―「08月26日の記事」に加筆します。―
(01)
(02)
① 懸 羊 頭 売 狗 肉
① 二 一 二 一
① 3 1 2 6 4 5
① 羊頭を懸けて狗肉を売る。
に於いて、
「一段目」は「 漢文 」である。
「二段目」は「返り点」である。
「三段目」は「 語順 」である。
「四段目」は「 訓読 」である。
然るに、
(03)
① 懸 羊 頭 売 狗 肉
① 二 一 二 一
に対して、
② 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
② 三 二 一 二 一
であるとする。
然るに、
(04)
② 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
② 三 二 一 二 一
であれば、
② 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
② 三 二 一 二 一
② 4 3 1 2 7 5 6
② 羊頭を懸けるが如く狗肉を売る。
であって、
③ 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
③ 三 二 一 二 一
③ 7 3 1 2 6 4 5
③ 羊頭を懸けて狗肉を売るが如し。
ではない。
従って、
(01)(04)により、
(05)
② 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
② 三 二 一 二 一
② 7 3 1 2 6 4 5
② 羊頭を懸けて狗肉を売るが如し。
の場合は、
一・二点を同じ文中で二度以上使うと混乱する場合であって、それ故、「返り点」は、
③ 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
③ 下 二 一 中 上
③ 7 3 1 2 6 4 5
であって、
② 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
② 三 二 一 二 一
② 7 3 1 2 6 4 5
ではない。
然るに、
(06)
③ 下 二 一 中 上
③ 7 3 1 2 6 4 5
に於いて、
③ 3=2+1
③ 6=5+1
③ 7=6+1
である。
然るに、
(07)
③ 下 二 一 中 上
③ 7 3 1 2 6 4 5
に於いて、
③ 7と6の間にある数は、3 1 2 である。
③ 3と2の間にある数は、1 である。
③ 6と5の間にある数は、4 である。
従って、
(08)
③ 下 二 一 中 上
③ 7 3 1 2 6 4 5
に於いて、
③ 3<4>2
③ 6<7>5
③ 7<8>6
のやうな「順番」、すなはち、
③ N+1<M>N
のやうな「順番」は、存在しない。
(09)
③ 3<4>2
を含むやうに、
③ 7 3 1 2 6 4 5
ではなく、例へば、
④ 7 3 4 1 2 6 5
とするならば、「返り点」は、
④ 下 二 三 一 中 上
④ 7 3 4 1 2 6 5
である。
然るに、
(10)
「返り点」は、「下から、上へ返る点」であるため、「上から、下に降りる点」は、「返り点」ではない。
従って、
(09)(10)により、
(11)
二 二
↑ ↓
三
一
のやうな「順番」を含む、
④ 下 二 三 一 上
④ 7 3 4 1 2 6 5
といふ「それ」は、「返り点」ではない。
(12)
③ 7<8>6
を含むやうに、
③ 7 3 1 2 6 4 5
ではなく、例へば、
⑤ 7 3 1 8 2 6 4 5
とするならば、「返り点」は、
⑤ 丙 二 丁 一 乙 甲
⑤ 7 3 1 8 2 6 4 5
である。
然るに、
(13)
「一二点」の間に入ることが出来る「返り点」は、「レ点」だけであるため、
⑤ 二 丁 一
を含む、
⑤ 丙 二 丁 一 乙 甲
は、「返り点」ではない。
(14)
③ 3<4>2
を含む、例へば、
③ 1 3 4 2。
といふ「順番」があると、「仮定」する。
然るに、
(15)
③ 1 3(4 2)。
に於いて、
3( )⇒( )3
といふ「倒置」を行ふと、
③ 1 3(4 2)⇒
③ 1 (4 2)3=
③ 1 4 2 3。
従って、
(15)により、
(16)
③ 1 3(4 2)
であれば、「括弧」を用ゐて、
③ 1 2 3 4。
といふ「順番」で「訓読」することは、出来ない。
然るに、
(17)
③ 1 3(4 2)。
に対して、
③ 1 3(4 〔2)〕。
とするならば、
③ (〔 )〕
は、「括弧」ではない。
従って、
(11)(13)(17)により、
(18)
「返り点」と「括弧」は、
③ N+1<M>N
といふ「順番」を含む「順番」を、
③ 1<2<・ ・ ・<N<(N+1)<M<・ ・ ・
といふ「順番」に「並び替へ(ソート)」することが、出来ない。
従って、
(18)により、
(19)
A=10
B=11
C=12
D=13
E=14
F=15
であるとして、例へば、
⑥ F 9 7 3 1 2 6 4 5 8 E B A D C
⑥ 人 乙 下 二 一 中 上 甲 地 レ 天レ
⑥ F{9[7〔3(1 2)6(4 5)〕8] E〔B(A)D(C)〕}
の中に、
⑥ N+1<M>N
といふ「順番」は、無い。
すなはち、
(20)
⑥ F 9 7 3 1 2 6 4 5 8 E B A D C
⑥ 人 乙 下 二 一 中 上 甲 地 レ 天レ
