望ム」を発表し、「疑ハシキハ日本人ノ此支那語ヲ通読スル伝法ナリ、前ヲ後ニ変へ、下ヲ上ニ遡ラシ、本文ニ見へザル語尾ヲ附シ虚辞ヲ黙シ、若クハ再用スル等ハ、漢文ヲ通読スルコトニアランヤ。寧ロ漢文ヲ破砕シテ、其ノ片塊ヲ以テ随意ニ別類ノ一科奇物ヲ増加セリト云フヲ免カレンヤ。」「畢竟日本語ハ日本ノ言序アリ、英語ハ英ノ語次存スルコトは皆々承知セリ、唯支那語ニノミ治外法権ヲ許ルサズシ権内ニ置クハ何ソヤ」(「訓読」論 東アジア漢文世界と日本語、中村春作・市來津由彦・田尻祐一郎・前田勉 共編、2008年、50頁)。
従って、
(21)(24)(26)により、
(27)
④ 我非必求以解中文法解漢文事者也。
といふ「漢文」を、
④ 我は必ずしも中文を解する法を以て漢文を解する事を求むる者に非ざるなり。
といふ「語順」で「訓読」したとしても、「漢文ヲ破砕シテ、其ノ片塊ヲ以テ随意ニ別類ノ一科奇物ヲ増加セリト云フヲ免カレン(イギリス人チャンバレン氏)。」
といふことには、ならない。
然るに、
(28)
「漢文訓読」であれば、
① 誰為夫子=
① 誰為(夫子)⇒
① 誰(夫子)為=
① 誰をか(夫子)と為す=
① 誰が(先生)であるか。
であって、
② 子為誰=
② 子為(誰)⇒
② 子(誰)為=
② 子は(誰と)為す=
② あなたは(誰)ですか。
である。
然るに、
(29)
「英文和訳」の場合は、
① Who is the teacher?=
① Who is(the teacher)?⇒
① Who (the teacher)is?=
① 誰が(先生)であるか。
であって、尚且つ、
② Who are you?=
② Who(areyou}?⇒
② ({ you)Who}are?=
② ({あなたは)誰}であるか。
である。
然るに、
(30)
① 誰為(夫子)。
② 子為(誰)。
① Who is(the teacher)?
といふ「括弧」に対して、
② Who(are you}?
といふ「それ」は、「括弧」ではない
従って、
(20)(21)(30)により、
(31)
② Who are(you)?
といふ「英語」に対して、
② Who(are{ you)}?
とふ「それ(括弧ではない)」を付けて、
② ({あなたは)誰}ですか。
といふ風に、「読む」のであれば、それこそ「英文をむりやり並び替えて、日本語のように読んでいる。」といふ、ことになる。
従って、
(25)(31)により、
(32)
④ 我非必求以解中文法解漢文事者也。
といふ「漢文」を、
④ 我は必ずしも中文を解する法を以て漢文を解する事を求むる者に非ざるなり。
といふ「語順」で「訓読」したとしても、「漢文をむりやり並び替えて、日本語のように読んでいる(みかちー)。」
といふことには、ならないものの、
② Who are you?
