2018年5月25日金曜日

「句読点」としての「括弧」について。

(a)『返り点と括弧』については、『「括弧」の「順番」(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html)』他をお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
(01)
(a)
1  (1) P&(Q∨R)    A
1  (2) P          1&E
1  (3)    Q∨R     1&E
 4 (5)    Q       A
14 (6) P&Q        25&I
14 (7)(P&Q)∨(P&R) 6∨I
  8(8)      R     A
1 8(9)       P&R  28&I
1 8(ア)(P&Q)∨(P&R) 9∨I
1  (イ)(P&Q)∨(P&R) 3578ア∨E
(b)
1  (1)(P&Q)∨(P&R) A
 2 (2) P&Q        A
 2 (3) P          2&E
 2 (4)   Q        2&E
 2 (5)   Q∨R      4∨I
 2 (6)P&(Q∨R)     35&I
  7(7)       P&R  A
  7(8)       P    7&E
  7(9)         R  7&E
  7(ア)   Q∨R      9∨I
  7(イ)P&(Q∨R)     8ア&I
1  (ウ)P&(Q∨R)     1267イ∨E
従って、
(01)により、
(02)
① P&(Q∨R)
② (P&Q)∨(P&R)
に於いて、
①=② である。
cf.
分配法則(Distributive property)。
然るに、
(03)
(a)
1  (1) 横と(大か関)    A
1  (2) 横          1&E
1  (3)    大か関     1&E
 4 (5)    大       A
14 (6) 横と大        25&I
14 (7)(横と大)か(横と関) 6∨I
  8(8)      関     A
1 8(9)       横と関  28&I
1 8(ア)(横と大)か(横と関) 9∨I
1  (イ)(横と大)か(横と関) 3578ア∨E
(b)
1  (1)(横と大)か(横と関) A
 2 (2) 横と大        A
 2 (3) 横          2&E
 2 (4)   大        2&E
 2 (5)   大か関      4∨I
 2 (6)横と(大か関)     35&I
  7(7)       横と関  A
  7(8)       横    7&E
  7(9)         関  7&E
  7(ア)   大か関      9∨I
  7(イ)横と(大か関)     8ア&I
1  (ウ)横と(大か関)     1267イ∨E
従って、
(01)(02)(03)より、
(04)
①  横綱と(大関か関脇)
②(横綱と大関)か(横綱と関脇)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
横綱と、大関か関脇。
横綱と大関か、横綱と関脇。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(06)
(a)
1    (1)   (P&Q)∨ R    A
 2   (2)  ~(P&Q)&~R    A
  3  (3)   (P&Q)       A
 2   (4)  ~(P&Q)       &E
 23  (5)  ~(P&Q)&(P&Q) 34&I
  3  (6)~(~(P&Q)&~R)   26RAA
   7 (7)          R    A
 2   (8)         ~R    A
 2 7 (9)       R&~R    78&I
   7 (ア)~(~(P&Q)&~R)   29RAA
1    (イ)~(~(P&Q)&~R)   2367ア∨E
   ウ (ウ)  ~(P&Q)       A
    エ(エ)         ~R    A
   ウエ(オ)  ~(P&Q)       A
   ウエ(カ)  ~(P&Q)&~R    ウエ
1  ウエ(キ)~(~(P&Q)&~R)&
          ~(P&Q)&~R    イカ&I
1  ウ (ク)        ~~R    エキRAA
1  ウ (ケ)      R        ウDN
1    (コ)  ~(P&Q)→ R    オケCP
(b)
   1 (1)~(P&Q)→ R A
    2(2)~(P&Q)&~R A
    2(3)~(P&Q)    2&E
    2(4)   ~R     2&E
   12(5)    R     13MPP
   12(6) ~R&R     45&I
   1 (7)  ~~R     26RAA
   1 (8)    R     7DN
   1 (9) (P&Q)∨ R 8∨I
従って、
(06)により、
(07)
③   (P&Q)∨R 
④ ~(P&Q)→R
に於いて、
③=④ である。
cf.
