(01)
① 曽子之母非〈不{知[子不〔殺(人)〕]}〉也=
① 1234B〈A{9[58〔7(6)〕]}〉C。
に於いて、
B〈 〉⇒〈 〉B
A{ }⇒{ }A
9[ ]⇒[ ]9
8〔 〕⇒〔 〕8
7( )⇒( )7
といふ「移動」を行ふと、
① 1234B〈A{9[58〔7(6)〕]}〉C⇒
① 1234〈{[5〔(6)7〕8]9}A〉BC=
① 曽子之母〈{[子〔(人)殺〕不]知}不〉非也=
① 曽子の母〈{[子の〔(人を)殺さ〕不るを]知ら}不るに〉非ざる也。
然るに、
(02)
非〈 〉⇒〈 〉非
不{ }⇒{ }不
子[ ]⇒[ ]不
不( )⇒( )子
殺( )⇒( )殺
といふ「移動」を行ふことによって、
① 曽子之母非〈不{知[子不〔殺(人)〕]}〉也。
といふ「語順」を、
① 曽子之母〈{[子〔(人)殺〕不]知}不〉非也。
といふ「語順」で「読む」といふことは、
①「括弧」を用ゐて、「右から左へ、辺読する」といふことに、他ならない。
(03)
② 我非{必求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]者}也=
② 1E{2C[8〔6(345)7〕B(9A)]D}F。
に於いて、
E{ }⇒{ }E
C[ ]⇒[ ]C
8〔 〕⇒〔 〕8
6( )⇒( )6
B( )⇒( )B
といふ「移動」を行ふと、
② 1E{2C[8〔6(345)7〕B(9A)]D}F⇒
② 1{2[〔(345)67〕8(9A)B]CD}EF=
② 我{必[〔(中国語)解法〕以(漢文)解]求者}非也=
② 我は{必ずしも[〔(中国語を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求むる者に}非ざる也。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
然るに、
(04)
非{ }⇒{ }非
求[ ]⇒[ ]求
以〔 〕⇒〔 〕以
解( )⇒( )解
解( )⇒( )解
といふ「移動」を行ふことによって、
② 我非{必求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]者}也。
といふ「語順」を、
② 我{必[〔(中国語)解法〕以(漢文)解]求者}非也。
といふ「語順」で「読む」といふことは、
②「括弧」を用ゐて、「右から左へ、辺読する」といふことに、他ならない。
然るに、
(05)
「括弧」を用ゐて、「右から左へ、辺読する」といふことは、「縦書き」であれば、
「括弧」を用ゐて、「下から上へ、辺読する」といふことに、他ならない。
従って、
(02)(04)(05)により、
(06)
(a)「括弧」は、「下から上にしか、返へらない」。
然るに、
(07)
然るに、
(07)により、
(08)
① レ レ 二 一レ レ
① 六 五 四 三 二 一
であれば、
六
↑
五
↑
四
↑
三
↑
二
↑
一
であって、
② 地 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
であれば、
二 下 丙 地
↑ ↑ ↑ ↑
一 上 乙 天
↑
甲
である。
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
(a)「 括弧 」は、「下から上にしか、返へらない」。
(b)「返り点」も、「下から上にしか、返へらない」。
然るに、
(10)
③ 二(三〔一)〕
に於いて、
二( )⇒( )二
三〔 〕⇒〔 〕三
といふ「移動」を行ふと、
③ 二(三〔一)〕⇒
③ (〔一)二〕三=
③ 一 二 三。
然るに、
(11)
③〔( )〕
ではない所の、
③(〔 )〕
といふ「それ」は、「括弧」ではない。
然るに、
(12)
二 二
↑ ↓
一 ↓
三
であれば、「下から上に返へり、上から下に返ってゐる」。
従って、
(09)~(12)により、
(13)
例へば、
返り点のサンプル(http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/db-machine/~yasuoka/kyodokenkyu/2007-06-19/kaeriten.html)
の中に、
③ 二 三 一
④ 二 レ 三 レ 一
⑤ 中 下 二 三 一 上
のやうな「上から下に返へる、返り点」が見付かるのであれば、そのやうな「返り点」は、「括弧」で以て、「置き換へ」ることが、出来ない。
cf.
③(〔 )〕
④〔( )[( )〕]
⑤[{(〔 )〕]}
然るに、
(14)
中国語の文章は文言と白話に大別されるが、漢文とは文章語の文言のことであり、白話文や日本語化された漢字文などは漢文とは呼ばない。通常、日本における漢文とは、訓読という法則ある方法で日本語に訳して読む場合のことを指し、訓読で適用し得る文言のみを対象とする。もし強いて白話文を訓読するとたいへん奇妙な日本語になるため、白話文はその対象にならない。白話文は直接口語訳するのがよく、より原文の語気に近い訳となる(ウィキペディア)。
従って、
(15)
「白話文(中国語)」は、「漢文」ではないため、仮に、「サンプル」の中に、「白話文(中国語)」が混ざってゐる場合は、
③ 二 三 一
④ 二 レ 三 レ 一
⑤ 中 下 二 三 一 上
のやうな「それ」が有ったとしても、その限りではなく、
「返り点」とは、飽くまでも、「下から上へ、返へる点」である。といふ、ことになる。
平成28年11月15日、毛利太。
―「関連記事」―
「漢文の補足構造」としての「括弧」の付け方(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post_22.html)。
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