2016年8月20日土曜日

「白話文(中国語)のそれ」は「返り点」ではない。

(01)
① 漢文読。
② 漢読文。
③ 文漢読。
④ 文読漢。
⑤ 読漢文。
⑥ 読文漢。
に於いて、
① 漢文読=漢文を読む。
は、そのまま、「訓読の語順」である。
従って、
(02)
① 漢文読=漢文を読む。
の場合は、
① 漢→文→読。
といふ「順番」で、
① 漢文を読む。
といふ風に、読むことになる。
従って、
(03)
① 漢文読=漢文を読む。
の場合は、「縦書き」であれば、「からへ読む」だけなので、「返り点」を必要としない。
(04)
② 漢読(文)。
③ 文(漢)読。
④ 文(読漢)。
⑤ 読(漢文)。
⑥ 読文(漢)。
に於いて、
② 読( )⇒( )読
③ 文( )⇒( )文
④ 文( )⇒( )文
⑤ 読( )⇒( )読
といふ「倒置」を行ふと、
② 漢(文)読。
③ (漢)文読。
④ (読漢)文。
⑤ (漢文)読。
⑥ 読(漢)文。
然るに、
(05)
② 漢(文)読=漢(文を)読む。
③ (漢)文読=(漢)文を読む。
⑤ (漢文)読=(漢文を)読む。
従って、
(04)(05)により、
(06)
② 漢読(文)。
③ 文(漢)読。
⑤ 読(漢文)。
に関しては、「括弧」を用ゐた「訓読」が、可能であり、特に、⑤は「漢文訓読」である。
然るに、
(07)
⑥ 読{文(漢)}。
に於いて、
⑥ 読{ }⇒{ }読
⑥ 文( )⇒( )文
といふ「倒置」を行ふと、
⑥ 読{文(漢)}⇒
⑥ {(漢)文}読={(漢)文を}読む。
従って、
(06)(07)により、
(08)
② 漢読(文)。
③ 文(漢)読。
⑤ 読(漢文)。
⑥ 読{文(漢)}。
に関しては、「括弧」を用ゐた「訓読」が、可能である。
然るに、
(09)
④ 文(読{漢)}。
に於いて、
④ 文( )⇒( )文
④ 読{ }⇒{ }読
といふ「倒置」を行ふと、
④ 文(読{漢)}⇒
④ ({漢)文}読= ({漢)文を}読む。
然るに、
(10)
②  ( )
③  ( )
⑤  ( )
⑥ {( )}
は「括弧」であるが、
({ )}
は「括弧」ではない。
従って、
(09)(10)により、
(11)
② 漢読(文)。
③ 文(漢)読。
⑤ 読(漢文)。
⑥ 読{文(漢)}。
に関しては、「括弧」を用ゐた「訓読」が、可能であるが、
④ 文(読{漢)}。
に関しては、「括弧」を用ゐた「訓読」が、可能ではない。
然るに、
(12)
漢=1
文=2
読=3
であるならば、
② 漢読文=132。
③ 文漢読=213。
④ 文読漢=231。
⑤ 読漢文=312。
⑥ 読文漢=321。
従って、
(11)(12)により、
(13)
④ 2<3>1
のやうな「順番」に関しては、「括弧」を用ゐた「訓読」が、可能ではない。
然るに、
(14)
② 漢読文=132。
③ 文漢読=213。
④ 文読漢=231。
⑤ 読漢文=312。
⑥ 読文漢=321。
に於いて、それぞれの「返り点」は、
②   レ
③ レ
④ 二 三 一
⑤ 二 一
⑥ レ レ
である。
cf.

