① 復冀得兎=復た兎を得んことを冀ふ。
② 冀復得兎=復た兎を得んことを冀ふ。
に於いて、
① であれば、
① 狩りに出て、兎が取れることを願ったが、失敗したので、後日、もう一度、兎が取れることを願った。
といふ場合が、さうであり、
② であれば、
② 最初は、思いがけず、偶然に、兎が木の根っこに激突して死んだので、もう一度、兎が木の根っこにぶつかって死ぬことを願ふ。
といふ場合が、さうである。
従って、
(02)
① であれば、
① 復冀(得兎)。
に於ける、
① (得兎)を、2回、願った。
ことになり、
② であれば、
② 冀復得兎。
に於ける、
② (復得兎)を、1回、願った。
ことになり、
次の(03)は、そのことを、述べてゐる。
(03)
◆冀復得兎
この句は「復た兎を得んことを冀ふ」と読むが、いまかりに原文の「冀」と「復」を入れかえて「復冀得兎」としても読み方はかわらない。しかし意味内容の上では大きな違いがあるので注意を要する。「冀復得兎」の場合は「冀ふ」の内容が下の「復得兎」となる形であるから、「ふたたび兎を手に入れる」ということを「ねがう」の意で、まえにも手に入れたが、さらにもう一度手に入れたいと望むことになる。ところが「復冀得兎」の場合は「復」が「冀」の上にあるので、「復」が「冀」を修飾する形であり、「冀ふ」の内容は「得兎」だけになる。つまり「兎を手に入れること」を「もう一度ねがう」の意である(旺文社、漢文の基礎、1973年、36頁)。
といふことになる。
cf.
冀復得兎。兎不可復得、而身為宋国笑。
復た兎を得んことを冀ふ。兎復た得べからずして、身は宋国の笑ひと為れり。
もう一度兎を手に入れたいと願った。兎は二度と手に入れられず、彼自身は宋の国の笑いものとなった(旺文社、漢文の基礎、1973年、35頁)。
待ちぼうけ
作曲:山田耕筰
待ちぼうけ 待ちぼうけ
ある日せっせと 野良かせぎ
そこへ兎が とんで出て
ころり転げた 木の根っこ
待ちぼうけ 待ちぼうけ
しめたこれから 寝て待とか
待てばえものは かけてくる
兎ぶつかれ 木の根っこ
(04)
① 復冀得兎=復た兎を得んことを冀ふ。
② 冀復得兎=復た兎を得んことを冀ふ。
の場合は、
① 復冀(得兎)=復た(兎を得んこと)を冀ふ。
② 冀(復得兎)=(復た兎を得んこと)を冀ふ。
といふことに、なる。
従って、
(05)
目には見えなくとも、
① 復冀得兎。
② 冀復得兎。
に於いて、「括弧」は、有ります!
平成26年08月31日、毛利太。
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