2018年9月26日水曜日

「Pならば、QならPである。」は「公理」である。

(a)『返り点と括弧』については、『「返り点」と「括弧」(略8)(https://kannbunn.blogspot.com/2018/09/blog-post_17.html)』他もお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
(01)
   ルカジェヴィッツによる公理
(a) P→(Q→P)
(b)[P→(Q→R)]→[(P→Q)→(P→R)]
(c)(~P→~Q)→(Q→P)
(沢田允茂、現代論理学入門、1962年、173頁)
然るに、
(02)
公理(こうり、英: axiom)とは、その他の命題を導きだすための前提として導入される最も基本的な仮定のことである。一つの形式体系における議論の前提として置かれる一連の公理の集まりを公理系(英語版) (axiomatic system) という(ウィキペディア)。
従って、
(01)(02)により、
(03)
(a) P→(Q→P)
(b)[P→(Q→R)]→[(P→Q)→(P→R)]
(c)(~P→~Q)→(Q→P)
といふ「式」は、「公理」であるため、「普通」は、「証明すべき対象」ではない。
然るに、
(04)
命題論理の「自然演繹」の場合は、面白いことに、「公理は1つもありません。ここに自然演繹の大きな特徴があります。「出発点になる公理が何もないのに、いったいどうやって演繹するんだ」という疑問が湧いてくるでしょう(小島博之、証明と論理に強くなる、2017年、141頁改)。
然るに、
(05)
(a)
1     (1)     P   A
1     (2) ~Q∨ P   1∨I 
 3    (3)  Q&~P   A
  4   (4) ~Q      A
 3    (5)  Q      3&E
 34   (6) ~Q& Q   34&I
  4   (7)~(Q&~P)  36RAA
   8  (8)     P   A
 3    (9)    ~P   3&E
 3 8  (ア)  P&~P   78&I
   8  (イ)~(Q&~P)  3アRAA
1     (ウ)~(Q&~P)  2478イ∨E
    エ (エ)  Q      A
     オ(オ)    ~P   A
    エオ(カ)  Q&~P   エオ&I
1   エオ(キ)~(Q&~P)&
          (Q&~P)  ウキ&I
1   エ (ク)   ~~P   オキ
1   エ (ケ)     P   クDN
1     (コ)  Q→ P   エケCP
      (サ)P→(Q→P)  1コCP
(b)
   1  (1)  P→(Q→R)     A
    2 (2)  P→ Q        A
     3(3)  P           A
   1 3(4)     Q→R      12MPP
    23(5)     Q        23MPP
   123(6)       R      45MPP
   12 (7)  P→   R      36CP
   1  (8) (P→Q)→(P→R)  27CP
      (9) (P→(Q→R))→
         [(P→Q)→(P→R)] 19CP
(c)
    1 (1) ~P→~Q   A
     2(2)     Q   A
     2(3)   ~~Q   2DN
    12(4)~~P      13MTT
    12(5)  P      4DN
    1 (6)  Q→ P   25CP
      (7)(~P→~Q)→
         ( Q→ P)  16CP
従って、
(01)~(05)により、
(06)
自然演繹」は、「公理」を持たないものの、その一方で、「自然演繹(の規則)」は、
(a) P→(Q→P)
(b)[P→(Q→R)]→[(P→Q)→(P→R)]
(c)(~P→~Q)→(Q→P)
といふ、「ルカジェヴィッツの公理」を、「演繹」出来る。
従って、
(06)により、
(07)
(a)P→(Q→P)
といふ「公理」は、すなはち、
(a)Pならば(QならばPである)。
といふ「公理」は、「自然演繹」としても、「常に、(本当)」である。
然るに、
(08)
(a)
 1 (1)  Q→ P  A
  2(2)  Q&~P  A
  2(3)  Q     2&E
  2(4)    ~P  2&E
 12(5)     P  13MQQ
 12(6)  ~P&P  45&I
 1 (7)~(Q&~P) 26PAA
(b)
1  (1)~(Q&~P)  A
 2 (2)  Q      A
  3(3)    ~P   A
 23(4)  Q&~P   23&I
123(5)~(Q&~P)&
       (Q&~P)  14&I
12 (6)   ~~P   35PAA
12 (7)     P   6DN
1  (8)  Q→ P   27CP
従って、
(08)により、
(09)
(a)  Q→ P
(b)~(Q&~P)
に於いて、
(a) QならばPである。
(b)(QであってPでない。)といふことはない。
に於いて、
(a)=(b) である。
従って、
(09)により、
(10)
(a)  P→ (Q→P)
(b)~{P&~(Q→P)}
に於いて、すなはち、
(a) Pならば(QならばPである)。
(b){Pであって(QならばPである。)ではない。}といふことはない。
に於いて、
(a)=(b) である。
然るに、
(11)
(c)
1(1)~( Q→P) A
1(2)~(~Q∨P) 1含意の定義
1(3)~~Q&~P  ド・モルガンの法則
1(4)  Q&~P  3DN
1(5)  Q     4&E
1(6)    ~P  4&E
1(7)  ~P&Q  65&I
従って、
(10)(11)により、
(12)
(a)  P→ (Q→P)
(b)~{P&~(Q→P)}
(c)~{P&(~P&Q)}
に於いて、すなはち、
(a) Pならば(QならばPである)。
(b){Pであって(QならばPである。)ではない。}といふことはない。
(c){Pであって(PでなくてQである。)}といふことはない。
(〃){Pでって(PでくてQである。)}といふことはい。
に於いて、
(a)=(b)=(c) である。
然るに、
(13)
(〃)Pであって、PでなくてQである。
といふこと(矛盾)は、「有り得ない」。
従って、
(13)により、
(14)
(c){Pであって(PでなくてQである。)}といふことはない。
といふことは、「当然」である。
従って、
(12)(14)により、
(15)
(a) Pならば(QならばPである)。
(b){Pであって(QならばPである。)ではない。}といふことはない。
(c){Pであって(PでなくてQである。)}といふことはない。
(〃){Pでって(PでくてQである。)}といふことはい。
に於いて、
(a)=(b)=(c) であって、尚且つ、
(c){Pであって(PでなくてQである。)}といふことはない。
といふことは、「当然」である以上、
(a) Pならば(QならばPである)。
といふことも、「常に、(本当)」である。
といふ風に、せざるを得ない。
然るに、
(16)
(c){Pであって(PでなくてQである。)}といふことはない。
であるならば、兎も角、
(a) Pならば(QならばPである)。
は、「公理(常に)」である。と言はれても、「わけが分からない」のが、「普通」であると思はれる。
平成30年09月26日、毛利太。

0 件のコメント:

コメントを投稿