2021年1月26日火曜日

「パースの法則」は「当然」である(Ⅱ)。

(01)
① ~(P&~Q)→P,~(P&~Q)├ P
②   (P&~Q)∨P, ~(P&~Q)├ P
に於いて、
① は「肯定肯定式」 であって、
② は「選言三段論法」である。
cf.
① Aならば、Bである。然るに、Aである。故に、Bである(肯定肯定式)。
② Aまたは、Bである。然るに、Aでない。故に、Bである(選言三段論法)。
従って、
(01)により、
(02)
① ~(P&~Q)→P
②   (P&~Q)∨P
に於いて、
①=② でなければ、ならない。
然るに、
(03)
10個の原始的規則のみを用いて、つぎの連式を証明せよ(Using only 10 primitive rules, prove the following sequent)。
~(P&~Q)→P ┤├(P&~Q)∨P
〔解答〕
(ⅰ)
1  (1)  ~(P&~Q)→P    A
 2 (2) ~{(P&~Q)∨P}    A
  3(3)   (P&~Q)      A
  3(4)   (P&~Q)∨P    3∨I
 23(5) ~{(P&~Q)∨P}&
        {(P&~Q)∨P}  24&I
 2 (6)   ~(P&~Q)     35RAA
12 (7)          P   16MPP
12 (8)    (P&~Q)∨P   7∨I
12 (9) ~{(P&~Q)∨P}&
        {(P&~Q)∨P}  28&I
1  (ア)~~{(P&~Q)∨P}  29RAA
1  (イ)   (P&~Q)∨P    アDN
(ⅱ)
1     (1)   (P&~Q)∨ P   A
 2    (2)  ~(P&~Q)&~P   A
  3   (3)   (P&~Q)      A
 2    (4)  ~(P&~Q)      2&E
 23   (5)   (P&~Q)&
           ~(P&~Q)      34&E
  3   (6)~{~(P&~Q)&~P}  25RAA
   7  (7)           P   A
 2    (8)          ~P   2&E
 2 7  (9)        P&~P   78&I
   7  (ア)~{~(P&~Q)&~P}  29RAA
1     (イ)~{~(P&~Q)&~P}  1367ア∨E
    ウ (ウ)  ~(P&~Q)      A
     エ(エ)          ~P   A
    ウエ(オ)  ~(P&~Q)&~P   ウエ&I
1   ウエ(カ)~{~(P&~Q)&~P}&
          {~(P&~Q)&~P}  イオ&I
1   ウ (キ)         ~~P   エカRAA
1   ウ (ケ)           P   キDN
1     (コ)  ~(P&~Q)→ P   ウケCP
cf.
(ⅰ)
1(1) ~(P&~Q)→P A
1(2)~~(P&~Q)∨P 1含意の定義
1(3)  (P&~Q)∨P 2DN
(ⅱ)
1(1)  (P&~Q)∨P A
1(2)~~(P&~Q)∨P 1DN
1(3) ~(P&~Q)→P 2含意の定義
従って、
(02)(03)により、
(04)
果たして、
① ~(P&~Q)→P
②   (P&~Q)∨P
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
10個の原始的規則のみを用いて、つぎの連式を証明せよ(Using only 10 primitive rules, prove the following sequent)。
~(P&~Q)┤├ P→Q
〔解答〕
(ⅰ)
1  (1)~(P&~Q)  A
 2 (2)  P      A
  3(3)    ~Q   A
 23(4)  P&~Q   23&I
123(5)~(P&~Q)&
       (P&~Q)  14&I
12 (6)   ~~Q   35RAA
12 (7)     Q   6DN
1  (8)  P→ Q   27CP
(ⅱ)
 1 (1)  P→ Q  A
  2(2)  P&~Q  A
  2(3)  P     2&E
 12(4)     Q  12MPP
  2(5)    ~Q  2&E
 12(6)  Q&~Q  45&I
 1 (7)~(P&~Q) 26RAA
cf.
(ⅰ)
1(1)~(P&~Q) A
1(2) ~P∨ Q  1ド・モルガンの法則
1(3)  P→ Q  2含意の定義
(ⅱ)
1(1)  P→ Q  A
1(2) ~P∨ Q  1含意の定義
1(3)~(P&~Q) 2ド・モルガンの法則
従って、
(05)により、
(06)
① ~(P&~Q)
②     P→ Q
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
「番号」を付け直すと、
① ~(P&~Q)→P
②  (P→ Q)→P
③   (P&~Q)∨P
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(07)により、
(08)
①{~(P&~Q)→P}→P
②  {(P→ Q)→P}→P
③  {(P&~Q)∨P}→P
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(08)により、
(09)
①{(PであってQでない)でないならば、Pである}ならばPである。
②{(Pならば、Qである)ならば、   Pである}ならばPである。
③{(PであってQでない)か、または、 Pである}ならばPである。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(09)により、
(10)
例へば、
P=日本人である。
Q= 男性である。
として、
①{(日本人であって男性でない)でないならば、日本人である}ならば日本人である。
②{(日本人ならば、男性である)ならば、   日本人である}ならば日本人である。
③{(日本人であって男性でない)か、または、 日本人である}ならば日本人である。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(11)
③{(日本人であって男性でない)か、または、日本人である}ならば、いづれにせよ、日本人である。
③{(日本人であって女性である)か、または、日本人である}ならば、いづれにせよ、日本人である。
といふ「命題」は、「偽」ではあり得ない。
従って、
(10)(11)により、
(12)
②{(日本人ならば、男性である)ならば、  日本人である}ならば日本人である。
③{(日本人であって男性でない)か、または、日本人である}ならば日本人である。
に於いて、
②=③ であって、
③{(日本人であって男性でない)か、または、日本人である}ならば日本人である。
といふ「命題」は、「恒に真」である。
従って、
(08)~(12)により、
(13)
「番号」を付け直すと、
①{(Pならば、Qである)ならば、  Pである}ならばPである。
②{(PであってQでない)か、または、Pである}ならばPである。
に於いて、
①=② であって、尚且つ、
② は、「恒に真」である。
従って、
(13)により、
(14)
①{(Pならば、Qである)ならば、Pである}ならばPである。
である所の、「パースの法則」は、それ自体は、「奇異」ではあるが、
それと「同値」である所の、
②{(PであってQでない)か、または、Pである}ならばPである。
といふ「言ひ方」からすれば、「少しも、奇異」ではない
令和03年01月26日、毛利太。

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