2018年10月2日火曜日

「Pならば(QならばPである)。」は「当然(公理)」である(Ⅱ)。

(a)『返り点と括弧』については、『「返り点」と「括弧」(略8)(https://kannbunn.blogspot.com/2018/09/blog-post_17.html)』他もお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
(01)
ヒルベルト演繹システムは、公理が多く、推論規則が少ないものです。そして、公理も、わけのわからない論理式となっています。例えば、
  P→(Q→P)(Pならば(QならばP))
という論理式が公理として設定されています。つまり、この論理式を出発点として演繹を行って良い。ということです、多くの人は、この論理式の意味が飲み込めないでしょう(小島寛之、証明と論理に強くなる、2017年、136頁)。
然るに、
(02)
(a)
  1 (1)  P→(Q→ P)   A
   2(2)  P&(Q&~P)   A
   2(3)  P          2&E
   2(4)     Q&~P    2&E
   2(5)     Q       2&E
   2(6)       ~P    4&E
  12(7)     Q→ P    13MPP
  12(8)        P    57MPP
  12(9)     ~P&P    68&I
  1 (ア)~{P&(Q&~P)}  29RAA
(b)
1   (1)~{P&(Q&~P)}  A
 2  (2)  P          A
  3 (3)    (Q&~P)   A
 23 (4)  P&(Q&~P)   34&I
123 (5)~{P&(Q&~P)}& 
        {P&(Q&~P)}  14&I
12  (6)   ~(Q&~P)   35RAA
  7 (7)     Q       A
   8(8)       ~P    A
  78(9)     Q&~P    78&I
1278(ア)   ~(Q&~P)&
           (Q&~P)   69&I
127 (イ)      ~~P    8アRAA
127 (ウ)        P    イDN
12  (エ)     Q→ P    7ウCP
1   (オ)  P→(Q→ P)   2エCP
従って、
(02)により、
(03)
①     P→(Q→  P) 
② ~{P&(Q&~P)}
に於いて、すなはち、
①  Pならば、(Qならば、Pである)。
② {Pであって(QであってPでない)。}といふことはない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
(c)
1(1) P&(Q&~P) A
1(2) P        1&E
1(3)    Q&~P  1&E
1(4)    Q     3&E
1(5)      ~P  3&E
1(6) P&~P     25&I
1(7)(P&~P)&Q  46&I
1(〃)(PであってPでなくて)Qである。
従って、
(03)(04)により、
(05)
①      P→(Q→  P) 
② ~{(P&~P)&Q}
に於いて、すなはち、
①   Pならば、(Qならば、Pである)。
② {(PであってPでなくて)Qである)。}といふことはない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(06)
② {(PであってPでない)。}といふことはない。
といふこと(矛盾律)は、「常に、本当」である。
従って、
(05)(06)により、
(07)
①   Pならば、(Qならば、Pである)。
② {(PであってPでなくて)Qである)。}といふことはない。
に於いて、
①=② であって、尚且つ、
② は、「常に、本当」である。
従って、
(07)により、
(08)
① Pならば(QならばPである)。
といふことは、「常に、本当」である。
従って、
(01)(08)により、
(09)
ヒルベルト演繹システムは、公理が多く、推論規則が少ないものです。そして、公理も、わけのわからない論理式となっています。例えば、
  P→(Q→P)(Pならば(QならばP))
という論理式が公理として設定されています。つまり、この論理式を出発点として演繹を行って良い。ということです、多くの人は、この論理式の意味が飲み込めないでしょう。
とは、言ふものの、
① P→(Q→P)(Pならば(QならばP))
といふことは、「常に、本当」である。
従って、
(01)~(09)により、
(10)
(a)
  1 (1)  P→(Q→ P)   A
   2(2)  P&(Q&~P)   A
   2(3)  P          2&E
   2(4)     Q&~P    2&E
   2(5)     Q       2&E
   2(6)       ~P    4&E
  12(7)     Q→ P    13MPP
  12(8)        P    57MPP
  12(9)     ~P&P    68&I
  1 (ア)~{P&(Q&~P)}  29RAA
    (〃){Pであって(QであってPでない)。}といふことはない。
(b)
1   (1)~{P&(Q&~P)}  A
 2  (2)  P          A
  3 (3)    (Q&~P)   A
 23 (4)  P&(Q&~P)   34&I
123 (5)~{P&(Q&~P)}& 
        {P&(Q&~P)}  14&I
12  (6)   ~(Q&~P)   35RAA
  7 (7)     Q       A
   8(8)       ~P    A
  78(9)     Q&~P    78&I
1278(ア)   ~(Q&~P)&
           (Q&~P)   69&I
127 (イ)      ~~P    8アRAA
127 (ウ)        P    イDN
12  (エ)     Q→ P    7ウCP
1   (オ)  P→(Q→ P)   2エCP
    (〃)Pならば(QならばPである)。
(c)
   1(1) P&(Q&~P) A
   1(2) P        1&E
   1(3)    Q&~P  1&E
   1(4)    Q     3&E
   1(5)      ~P  3&E
   1(6) P&~P     25&I
   1(7)(P&~P)&Q  46&I
   1(〃)(PであってPでなくて)Qである。
といふ「自然演繹」が、「理解」出来れば、
  P→(Q→P)(Pならば(QならばP))
に関して、多くの人は、この論理式の意味が飲み込めないでしょう。
といふことには、ならない。
然るに、
(11)
ヒルベルト演繹システムや、ゲンツェンのシークエント計算は、数理論理学者になるためには不可欠ですが、私たちが論理式の演算システムを初めて勉強するには全く不向きです。そこで本書は、ゲンツェンの「自然演繹」を解説することにします。「自然演繹」は、できるだけ私たちの日常の議論数学の証明で行われる推論として、ゲンツェンが編み出したものです(小島寛之、証明と論理に強くなる、2017年、136・137頁改)。命題計算の規則は、本質的にゲンツェン(G.Gentzen)に由来するものである(E.J.レモン 著、論理学初歩、竹尾治一郎・
浅野楢英 訳、1973年、序文ⅲ)。
従って、
(10)(11)により、
(12)
数理論理学者になるつもりがない人が、仮に、
  P→(Q→P)(Pならば(QならばP))
といふ「公理」を、理解したいのであれば、「自然演繹」の「教科書」を、読むことを、勧めたい。
平成30年10月02日、毛利太。

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