2020年3月18日水曜日

「括弧」と「返り点」(15)―「レ点」は要らない―。

(01)
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
に於いて、
④ の中には、1組以上の③が有り、
③ の中には、1組以上の②が有り、
② の中には、1組以上の①が有るならば、そのときに限って、「括弧」である。
従って、
(01)により、
(02)
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
に於いて、
① が無ければ、② は無く、
② が無ければ、③ は無く、
③ が無ければ、④ は無い。
従って、
(01)(02)により、
(03)
例へば、
①( )
②〔 ( )( ) 〕
③[ 〔 ( ) 〕 ]
④{ [ 〔 ( ) 〕( )] }
は、「括弧」である。
従って、
(03)により、
(04)
例へば、
① 我読(漢文)。
② 有〔揮(快刀)断(乱麻)者〕。
③ 耕者不[可〔以不(益急)〕]。
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
に於いて、
は、「漢文と括弧」である
(05)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
に於いて、
非{ }
求[ ]
以〔 〕
解( )
解( )
の「5つの漢字」は、『括弧の直前の漢字』である。
然るに、
(06)
(ⅰ)「原則」として「左から右へ」読む。ただし、
(ⅱ)『括弧の直前の漢字』に関しては、各々の、「直後の括弧の中の全ての漢字」を、「読み終へた直後」に読む。
といふ「ルール」を、定めることにする。
従って、
(05)(06)により、
(07)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
であれば、
④ 我  必      中文 法   漢文  者 也
に関しては、「そのまま、左から右に読み」、
④ 非 は、{ }の中に有る{必求以解中文法解漢文者}を読み終へた「直後」に読む。
④ 求 は、[ ]の中に有る  [以解中文法解漢文] を読み終へた「直後」に読む。
④ 以 は、〔 〕の中に有る   〔解中文法〕    を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある    (中文)     を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある        (漢文) を読み終へた「直後」に読む。
然るに、
(08)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
に於いて、
非{ }⇒{ }非
求[ ]⇒[ ]求
以〔 〕⇒〔 〕以
解( )⇒( )解
解( )⇒( )解
といふ「移動」を行ふと、
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也⇒
④ 我{必[〔(中文)解法〕以(漢文)解]者}求非也。
といふ「語順」になる。
従って、
(07)(08)により、
(09)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
に於いて、
④ 我  必      中文 法   漢文  者 也
に関しては、「そのまま、左から右に読み」、
④ 非 は、{ }の中に有る{必求以解中文法解漢文者}を読み終へた「直後」に読む。
④ 求 は、[ ]の中に有る  [以解中文法解漢文] を読み終へた「直後」に読む。
④ 以 は、〔 〕の中に有る   〔解中文法〕    を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある    (中文)     を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある        (漢文) を読み終へた「直後」に読む。
といふことは、
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
といふ「括弧」が付いた「漢文」を、
④ 我{必[〔(中文)解法〕以(漢文)解]求者}非也。
といふ「語順」で読む。
といふことに、他ならない。
従って、
(09)により、
(10)
④ 我非(必求(以(解(中文)法)解(漢文))者)也。
に於いて、
④ 我  必      中文 法   漢文  者 也
に関しては、「そのまま、左から右に読み」、
④ 非 は、( )の中に有る(必求以解中文法解漢文者)を読み終へた「直後」に読む。
④ 求 は、( )の中に有る  (以解中文法解漢文) を読み終へた「直後」に読む。
④ 以 は、( )の中に有る   (解中文法)    を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある    (中文)     を読み終へた「直後」に読む。
④ 解 は、( )の中にある        (漢文) を読み終へた「直後」に読む。
といふことは、
④ 我非(必求(以(解(中文)法)解(漢文))者)也。
といふ「括弧」が付いた「漢文」を、
④ 我(必(((中文)解法)以(漢文)解)求者)非也。
といふ「語順」で読む。
といふことに、他ならない。
然るに、
(09)(10)により、
(11)
④ 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
に対して、
④ 我非(必求(以(解(中文)法)解(漢文))者)也。
は、もちろん、「読みにくい」。
然るに、
(12)
例へば、
④(((( ))( )( ))( )))
といふ「それ」は、「括弧」としては、実は「ヲカシイ」。
何となれば、
(13)
④(((( ))( )( ))( )))
といふ「それ」は、
④{[〔( )〕( )( )]( )}
であるため、
④「右端の」のが、[余分」である。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
④{ [ 〔 ( ) 〕( ) ] }
といふ「括弧」に対する、
④( ( ( ( ) )( ) ) )
といふ「括弧」に、「実用性」は無い。
然るに、
(15)
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ) 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
に於いて、
(Ⅱ)を挟んで返る場合に、
(Ⅲ)を用ひ、
(Ⅲ)を挟んで返る場合に、
(Ⅳ)を用ひ、
(Ⅳ)を挟んで返る場合に、
(Ⅴ)を用ひる。
従って、
(15)により、
(16)
例へば、
⑤ 乙 下 三 二 一 上 甲
に対して、
⑤ 乙 下 三 二 甲 一 上
に於ける、
⑤       二  一
といふ「それ」が、「返り点」として、「ヲカシイ」ことは、「一目瞭然」である。
然るに、
(17)
⑤ 七 五 三 二 一 四 六
に対して、
⑤ 七 五 三 二 六 一 四
といふ「それ」が、「返り点」として、「ヲカシイ」ことは、「一目瞭然」ではない
然るに、
(18)
⑤ 七{五[三〔二(一)〕四]六}。
に於いて、
七{ }⇒{ }七
五[ ]⇒[ ]五
三〔 〕⇒〔 〕三
二( )⇒( )二
といふ「移動」を行ふと、
⑤ 七{五[三〔二(一)〕四]六}⇒
⑤ {[〔(一)二〕三四]五六}七=
⑤     一<二<三<四<五<六<七。
といふ「並び替へ(ソート)」を行ふことになる。
然るに、
(19)
⑤ 七〈五[三〔二(六{一)〕四]}〉。
に於いて、
七〈 〉⇒〈 〉七
五[ ]⇒[ ]五
三〔 〕⇒〔 〕三
二( )⇒( )二
六{ }⇒{ }六
といふ「移動」を行ふと、
⑤ 七〈五[三〔二(六{一)〕四]}〉⇒
⑤ 〈[〔({一)二〕三四]五}六〉七=
⑤      一<二<三<四<五<六<七。
といふ「並び替へ(ソート)」を行ふことになる。
然るに、
(20)
⑤{ [ 〔 ( ) 〕 ] }
に対して、
⑤〈 [ 〔 ( { ) 〕 ]
の場合は、「括弧」ではない
従って、
(16)~(20)により、
(21)
⑤ 七 五 三 二 一 四 六
に対する、
⑤ 七 五 三 二 六 一 四
といふ「順番」は、「返り点」としても、「括弧」としても、「有り得ない」にも拘らず、「そのことが、見えにくい」。
従って、
(14)(21)により、
(22)
 ①( )
 ②( )
 ③( )
 ④( )
 だけからなる「 括弧 」が、「読みにくい」やうに、
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
 だけからなら「返り点」は、「読みにくい」。
然るに、
(23)
実際の「返り点」は、
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
である。
然るに、
(24)

