2022年9月19日月曜日

「論理学」は「診断」にも「役に立つ」。

(01)
脱水によって体内の水分が減少し血液の濃縮が起こり、腎機能が低下します
そのことによって、次のような数値が上昇することがわかっています。
赤血球数(RBC)・ヘモグロビン値(Hb)・ヘマトクリット(Ht)
・総たんぱく(TP)・アルブミン(Alb)
・尿素窒素(UN)・クレアチニン(Cr)
・尿酸(UA)
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)脱水によって腎機能が悪化しているのであれば、赤血球とクレアチニンは並行して増大しなければならない。
然るに、
(03)

然るに、
(04)
「赤血球」の「小さい順」に、「日付」を「並び替え」ると、

然るに、
(05)
「赤血球」だけであれば、

然るに、
(06)
「クレアチニン」だけであれば、

従って、
(05)(06)により、
(07)
①「赤血球の値」が「大きく」なれば、「クレアチニンの値」大きく」なる。
②「赤血球の値」が「小さく」なれば、「クレアチニンの値」大きく」なる。
に於いて、
① は「ウソ」であって、
② も「ウソ」である。
従って、
(07)により、
(08)
①「赤血球の値」と「クレアチニンの値」には、「の相関は、無い」し、
②「赤血球の値」と「クレアチニンの値」には、「の相関も、無い」。
従って、
(08)により、
(09)
(ⅱ)赤血球とクレアチニンは並行して増大していない
然るに、
(10)

然るに、
(11)
(ⅲ)腎機能が悪化している。
従って、
(02)(09)(11)により、
(12)
(ⅰ)脱水によって腎機能が悪化しているのであれば、赤血球とクレアチニンは並行して増大しなければならない。
(ⅱ)赤血球とクレアチニンは並行して増大していない。
(ⅲ)腎機能が悪化している。
という「命題」は、「3つとも真である」。
然るに、
(13)
1  (1)P&Q→R  仮定
 2 (2)   ~R  仮定
12 (3)~(P&Q) 12MTT
12 (4)~P∨~Q  3ド・モルガンの法則
12 (5)~Q∨~P  4交換法則
12 (6) Q→~P  5含意の定義
  7(7) Q     仮定
127(8)   ~P  67MPP
という「推論」は「妥当」である。
然るに、
(14)
P=脱水である。
Q=腎機能が悪化する。
R=赤血球・クレアチニンは並行して変化する。
であるとする。
従って、
(13)(14)により、
(15)
(1)脱水によって腎機能が悪化しているのであれば、
   赤血球とクレアチニンは並行して増大しなければならない。
(2)然るに、「検査結果」を見る限り、当該の患者の、
   赤血球とクレアチニンは並行して変化しない。従って、
(3)脱水によって、 腎機能が悪化している。というわけではない。従って、
(4)脱水でないか、 腎機能が悪化していないか、どちらかである。従って、
(5)腎機能が悪化していないか、 脱水でないか、どちらかである。従って、
(6)腎機能が悪化しているならば、脱水ではない。然るに、
(7)腎機能が悪化している。従って、
(8)脱水ではない(選言三段論法)。
という「推論」は、「妥当」である。
従って、
(12)~(15)により、
(16)
(ⅰ)脱水によって腎機能が悪化しているのであれば、赤血球とクレアチニンは並行して増大しなければならない。然るに、
(ⅱ)赤血球とクレアチニンは並行して増大していない。然るに、
(ⅲ)腎機能が悪化している。従って、
(ⅳ)脱水ではない。
といふ「推論」は「妥当」であって、尚且つ、
(ⅳ)脱水ではない。
という「結論(命題)」は、「真」である。
然るに、
(17)
1  (1)P&Q→R  仮定
 2 (2)   ~R  仮定
12 (3)~(P&Q) 12MTT
12 (4)~P∨~Q  3ド・モルガンの法則
12 (5)~Q∨~P  4交換法則
12 (6) Q→~P  5含意の定義
  7(7) Q     仮定
127(8)   ~P  67MPP
という「推論」に加えて、
1   (1)P&Q→R  仮定
 2  (2)   ~R  仮定
  3 (3)  Q    仮定
   4(4)P      仮定
  34(5)P&Q    34&I
1234(6)    R  15MPP
1234(7) ~R&R  26&I
123 (8)~P     47RAA
という「推論」も「妥当」である。
従って、
(14)(17)により、
(18)
(1)脱水によって腎機能が悪化しているのであれば、
   赤血球とクレアチニンは並行して増大しなければならない。然るに、
(2)「検査結果」を見る限り、当該の患者の、
   赤血球とクレアチニンは並行して変化していない。然るに、
(3)腎機能は悪化している。従って、その上、仮に、
(4)脱水であるとするならば、
(5)脱水であって、尚且つ、腎機能が悪化していることになり、そのため、
(6)赤血球とクレアチニンは並行して増大しなければならないが、実際には、
(7)赤血球とクレアチニンは並行して増大していないので、矛盾する。従って、
(8)脱水ではない
従って、
(10)(15)(18)により、
(19)

とは言うものの、実際には、
(8)脱水ではない
従って、
(19)により、
(20)
12. 2019/1/19から輸液を中止しましたが、翌1/20から食事摂取量が不安定~低下しております(電子カルテ温度板参照)。高齢の患者様はもともとの生理的予備能が低下していることもあり、嘔吐や下痢などの症状がなくとも食事摂取量が低下すれば脱水状態を発症・継続することは容易に起こりうることです(2019/1/25の血液検査結果(ヘマトクリット上昇、食事摂取量低下にもかかわらずアルブミン上昇、ナトリウム上昇)から脱水状態であると確認したため同日より輸液再開しております)。
という『診断』は、『診』である。
然るに、
(21)
「説明」は「省略」するものの、「右の診断」が『診』であることは、
という「グラフ」からも、「明白」である。
令和4年9月19日、毛利太。

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