2015年2月6日金曜日

「返り点」について(縦書き)。

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(〇一)
「返り点」とは、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
④ 天 地 人
⑤ レ
⑥ ‐(ハイフン)
を、言ふ。
(〇二)
読教科書=教科書を読む。
の「返り点」を、
=教を読む。
とするのは、「マチガイ」であって、
教科書=教科書を読む。
が、「正しい」。
(〇三)
読教科書学漢文=教科書を読み漢文を学ぶ。
の「返り点」を、
教科書漢文=教科書を読み漢文を学ぶ。
とするは、「マチガイ」であって、
教科書漢文=教科書を読み漢文を学ぶ。
が、「正しい」。
従って、
(〇二)(〇三)により、
(〇四)
四 一 二 三。
二 一 四 三。
は「マチガイ」であって、
二 一。
二 一 二 一。
が「正しく」、このことは、「基本中の基本」である。
(〇五)
鳥啼梅樹=鳥、梅樹に啼く。
聞鳥啼梅樹=鳥の梅樹に啼くを聞く。
の「返り点」は、当然、
鳥啼梅樹=鳥、梅樹に啼く。
鳥啼梅樹=鳥の梅樹に啼くを聞く。
が、「正しい」。
然るに、
(〇六)
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
④ 天 地 人
に於いて、
① を挟んで返る場合には、
② を用ゐ、
② を挟んで返る場合には、
③ を用ゐ、
③ を挟んで返る場合には、
④ を用ゐる。
従って、
(〇六)により、
(〇七)
四 二 一 三。
五 四 二 一 三。
五 二 一 四 三。
は、「マチガイ」であって、
下 二 一 上。
下 中 二 一 上。
下 二 一 中 上。
が、「正しい」。
従って、
(〇六)により、
(〇七)
鳥啼梅樹
鳥の梅樹に啼く声を聞く。
常聞鳥啼梅樹
常には鳥の梅樹に啼く声を聞か不
快刀乱麻
快刀を揮つて乱麻を断つが如し。
は、「マチガイ」であって、
鳥啼梅樹
鳥の梅樹に啼く声を聞く。
常聞鳥啼梅樹
常には鳥の梅樹に啼く声を聞か不
快刀乱麻
快刀を揮つて乱麻を断つが如し。
が、「正しい」。
従って、
(〇七)により、
(〇八)
不欲揮快刀断乱麻=
快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
の「返り点」として、
快刀乱麻
快刀を揮って乱麻を断たんと欲
は、「正しい」。
然るに、
(〇九)
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
とは異なり、
② 上 中 下
④ 天 地 人
は、三つしかない。
従って、
(〇八)(〇九)により、
(一〇)
不欲揮快刀断乱麻=
快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
に対して、
不必欲揮快刀断乱麻=
必ずしも、快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
の場合は、已むを得ず、
② 上 中 下
ではなく、
③ 甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
を、用ゐて、
必欲快刀乱麻
必ずしも快刀を揮って乱麻を断たんと 欲せ不
とする。
従って、
(〇七)(一〇)により、
(一一)
下 二 一 上。
下 中 二 一 上。
下 二 一 中 上。
丁 丙 二 一 乙 甲。
が、正しい。
然るに、
(一二)
例へば、
四 二 一 三。
ではなく、
二 四 一 三。
であったとする。
然るに、
(一三)
(3)上中下点(上・下、上・中・下)
レ点・一二点だけで示しきれない場合。必ず一二点をまたいで返る場合に用いる(数学の式における( )が一二点で、{ }が上中点に相当しりものと考えるとわかりやすい)。〔原 田種成、私の漢文講義、1995年、43頁〕
従って、
(一二)(一三)により、
(一四)
二 四 一 三。
は、
二 下 一 上。
でなければ、ならない。
然るに、
(一五)
{( )}
に対して、
({ )}
といふ形の「括弧」が、有り得ないやうに、
二 下 一 上。
といふ形の「返り点」も、存在しない。
従って、
(一二)~(一五)により、
(一六)
二 四 一 三。
といふ「順番」を表す「返り点」は、存在せず、
更に言へば、
二 3 一。
二 4 一 3。
二 5 一 4。
二 6 一 5。
・・・・・・。
といふ「順番」を表す「返り点」も、存在しない。
従って、
(一七)
例へば、
2 3 1。
といふ「数字の順番」になるやうに、「返り点」を付けよ。
といふ「問題」がある場合には、実際には、
2‐3 1。
といふ、
2‐3(ハイフン有り)と、
1 に対して、
二 一。
といふ「返り点」を、付けることになる。
然るに、
(一八)
2 3 1=
2‐3 1。
ではなく、
2 4 1 3。
等の「順番」は、固より、
⑥ ‐(ハイフン)
を、用ゐることが、出来ないため、
二 下 一 上。
といふ、「反則」を用ゐない限り、
2 4 1 3。
といふ「数字の順番」を、表すことは、出来ない。
従って、
(一八)により、
(一九)
2 4 1 3。
2 5 1 3 4。
2 6 1 4 3 5。
・・・・・・。
等の「順番」に対しては、
原理的に、「返り点」を付けることが、出来ない。
(二〇)
快刀乱麻
快刀を揮って乱麻を断たんと欲せず。
に対して、
刀断一レ麻=
刀を揮って麻を断たんと欲せず。
である。
従って、
(二〇)により、
(二一)
① 一 二・点
② 上 下・点
③ 甲 乙・点
④ 天 地・点
⑤ レ点
に於いて、
⑤ レ点
は、
① 一 の下にも、
① 一二 の中にも、
① 二 の上にも、
② 下 の上にも、
置くことが、出来るし、
加へて、
(二二)
あといてうえたおそかしきこ一レけせ上レすつ甲レちはなのにね天レひ=
あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひへほま。
等は、「返り点」として、「正しい」。
従って、
(二二)により、
(二三)
二 一レ
だけでなく、
中 上レ
乙 甲レ
地 天レ
といふ「返り点」は、有る。
然るに、
(二四)
二 一レ
中 上レ
乙 甲レ
地 天レ
に対して、
三 二レ 一
下 中レ 上
丙 乙レ 甲
人 地レ 天
であるが故に、
「始点が二つ、終点が一つ」である、
三 二レ
下 中レ
丙 乙レ
人 地レ
といふ「返り点」は、有り得ない。
(二四)
漢文=漢文を読まざるに非ず。
といふ「返り点」は、
漢文=漢文を読ま不るに非ず。
といふ「返り点」に、等しい。
従って、
(二五)
漢文
漢文=漢文を読まざるに非ず。
のやうな、「使い方」だけを、してゐる限り、
「レ点」は、少しも、難しくはない。
(二六)
衆狙之不於己
衆狙の己に馴れ不るを恐る。
ではなく、
衆狙之不二レ於己
衆狙の己に馴れ不るを恐る(朝三暮四)。
が、「正しい」。
然るに、
(二七)
二 一レ
といふ「返り点」が無ければ、
衆狙之不一レ於己
といふ「分りにくい、返り点」は、
衆狙之不於己
といふ風に、書かざるを得ないし、固より、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
② 上 中 下 松 竹 梅
④ 天 地 人 間
くらいの「返り点」が有れば、
⑤ レ点
は、不要である。
然るに、
(二八)
数式に於いて、
( )の他に、
{ }を使ふのは、
( )だけでは、「読みにくい」からであるが、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
の他に、
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
④ 天 地 人
を使ふ「理由」も、例へば、
使一三籍誠不妻子飢寒而有一〇銭財以済一二医薬一一
籍をして誠に妻子を畜ひ飢寒を憂ふる を以て心を乱銭財一〇りて以て医薬一一を済一二さ使一三 む。
のやうに、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
だけを用ゐると、「読みにくい」からである。
然るに、
(二九)
「読みにくい」のとは逆に、
「付けやすさ」から言へば、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
よりも、「付けやすい」それは、有り得ない。
従って、
(二七)(二九)により、
(三〇)
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
② 上 中 下 松 竹 梅
④ 天 地 人 間
⑤ レ点
に於いて、
「付けやすい返り点」といふことから言へば、

