(01)
「返り点に対する「括弧」の用法。」の中で、「最も重要な記事」は、
「括弧・返り点」の研究(Ⅱ)。http://kannbunn.blogspot.com/2016/04/blogpost_24.html です。
ところが、
(02)
「最も重要な記事(http://kannbunn.blogspot.com/2016/04/blog-post_24.html)」は、
「正確」である一方で、いくぶん、「(複雑で)難しく」なってゐます。
そのため、
(03)
今回は、以下に於いて、「最も重要な記事(2016年4月24日、日曜日)」を、「精細ではなく」とも、「分りやすい」やうに、書き換へます。
(04)
以下で言ふ、「括弧」とは、一時的に、数学の式に於ける、
( )
{( )}
{( )( )}
と「同じもの」を言ふ。
(05)
以下で言ふ、「返り点」とは、一時的に、
一 二 三 ・ ・ ・ ・ ・
上 中 下
のことを言ふ。
(06)
上中下点(上・下、上・中・下)は、
必ず一二点をまたいで返る場合に用いる。数学の式における( )が一二点で、{ }が上中下点に相当するものと考える(原田種成、私の漢文講義、1995年、43頁改)。
といふ「規則」を、認めることにする。
(07)
① 3(12)。
に於いて、
① ( )の中を「先に読む」。
然るに、
(08)
① 3(12)。
に於いて、
① ( )の中を、「先に読む」。といふことは、
① 3(12)⇒
① (12)3。
といふ「倒置」を行った上で、「左から右へ読む」ことに、他ならない。
(09)
② 2(31)。
に於いて、
② ( )の中を「先に読む」。
然るに、
(10)
② 2(31)。
に於いて、
② ( )の中を、「先に読む」。といふことは、
② 2(31)⇒
② (31)2。
といふ「倒置」を行った上で、「左から右へ読む」ことに、他ならない。
然るに、
(11)
① 読漢文=
① 312=
① 3(12)⇒
① (12)3=
① (漢文)読=
① (漢文を)読む。
に対して、
② 文読漢=
② 231=
② 2(31)⇒
② (31)2=
② (読漢)文=
② (読む漢)文を。
である。
従って、
(08)(10)(11)により、
(12)
① ( )
といふ「括弧」を用ゐた、
① 学漢文=漢文を読む。
といふ「漢文訓読」は、「可能」であるが、
② ( )
といふ「括弧」を用ゐた、
② 文読漢=漢文を読む*
といふ「漢文訓読」は、「可能」ではない。
従って、
(11)(12)により、
(13)
① ( )
を用ゐて、
① 3>1<2。
といふ「順番」を、
① 1<2<3。
といふ「順番」に「並び替へる(ソート)」することは「可能」であるが、
② ( )
を用ゐて、
② 2<3>1。
といふ「順番」を、
② 1<2<3。
といふ「順番」に「並び替へる(ソート)」することは「可能」ではない。
然るに、
(14)
② 2( )⇒( )2
② 3{ }⇒{ }3
といふ「倒置」を、
② 文読漢=
② 231=
② 2(3{1)}。
に対して行ふと、
② 文読漢=
② 231=
② 2(3{1)}⇒
② ({1)2}3=
② ({漢)文}読=
② ({漢)文を}読む。
従って、
(14)により、
(15)
② ({ )}
を用ゐて、
② 2<3>1。
といふ「順番」を、
② 1<2<3。
といふ「順番」に「並び替へる(ソート)」することは「可能」である。
然るに、
(04)により、
(16)
② {( )}ではない所の、
② ({ )}のやうな「それ」は、「括弧」ではない。
従って、
(13)(15)(16)により、
(17)
②「括弧」を用ゐて、
② 2<3>1。
といふ「順番」を、
② 1<2<3。
といふ「順番」に「並び替へる(ソート)」することは「可能」ではない。
然るに、
(18)
従って、
(18)により、
(19)
① 学漢文=漢文を読む。
といふ「漢文」であれば、「返り点」は、
① 二 一
であるのに対して、
② 文読漢=漢文を読む*
といふ「非文」であれば、「返り点」は、
② 二 三 一
である。
然るに、
(20)
「縦書き」であれば、「下」から「上」へ「返る点」こそが、「返り点」であって、
「横書き」であれば、「右」から「左」へ「返る点」こそが、「返り点」である。
然るに、
(21)
② 二 三 一
の場合は、
② 二 → 三
であるため、「左(上)」から「右(下)」へ、「返ってゐる」。
従って、
(19)(20)(21)により、
(22)
① 学漢文=漢文を読む。
に付く、
① 二 一
は、「返り点」であるが、
② 文読漢=漢文を読む*
に付く、