選言除去(Elimination method)。
然るに、
(08)
(a)
1    (1)   (横と大)か 関    A
 2   (2)  ~(横と大)と~関    A
  3  (3)   (横と大)       A
 2   (4)  ~(横と大)       とE
 23  (5)  ~(横と大)と(横と大) 34とI
  3  (6)~(~(横と大)と~関)   26RAA
   7 (7)          関    A
 2   (8)         ~関    A
 2 7 (9)       関と~関    78とI
   7 (ア)~(~(横と大)と~関)   29RAA
1    (イ)~(~(横と大)と~関)   2367アかE
   ウ (ウ)  ~(横と大)       A
    エ(エ)         ~関    A
   ウエ(オ)  ~(横と大)       A
   ウエ(カ)  ~(横と大)と~関    ウエ
1  ウエ(キ)~(~(横と大)と~関)と
          ~(横と大)と~関    イカとI
1  ウ (ク)        ~~関    エキRAA
1  ウ (ケ)      関        ウDN
1    (コ)  ~(横と大)→ 関    オケCP
(b)
   1 (1)~(横と大)→ 関 A
    2(2)~(横と大)と~関 A
    2(3)~(横と大)    2とE
    2(4)   ~関     2とE
   12(5)    関     13MPP
   12(6) ~関と関     45とI
   1 (7)  ~~関     26RAA
   1 (8)    関     7DN
   1 (9) (横と大)か 関 8かI
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
③(横綱と大関)か関脇。
④(横綱と大関)でなければ関脇。
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(10)
③ 横綱と大関、関脇。
④ 横綱と大関、でなければ関脇。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(04)(05)(09)(10)により、
(11)
①  横綱と(大関か関脇)
②(横綱と大関)か(横綱と関脇)
③(横綱と大関)か関脇。
④(横綱と大関)でなければ関脇。
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
① 横綱と、大関か関脇。
② 横綱と大関か、横綱と関脇。
③ 横綱と大関か、関脇。
④ 横綱と大関、でなければ関脇。
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(12)
② 横綱と大関か、横綱と関脇。
といふことは、
② 横綱と大関でなければ、横綱と関脇。
といふことに、他ならない。
然るに、
(13)
② 横綱と大関でなければ、横綱と関脇。
④ 横綱と大関でなければ、   関脇。
に於いて、
②=④ ではない。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
① 横綱と、大関か関脇。
② 横綱と大関か、横綱と関脇。
③ 横綱と大関か、関脇。
④ 横綱と大関、でなければ関脇。
に於いて、
①=② であって、
③=④ であるものの、
① 横綱と、大関か関脇。
③ 横綱と大関か、関脇。
に於いて、
①=③ ではない。
然るに、
(15)
① P&(Q∨R)
③ (P&Q)∨R
に於いても、
①=③ ではない。
従って、
(01)~(15)により、
(16)
例へば、
① 横綱と、大関か関脇。
② 横綱と大関か、横綱と関脇。
③ 横綱と大関か、関脇。
④ 横綱と大関、でなければ関脇。
に於ける、
①    、     。
②       、     。
③       、  。
④     、        。
といふ「句読点」は、
① P&(Q∨R)
② (P&Q)∨(P&R)
③ (P&Q)∨R
④ ~(P&Q)→R
に於ける、
①   (   )
② (   ) (   )
③ (   )
④  (    )
といふ「括弧」に、相当する。
然るに、
(17)
「漢文」には、「と(and)」は有っても、「(or)」が無い
然るに、
(18)
「と・か(and・or)」のやうな、「等位接続詞」を持たない「言語」は多くはなく、それを「文字」にした際に「句読点」を持たない「言語」は、存在しない、と思はれる。
従って、
(16)(17)により、
(18)
「句読点」としての「括弧」を持たない「言語」は、多くはないと、思はれる。
(19)
「昨日か今日」を、グーグル翻訳に掛けると、「昨天或今天」。
然るに、
(20)
「漢文」の「或」といふ「漢字」には、「か(or)」といふ「意味」は無い。
平成30年05月25日、毛利太。

2018年5月6日日曜日

「同一性(identity)」の「is(である)」について。

(a)『返り点と括弧』については、『「括弧」の「順番」(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html)』他をお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
(01)
1    (1)  P∨ Q   A
 2   (2) ~P&~Q   A
  3  (3)  P      A
 2   (4) ~P      &E
 23  (5) ~P& P   34&I
  3  (6)~(~P&~Q) 26RAA
   7 (7)     Q   A
 2   (8)    ~Q   A