といふ「英文」を、
② あなたは誰ですか。
といふ「語順」で「訓読」するならば、「英文をむりやり並び替えて、日本語のように読んでいる。」といふ、ことになる。
従って、
(32)により、
(33)
「?文」を、「日本語の語順」で読んだとしても、それだけでは?文をむりやり並び替えて、日本語のように読んでいる(みかちー)。」
といふことには、ならない。
然るに、
(34)
大学(京都帝国大学)に入った二年め(昭和5年)の秋、倉石武四郎先生が中国の留学から帰られ、授業を開始されたことは、私だけではなく、当時の在学生に一大衝撃を与えた。先生は従来の漢文訓読を全くすてて、漢籍を読むのにまず中国語の現代の発音に従って音読し、それをただちに口語に訳することにすると宣言されたのである。この説はすぐさま教室で実行された。私どもは魯迅の小説集『吶喊』と江永の『音学弁徴』を教わった。これは破天荒のことであって、教室で中国の現代小説を読むことも、京都大学では最初であり、全国のほかの大学でもまだなかったろうと思われる(『心の履歴』、「小川環樹著作集 第五巻」、筑摩書房、176頁)。との、ことである。
然るに、
(35)
かつて、杉村勇造教授から次のような話を聞いた。銭稲孫氏(一八八七年浙江省生まれ。中国に日本文学を紹介する。北京大学教授)は父銭恂氏が来日していた関係から、当時東京高等師範学校に入学した。そして中学の漢文の教科書により、日本式の訓読で「学んで時に之を習う、亦説ばしからずや・・・・・・」と習い、「あ、これでわかった」と言ったという。銭氏は四、五歳のころから中国語によって『論語』などの素読を授けられたが、それは一種のお経読みのたぐいであるから、読むことは読んでも、さっぱり意味がわからなかったのである。それが、日本式の訓読に接して、初めて意味を理解することができたというのである(原田種成、私の漢文講義、1995年、24頁)。との、ことである。
令和02年03月18日、毛利太。

「括弧」と「返り点」(15)―「レ点」は要らない―。

(01)
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
に於いて、
④ の中には、1組以上の③が有り、
③ の中には、1組以上の②が有り、
② の中には、1組以上の①が有るならば、そのときに限って、「括弧」である。
従って、
(01)により、
(02)
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
に於いて、
① が無ければ、② は無く、
② が無ければ、③ は無く、
③ が無ければ、④ は無い。
従って、
(01)(02)により、
(03)
例へば、
①( )
②〔 ( )( ) 〕
③[ 〔 ( ) 〕 ]
④{ [ 〔 ( ) 〕( )] }
は、「括弧」である。
従って、
(03)により、
(04)
例へば、
① 我読(漢文)。
② 有〔揮(快刀)断(乱麻)者〕。
③ 耕者不[可〔以不(益急)〕]。
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
に於いて、
は、「漢文と括弧」である
(05)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
に於いて、
非{ }
求[ ]
以〔 〕
解( )
解( )
の「5つの漢字」は、『括弧の直前の漢字』である。
然るに、
(06)
(ⅰ)「原則」として「左から右へ」読む。ただし、
(ⅱ)『括弧の直前の漢字』に関しては、各々の、「直後の括弧の中の全ての漢字」を、「読み終へた直後」に読む。
といふ「ルール」を、定めることにする。
従って、
(05)(06)により、
(07)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
であれば、
④ 我  必      中文 法   漢文  者 也
に関しては、「そのまま、左から右に読み」、
④ 非 は、{ }の中に有る{必求以解中文法解漢文者}を読み終へた「直後」に読む。
④ 求 は、[ ]の中に有る  [以解中文法解漢文] を読み終へた「直後」に読む。
④ 以 は、〔 〕の中に有る   〔解中文法〕    を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある    (中文)     を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある        (漢文) を読み終へた「直後」に読む。
然るに、
(08)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
に於いて、
非{ }⇒{ }非
求[ ]⇒[ ]求
以〔 〕⇒〔 〕以
解( )⇒( )解
解( )⇒( )解
といふ「移動」を行ふと、
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也⇒
④ 我{必[〔(中文)解法〕以(漢文)解]者}求非也。
といふ「語順」になる。
従って、
(07)(08)により、
(09)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
に於いて、
④ 我  必      中文 法   漢文  者 也
に関しては、「そのまま、左から右に読み」、
④ 非 は、{ }の中に有る{必求以解中文法解漢文者}を読み終へた「直後」に読む。
④ 求 は、[ ]の中に有る  [以解中文法解漢文] を読み終へた「直後」に読む。