従って、
(24)により、
(25)
① 秦昭王請城易一レ之。
② 秦昭王請十五城上レ之。
③ 秦昭王請城易和氏之璧
④ 秦昭王請十五城和氏之璧
⑤ 秦人有城易之者
⑥ 秦人有十五城之者
⑦ 秦人有城易和氏之璧
⑧ 秦人有十五城和氏之璧
に於ける、
① 二 レ 一レ
② 下 二 一 上レ
③ 三 レ 二 一
④ 下 二 一 中 上
⑤ 二 レ レ 一
⑥ 下 二 一 レ 上
⑦ 下 レ 二 一 上
⑧ 下 二 一 二 一 上
といふ「返り点が、表す語順」は、
① 下 二 一 中 上
② 下 二 一 中 上
③ 下 二 一 中 上
④ 下 二 一 中 上
⑤ 下 二 一 二 一 上
⑥ 下 二 一 二 一 上
⑦ 下 二 一 二 一 上
⑧ 下 二 一 二 一 上
といふ「返り点が、表す語順」と、「同じ」である。
従って、
(22)(23)(25)により、
(26)
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
に於いて、
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
が有るからと言って、「返り点」は、「読み易く」なるわけではなく、むしろ、「」である。
然るに、
(27)
② 下 二 一 上レ
といふ「返り点」が有ることによって、例へば、
⑩ 下 二 一 上レ 下 二 一 レ 上レ 二 一
といふ「応用」が、「可能」になる。
然るに、
(28)

