2016年7月16日土曜日

「漢文の多重否定」:「漢文」は「論理(学)的な言語」である。

(01)
① B<A と書いて。
① Bは必ずAに及ばない。
と読むことにする。
(02)
③ A<B と書いて、
③ Aであっても、Bに及ばない者はゐる。
と読むことにする。
然るに、
(03)
① B<A と、
③ A<B は、「矛盾」する。
然るに、
(04)
③ A<B の「否定」を、
② ~(A<B)=(A≧B)
とはせずに、この場合は、
② ~(A<B)=(A>B)=(B<A)
とする。
然るに、
(05)
③ Aであっても、Bに及ばない者はゐる。
の「否定」は、
② Aであって、Bに及ばない者はゐない
である。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
① Bは、必ず、Aに及ばない。
② Aであって、Bに及ばない者はゐない
に於いて、
①=② である。
然るに、
(07)
① Bは、必ず、Aに及ばない。
② Aであって、Bに及ばない者はゐない。
を、「漢文」で書くと、
① B必不如A。
② 無A不如B。
である。
然るに、
(08)
①  B必不如A(一重否定)。
②  無A不如B(二重否定)。
の「否定」は、それぞれ、
③ B不必不如A(二重否定)。
④ 非無A不如B(三重否定)。
である。
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
①  B必不如A(一重否定)。
②  無A不如B(二重否定)。
③ B不必不如A(二重否定)。
④ 非無A不如B(三重否定)。
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、尚且つ、
①=② と、
③=④ は、「矛盾」する。
然るに、
(10)
① B必不如A=
① B必不〔如(A)〕⇒
① B必〔(A)如〕不=
① Bは必ず〔(Aに)如か〕不=
① Bは必ず〔(Aに)及ば〕ない。
(11)
② 無A不如B=
② 無[A不〔如(B)〕]⇒
② [A〔(B)如〕不]無=
② [Aにして〔(Bに)如か〕不るは]無し=
② [Aであって〔(Bに)及ば〕ないものは]ゐない。
(12)
③ B不必不如A=
③ B不[必不〔如(A)〕]⇒
③ B[必〔(A)如〕不]不=
③ Bは[必ずしも〔(Aに)如か〕不んばあら]不=
③ Bは[必ずしも〔(Aに)及ば〕ないといふことでは]ない。
(13)
④ 非無A不如B=
④ 非{無[A不〔如(B)〕]}⇒
④ {[A〔(B)如〕不]無}非==
④ {[Aにして〔(Bに)如か〕不るは]無きに}非ず=
④ {[Aであって〔(Bに)及ば〕ないものは]いない}といふわけではない。
従って、
(09)~(13)により、
(14)
①    生徒は必ず〔(教師に)及ば〕ない。
②  [教師であって〔(生徒に)及ば〕ないものは]ゐない。
③ 生徒は[必ずしも〔(教師に)及ば〕ない]といふことではない。
④ {[教師であって〔(生徒に)及ば〕ないものは]いない}といふわけではない。
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、尚且つ、
①=② と、
③=④ は、「矛盾」する。
然るに、
(15)
① 生徒は必ず、教師に及ばない。
といふことは、
① 生徒であって、教師に及ぶものはゐない。
といふことであって、
① 生徒であって、教師に及ぶものはゐない。
といふことは、
② 教師であって、生徒に及ばないものはゐない。
といふことに、「等しい」。
然るに、
(16)
③ 生徒は、必ずしも、教師に及ばない。といふことではない。
といふことは、要するに、
③ ある生徒は、教師を超えてゐる。
といふことであり、
③ ある生徒は、教師を超えてゐる。
といふことは、
④ 教師であって、生徒に及ばないものがゐる。
といふことに、「等しい」。
然るに、
(17)
① 生徒は、必ず教師に及ばない。
といふことと、
④ 教師であって、生徒に及ばないものがゐる。
といふことは、「矛盾」する。
然るに、
(18)
④ 教師であって、生徒に及ばないものはいない。といふわけではない。
といふことは、要するに、
④ 教師であって、生徒に及ばないものがゐる。
といふことであり、
④ 教師であって、生徒に及ばないものがゐる。
といふことと、
② 教師であって、生徒に及ばないものはゐない
といふことは、「矛盾」そのものである。
