―「昨日(令和02年03月08日)」の「記事」を補足します。―
(01)
従って、
(01)により、
(02)
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
といふ「漢文」に付くことが出来る「返り点」は、
① レ 乙 下 二 レ 一レ 上レ レ 甲レ
① 間 人 丙 下 二 一 中 上 乙 甲 二 一 地 天
① 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「3通り」である。
然るに、
(03)
「返り点」は、
(ⅰ)レ、一レ、上レ、甲レ、天レ
(ⅱ)一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、・・・・・
(ⅲ)上、中、下
(ⅳ)甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸
(ⅴ)天、地、人
あるいは、
(ⅰ)レ、一レ、上レ、甲レ、天レ
(ⅱ)一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、・・・・・
(ⅲ)上、中、下
(ⅳ)天、地、人
(ⅴ)甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸
であるため、
① 間 人 丙 下 二 一 中 上 乙 甲 二 一 地 天
といふ「返り点」は、実際には、無い。
従って、
(02)(03)により、
(04)
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
といふ「漢文」に付くことが出来る「返り点」は、
① レ 乙 下 二 レ 一レ 上レ レ 甲レ
① 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「2通り」である。
然るに、
(05)
(ⅰ)レ、一レ、上レ、甲レ、天レ
に於いて、
(ⅰ)レ レ レ レ レ は、「一字だけ上の字」にしか、「返れない」。
従って、
(01)(04)(05)により、
(06)
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱良心有銭財以済医薬。
といふ「漢文」に付くことが出来る「返り点」は、
② 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「1通り」である。
従って、
(04)(06)により、
(07)
② 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「返り点」は、
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱良心有銭財以済医薬。
といふ「2つの漢文」に、付くことが出来るものの、その一方で、
① レ 乙 下 二 レ 一レ 上レ レ 甲レ
といふ「返り点」は、
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
といふ「1つの漢文」にしか、付くことが、出来ない。
然るに、
(08)
「漢字」に対して、「(レ点以外の)返り点」が付いてゐる。といふことは、
「(レ点以外の)返り点」に対して、「漢字」が付いてゐる。といふことと、「同じ」である。
然るに、
(09)
② 丁〈丙{人[下〔二(一)中(上)〕地(天)]二(一)乙(甲)}〉。
に於いて、
丁〈 〉⇒〈 〉丁
丙{ }⇒{ }丙
人[ ]⇒[ ]人
下〔 〕⇒〔 〕下
二( )⇒( )二
中( )⇒( )中
地( )⇒( )地
二( )⇒( )二
乙( )⇒( )乙
といふ「移動」を行ふと、
② 丁〈丙{人[下〔二(一)中(上)〕地(天)]二(一)乙(甲)}〉⇒
② 〈{[〔(一)二(上)中〕下(天)地]人(一)二(甲)乙}丙〉丁=
② 一 二 上 中 下 天 地 人 一 二 甲 乙 丙 丁。
といふ「ソート(並び替へ)」を、行ふことになる。
従って、
(08)(09)により、
(10)
② 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「返り点」が付いてゐる「漢文」があるならば、「その漢文」は、
② 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「返り点」の「代はり」に、
②〈 { [ 〔 ( )( ) 〕( ) ]( )( ) } 〉
といふ「括弧」を用ひて、「訓読の語順」を、示すことが出来る。
従って、
(01)(10)により、
(11)
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬=
① 不丁使丙籍誠不人以下畜二子一憂中寒上乱地心天有二財一以済乙薬甲=
① 不〈使{籍誠不[以〔畜(子)憂(寒)〕乱(心)]有(財)以済(薬)}〉⇒
① 〈{籍誠[〔(子)畜(寒)憂〕以(心)乱]不(財)有以(薬)済}使〉不=
① 〈{籍をして誠に[〔(子を)畜ひ(寒さを)憂ふる〕以て(心を)乱さ]不(財)有りて以て(薬を)済さ}使め〉不。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
従って、
(01)(10)(11)により、
(12)
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬=
② 不丁常使丙籍誠不人以下畜二妻子一憂中飢寒上乱地良心天有二銭財一以済乙医薬甲。
② 不〈常使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(良心)]有(銭財)以済(医薬)}〉⇒
② 〈常{籍誠[〔(妻子)畜(飢寒)憂〕以(良心)乱]不(銭財)有以(医薬)済}使〉不=
② 〈常には{籍をして誠に[〔(妻子を)畜ひ(飢寒を)憂ふる〕以て(良心を)乱さ]不(銭財)有りて以て(医薬を)済さ}使め〉不。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
然るに、
(13)
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬=
