(01)
① 不〔読(文)〕。
② 不〔読(漢文)〕。
③ 不〔必読(文)〕。
④ 不〔必読(漢文)〕。
⑤ 非〔読(文)者〕。
⑥ 非〔読(漢文)者〕。
(02)
① 〔(文)読〕不。
② 〔(漢文)読〕不。
③ 〔必(文)読〕不。
④ 〔必(漢文)読〕不。
⑤ 〔(文)読者〕非。
⑥ 〔(漢文)読者〕非。
(03)
① 〔(文を)読ま〕ず。
② 〔(漢文を)読ま〕不。
③ 〔必ずしも(文を)読ま〕ず。
④ 〔必ずしも(漢文を)読ま〕ず。
⑤ 〔(文を)読む者〕非ず。
⑥ 〔(漢文を)読む者〕非ず。
然るに、
(04)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、二九六頁)
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① 不〔読(文)〕。
② 不〔読(漢文)〕。
③ 不〔必読(文)〕。
④ 不〔必読(漢文)〕。
⑤ 非〔読(文)者〕。
⑥ 非〔読(漢文)者〕。
に於ける、
① 〔( )〕
② 〔( )〕
③ 〔( )〕
④ 〔( )〕
⑤ 〔( )〕
⑥ 〔( )〕
といふ「括弧」、すなはち、
① 〔( )〕
といふ「一通りの、括弧」は、
① 不読文。
② 不読漢文。
③ 不必読文。
④ 不必読漢文。
⑤ 非読文者。
⑥ 非読漢文者。
といふ「漢文」の「補足構造」を、表してゐる。
然るに、
(06)
従って、
(05)(06)により、
(07)
① 〔( )〕
に対する、
① レ 二 一
② 二 一 レ
③ 二 一レ
④ 三 二 一
⑤ 二 レ 一
⑥ 下 二 一 上
といふ「六つの、返り点」の内の、「少なくとも、五つの返り点」は、
① 不読文。
② 不読漢文。
③ 不必読文。
④ 不必読漢文。
⑤ 有読文者。
⑥ 有読漢文者。
といふ「漢文」の「補足構造」を、表してはゐない。
然るに、
(01)(03)により、
(08)
⑥ 非〔読(漢文)者〕。⇔
⑥ 〔(漢文を)読む者に〕非ず。
然るに、
(09)
⑦ 我非常読漢文者也。
に於いて、
我(主語)
常(副詞)
者(被修飾語)
也(終助詞?)
といふ「四つの漢字」は、「補足構造」に対して、「関与」をしてゐない。
従って、
(04)(08)(09)により、
(10)
⑦ 我非常読漢文者也。
に於いて、
⑦ 我 常 者也
といふ「四つの漢字」は、「返読」されない。
従って、
(08)(10)により、
(11)
⑦ 我非〔常読(漢文)者〕也。
に於いて、
⑦ 我 常 者 也。
といふ「四つの漢字」は、「返読」されない。
従って、
(11)により、
(12)
⑦ 我非〔常読(漢文)者〕也。
に於いて、
⑦ 我 常 者 也。
といふ「四つの漢字」は、「普通に(左から右へ)読む」。
従って、
(08)(12)により、
(13)
⑦ 我非〔常読(漢文)者〕也。
に於いて、
我 は、そのまま読み、
非 は、〔 〕の中を読み終へた「直後」に読み、
常 は、そのまま読み、
読 は、( )の中にある、
漢 と
文 を、読み終へた「直後」に読み、
者 は、そのまま読み、
也 は、そのまま読む。
従って、
(13)により、
(14)
⑦ 我非〔常読(漢文)者〕也。
に於いて、
我 は、そのまま読み、
非 は、スルー(through)して、
常 は、そのまま読み、
読 は、スルー(through)して、
漢 と
文 を、読み終へた「直後」に読み、
読 を、読み、
者 は、そのまま読み、その「直後」に、
非 を、読み、最後に、
也 を読む。
従って、
(14)により、
(15)
⑦ 我非〔常読(漢文)者〕也。
といふ「漢文」は、
我は
常に
漢
文を
読む
者に
非ざる
也。
といふ「順番」で「訓読」される。
従って、
(05)(15)により、
(16)
⑦ 我非〔常読(漢文)者〕也。
といふ「漢文」は、
⑦ 〔 ( ) 〕
といふ「括弧(補足構造)」に従って、
⑦ 我は〔常に(漢文を)読む者に〕非ざる也。
といふ「順番」で「訓読」される。
然るに、
(14)により、
(17)
⑧ 我非{必求[以〔解(白話)法〕解(漢文)]者}也。
に於いて、
我 は、そのまま読み、
非 は、スルー(through)して、
必 は、そのまま読み、
求 は、スルー(through)して、
以 は、スルー(through)して、
解 も、スルー(through)して、
白 と
文 を、読み終へた「直後」に、
解 を、読み、
法 は、そのまま読み、その「直後」に、
以 を、読み、
解 は、スルー(through)して、
漢 と
文 を、読み終へた「直後」に、
解 を読み、その「直後」に、
求 を読み、
者 は、そのまま読み、その「直後」に、
非 を、読み、最後に、
也 を読む。
従って、
(17)により、
(18)
⑧ 我非{必求[以〔解(白話)法〕解(漢文)]者}也。
といふ「漢文」は、
我は、
必ずしも
白
文を
解する
法を
以て
漢
文を、
解せんことを
求むる
者に
非ざる
也。
といふ「順番」で「訓読」される。
従って、
(05)(18)により、
(19)
⑧ 我非{必求[以〔解(白話)法〕解(漢文)]者}也。
といふ「漢文」は、
⑧ { [ 〔 ( ) 〕 ( )] }
といふ「括弧(補足構造)」に従って、
⑧ 我は{必ずしも[〔(白話を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求むる者に}非ざる也。
といふ「順番」で「訓読」される。
(20)
⑧ 我非{必求[以〔解(白話)法〕解(漢文)]者}也。
に於いて、
α 我 {必 [ 〔 (白話)法〕 (漢文)]者}也。
β 非{ 求[以〔解( ) 〕解( )] }
であるとして、
α に関しては、「そのまま、左から右へ読む」。
β に関しては、「より内側の括弧の中」を「先」にして、「左から右へ読む」。
といふのが、「括弧の読み方」に他ならない。
(21)
「実際に試して貰へれば分かった貰へる」やうに、『「返り点」による「訓読」』よりも、『「括弧」による「訓読」』の方が、「簡単」なのであって、尚且つ、(07)でも述べた通り、「括弧」とは異なり、「返り点」は、必ずしも、「漢文の補足構造」を表してはゐない。
(22)
⑨ 知下可二以戦一与上レ不レ可二以戦一者勝。
⑨ 知{可(以戦)与[不〔可(以戦)〕]}者勝。
⑨ {(以て戦ふ)可きと[〔(以て戦ふ)可から〕不]とを}知る者は勝つ。
に於ける、
⑨ 下 二 一 上レ レ 二 一
といふ「返り点」も、「漢文の補足構造」を表してはゐないし、
⑨ 下 二 一 上レ レ 二 一
のやうな「(現行の)返り点」は、「横書き」であっても、「縦書き」であっても、「極めて、読みにくい」。
平成28年11月01日、毛利太。
―「関連記事」―
「漢文の補足構造」としての「括弧」の付け方(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post_22.html)。
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