2014年2月4日火曜日

漢文・括弧・論理(其の参)。

「仮定」により、
(01)
PならばQである。
「仮定」により、
(02)
Pであって、Qでない。
従って、
「連言除去(02)」により、
(03)
Pである。
従って、
「連言導入(01)(03)」により、
(04)
PならばQであって、Pである。
従って、
「前件肯定(04)」により、
(05)
Qである。
然るに、
「連言除去(02)」により、
(06)
Qでない。
従って、
「連言導入(05)(06)」により、
(07)
Qである。のに、Qでない。
従って、
「背理法(02)(07)」により、
(08)
「Pであって、Qでない。」ではない。
従って、
「条件法(01)(08)」により、
(09)
「PならばQである。」ならば、
「Pであって、Qでない。」ではない。
「仮定」により、
(10)
「Pであって、Qでない。」ではない。
「仮定」により、
(11)
Pである。
「仮定」により、
(12)
Qでない。
従って、
「連言導入(11)(12)」により、
(13)
Pであって、Qでない。
従って、
「連言導入(10)(13)」により、
(14)
「Pであって、Qでない。」ではないのに、
「Pであって、Qでない。」。
従って、
「背理法(12)(14)」により、
(15)
「Qでない。」ではない。
従って、
「二重否定(15)」により、
(16)
Qである。
従って、
「条件法(11)(16)」により、
(17)
PならばQである。
従って、
「条件法(10)(17)」により、
(18)
『「Pであって、Qでない。」ではない。』ならば、
  「PならばQである。」
従って、
「等値の定義(09)(18)」により、
(19)
『「Pであって、Qでない。」ではない。』と、
  「PならばQである。」は、
「論理的」に、等しい。
従って、
(19)により、
(20)
『「Pであって、Qである。」ではない。』と、
  「PならばQでない。」は、
「論理的」に、等しい。
従って、
(21)
日本語の順で、「記号」で書くと、
(P∧Q)¬=P⊃Q¬
従って、
(22)
論理学の順で、「記号」で書くと、
¬(P∧Q)=P⊃¬Q
従って、
(23)
漢文で書くと、
不(P而Q)=如P則不Q
であるものの、
如は、省略できるため、
不(P而Q)=P則不Q
然るに、
(23)
「論理」自体は、「普遍的」であるため、
¬(P∧Q)=P⊃¬Q
といふ「等式」と、
不(P而Q)=P則不Q
といふ「等式」とは、「完全に、等しい」。
従って、
(23)
P=捨(義)=義を捨てる。
Q=取(命)=命を取る。
を「代入」すると、
不〔捨(義)而取(命)〕=捨(義)則不〔取(命)〕。
といふ「等式」は、「論理的」に正しい。
然るに、
(25)
日本語と漢文に於いて、「語順」は異なってゐても、「論理」は、日本語であっても、漢文であっても、共通である。
従って、
(25)により、
(26)
『「返り点」に対する「括弧」の用法』により、
① 不〔捨(義)而取(命)〕⇒〔(義を)捨て(命を)取ら〕ず。
② 捨(義)則不〔取(命)〕⇒(義を)捨てなば則ち〔(命を)取ら〕ず。
に於いて、
①=②
といふ「等式」は、「論理的」に正しい。
(27)
「義を捨てて命を取らず。」
では、分かりにくいのあれば、
『「義を捨てて命を取る」といふことは無い。』
で以て、考へて欲しい。
(28)
それでも分かりにくいのであれば、
『「義を捨てて迄、命を取る」といふことは無い。』
で以て、考へて欲しい。
(29)
『「義を捨てて迄、命を取る」といふことは無い。』
といふことは、
『「義を捨てる」くらいならば、「命を捨てる」。』
といふ、ことである。
然るに、
(30)
『「義を捨てて迄、命を取る」といふことは無い。』
といふことと、
『「義を捨てる」くらいならば、「命を捨てる」。』
といふことが等しい。といふことは、
① 不〔捨(義)而取(命)〕⇒〔(義を)捨て(命を)取ら〕ず。
② 捨(義)則不〔取(命)〕⇒(義を)捨てなば則ち〔(命を)取ら〕ず。
に於いて、
①=② である。
といふことに、他ならない。
従って、
(31)
① 不〔捨(義)而取(命)〕。
② 捨(義)則不〔取(命)〕。
に於いて、
①=② である。
といふことに、他ならない。
従って、
(30)(31)により、
(32)
① 不捨義而取命=義を捨て命を取らず。
② 捨義則不取命=義を捨てなば則ち命を取らず。
といふ「漢文訓読」に於いて、
①=② である。ならば、
① 不捨義而取命。
② 捨義則不取命。
といふ漢文は、その実、
① 不〔捨(義)而取(命)〕。
② 捨(義)則不〔取(命)〕。
といふ形をしてゐる。と、すべきである。
Q.E.D.
平成26年02月04日、毛利太。

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