 2 7 (9) ~Q& Q   78&I
   7 (ア)~(~P&~Q) 29RAA
1    (イ)~(~P&~Q) 1367ア∨I
   ウ (ウ)  ~P     A
    エ(エ)     ~Q  A
   ウエ(オ)  ~P     A
   ウエ(カ)  ~P&~Q  ウエ
1  ウエ(キ)~(~P&~Q)&
          ~P&~Q  イカ&I
1  ウ (ク)    ~~Q  エキRAA
1  ウ (ケ)      Q  ウDN
1    (コ)  ~P→ Q  オケCP
(02)
1 (1)~P→ Q A
 2(2)~P&~Q A
 2(3)~P    2&E
 2(4)   ~Q 2&E
12(5)    Q 13MPP
12(6) ~Q&Q 45&I
1 (7)  ~~Q 26RAA
1 (8)    Q 7DN
1 (9) P∨ Q 8∨I
従って、
(01)(02)により、
(03)
①  P∨Q=PかQである。
② ~P→Q=PでないならばQである。
に於いて、
①=② である。
(04)
1  (1)~P→ Q A
 2 (2)~P    A
  3(3)   ~Q A
12 (4)    Q 12MPP
123(5)~Q& Q 34&I
1 3(6)~~P   25RAA
1 3(7)  P   6DN
1  (8)~Q→ P 37CP
(05)
1  (1)~Q→ P A
 2 (2)~Q    A
  3(3)   ~P A
1 3(4)    P 12MPP
123(5)~P& P 34&I
1 3(6)~~Q   25RAA
1 3(7)  Q   6DN
1  (8)~P→ Q 37CP
従って、
(04)(05)により、
(06)
② ~P→Q=PでないならばQである。
③ ~Q→P=QでないならばPである。
に於いて、
②=③ である。
cf.
対偶(Contraposition)。
従って、
(03)(06)により、
(07)
①  P∨Q=PかQである。
② ~P→Q=PでないならばQである。
③ ~Q→P=QでないならばPである。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(08)
① PかQである(PでないならばQである)が、Pでない。従って、Qである。
② PかQである(QでないならばPである)が、Qでない。従って、Pである。
に於いて、
① は、「推論」として「正しく」、
② も、「推論」として「正しい」。
従って、
(08)により、
(09)
① AかBが犯人である。Aは犯人ではない。従って、Bが犯人である。
② AかBが犯人である。Bは犯人ではない。従って、Aが犯人である。
に於いて、
① は、「推論」として「正しく」、
② も、「推論」として「正しい」。
然るに、
(10)
② AかBが犯人である。Bは犯人ではない。従って、Aが犯人である。
といふことは、
② 犯人は一人だけしかゐなくて、Aがその犯人である。
といふことに、他ならない。
然るに、
(10)により、
(11)
② AかBが犯人である。Bは犯人ではない。従って、Aが犯人である。
といふことは、
② A is a 犯人.
ではなく、
② A is the 犯人.
といふことに、他ならない。
然るに、
(12)
In non-mathematical contexts, identity is expressed usually by 'is' ; but since the verb 'to be' has many sense, we must indicate first in which sense 'is' expresses identity.
Consider the six English sentences below.
(1)Socrates is a philosopher.
(2)Paris is a city.
(3)Courage is a virtue.
(4)Socrates is the philosopher who taught Plato.
(5)Paris is the capital of France.
(6)Courage is the virtue I admire most.
(E.J.Lemmonn, Begining Logic, 1971, p160)
然るに、
(13)
(1)Socrates is a philosopher.
(2)Paris is a city.
(3)Courage is a virtue.
に於ける、
(1)Socrates is
(2)Paris is
(3)Courage is
を、「is of predication(述語の is)」と言ふ。
(14)
(4)Socrates is the philosopher who taught Plato.
(5)Paris is the capital of France.
(6)Courage is the virtue I admire most.
に於ける、
(4)Socrates is
(5)Paris is
(6)ourage is
を、「is of identity(同一性の is)」と言ふ。
従って、
(11)~(14)により、
(15)
② AかBが犯人である。Bは犯人ではない。従って、Aが犯人である。
といふことは、
② A is a 犯人.
ではなく、
② A is the 犯人.
であって、
② A is the 犯人.
に於ける、
②   is
は、「is of identity(同一性の is)」である。
然るに、
(16)
② A is the 犯人.
に於ける、
②   is
が、「is of identity(同一性の is)」である。
といふことは、
② A = the 犯人.
