2018年4月25日水曜日

「括弧」は「補足構造と語順」を、「返り点」は「語順」を表してゐる。

(01)

(02)
① 我非必求以解中文法解漢文者也。
② 我は必ずしも中文を解する法を以て漢文を解せんことを求むる者に非ざるなり。
に於いて、
① は「漢文」であって、
② は「訓読」である。
従って、
(02)により、
(03)
① 我  必    中文  漢文  法    者    也
② 我は 必ずしも 中文を 漢文を 法を   者に   也
といふ、
① 主語 修飾語  目的語 目的語 非修飾語 非修飾語 終助詞
等に関しては、
①「漢文の語順」と、
②「訓読の語順」は、「等しい」。
然るに、
(04)
① 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
に於いて、
① 非{ }⇒{ }非
① 求[ ]⇒[ ]求
① 以〔 〕⇒〔 〕以
① 解( )⇒( )解
① 解( )⇒( )解
といふ「移動」を行ふと、
① 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也⇒
② 我{必[〔(中文)解法〕以(漢文)解]求者}非也=
② 我は{必ずしも[〔(中文を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求むる者に}非ざるなり。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
然るに、
(05)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。
(鈴木直治、中文と漢文、1975年、296頁)
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
① 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
といふ「漢文」に於ける、
①   {  [ 〔 (  ) 〕 (  )] }
といふ「括弧」は、「漢文の補足構造」を表してゐて、
② 我は{必ずしも[〔(中文を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求むる者に}非ざるなり。
といふ「国語」に於ける、
②   {    [〔(   )     〕  (   )      ]     }
といふ「括弧」は、「国語の補足構造」を表してゐる。
従って、
(04)(06)により、
(07)
① 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
に於ける、
①   {  [ 〔 (  ) 〕 (  )] }
といふ「括弧」は、「漢文の補足構造」を表してゐると「同時」に、
② 我は{必ずしも[〔(中文を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求むる者に}非ざるなり。
といふ「訓読の語順」を表してゐる。
然るに、
(08)
① 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
に於いて、
① 我 は、「主語」であって、
①    必 は、「連用修飾語」であって、
①                     中 は、「連体修飾語」であって、
①                  漢 は、「連体修飾語」である。
然るに、
(09)
「主語」 の「有無」は、「補足構造」と、「関係」が無く、
「修飾語」の「有無」は、「補足構造」と、「関係」が無い。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
③  非{ 求[以〔解( 文)法〕解( 文)]者}也。
に於いて、
① の「補足構造」と、
③ の「補足構造」は、「等しい」。
然るに、
(11)
① 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
③  非{ 求[以〔解( 文)法〕解( 文)]者}也。
に於いて、
① の「返り点」は、「地 丙 下 二 一 上 乙 甲 天」であって、
③ の「返り点」は、「乙 下 二 レ   一 上レ  甲」である。
従って、
(10)(11)により、
(12)
① 我非{必求[以〔解(中文)法〕解(漢文)]者}也。
③  非{ 求[以〔解( 文)法〕解( 文)]者}也。
に於ける、
①   {  [ 〔 (  ) 〕 (  )] }
②   {  [ 〔 (  ) 〕 (  )] }
といふ「括弧」は、「漢文の補足構造」と「訓読の語順」を表してゐるものの、
① 我非 必求 中文 漢文 也。
③  非 文法上レ 文者 也。
に於ける、
① 地 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 乙 下 二 レ   一 上レ  甲
といふ「返り点」は、「訓読の語順」を、表してゐる。
然るに、
(13)
「レ点」が無ければ、
③ 乙 下 二 レ   一 上レ  甲
といふ「返り点」は、
① 地 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
といふ「返り点」といふ風に、せざるを得ない。
従って、
(12)(13)により、
(14)
① 我非 必求 中文 漢文 也。
③  非 也。
に於ける、
① 地 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 地 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
といふ「括弧」は、「漢文の補足構造」と「訓読の語順」を表してゐる。
然るに、
(15)
① 地{丙[下〔二(一)上〕乙(甲)]天}
に於いて、
① 地{ }⇒{ }地
① 丙[ ]⇒[ ]丙
① 下〔 〕⇒〔 〕下
① 二( )⇒( )二
① 乙( )⇒( )甲
といふ「移動」を行ふと、
① 地{丙[下〔二(一)上〕乙(甲)]天}⇒
① {[〔(一)二上〕下(甲)乙]丙天}地=
① 一 二 上 下 甲 乙 丙 天 地。
従って、
(15)により、
(16)
このことからも、
①  { [ 〔 ( ) 〕 ( )] }
といふ「括弧」は、
① 地 丙 下 二 一 上 乙 甲  天
といふ「返り点」と、「同じ語順」を、表してゐる。
平成30年04月26日、毛利太。

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