従って、
(28)により、
(29)
 二 一 上レ  二 一 レ 上レ  
といふ「返り点が、表す語順」は、
  二 一   二 一 二 一   
といふ「返り点が、表すと語順」と、「同じ」であるが、言ふまでもなく、
⑩ 下 二 一 上レ 下 二 一 レ 上レ 二 一
よりも、
⑩ 己 戊 二 一 丁 丙 二 一 二 一 乙 甲 
の方が、はるかに、「読み易い」。
従って、
(26)~(27)により、
(30)
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
に於いて、
(Ⅰ)は、無い方が、「望ましい」。
然るに、
(31)
⑩ 是以大學始敎必使學者即凡天下之物莫不因其已知之理而益極之以求至乎其極=
⑩ 是以、大學始敎、必使〈學者即(凡天下之物)、莫{不[因(其已知之理)、而益極(之)、以求〔至(乎其極)〕]}〉⇒
⑩ 是以、大學始敎、必〈學者(凡天下之物)即、{[(其已知之理)因、而益(之)極、以〔(乎其極)至〕求]不}莫〉使=
⑩ 是を以て、大學の始敎は、必ず〈學者をして(凡そ天下の物に)即きて、{[(其の已に知るの理に)因って、益々(之を)極め、以て〔(其の極に)至るを〕求め]不るを}莫から〉使む=
⑩ そのため、大學の敎へを始める際には、必ず〈學者をして(凡そ天下の物に)ついて、{[(その學者がすでに知っているの理に)依って、益々(これを)極め、以て〔(その極点に)至ることを〕求め]ないことが}無いやうに〉させる。
従って、
(31)により、
(32)
⑩ 是以、大學始敎、必使〈學者即(凡天下之物)、莫{不[因(其已知之理)、而益極(之)、以求〔至(乎其極)〕]}〉
に於ける、
⑩〈 ( ){ [( )( )〔 ( ) 〕 ] } 〉
である。
従って、
(01)(32)により、
(33)
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
といふ「種類」では足りない場合も有るため、
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
⑤〈 〉
に於いて、
⑤ の中には、1組以上の④が有り、
④ の中には、1組以上の③が有り、
③ の中には、1組以上の②が有り、
② の中には、1組以上の①が有るならば、そのときに限って、「括弧」とする。
然るに、
(34)
英文訓読」とは異なり、「私の経験上」、「漢文訓読」に於いて、
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
⑤〈 〉
といふ「種類の括弧」を用ひた際に、それでも尚、「括弧」が「不足」する。
といふ、ことはない
然るに、
(35)
⑪ 六〈五{四[三〔二(一)〕]}〉⇒
⑪ 〈{[〔(一)二〕三]四}五〉六=
⑪           一<二<三<四<五<六。
従って、
(30)(34)(35)により、
(36)
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
といふ「一二点」は、実際には、
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六
といふ「6個」で、「十分」である。
従って、
(30)(36)により、
(37)
(Ⅲ)上 中 下
といふ「上下点」では、「不足」なので、出来れば、
(Ⅱ)上 中 下 □ □ □
である、べきである。
従って、
(30)(36)(37)により、
(38)
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
といふ「返り点」よりも、
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六
(Ⅱ)上 中 下 □ □ □
(Ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊
(Ⅳ)天 地 人 □
といふ「返り点」の方が、「合理的」である。
従って、
(39)
例へば、
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六
(Ⅱ)甲 乙 丙 丁 戊 己
(Ⅲ)子 丑 寅 卯 辰
(Ⅳ)天 地 人 間
に於いて、
(Ⅰ)を挟んで返る場合は、
(Ⅱ)を用ひ、
(Ⅱ)を挟んで返る場合は、
(Ⅲ)を用ひ、
(Ⅲ)を挟んで返る場合は、
(Ⅳ)を用ひるならば、「返り点」は、「合理的」である。
令和02年03月18日、毛利太。

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