2015年11月18日水曜日

括弧はアリマス(括弧不可不有)。

― 「11月16日の記事」を書き換へます。―
(01)
登門=門に登る。
の「返り点」は、

である。
然るに、
(02)
登竜門=竜門に登る。
に於いて、
門 を、ハイフンで結んで、
竜‐門 とすると、

従って、
(03)
事 を、ハイフンで結んで、
師‐事 とするならば、
欲師‐事之=之に師‐事せんと欲す。
の「返り点」は、


で表すことが、出来る。
然るに、
(04)

従って、
(03)(04)により、
(05)
欲師事之=之に師事せんと欲す。
に対する「返り点」は、

といふ「五通り」が可能であるものの、古田島先生の説明によれば、
④ だけが、「正しい」。
然るに、
(06)
欲〔師事(之)〕。
に於いて、
師‐事( )⇒(之)師‐事
師‐欲〔 〕⇒〔 〕欲
とするならば、
欲〔師‐事(之)〕⇒
〔(之)師‐事〕欲=
〔(之に)師‐事せんと〕欲す。
従って、
(07)
欲師‐事之=之に師‐事せんと欲す。
に対する「括弧」は、
欲〔師事(之)〕。
欲〔師‐事(之)〕。
といふ、「二通り」しかない。
(08)
欲師事之。
といふ「漢文」自体は、少なくとも、「表面的(surface structure的)」には、
欲〔師‐事(之)〕。
といふ「形」をしてゐない。
然るに、
(09)
欲師事之=之に師事せんと欲す。
といふ「訓読」が「正しい」限り、
欲=欲す。
が、
師事之=之に師事せんと
に「係ってゐる」こと、並びに、
師事=師事す
が、
之=之に
に「係ってゐる」ことは、「明白」である。
然るに、
(10)

が、
師事之
に「係ってゐて」、
師事
が、

に「係ってゐる」のであれば、
欲師事之=
欲〔師事(之)〕。
とすることに、「不都合」は、無い。
(11)
He said, "I am a Japanese."
の「英訳(ヤフー!翻訳)」は、
「私は、日本人です。」と、彼は言いました。
である。
従って、
(12)
彼曰我日本人也=彼曰く我は日本人なりと。
であっても、
彼曰「我日本人也」=彼曰く「我は日本人なり」と。
といふ風に、「括弧」で括っても、「不都合」は無い。
然るに、
(13)
Why not ask him his nationality?
といふ英語は、
「 彼に彼の国籍を尋ねること」を、促してゐる。
従って、
(13)により、
(14)
Why not ask him his nationality?
といふ英語は、
Why not「ask him his nationality」.
といふ風に、解することが、出来る。
然るに、
(15)
【盍】コウ(カフ)②〔盍 ・ ・ ・ ・ ・ ・〕(再読文字)「なんゾ ・ ・ ・ ・ ・ ・ざル」と読み、「どうして ・ ・ ・ ・ ・ ・ しないのか、 ・ ・ ・ ・ ・ ・ すればよいではないか」の意。「何不 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」と同じで「何不カフ」の二音が「盍カフ・コウ」の一音につまったもので「蓋」と同じに用いる(旺文社、高校基礎漢和辞典、1984年、558頁)。
従って、
(15)により、
(16)
盍=何不=WhyNot
である。
従って、
(14)(16)により、
(17)
Why not「ask him his nationality」=
何不「ask him his nationality」=
何不「問彼之国籍於彼」。
といふ風に、解することが、出来る。
従って、
(12)(17)により、
(18)
  曰 ・ ・ ・ ・ ・ ・
何不 ・ ・ ・ ・ ・ ・
に関しては、
  曰( ・ ・ ・ ・ ・ ・ )
何不( ・ ・ ・ ・ ・ ・ )
といふ風に、解することが、出来る。
然るに、
(19)
何不令人謂韓公叔曰秦之敢絶周而伐韓者信東周也公何不与周地発質使之楚秦必疑楚不信周是韓不伐也又謂秦曰韓彊与周地将以疑周於秦也周不敢不受。
といふ「一つの漢文」に関して、次の通りである。