② 不〈常使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(良心)]有(銭財)以済(医薬)}〉。
に於いて、
② 常使= 副詞+動詞 は、「修飾構造」。
② 妻子= 体言+体言 は、「並列構造」。
② 飢寒= 体言+体言 は、「並列構造」。
② 良心=形容詞+体言 は、「修飾構造」。
② 銭財= 体言+体言 は、「並列構造」。
② 医薬= 体言+体言 は、「並列構造」。
然るに、
(14)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(11)~(14)により、
(15)
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬=
① 不丁使丙籍誠不人以下畜二子一憂中寒上乱地心天有二財一以済乙薬甲=
① 不〈使{籍誠不[以〔畜(子)憂(寒)〕乱(心)]有(財)以済(薬)}〉。
といふ「漢文」と、
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬=
② 不丁常使丙籍誠不人以下畜二妻子一憂中飢寒上乱地良心天有二銭財一以済乙医薬甲=
② 不〈常使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(良心)]有(銭財)以済(医薬)}〉。
といふ「漢文」に於いて、
① の「返り点と、補足構造」は、
② の「返り点と、補足構造」に、「等しい」。
従って、
(15)により、
(16)
① 不丁使丙籍誠不人以下畜二子一憂中寒上乱地心天有二財一以済乙薬甲。
② 不丁使丙籍誠不人以下畜二子一憂中寒上乱地心天有二財一以済乙薬甲。
に於ける、
① 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
② 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「返り点」、並びに、
②〈 { [ 〔 ( )( ) 〕( ) ]( )( ) } 〉
②〈 { [ 〔 ( )( ) 〕( ) ]( )( ) } 〉
といふ「括弧」は、
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬。
といふ「訓読の語順と、補足構造」を、示してゐる。
然るに、
(07)により、
(17)
もう一度、確認するものの、
① 不レ使乙籍誠不下以二畜レ子憂一レ寒 乱上レ心有レ財以済甲レ薬。
に付いてゐる、
① レ 乙 下 二 レ 一レ 上レ レ 甲レ
といふ「返り点」は、
② 不常使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬。
に対して、付くことが、出来ない。
従って、
(16)(17)により、
(18)
① レ 乙 下 二 レ 一レ 上レ レ 甲レ
といふ「返り点」は、
① 丁 丙 人 下 二 一 中 上 地 天 二 一 乙 甲
といふ「返り点」とは、異なり、
① 不使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
といふ「漢文」の、「訓読の語順」だけしか、示してゐない。
従って、
(01)~(18)により、
(19)
(ⅰ)レ、一レ、上レ、甲レ、天レ
(ⅱ)一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、・・・・・
(ⅲ)上、中、下
(ⅳ)甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸
(ⅴ)天、地、人
から、(ⅰ)を除かない限り、「返り点」は、「訓読の語順」だけしか、示してゐない。
然るに、
(20)
③{ [ 〔 ( )( ) 〕( ) ]( )( ) }
に於いて、
( を、二 と見做し、
) を、一 と見做し、
〔 を、下 と見做し、
〕 を、上 と見做し、
[ を、乙 と見做し、
] を、甲 と見做し、
{ を、天 と見做し、
} を、地 と見做すならば、
③ { [ 〔 ( )( ) 〕( ) ]( )( ) }
④ 地 乙 下 二 一二 一 上二 一 甲二 一二 一 天
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(21)
③ 使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬=
③ 使地籍誠不乙以下畜二妻子一憂二飢寒一φ上乱二心一φ甲有二銭財一以済二医薬一φ天=
③ 使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)φ〕乱(心)φ]有(銭財)以済(医薬)φ}⇒
③ {籍誠[〔(妻子)畜(飢寒)憂φ〕以(心)乱φ]不(銭財)有以(医薬)済φ}使=
③ {籍をして誠に[〔(妻子を)畜ひ(飢寒を)憂ふるφ〕以て(心を)乱さφ]不(銭財)有りて以て(医薬を)済さφ}使む。
然るに、
(22)
③ {籍をして誠に[〔(妻子を)畜ひ(飢寒を)憂ふるφ〕以て(心を)乱さφ]不(銭財)有りて以て(医薬を)済さφ}使む。
に於いて、
③ φ φ φ
は、「読まない」し、尚且つ、「書かない」ものとする。
従って、
(21)(22)により、
(23)
③ 使籍誠不以畜妻子憂飢寒乱心有銭財以済医薬=
③ 使地籍誠不乙以下畜二妻子一憂二飢寒一上乱二心一甲有二銭財一以済二医薬一天=
③ 使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(心)]有(銭財)以済(医薬)}⇒
③ {籍誠[〔(妻子)畜(飢寒)憂〕以(心)乱]不(銭財)有以(医薬)済}使=
③ {籍をして誠に[〔(妻子を)畜ひ(飢寒を)憂ふる〕以て(心を)乱さ]不(銭財)有りて以て(医薬を)済さ}使む。
といふ「漢文訓読」が成立する。
従って、
(20)~(23)により、
(24)
( ) 〔 〕 [ ] { } といふ「 括弧 」は、
二 一 下 上 乙 甲 地 天 といふ「返り点」である。
といふ風に、言へないことも、ない。
令和02年03月09日、毛利太。
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