(a)『返り点と括弧』については、『「返り点」と「括弧」(略8)(https://kannbunn.blogspot.com/2018/09/blog-post_17.html)』他もお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
(01)
漢文には、しばしば置き字として接続詞「而」が現れるため、「而」の扱いに慣れておくことは、必須です。とはいえ、実のところ、「而」を含む文は、復文の方針が立てやすい。なぜなら、「而」があると、たいてい直前の送り仮名に接続詞「て」を付けて訓読することになっているからです(古田島洋介、こらならわから復文の要領、2017年、137頁)。
従って、
(01)により、
(02)
「復文の方針」がたてやすいやうに、ほとんどの場合に、例へば、
① 読書、学漢字。
② 読書而学漢字。
であることが、すなはち、
① 書を読み、漢字を学ぶ。
② 書を読み而漢字を学ぶ。
であることが「期待」される。
然るに、
(03)
従って、
(03)により、
(04)
① 舟に刻みて
② 劍の從りて
③ 水に入りて
であって、
① 舟に刻み而
② 劍の從り而
③ 水に入り而
ではないし、加へて、
④ 兎走りて
⑤ 竊かに語りて
⑥ 韓馬を立つること良や久しうして
⑦ 王韶之は少くして
⑧ 今臣不肖にして
⑨ 吏の賕を受けて、
⑩ 己に克ちて
⑪ 莊氏山於り出て
⑫ 蓋し民の役にして
⑬ 行きて
⑭ 馮婦臂を攘げて
⑮ 則ち請ふ余代りて
⑯ 晏子之を數めて
⑰ 蓋し民の役にして
⑱ 獨り學びて
⑲ 其の子を愛して
⑳ 三世より逓にして
等に於いても、
④ 兎走り而
⑤ 竊かに語り而
⑥ 韓馬を立つること良や久しうし而
⑦ 王韶之は少くし而
⑧ 今臣不肖にし而
⑨ 吏の賕を受け而
⑩ 己に克ち而
⑪ 莊氏山於り出而
⑫ 蓋し民の役にし而
⑬ 行き而
⑭ 馮婦臂を攘げ而
⑮ 則ち請ふ余代り而
⑯ 晏子之を數め而
⑰ 蓋し民の役にし而
⑱ 獨り學び而
⑲ 其の子を愛し而
⑳ 三世より逓にし而
ではない。
cf.
例文の訓点は出題者の意図を尊重し著者において手を加えなかった。従って、書き下し文もそれに応じている。
小林信明 監修、重要漢文単語文例精解―入試文例数1000、1968年、まえがき)
従って、
(05)により、
(06)
「而」があると、たいてい直前の送り仮名に接続詞「て」を付けて訓読することになっている。が故に、「而」を含む文は、復文の方針が立てやすい。
とは、言へないはずである。
平成30年09月20日、毛利太。
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