2015年6月19日金曜日

返り点、括弧、白話(中国語)。

(01)
(a)漢文の補足構造は、「括弧」で表すことが出来る。
(b)補足構造を除くと、漢文と訓読の「語順」は、等しい。
(c)漢文の補足構造を「集合数」で表した時、訓読の語順は、「順序数」である。
といふ「三つの条件」の下で、例へば、
我不常読書=
我不〔常読(書)〕=
15〔24(3)〕⇒
1〔2(3)4〕5=
我〔常には(書を)読ま〕不。
といふ「括弧による、ソート(漢文訓読)」が、成立する。
(02)
5=囗囗囗囗囗
4=囗囗囗囗
3=囗囗囗
2=囗囗
1=囗
に於いて、
5は4を含み、
4は3を含み、
3は2を含み、
2は1を含む。
といふ際の、
5 4 3 2 1。
を、「集合数」とし、
1番目、2番目、3番目、4番目、5番目。
といふ際の、
1 2 3 4 5。
を、「順序数」とする。
(03)
321。
不読書。
に於いて、
3 といふ「集合数」は、「21」といふ「二つの集合数」を含むものの、是を以て、
3(21)。
不(読書)。
といふ風に、「括弧」で括る。
(04)
3(21)。
不(読書)。
に於いて、
2 といふ「集合数」は、「1」といふ「一つの集合数」を含むものの、是を以て、
3〔2(1)〕。
不〔読(書)〕。
然るに、
(05)
3〔2(1)〕。
を、「順序数」と、見なすならば、
不読書=
不〔読(書)〕=
3〔2(1)〕⇒
〔(1)2〕3=
〔(書を)読ま〕不。
といふ「括弧による、ソート(漢文訓読)」が、成立する。
(06)
我不常読書。
15243。
に於いて、
5 といふ「集合数」は、「243」といふ「三つの集合数」を含むものの、是を以て、
我不(常読書)。
15(243)。
といふ風に、「括弧」で括る。
(07)
我不(常読書)。
15(243)。
に於いて、
4 といふ「集合数」は、「3」といふ「一つの集合数」を含むものの、是を以て、
我不(常読書)。
15〔24(3)〕。
我不〔常読(書)〕。
といふ風に、「括弧」で括る。
然るに、
(08)
15〔24(3)〕。
を、「順序数」と、見なすならば、
我不常読書=
我不〔常読(書)〕=
15〔24(3)〕⇒
1〔2(3)4〕5=
我〔常には(書を)読ま〕不。
といふ「括弧による、ソート(漢文訓読)」が、成立する。
然るに、
(09)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。その補足構造における語順は、国語とは全く反対である(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(05)(08)(09)により、
(10)
① 不〔読(書)〕。
② 〔(書を)読ま〕不。
③ 我不〔常読(書)〕。
④ 我〔常には(書を)読ま〕不。
に於ける、
① 〔( )〕
② 〔( )〕
③ 〔( )〕
④ 〔( )〕
といふ「括弧」は、
① 不読書。
② 書を読ま不。
③ 我不常読書。
④ 我常には書を読ま不。
といふ「漢文訓読」に於ける、「補足構造」を表してゐる。
従って、
(10)により、
(11)
① 不読書。
といふ「漢文」に対して、
② 書を読ま不。
といふ「訓読」は、語順」は異なるものの、「補足構造」は、等しい。
然るに、
(12)
③  読不書=
③ 2(3〔1)〕⇒
④ (〔1)2〕3=
④ (〔書を)読ま〕不。
然るに、
(13)
③ (〔 )〕 の場合は、
③ (  )  の中に、
③  〔      が有るため、固より、「括弧」とは、言へない。
従って、
(01)(12)(13)により、
(14)
(a)漢文の補足構造は、「括弧」で表すことが出来る。
にも拘わらず、その一方で、
③ (〔 )〕 は、「括弧」ではない。
従って、
(12)(14)により、
(15)
その「補足構造」を、「括弧」で表すことが出来ないが故に、
③  読不書。
といふ「三つの漢字」は、「漢文」ではない。
然るに、
(16)
⑤ 136425=
⑤ 13(6[4〔2)〕5]⇒
⑥ 1([〔2)3〕45]6。
に於ける、
⑤ ([〔 )〕] の場合は、
⑤ (    )  の中に、
⑤  [〔    が有るため、「括弧」とは、言へない。
従って、
(01)(16)により、
(17)
(a)漢文の補足構造は、「括弧」で表すことが出来る。
にも拘わらず、その一方で、
⑤ ([〔 )〕] は、「括弧」ではない。
然るに、
(18)

従って、
(17)(18)により、
(19)
⑤ 端的看不出這婆子的本事来(白話)=
⑤ 端的看(不[出〔這婆子的本事)〕来]=
⑤ 113(6[4〔222222)〕5]⇒
⑥ 113(6[4〔222222)〕5]=
⑥ 端的に([〔這の婆子の本事を)看〕出だし来たら]不(訓読)。
に於いて、
(a)漢文の補足構造は、「括弧」で表すことが出来る。
にも拘わらず、その一方で、
⑤ ([〔 )〕] は、「括弧」ではない。
従って、
(19)により、
(20)
その「補足構造」を、「括弧」で表すことが出来ないが故に、
⑤ 端的看不出這婆子的本事来(白話)。
は、「漢文」ではない。
といふよりも、
(21)
二 五 三 一 四 =
二 下 上 一 中
などといふ「返り点」は、「漢文訓読」では、絶対に、有り得ない。ため、
⑤ 端的看不出這婆子的本事来 ⇒
⑥ 端的に這の婆子の本事を看出だし来たら不。
の場合は、それだけで、
⑤ 漢文。
⑥ 訓読。
ではない。
従って、
(18)(21)により、
(22)
⑤ 白話 は、
⑤ 漢文 ではない。
然るに、
(23)
我々が相手にしている「中国語」とは何か? 「普通話」は、「北京語音を標準音、北方語を基礎語彙として典型的な白話文(口語文)を語法の規範とする」と定義されている(Webサイ
ト:現代中国語の成立小史)。
従って、
(18)~(23)により、
(24)
漢文は、(中華人民共和国の国語といふ意味での、)中国語ではない。
平成27年06月19日、毛利太。

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