(20)
「通常の包含関係」といふのは、
① 一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・ ・
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
④ 天 地 人
に於いて、
④ の間に、③ が入り、
③ の間に、② が入り、
② の間に、① が入ることを、いひ、それ故、
(21)
④ 天 地 人
ではなく、
④ 天 地 人 
であるならば、
レ  二 一 地 レ レ 二 一 下 二 一 二 一 上レ レ レ レ 天レ レ  二 一 三 二 一  
といふ「それ」は、
レ  二 一 乙 レ レ 二 一 下 二 一 二 一 上レ レ レ レ 甲レ レ  二 一 三 二 一  
でなければ、ならない。
然るに、
(22)
従って、 
(17)(18)(22)により、
(23)
何不〈令{人謂(韓公叔)曰[秦之敢絶(周)而伐(韓)者、信(東周)也、公何不〔与(周地)発(質使)之(楚)〕、秦必疑(楚)、不〔信(周)〕、是韓不(伐)也]、又謂(秦)曰、[韓彊与(周地)、将〔以疑(周於秦)〕也、周不〔敢不(受)〕]}〉。
といふ「括弧」の内の、少なくとも、
  曰[ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ]
  曰[ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ]
何不〔 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 〕
何不〈 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 〉
といふ「括弧」、すなはち、
Say[ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ]
Say[ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ]
WhyNot〔 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 〕
WhyNot〈 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 〉
といふ「括弧」に関しては、それらが、無いはずがない。
(24)
これまでに、繰り返し述べて来たやうに、
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。その補足構造における語順は、国語とは全く反対である(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(23)(24)により、
(25)
何不〈 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 〉。
の不 が、
    〈 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 〉
を「補語」とするとき、「日本語」では、
何〈 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 〉不。
といふ「語順」になる。
従って、
(26)
何不〈令{・ ・ ・ ・ ・} 〉。
の不 が、
    〈令{ ・ ・ ・ ・ ・}〉
を「補語」とし、
   令{ ・ ・ ・ ・ ・}
の令 が、
     { ・ ・ ・ ・ ・}
を「補語」とするとき、「日本語」では、
何不〈令{・ ・ ・ ・ ・}〉。
何〈{・ ・ ・ ・ ・}令〉不=
何ぞ〈{・ ・ ・ ・ ・}令めざる
といふ風に、読むことになる。
従って、
(24)(25)(26)により、
(27)
何不令人謂韓公叔曰秦之敢絶周而伐韓者信東周也公何不与周地発質使之楚秦必疑楚不信周是韓不伐也又謂秦曰韓彊与周地将以疑周於秦也周不敢不受。
といふ「漢文」に、
(28)
何不〈令{人謂(韓公叔)曰[秦之敢絶(周)而伐(韓)者、信(東周)也、公何不〔与(周地)発(質使)之(楚)〕、秦必疑(楚)、不〔信(周)〕、是韓不(伐)也]、又謂(秦)曰、[韓彊与(周地)、将〔以疑(周於秦)〕也、周不〔敢不(受)〕]}〉。
といふ「補足構造」が有るとき、「日本語」では、
(29)
何ぞ〈{人をして(韓の公叔に)謂ひて[秦の敢へて(周を)絶って(韓を)伐んとするは、(東周を)信ずればなり、公何ぞ〔(周に地を)与へ(質使を)発して(楚に)之かしめ〕ざる、秦必ず(楚を)疑ひ、〔(周を)信ぜ〕ざらん、是れ韓(伐たれ)ざらんと]曰ひ、又(秦に)謂ひて、[韓彊ひて(周に地を)与ふるは、将に〔以て(周を秦に)疑はしめんとする〕なり、周〔敢へて(受け)ずんば〕あらずと]曰は}令めざる
といふ風に、読むことになる。
従って、
(30)
「換言」すると、
何不〈令{人謂(韓公叔)曰[秦之敢絶(周)而伐(韓)者、信(東周)也、公何不〔与(周地)発(質使)之(楚)〕、秦必疑(楚)、不〔信(周)〕、是韓不(伐)也]、又謂(秦)曰、[韓彊与(周地)、将〔以疑(周於秦)〕也、周不〔敢不(受)〕]}〉。
といふ「補足構造」が有るからこそ、
(31)
何不令人謂韓公叔曰秦之敢絶周而伐韓者信東周也公何不与周地発質使之楚秦必疑楚不信周是韓不伐也又謂秦曰韓彊与周地将以疑周於秦也周不敢不受。
といふ「漢文」は、
(32)
何ぞ〈{人をして(韓の公叔に)謂ひて[秦之敢へて(周を)絶つ而(韓を)伐んとする者、(東周を)信ずれば也、公何ぞ〔(周に地を)与へ(質使を)発して(楚に)之かしめ〕不る、秦必ず(楚を)疑ひ、〔(周を)信ぜ〕不らん、是れ韓(伐たれ)不らん也と]曰ひ、又(秦に)謂ひて、[韓彊ひて(周に地を)与ふるは、将に〔以て(周を於秦に)疑はしめんとする〕也、周〔敢へて(受け)不んば〕不ずと]曰は}令め不る
といふ風に、「訓読」出来る。ことになる。
従って、
(30)(31)(32)により、
(33)
何不令人謂韓公叔曰秦之敢絶周而伐韓者信東周也公何不与周地発質使之楚秦必疑楚不信周是韓不伐也又謂秦曰韓彊与周地将以疑周於秦也周不敢不受。
に付く、
レ 丁 二 一 地 レ レ 二 一 下 二 一 二 一 上レ レ レ レ 天レ レ 丙 二 一 三 二 一 乙 甲レ
といふ「返り点」は、
(34)
〈 { ( ) [ ( )( )( ) 〔 ( )( )( ) 〕 ( ) 〔 ( ) 〕 ( ) ] ( ) [ ( ) 〔 ( ) 〕 〔 ( ) 〕 ] } 〉
といふ「補足構造」に、附いてゐる。ことになる。
従って、
(35)
仮に、我々の先人が、「漢文訓読」を行はなかったとしても、
何不令人謂韓公叔曰秦之敢絶周而伐韓者信東周也公何不与周地発質使之楚秦必疑楚不信周是韓不伐也又謂秦曰韓彊与周地将以疑周於秦也周不敢不受。
といふ「漢文」には、
〈 { ( ) [ ( )( )( ) 〔 ( )( )( ) 〕 ( ) 〔 ( ) 〕 ( ) ] ( ) [ ( ) 〔 ( ) 〕 〔 ( ) 〕 ] } 〉
といふ「括弧」が有る。ことになる。
従って、
(01)~(35)により、
(36)
括弧不可不有(括弧はあります)。
平成27年11月18日、毛利太。

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