といふことに、他ならない。
然るに、
(17)
② A = the 犯人.
といふことは、
② The 犯人 =A.
といふことに、他ならない。
従って、
(16)(17)により、
(18)
② A is the 犯人.
② A = the 犯人.
といふことは、
② The 犯人 is A.
② The 犯人 = A.
といふことに、他ならない。
従って、
(15)~(18)により、
(19)
② AかBが犯人である。Bは犯人ではない。従って、Aが犯人である。
といふことは、
② The 犯人 is A.
といふこと、すなはち、
② 犯人はAである。
といふことに、他ならない。
従って、
(19)により、
(20)
② AかBが犯人である。Bは犯人ではない。従って、Aが犯人である。
といふことは、
② Aが犯人である。
② 犯人はAである(The 犯人 is A)。
といふことに、他ならない。
然るに、
(21)
② AかBが犯人である。Bは犯人ではない。従って、Aが犯人である。
といふことは、
② A以外は犯人でない。
といふことに、他ならない。
従って、
(20)(21)により、
(22)
② Aが犯人である。
③ 犯人はAである。
④ A以外は犯人でない。
に於いて、
②=③=④
でなければ、ならない。
従って、
(23)
② AがBである。
③ BはAである。
④ A以外はBでない。
に於いて、
②=③=④
でなければ、ならない。
然るに、
(24)
「逆」には、
(1)真でないときと、
(2)真であるときがあります。
そこで(1)と(2)をひっくるめて、「逆は必ずしも真ならず」といいます(山下正男、論理的に考えること、1985年、13・14頁)。
従って、
(24)により、
(25)
① AはBである。
③ BはAである。
に於いて、必ずしも、
①=③ であるとは、限らない。
従って、
(23)(25)により、
(26)
① AはBである。
② AがBである。
③ BはAである。
④ A以外はBでない。
に於いて、必ずしも、
①=② ではないが、必ず、
  ②=③=④ である。
従って、
(26)により、
(27)
① AはBである。
② AがBである。
③ BはAである。
④ A以外はBでない。
の場合は、
(Ⅰ)①、②、③、④ の、「四つとも、ウソ」であるか、
(Ⅱ)①、②、③、④ の、「①だけが、本当」であるか、
(Ⅲ)①、②、③、④ の、「四つとも、本当」であるか。
の「いづれか」で、なければならない。
然るに、
(28)
① パリは日本である。
② パリが日本である。
③ 日本はパリである。
④ パリ以外は日本ではない。
に於いて、
① は、「ウソ」である。
② も、「ウソ」である。
③ も、「ウソ」である。
④ も、「ウソ」である。
然るに、
(29)
① 中野は日本である。
② 中野が日本である。
③ 日本は中野である。
④ 中野以外は日本ではない。
に於いて、
① は、「本当」である。
② は、「ウソ」である。
③ も、「ウソ」である。
④ も、「ウソ」である。
(30)
① パリはフランスの首都である。
② パリがフランスの首都である。
③ フランスの首都はパリである。
④ パリ以外はフランスの首都ではない。
に於いて、
① は、「本当」である。
② も、「本当」である。
③ も、「本当」である。
④ も、「本当」である。
従って、
(27)~(30)により、
(31)
① AはBである。
② AがBである。
③ BはAである。
④ A以外はBでない。
に於いて、必ずしも、
①=② ではないが、必ず、
  ②=③=④ である。
平成30年05月05日、毛利太。

2018年5月1日火曜日

「~∀x~Fx」と「不必不如師」に、「括弧」はあるべし。

(01)
1   (1) ~∀x~Fx       A
 2  (2) ~∃x Fx       A
  3 (3)     Fa       A
  3 (4)  ∃x Fx       3EI
 23 (5) ~∃xFx&∃xFx   24&I
 2  (6)    ~Fa       35RAA
 2  (7)  ∀x~Fx       6UI
12  (8) ~∀x~Fx&∀x~Fx 17&I
1   (9)~~∃xFx        28RAA
1   (ア)  ∃xFx        9DN
(02)
1   (1)  ∃xFx A
 2  (2) ∀x~Fx A
  3 (2)    Fa A
 2  (4)   ~Fa 3UE
 23 (5)Fa&~Fa 24&I
  3 (6)~∀x~Fx 25RAA
1   (7)~∀x~Fx 136EE
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ~∀x~Fx=すべてのxについて、xはFでない。といふことはない。
