(01)
(1)レ
下の一字から上の一字に返る場合に用いる。
(2)一二点(一・二・三・・・・・・)二字以上隔てて返る場合。
(原田種成、私の漢文講義、1995年、41・42頁改)
従って、
(01)により、
(02)
① 読書 =書を読む。
② 読漢文=漢文を読む。
であれば、
① 読レ書。
② 読二漢文一。
である。
然るに、
(03)
② 漢‐文
のやうに、「‐(接続線)」を用ひるならば、
② 漢‐文
は「2字」ではなく、「1字」と「見做す」ことが、出来る。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 読レ書。
② 読二漢文一。
ではなく、
① 読レ書。
② 読レ漢‐文。
である。
然るに、
(05)
②(漢文)
のやうに、「括弧」を用ひるならば、
②(漢文)
は「2字」ではなく、「1字」と「見做す」ことが、出来る。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① 読レ書。
② 読レ漢‐文。
であると「同時」に、
① 読レ書。
② 読レ(漢文)である。
然るに、
(07)
② ( ) は、
② 二 一 であると、「見做す」ことが出来る。
従って、
(06)(07)により、
(08)
① 読レ書。
② 読レ(漢文)。
であると「同時」に、
① 読レ書。
② 読レ二漢文一。
である。
然るに、
(09)
丸括弧内の文字列は、丸括弧外の文字列との関係においては一字として扱う。
丸括弧の導入により、一二点・上下点などの各種の返り点は不要となり、レ点のみで用が足りる。
(松山厳、漢文訓読の返り点に括弧を導入して構造化する試み、2014年)
従って、
(08)(09)により、
(10)
松山先生の「それ」は、
① 読レ書。
② 読レ(漢文)。
であるが、その場合は、
① 読書 =動詞+補語。
② 読漢文=動詞+補語。
といふ「同一の、補足構造」に対して、
① レ
② レ( )
といふ、「2通りの表記」が有ることになる。
従って、
(10)により、
(11)
① 読レ書。
② 読レ(漢文)。
であるよりは、
① 読レ(書)。
② 読レ(漢文)。
である方が、望ましい。
然るに、
(12)
① 読(書)。
に於いて、
読( )⇒( )読
といふ「移動」を行ふと、
① 読(漢文)⇒
①(書)読=
①(書を)読む。
(13)
② 読(漢文)。
に於いて、
読( )⇒( )読
といふ「移動」を行ふと、
② 読(漢文)⇒
②(漢文)読=
②(漢文を)読む。
然るに、
(14)
繰り返し、書いて来た通り、
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(12)(13)(14)より、
(15)
① 読(書)。
② 読(漢文)。
といふ「漢文」に於ける、
①( )
②( )
といふ「丸括弧」は、両方とも、「漢文の補足構造」を表してゐる。
従って、
(10)(15)により、
(16)
松山先生の「それ」は、
① 読レ書。
② 読レ(漢文)。
であるが、その場合は、
① 読書 =動詞+補語。
② 読漢文=動詞+補語。
といふ「同一の、補足構造」に対して、
① レ
② レ( )
といふ、「2通りの表記」が、有ることになるし、仮に、
① レ( )
② レ( )
といふ風に、「統一」したとしても、
① レ
② レ
は、「不要」である。
然るに、
(17)
(松山厳、漢文訓読の返り点に括弧を導入して構造化する試み、2014年)を参照。
然るに、
(18)
一つには、
(ⅰ)「丸括弧」の「直上」には、必ず、「レ点」が有る。といふことからすれば、
(〃)「丸括弧」の「直上」に有る「レ点」は、「省略」出来る。
従って、
(17)(18)により、
(19)
(20)
一つには、
(ⅱ)「丸括弧」の「直上」に有る「レ点」を、「省略」した場合は、
(〃)(取捨)と(所以)に「レ点」が有ったものと、誤解を与へるため、
(〃)「取‐捨、所‐以」とする。
従って、
(19)(20)により、
(21)
然るに、
(22)
(ⅲ)「レ点」の「直下」には「丸括弧」が有るが、「省略」されてゐる。
従って、
(18)(22)により、
(23)
然るに、
(24)
従って、
(17)~(24)により、
(25)
① 百聞不レ如レ(一見)。
② 不レ(以レ(千里)称)也。
③ 天帝レ(我長レ(百獣))。
④ 欲レ(取捨)レ之。
⑤ 君子不レ(以レ(其(所以)レ(養レ人)者)害レ人)。
⑥ 使レ(籍誠不レ(以レ(畜レ(妻子)憂レ(飢寒))乱レ心)有レ(銭財)以済レ(医薬))。
といふ、「漢文訓読の返り点に括弧を導入して構造化する試み」が表す「順番」は、
① 百聞不〔如(一見)〕。
② 不〔以(千里)称〕也。
③ 天帝使〔我長(百獣)〕。
④ 欲〔取‐捨(之)〕。
⑤ 君子不{以[其所‐以〔養(人)〕者]害(人)}。
⑥ 使{籍誠不[以〔畜(妻子)憂(飢寒)〕乱(心)]有(銭財)以済(医薬)}。
といふ「括弧」が表す「順番」に、「等しい」。
令和02年03月19日、毛利太。
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