然るに、
(15)
  一
といふことは、「縦書き」であれば、
 二
 ↑↓
  
 一
といふ風に、「下から上へ返り、からへ降りる」ことになる。
然るに、
(03)により、
(16)
「上から下へ読む」場合は、「返り点」を用ゐないため、
 二
 ↑↓
  
 一
のやうに、「からへ降りる」所の「それ」は、「返り点」ではない。
従って、
(13)(16)により、
(17)
④ 2<3>1
のやうな「順番」を、「括弧&返り点」を用ゐて「訓読」することは、出来ない。
然るに、
(18)
上中下点(上・下、上・中・下)は、
必ず一二点をまたいで返る場合に用いる。数学の式における( )が一二点で、{ }が上中下点に相当するものと考えるとわかりやすい。
(原田種成、私の漢文講義、1995年、43頁改)
然るに、
(19)
⑦ 下 二 上 一
であれば、
⑦ 下 二 上
⑦   二 上 一
であるため、「上下点の間に、一二点が挟まれてゐる」とは、言へない。
従って、
(18)(19)により、
(20)
⑦ 下 二 上 一
は、「返り点」ではない。
(21)
 五  一 
であれば、
 二
 ↑↓ 五
  三三
 ↑ ↓↑
   
 一
である。
従って、
(16)(20)により、
(22)
⑧ 二 五 三 一 四
は、「返り点」ではない。
(23)
〔説明〕二つの返り点がいっしょになるのは、一とレ、上とレ、甲とレ、天とレの四つだけである。
(志村和久、漢文早わかり、1982年、18頁)
従って、
(24)
⑨ 二 三レ 一
は、「返り点」ではない。
従って、
(20)(22)(24)により、
(25)
⑦ 下 二 上 一
⑧ 二 五 三 一 四
⑨ 二 三レ 一
のやうな「それ」は、「返り点」としては、「デタラメ」である。
加へて、
(26)
⑦ 下 二 上 一
⑧ 二 五 三 一 四
⑨ 二 三レ 一
であれば、
⑦ 4 2<3>1
⑧ 2<5 3>1 4
⑨ 2<4 3>1
である。
従って、
(17)(26)により、
(27)
いづれにせよ、
⑦   2<3>1
⑧ 2<5 3>1
⑨ 2<4 3>1
といふ「順番」を、「括弧&返り点」を用ゐて「訓読」することは、出来ない。
然るに、
(28)

従って、
(25)(27)(28)により、
(29)
⑦ 只管要纏擾我。
⑧ 端的看不出這婆子的本事来。
⑧ 西門慶應促忙促急僭造不出床来。
⑨ 乞了不多酒。
といふ「中国語(白話)」は、「括弧&返り点」を用ゐて「訓読」することは、出来ない。
然るに、
(30)
⑦ 下 二 上 一
⑧ 二 五 三 一 四
⑨ 二 三レ 一
ではなく、
⑦ 下 二 一 上
⑧ 下 三 二 一 上
⑨ 三 二 一レ
であれば、「括弧」を用ゐて、「訓読」することが、出来る。
従って、
(29)(30)により、
(31)
⑦ 只管要纏擾
⑧ 端的不出這婆子的本事来。
⑧ 西門慶應促忙促急僭造不出床来。
乞了不多酒。
ではなく、
⑦ 只管要纏擾。
⑧ 端的不出這婆子的本事来。
⑨ 不多乞了酒。
であれば、
⑦ 只管要〔纏(我)擾〕。
⑧ 端的不[出〔看(這婆子的本事)〕来]。
⑨ 不[多〔乞了(酒)〕]。
のやうに、「括弧」を用ゐることが、出来る。
然るに、
(32)
⑦ 只管要纏擾
⑧ 端的不出這婆子的本事来。
乞了不多酒。
が、「漢文」ではないやうに、
⑦ 只管要纏擾。
⑧ 端的不出這婆子的本事来。
⑨ 不多乞了酒。
は、「白話(中国語)」ではない。
然るに、
(33)
⑩ Whatisthis)}?
といふ「英語」に対して、
⑪ Is(this what)?
は、「英語」ではない。
従って、
(32)(33)により、
(34)
⑪ Is(this what)?
は、「漢文的」であり、
⑩ Whatisthis)}?
は、「白話的」である。
平成28年08月20日、毛利太。
(a)一二点と、上下点。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_19.html)
(b)ジョン万次郎の「返り点」、英文訓読。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_17.html
(c)「論理学の括弧」と「漢文の括弧」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_6.html
(d)「返り点と、括弧の関係(最も重要な記事)」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/07/blog-post_6.html

0 件のコメント:

コメントを投稿