②     ∃xFx=        あるxはFである。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
1    (1) ~(~Fa&~Fb&~Fc)   A
 2   (2) ~( Fa∨ Fb∨ Fc)   A
  3  (3)    Fa            A
  3  (4)    Fa∨ Fb        3∨I
  3  (5)    Fa∨ Fb∨ Fc    4∨I
 23  (6) ~( Fa∨ Fb∨ Fc)&
          ( Fa∨ Fb∨ Fc)   25&I
 2   (7)   ~Fa            36RAA
   8 (8)        Fb        A
   8 (9)    Fa∨ Fb        8∨I
   8 (ア)    Fa∨ Fb∨ Fc    9∨I
 2 8 (イ) ~( Fa∨ Fb∨ Fc)&
          ( Fa∨ Fb∨ Fc)   2ア&I
 2   (ウ)        ~Fb        8イRAA
    エ(エ)            Fc    A
    エ(オ)        Fb∨ Fc    エ∨I
    エ(カ)    Fa∨ Fb∨ Fc    オ∨I
 2  エ(イ) ~( Fa∨ Fb∨ Fc)&
          ( Fa∨ Fb∨ Fc)   2オ&I
 2   (エ)           ~Fc    エイRAA
 2   (カ)   ~Fa&~Fb&~Fc    7ウエ&I
12   (キ) ~(~Fa&~Fb&~Fc)&
          (~Fa&~Fb&~Fc)   1カ&I
1    (ク)~~( Fa∨ Fb∨ Fc)   2キRAA
1    (ケ)    Fa∨ Fb∨ Fc    クDN
(05)
1    (1)   Fa∨ Fb∨ Fc    A<br>
 2   (2)  ~Fa&~Fb&~Fc    A<br>
  3  (3)   Fa            A<br>
 2   (4)  ~Fa            2&E
 23  (5)   Fa&~Fa        34&I
  3  (6)~(~Fa&~Fb&~Fc)   25RAA
   7 (7)       Fb        A<br>
 2   (8)      ~Fb        2&E
 2 7 (9)       Fb&~Fb    78
   7 (ア)~(~Fa&~Fb&~Fc)   29RAA
    イ(イ)           Fc    A
 2   (ウ)          ~Fc    2&E
 2  イ(エ)          ~Fc&Fc イウ&I
    イ(オ)~(~Fa&~Fb&~Fc)   2エRAA
1    (カ)~(~Fa&~Fb&~Fc)   1367アイオVE
従って、
(04)(05)により、
(06)
③ ~(~Fa&~Fb&~Fc)=aがFでなく、 bもFでなく、 cもFでない。といふことはない。
④       Fa∨ Fb& Fc =aがFであるか、bもFであるか、cはFである。
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(07)
{すべてのx}={a,b,c}
とする。
従って、
(03)(06)(07)により、
(08)
① ~∀x~Fx        =すべてのxについて、xはFでない。といふことはない。
②    ∃xFx        =        あるxはFである。
③ ~(~Fa&~Fb&~Fc)=aがFでなく、 bもFでなく、 cもFでない。といふことはない。
④       Fa∨ Fb& Fc =aがFであるか、bもFであるか、cはFである。
に於いて、
①=②=③=④
といふ「等式」、すなはち、「ド・モルガンの法則」が、成立する。
然るに、
(09)
①   ∀x~Fx      =すべてのxについて、xはFでない。
③    ~Fa&~Fb&~Fc=aはFでなく、bもFでなく、cもFでない。
に於いて、
①=③ である。
従って、
(09)により、
(10)
①   ∀x~Fx       =すべてのxについて、xはFでない。
③    ~Fa&~Fb&~Fc =aはFでなく、bもFでなく、cもFでない。
に対する「否定」は、それぞれ、
① ~(∀x~Fx)      =すべてのxについて、xはFでない。    といふことはない。
③ ~(~Fa&~Fb&~Fc)=aがFでなく、bもFでなく、cもFでない。といふことはない。
でなければ、ならない。
然るに、
(11)
①  ~Fx
といふ「否定」は、
①   F   の「否定」ではなく、
①   Fx  の「否定」であるため、
① ~(Fx) でなければ、ならない。
従って、
(10)(11)により、
(12)