に於いて、
⑥ FとEの間にある数は、9 7 3 1 2 6 4 5 8 である。
⑥ 9と8の間にある数は、7 3 1 2 6 4 5 である。
⑥ 7と6の間にある数は、4 3 1 2 である。
⑥ 3と2の間にある数は、1 である。
⑥ 6と5の間にある数は、4 である。
⑥ BとAの間に、数は、無い。
⑥ DとCの間に、数は、無い。
然るに、
(21)
③ 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
③ 下 二 一 中 上
③ 7 3 1 2 6 4 5
であれば、
③ 如 懸 羊 頭 売 狗 肉
③ 五 二 一 四 三
③ 7 3 1 2 6 4 5
であっても、良い。
然るに、
(22)
③ 下 二 一 中 上
であれば、
二 下
↑ ↑
一 中
↑
上
であるため、「下から上へ、返ってゐる」。
然るに、
(23)
③ 五 二 一 四 三
であるならば、
五
二 二
↑ ↓ ↑
一
四
↓ ↑
三 三
であるため、「下から上へ、上から下へ、返ってゐる」。
従って、
(22)(23)により、
(24)
⑥ F 9 7 3 1 2 6 4 5 8 E B A D C
⑥ 人 乙 下 二 一 中 上 甲 地 レ 天レ
⑥ 間 乙 下 二 一 中 上 甲 人 二 一 地 天
であれば、「下から上へ、返ってゐる」のに対して、
⑥ F 9 7 3 1 2 6 4 5 8 E B A D C
⑥ 十三 七 五 二 一 四 三 六 十二 九 八 十一 十
の場合は、「下から上へ、上から下へ、返ってゐる」。
然るに、
(25)
「下から上へ、返ってゐる」場合と、
「下から上へ、上から下へ、返ってゐる」場合とでは、
「下から上へ、上から下へ、返ってゐる」場合の方が、当然、「読みにくい」。
従って、
(24)(25)により、
⑥ F 9 7 3 1 2 6 4 5 8 E B A D C
といふ「順番」を表す際の、
⑥ 人 乙 下 二 一 中 上 甲 地 レ 天レ
⑥ 間 乙 下 二 一 中 上 甲 人 二 一 地 天
といふ「返り点」を、
⑥ 十三 七 五 二 一 四 三 六 十二 九 八 十一 十
といふ「一二点」だけで表す場合は、「極めて、読みにくい」。
cf
然るに、
(25)
大学生に返り点を打たせると、レ点の原則違反から生じる誤りが大半をしめます(古田島洋介、これならわかる返り点、2009年、60頁)。
従って、
(25)により、
(26)
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(b)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
(c)上 中 下
(d)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(e)天 地 人
といふ「セット」から、
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
といふ「レ点」を除けば、「返り点」は、「簡単」になる。
然るに、
(27)
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
に於いて、
(a) レ は、「一二点」で表すことが出来る。
(a)一レ も、「一二点」で表すことが出来る。
(a)上レ は、「上下点」で表すことが出来る。
(a)甲レ は、「甲乙点」で表すことが出来る。
(a)天レ は、「天地点」で表すことが出来る。
従って、
(26)(27)により、
(28)
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
といふ「レ点」は「不要」であり、尚且つ、「レ点」を除けば、「返り点」は「簡単」になる。
然るに、
(29)
例へば、
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也=
⑦ 知{我不〔羞(小節)〕而恥[功名不〔顕(于天下)〕]}也⇒
⑦ {我〔(小節)羞〕不而[功名〔(于天下)顕〕不]恥}知也=
⑦ {我の〔(小節を)羞ぢ〕ずして[功名の〔(天下に)顕はれ〕ざるを]恥づるを}知ればなり。
の「返り点」は、
⑦ 下 レ 二 一 中 上レ 二 一
である。
従って、
(30)
⑦ 下 レ 二 一 中 上レ 二 一
ではなく、
⑦ 囗 三 二 一 下 中 上 二 一
のやうに、「レ点」を除くと、
(c)上<中<下
といふ「三つ」では、「不足」し、そのため、
(c)上<中<下<囗
でなければ、ならない。
然るに、
(31)
従って、
(32)
(c)上 中 下
(d)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
といふ「順番」を、
(c)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(d)上 中 下
といふ「順番」に変へるならば、
⑦ 知{我不〔羞(小節)〕而恥[功名不〔顕(于天下)〕]}也。
に於いて、「返り点」の「不足」は、起こらない。
従って、
(33)
以上を要するに、
(Ⅰ)「レ点」を除いても、「返り点」は成立し、尚且つ、その方が、「簡単」になる。
(Ⅱ)「一二点」だけを「返り点」として用ゐようとすると、「極めて、読みにくい」。