だけの「返り点(番号)」が、「最も簡単」であり、
①+③+②+④
からなる「返り点」が、「その次に簡単」であり、
⑤ レ点
を含む、
①+③+②+④+⑤
からなる、「フルセットの返り点」が、「最も難しい」。
従って、
(三一)
「返り点」が、メチャクチャ苦手な、受験生に対しては、
最初に、
使一三籍誠不妻子飢寒而有一〇銭財以済一二医薬一一
籍をして誠に妻子を畜ひ飢寒を憂ふる を以て心を乱銭財一〇りて以て医薬一一を済一二さ使一三む。
といふ風に、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
だけからなる、「返り点(番号)」を付けることを、勧めたい。
(三二)
その上で、
使一三籍誠不妻子飢寒而有一〇銭財以済一二医薬一一
に対して、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
② 上 中 下
④ 天 地 人
からなら「返り点」を用ゐて、
使籍誠不妻子飢寒而有銭財以済医薬
籍をして誠に妻子を畜ひ飢寒を憂ふる を以て心を乱銭財りて以て医薬を済さ使む。
とすることを、勧めたい。
(三三)
その次に、
① 一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
② 上 中 下
④ 天 地 人
に加へて、
⑤ レ点
を用ゐて、
使籍誠不妻子飢寒甲レ心而有銭財以済医薬
とすることを、勧めたい。
(三四)
言沛公不敢背項王=
沛公敢へて項王に背かずと言はん。
であれば、もちろん、
沛公不敢背項王
沛公敢へて項王に背か不と言はん。
である。
然るに、
(三五)
言沛公不背項王=
沛公項王に背かずと言はん。
の場合は、
沛公不項王
沛公項王に背か不と言はん。
は、「マチガイ」であって、
沛公不一レ項王
沛公項王に背かずと言はん。
が、「正しい」。
と決めたのは、多分、明治時代の、文部省である。
平成二七年〇二月〇六日、毛利太。

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