② 二 三 一
は、「返り点」ではない。
従って、
(22)により、
(23)
②「返り点」を用ゐて、
② 2<3>1。
といふ「順番」を、
② 1<2<3。
といふ「順番」に「並び替へる(ソート)」することは「可能」ではない。
従って、
(17)(23)により、
(24)
②「 括弧 」を用ゐても、
②「返り点」を用ゐても、
② 2<3>1。
といふ「順番」を、
② 1<2<3。
といふ「順番」に「並び替へる(ソート)」することは「可能」ではない。
(25)
③ 我不必学漢文学漢字=
③ 192534867=
③ 19{25(34)8(67)}。
に於いて、
③ 5( )⇒( )5
③ 8( )⇒( )5
③ 9{ }⇒{ }9
といふ「倒置」を行ふと、
③ 我不必読漢文学漢字=
③ 192534867=
③ 19{25(34)8(67)}⇒
③ 1{2(34)5(67)8}9=
③ 我{必(漢文)読(漢字)学}不=
③ 我{必ずしも(漢文を)読み(漢字を)学ば}不。
然るに、
(26)
③ 我下{必二(漢一)中(漢上)}。
において、
③ 二( )⇒( )二
③ 中( )⇒( )中
③ 下{ }⇒{ }下
といふ「倒置」を行ふと、
③ 我下{必二(漢一)中(漢上)}⇒
③ 我{必(漢一)二(漢上)中}下。
従って、
(26)により、
(27)
③ 我下{必二(漢一)中(漢上)}。
において、
③ 下=不
③ 二=読
③ 一=文
③ 中=学
③ 上=字
であるならば、
③ 我下{必二(漢一)中(漢上)}⇒
③ 我{必(漢文)読(漢字)学}不=
③ 我{必ずしも(漢文を)読み(漢字を)学ば}ず。
従って、
(25)(26)(27)により、
(28)
③ 我不必読漢文学漢字=
③ 我必ずしも漢文を読み漢字を学ばず。
といふ「漢文訓読」に付く「括弧・返り点」は、
③ { ( )( ) } であって、
③ 下 二 一 中 上 である。
然るに、
(29)
③ 我不必読漢文学漢字=
③ 我必ずしも漢文を読み漢字を学ばず。
といふ「漢文」ではなく、
④ 我必読不漢文学漢字=
④ 我必ずしも漢文を読み漢字を学ばず*
といふ「非文」を、想定する。
従って、
(27)(28)(29)により、
(30)
④ 我=1
④ 下=不=9
④ 必=2
④ 二=読=5
④ 漢=3
④ 一=文=4
④ 中=学=8
④ 漢=6
④ 上=字=7
ではなく、
④ 我=1
④ 必=2
④ 二=読=5
④ 下=不=9
④ 漢=3
④ 一=文=4
④ 中=学=8
④ 漢=6
④ 上=字=7
といふ「非文」を、想定する。
従って、
(31)
④ 二=読
④ 下=不
④ 一=文
である。
然るに、
(06)(31)により、
(32)
④ 二 下 一
といふ「それ」は、「上中下点(上・下、上・中・下)は、必ず一二点をまたいで返る場合に用いる。」といふ「規則」に抵触する。
従って、
(30)(31)(32)により、
(33)
④ 下 二 一 中 上
に対して、
④ 二 下 一 中 上
といふ「返り点」は、有り得ない。
然るに、
(34)
③ 下{二(一)中(上)}⇒
③ {(一)二(上)二}下。
に対して、
④ 二(下{一)中(上)}⇒
④ ({一)二(上)中}下。
である。
然るに、
(04)により、
(35)
③ { ( )( ) }ではない所の、
④ ( { )( ) }のやうな「それ」は、「括弧」ではない。
従って、
(29)(33)(35)により、
(36)
④「返り点」を用ゐても、
④「 括弧 」を用ゐても、
④ 125<9>3<4867。
といふ「順番」を、
④ 1<2<3<4<5<6<7<8<9。
といふ「順番」に「並び替へる(ソート)」することは「可能」ではない。
従って、
(24)(36)により、
(37)
②「 括弧 」を用ゐても、
②「返り点」を用ゐても、
② 2<3>1。
④ 125<9>3<4867。
といふ「順番」を、
② 1<2<3。
④ 1<2<3<4<5<6<7<8<9。
といふ「順番」に「並び替へる(ソート)」することは「可能」ではない。
従って、
(37)により、
(38)
⑤「与えられた順番」が、
⑤ N+1<N+A>N(NとAは自然数で、A≧2)
といふ「順番」を含んでゐる場合は、
②「 括弧 」を用ゐても、
②「返り点」を用ゐても、
⑤「与えられた順番」を、
⑤ 1<2<3<4<5<6<7<8<9。
といふ「順番」に「並び替へる(ソート)」することが、出来ない。
然るに、
(39)
レ
二 一レ
下 上レ
乙 甲レ
地 天レ
一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