(Ⅲ)「上 中 下」の三つでは、「不足する」場合がある。
といふ、ことになる。
従って、
(34)
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(b)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
(c)上 中 下
(d)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(e)天 地 人
ではなく
(a)一 二 三 四 五 六 七
(b)甲 乙 丙 丁 戊 己
(c)上 中 下 松 竹
(d)天 地 人 間
くらひの「それ」を以て、「返り点」とするのが、「適切」である。
然るに、
(35)
「試験」の際に、例へば、
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也。
⑦ 戊 三 二 一 丁 丙 乙 甲
⑦ 我の小節を羞ぢずして、功名の天下に顕はれざるを恥づるを知ればなり。
とするならば、「0点」である。
そのため、
(36)
受験生に対しては、初めに、
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也。
⑦ レ 二 一
⑦ 我の小節を羞ぢして、
であって、「而(接続詞)」は「置き字」であることを、確認したい。
次に、
(37)
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也。
⑦ レ 二 一 レ 二 一
⑦ 我の小節を羞ぢして、功名の天下に顕はれざるを
であって、「于(前置詞)」は「置き字」であることを、確認したい。
最後に、
(38)
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也。
⑦ 下 レ 二 一 中 上レ二 一
⑦ 我の小節を羞ぢずして、功名の天下に顕はれざるを恥づるを知ればなり。
であることを、確認したい。
然るに、
(39)
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也。
に対して、
⑧ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 常 顕 于 天 下 也。
⑧ 我の小節を羞ぢずして、功名の、常には天下に顕はれざるを恥づるを知ればなり。
であるならば、
⑧ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 常 顕 于 天 下 也。
⑧ 戊 レ 二 一 丁 丙 乙 甲
とせざるを得ない。
従って、
(38)(39)により、
(40)
⑦ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 顕 于 天 下 也。
⑧ 知 我 不 羞 小 節 而 恥 功 名 不 常 顕 于 天 下 也。
の場合は、「常」といふ「一字の有無」により、
⑦ 下 レ 二 一 中 上レ二 一
といふ「返り点」の、
⑦あああああああああああああああi上レ
が「無効」となって、
⑧ 戊 レ 二 一 丁 丙 乙 甲
といふ「返り点」に、変はらざるを得ない。
然るに、
(41)
「返り点」が、
(a)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(b)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
(c)上 中 下
(d)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(e)天 地 人
ではなく、
(a)一 二 三 四 五 六 七
(b)甲 乙 丙 丁 戊 己
(c)上 中 下 松 竹
(d)天 地 人 間
であるならば、(40)のやうなことは、起こらない。
平成28年08月26・27日、毛利太。
―「関連記事」―
(a)「レ点」は要らない。「括弧」があれば、「返り点」も要らない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_22.html)
(b)「括弧」は「返り点」の「代用」ではない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/01_25.html)
(c)「(レ点を含む)返り点」は、「構造(syntax)」を表してゐない。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/syntax.html)
(d)「括弧と返り点」で表すこと出来る「訓読」の「順番」。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/08/blog-post_31.html)
(e)「括弧」の読み方。(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post.html)
(f)「返り点、括弧、構造化。」(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post_11.html)
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