④ 以 は、〔 〕の中に有る   〔解中文法〕    を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある    (中文)     を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある        (漢文) を読み終へた「直後」に読む。
といふことは、
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
といふ「括弧」が付いた「漢文」を、
④ 我{必[〔(中文)解法〕以(漢文)解]求者}非也。
といふ「語順」で読む。
といふことに、他ならない。
従って、
(09)により、
(10)
④ 我非(必求(以(解(中文)法)解(漢文))者)也。
に於いて、
④ 我  必      中文 法   漢文  者 也
に関しては、「そのまま、左から右に読み」、
④ 非 は、( )の中に有る(必求以解中文法解漢文者)を読み終へた「直後」に読む。
④ 求 は、( )の中に有る  (以解中文法解漢文) を読み終へた「直後」に読む。
④ 以 は、( )の中に有る   (解中文法)    を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある    (中文)     を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある        (漢文) を読み終へた「直後」に読む。
といふことは、
④ 我非(必求(以(解(中文)法)解(漢文))者)也。
といふ「括弧」が付いた「漢文」を、
④ 我(必(((中文)解法)以(漢文)解)求者)非也。
といふ「語順」で読む。
といふことに、他ならない。
然るに、
(09)(10)により、
(11)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
に対して、
④ 我非(必求(以(解(中文)法)解(漢文))者)也。
は、もちろん、「読みにくい」。
然るに、
(12)
例へば、
④(((( ))( )( ))( )))
といふ「それ」は、「括弧」としては、実は「ヲカシイ」。
何となれば、
(13)
④(((( ))( )( ))( )))
といふ「それ」は、
④{[〔( )〕( )( )]( )}
であるため、
④「右端の」のが、[余分」である。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
④{ [ 〔 ( ) 〕( ) ] }
といふ「括弧」に対する、
④( ( ( ( ) )( ) ) )
といふ「括弧」に、「実用性」は無い。
然るに、
(15)
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ) 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
に於いて、
(Ⅱ)を挟んで返る場合に、
(Ⅲ)を用ひ、
(Ⅲ)を挟んで返る場合に、
(Ⅳ)を用ひ、
(Ⅳ)を挟んで返る場合に、
(Ⅴ)を用ひる。
従って、
(15)により、
(16)
例へば、
⑤ 乙 下 三 二 一 上 甲
に対して、
⑤ 乙 下 三 二 甲 一 上
に於ける、
⑤       二  一
といふ「それ」が、「返り点」として、「ヲカシイ」ことは、「一目瞭然」である。
然るに、
(17)
⑤ 七 五 三 二 一 四 六
に対して、
⑤ 七 五 三 二 六 一 四
といふ「それ」が、「返り点」として、「ヲカシイ」ことは、「一目瞭然」ではない
然るに、
(18)
⑤ 七{五[三〔二(一)〕四]六}。
に於いて、
七{ }⇒{ }七
五[ ]⇒[ ]五
三〔 〕⇒〔 〕三
二( )⇒( )二
といふ「移動」を行ふと、
⑤ 七{五[三〔二(一)〕四]六}⇒
⑤ {[〔(一)二〕三四]五六}七=
⑤     一<二<三<四<五<六<七。
といふ「並び替へ(ソート)」を行ふことになる。
然るに、
(19)
⑤ 七〈五[三〔二(六{一)〕四]}〉。
に於いて、
七〈 〉⇒〈 〉七
五[ ]⇒[ ]五
三〔 〕⇒〔 〕三
二( )⇒( )二
六{ }⇒{ }六
といふ「移動」を行ふと、
⑤ 七〈五[三〔二(六{一)〕四]}〉⇒
⑤ 〈[〔({一)二〕三四]五}六〉七=
⑤      一<二<三<四<五<六<七。
といふ「並び替へ(ソート)」を行ふことになる。
然るに、
(20)
⑤{ [ 〔 ( ) 〕 ] }
に対して、
⑤〈 [ 〔 ( { ) 〕 ]
の場合は、「括弧」ではない
従って、
(16)~(20)により、
(21)
⑤ 七 五 三 二 一 四 六
に対する、
⑤ 七 五 三 二 六 一 四
といふ「順番」は、「返り点」としても、「括弧」としても、「有り得ない」にも拘らず、「そのことが、見えにくい」。
従って、
(14)(21)により、
(22)
 ①( )
 ②( )
 ③( )
 ④( )
 だけからなる「 括弧 」が、「読みにくい」やうに、
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
 だけからなら「返り点」は、「読みにくい」。
然るに、
(23)
実際の「返り点」は、
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
である。
然るに、
(24)

従って、
(24)により、
(25)
① 秦昭王請城易一レ之。
② 秦昭王請十五城上レ之。
③ 秦昭王請城易和氏之璧
④ 秦昭王請十五城和氏之璧
⑤ 秦人有城易之者
⑥ 秦人有十五城之者
⑦ 秦人有城易和氏之璧
⑧ 秦人有十五城和氏之璧
に於ける、
① 二 レ 一レ
② 下 二 一 上レ