① ~(∀x~Fx)
③ ~(~Fa&~Fb&~Fc)
ではなく、
① ~〔∀x~(Fx)〕
③ ~〔~(Fa)&~(Fb)&~(Fc)〕
でなければ、ならない。
然るに、
(13)
そこで述語論理学では「人間」と「動物」の「包含関係」を表わすのに、
 動物(人間)
と表示する。そしてこれを記号化して
 F(x) または( )を省略して Fx
というように書く。
(沢田允茂、現代論理学入門、1962年、116頁改)
従って、
(12)(13)により、
(14)
① ~〔∀x~(Fx)〕
③ ~〔~(Fa)&~(Fb)&~(Fc)〕
ではなく、
① ~[∀x~〔F(x)〕]
③ ~[~〔F(a)〕&~〔F(b)〕&~〔F(c)〕]
でなければ、ならない。
然るに、
(15)
むやみに括弧が多くなることは我慢ができないのである(human being cannot stand too much proliferation of brackets)。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、59頁)
従って、
(14)(15)により、
(16)
むやみに括弧が多くなることは我慢ができない。が故に、
① ~[∀x~〔F(x)〕]
といふ「論理式」は、
①   [   〔 ( )〕]
といふ「括弧」を「省略」して、
① ~∀x~Fx
といふ風に、書くことになる。
然るに、
(17)
① ~∀x~Fx=
① ~ ∀x~一レ x=
① ~[∀x~〔F(x)〕].
に於いて、
① ~[ ]⇒[ ]~
① ~〔 〕⇒〔 〕~
① F( )⇒( )F
といふ「移動」を行ふと、
① ~[∀x~〔F(x)〕]⇒
① [∀x〔(x)F〕~]~=
① [すべてのxについて〔(xが)F〕でない]といふことはない=
② ∃xFx=あるxはFである。
といふ「述語論理訓読」が成立する。
然るに、
(18)
③ 弟子不必不如師=
③ 弟子不 必不一レ 師=
③ 弟子不[必不〔如(師)〕]。
に於いて、
③ 不[ ]⇒[ ]不
③ 不〔 〕⇒〔 〕不
③ 如( )⇒( )如
といふ「移動」を行ふと、
③ 弟子不[必不〔如(師)〕]⇒
③ 弟子[必〔(師)如〕不]不=
③ 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず=
④ 弟子の中に、師匠に及ぶものもゐる。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
然るに、
(19)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である(鈴木直治、中文と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(18)(19)により、
(20)
③ 弟子不[必不〔如(師)〕]。
③ 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず。
に於ける「括弧」は、
③「漢文」に於ける「補足構造」を表してゐて、
③「訓読」に於ける「補足構造」を表してゐる。
従って、
(17)(20)により
(21)
① ~[∀x~〔F(x)〕].
① [すべてのxについて〔(xが)F〕でない]といふことはない。
に於ける「括弧」は、
①「論理式」に於ける「補足構造」を表してゐて、
①「日本語」に於ける「補足構造」を表してゐる。
従って、
(20)(21)により、
(21)
① ~[∀x~〔F(x)〕].
① [すべてのxについて〔(xが)F〕でない]といふことはない。
③ 弟子不[必不〔如(師)〕]。
③ 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず。
に於ける、
① [ 〔 ( ) 〕 ]
② [ 〔 ( ) 〕 ]
③ [ 〔 ( ) 〕 ]
④ [ 〔 ( ) 〕 ]
といふ「括弧」は、「漢文・訓読・論理式・日本語」に於ける、「補足構造」を表してゐる。
然るに、
(22)
① ~∀x~Fx.
といふ「述語論理」を、
① ~[∀x~〔F(x)〕].
といふ風に、「意識」することはあっても、
① すべてのxについてxがFでないといふことはない。
といふ「日本語」を、普通の日本人が、
① [すべてのxについて〔(xが)F〕でない]といふことはない。
といふ風に、「意識」することは無い。
従って、
(23)
③ 弟子不必不如師。
といふ「漢文」を書いた、当の本人(韓愈)や、文人が、
③ 弟子不必不如師。
といふ「漢文」を、
③ 弟子不[必不〔如(師)〕]。
といふ風に、「説明」することが無かったとしても、
③ 弟子不必不如師。
といふ「漢文」に、
③ 弟子不[必不〔如(師)〕]。
といふ「補足構造」が無い。といふ風に、断言することは、出来ない。
平成30年05月01日、毛利太。