従って、
(15)~(18)により、
(19)
①    生徒は必ず〔(教師に)及ば〕ない。
②  [教師であって〔(生徒に)及ば〕ないものは]ゐない。
③ 生徒は[必ずしも〔(教師に)及ば〕ないといふことでは]ない。
④ {[教師であって〔(生徒に)及ば〕ないものは]いない}といふわけではない。
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、尚且つ、
①=② と、
③=④ は、「矛盾」する。
従って、
(09)(19)により、
(20)
①    B必不〔如(A)〕
②   無[A不〔如(B)〕]
③  B不[必不〔如(A)〕]
④ 非{無[A不〔如(B)〕]}
に於いて、具体的には、
①    生徒は必ず〔(教師に)及ば〕ない。
②  [教師であって〔(生徒に)及ば〕ないものは]ゐない。
③ 生徒は[必ずしも〔(教師に)及ば〕ないといふことでは]ない。
④ {[教師であって〔(生徒に)及ば〕ないものは]いない}といふわけではない。
といふ「訓読」に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、尚且つ、
①=② と、
③=④ は、「矛盾」する。
然るに、
(21)
①    B必不〔如(A)〕
②   無[A不〔如(B)〕]
③  B不[必不〔如(A)〕]
④ 非{無[A不〔如(B)〕]}
に於いて、
非=¬
無=Φ
不=~
必=N
如=G
A=A
B=B
とすると、
①    BN~〔G(A)〕
②   Φ[A~〔G(B)〕]
③  B~[N~〔G(A)〕]
④ ¬{Φ[A~〔G(B)〕]}
となるものの、これらの「式」は、何やら、「論理学的」である。
然るに、
(22)
①    BN~〔G(A)〕
②   Φ[A~〔G(B)〕]
③  B~[N~〔G(A)〕]
④ ¬{Φ[A~〔G(B)〕]}
といふ「論理式」と、
①    B必不〔如(A)〕
②   無[A不〔如(B)〕]
③  B不[必不〔如(A)〕]
④ 非{無[A不〔如(B)〕]}
といふ「論理式」の間に、「本質的な違ひ」はない。
従って、
(23)
「漢文」は、実に、「論理(学)的な言語」である。
然るに、
(24)
④ ¬{Φ[A~〔G(B)〕]}
といふ「命題」は、
④ It is not true that no A is inferior to B.
といふ「英語」に「等しい」。
然るに、
(25)
④ It is not true that no A is inferior to B.
といふ「英語」は、たとへ「論理的」であっても、「論理学的」であるとは、思へない。
然るに、
(26)
④ No A is inferior to B.⇔
④ Aであって、Bよりも劣るAは存在しない。
従って、
(27)
④ It is not true that no A is inferior to B.⇔
④ Aであって、Bよりも劣るAは存在しない。といふことは本当ではない。
であるものの、
④ 非{無[A不〔如(B)〕]}
といふ「漢文」は、
④ Aであって、Bよりも劣るAは存在しない。といふことは本当ではない。
といふ、「意味」である。
従って、
(28)
④ 非{無[師不〔如(弟子)〕]}
といふ「漢文」は、
④ 師匠であって、弟子よりも劣る師匠は存在しない。といふことは本当ではない。
といふ、「意味」である。
従って、
(29)
④ 非{無[師不〔如(弟子)〕]}
といふ「漢文」は、
④ 師匠であっても、弟子よりも、劣ってゐる場合がある。
といふ、「意味」である。
然るに、
(30)
④ 師匠であっても、弟子よりも、劣ってゐる場合がある。
といふことは、
③ 弟子は必ずしも師に及ばないというわけではななく(、弟子の方が優れてゐる場合もある)。
といふことに、他ならない。
従って、
(31)
④ 非{無[師不〔如(弟子)〕]}
といふ「漢文」は、
③ 弟子不[必不〔如(師)〕]⇒
③ 弟子[必〔(師)如〕不]不=
③ 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず=
③ 弟子は必ずしも師に及ばないというわけではななく(、弟子の方が優れてゐる場合もある)。
といふ「漢文(韓愈、師説)」に等しい。
平成28年07月16日、毛利太。

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