上 中 下
甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
天 地 人
に於いて、
レ
二 一レ
下 上レ
乙 甲レ
地 天レ
の場合は、
二 一
下 中 上
丙 乙 甲
人 天 地
と、「同じ」ことである。
然るに、
(40)
一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
上 中 下
甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
天 地 人
といふ「返り点」を、例へば、
⑥ 二 下 丙 人 中 乙 地 上 甲 天 一
⑥ 2<5<8<C>4<7<B>3<6<A>1
といふ「形」ではなく、
⑦ B 8 5 2 1 4 3 7 6 A 9
⑦ 人 丙 下 二 一 中 上 乙 甲 地 天
といふ「形」で用ゐる限り、
N+1<N+A>N(NとAは自然数で、A≧2)
といふ「順番」は、表れない。
然るに、
(41)
一・二点をはさんで返るときは上・中・下点。上・中・下点をはさんで返る時は甲・乙点。甲・乙点をはさんで返る時は天・地(天・地・人)である(志村和久、漢文早わかり、1982年、20頁)。
従って、
(41)により、
(42)
⑦ B>8>5<2>1<4>3<7>6<A>9
⑦ 人 丙 下 二 一 中 上 乙 甲 地 天
に対して、
⑥ 二 下 丙 人 中 乙 地 上 甲 天 一
⑥ 2<5<8<C>4<7<B>3<6<A>1
のやうな、
⑤ N+1<N+A>N(NとAは自然数で、A≧2)
といふ「順番の、返り点」は有り得ない。
然るに、
(43)
( )
{ }
を、「拡大」して、
( )
〔 〕
[ ]
{ }
とするならば、
⑦ 人{丙[下〔二(一)中(上)〕乙(甲)]地(天)}⇒
⑦ {[〔(一)二(上)中〕下(甲)乙]丙(天)地}人=
⑦ 一 二 上 中 下 甲 乙 丙 天 地 人。
(44)
( )
〔 〕
[ ]
{ }
を、「拡大」して、
( )
〔 〕
[ ]
{ }
〈 〉
とするならば、
⑧ 人〈丙{下[三〔二(一)〕中(上)]乙(甲)}地(天)〉⇒
⑧ 〈{[〔(一)二〕三(上)中]下(甲)乙}丙(天)地〉人=
⑧ 一 二 三 上 中 下 甲 乙 丙 天 地 人。
従って、
(39)~(44)により、
(45)
( )
〔 〕
[ ]
{ }
といふ「括弧」と、
レ
二 一レ
下 上レ
乙 甲レ
地 天レ
一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
上 中 下
甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
天 地 人
といふ「返り点」の間に、「過不足」が生じない限り、
「括弧」 によって表すことが出来る「返読の順番の集合」は、
「返り点」によって表すことが出来る「返読の順番の集合」に等しい。
然るに、
(46)
レ
二 一レ
下 上レ
乙 甲レ
地 天レ
一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
上 中 下
甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
を「写した、結果」が、
( )
〔 〕
[ ]
{ }
であるとは、「考へ難い」。
従って、
(47)
( )
〔 〕
[ ]
{ }
を「写した、結果」が、
レ
二 一レ
下 上レ
乙 甲レ
地 天レ
一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
上 中 下
甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
であると、すべきである。
従って、
(48)
「括弧」を用ゐずに、「返り点」だけを「用ゐ続ける」ことは、「非理性的」である。
ただし、
(49)
( )
〔 〕
[ ]
{ }
に、「慣れてしまへば」、
レ
二 一レ
下 上レ
乙 甲レ
地 天レ
一 二 三 四 五 ・ ・ ・ ・ ・
上 中 下
甲 乙 丙 丁 戊 ・ ・ ・ ・ ・
といふ「返り点」は、
( )
〔 〕
[ ]
{ }
のやうに、見えて来る。
それ故、
(50)
私自身は、「括弧」だけでなく、「返り点」も「得意」であり、尚且つ、「返り点」に対しては、「愛着」を感じてゐる。
平成27年07月06日、毛利太。
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