③ 三 レ 二 一
④ 下 二 一 中 上
⑤ 二 レ レ 一
⑥ 下 二 一 レ 上
⑦ 下 レ 二 一 上
⑧ 下 二 一 二 一 上
といふ「返り点が、表す語順」は、
① 下 二 一 中 上
② 下 二 一 中 上
③ 下 二 一 中 上
④ 下 二 一 中 上
⑤ 下 二 一 二 一 上
⑥ 下 二 一 二 一 上
⑦ 下 二 一 二 一 上
⑧ 下 二 一 二 一 上
といふ「返り点が、表す語順」と、「同じ」である。
従って、
(22)(23)(25)により、
(26)
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
に於いて、
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
が有るからと言って、「返り点」は、「読み易く」なるわけではなく、むしろ、「」である。
然るに、
(27)
② 下 二 一 上レ
といふ「返り点」が有ることによって、例へば、
⑩ 下 二 一 上レ 下 二 一 レ 上レ 二 一
といふ「応用」が、「可能」になる。
然るに、
(28)

従って、
(28)により、
(29)
 二 一 上レ  二 一 レ 上レ  
といふ「返り点が、表す語順」は、
  二 一   二 一 二 一   
といふ「返り点が、表すと語順」と、「同じ」であるが、言ふまでもなく、
⑩ 下 二 一 上レ 下 二 一 レ 上レ 二 一
よりも、
⑩ 己 戊 二 一 丁 丙 二 一 二 一 乙 甲 
の方が、はるかに、「読み易い」。
従って、
(26)~(27)により、
(30)
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
に於いて、
(Ⅰ)は、無い方が、「望ましい」。
然るに、
(31)
⑩ 是以大學始敎必使學者即凡天下之物莫不因其已知之理而益極之以求至乎其極=
⑩ 是以、大學始敎、必使〈學者即(凡天下之物)、莫{不[因(其已知之理)、而益極(之)、以求〔至(乎其極)〕]}〉⇒
⑩ 是以、大學始敎、必〈學者(凡天下之物)即、{[(其已知之理)因、而益(之)極、以〔(乎其極)至〕求]不}莫〉使=
⑩ 是を以て、大學の始敎は、必ず〈學者をして(凡そ天下の物に)即きて、{[(其の已に知るの理に)因って、益々(之を)極め、以て〔(其の極に)至るを〕求め]不るを}莫から〉使む=
⑩ そのため、大學の敎へを始める際には、必ず〈學者をして(凡そ天下の物に)ついて、{[(その學者がすでに知っているの理に)依って、益々(これを)極め、以て〔(その極点に)至ることを〕求め]ないことが}無いやうに〉させる。
従って、
(31)により、
(32)
⑩ 是以、大學始敎、必使〈學者即(凡天下之物)、莫{不[因(其已知之理)、而益極(之)、以求〔至(乎其極)〕]}〉
に於ける、
⑩〈 ( ){ [( )( )〔 ( ) 〕 ] } 〉
である。
従って、
(01)(32)により、
(33)
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
といふ「種類」では足りない場合も有るため、
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
⑤〈 〉
に於いて、
⑤ の中には、1組以上の④が有り、
④ の中には、1組以上の③が有り、
③ の中には、1組以上の②が有り、
② の中には、1組以上の①が有るならば、そのときに限って、「括弧」とする。
然るに、
(34)
英文訓読」とは異なり、「私の経験上」、「漢文訓読」に於いて、
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
⑤〈 〉
といふ「種類の括弧」を用ひた際に、それでも尚、「括弧」が「不足」する。
といふ、ことはない
然るに、
(35)
⑪ 六〈五{四[三〔二(一)〕]}〉⇒
⑪ 〈{[〔(一)二〕三]四}五〉六=
⑪           一<二<三<四<五<六。
従って、
(30)(34)(35)により、
(36)
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
といふ「一二点」は、実際には、
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六
といふ「6個」で、「十分」である。
従って、
(30)(36)により、
(37)
(Ⅲ)上 中 下
といふ「上下点」では、「不足」なので、出来れば、
(Ⅱ)上 中 下 □ □ □
である、べきである。
従って、
(30)(36)(37)により、
(38)
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
といふ「返り点」よりも、
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六
(Ⅱ)上 中 下 □ □ □
(Ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊
(Ⅳ)天 地 人 □
といふ「返り点」の方が、「合理的」である。
従って、
(39)
例へば、
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六
(Ⅱ)甲 乙 丙 丁 戊 己
(Ⅲ)子 丑 寅 卯 辰
(Ⅳ)天 地 人 間
に於いて、
(Ⅰ)を挟んで返る場合は、
(Ⅱ)を用ひ、
(Ⅱ)を挟んで返る場合は、
(Ⅲ)を用ひ、
(Ⅲ)を挟んで返る場合は、
(Ⅳ)を用ひるならば、「返り点」は、「合理的」である。
令和02年03月18日、毛利太。