2015年5月26日火曜日

「返り点」に対する「括弧」のアルゴリズム(Ⅲ)。

(01)
ASCII.jpデジタル用語辞典の解説
16進数
 数値の表し方のひとつ。0~9の数字のほかにA~Fのアルファベットを用いて数値の大きさを表す。10進数でいう10、11、12、13、14、15がA、B、C、D、E、Fとなり、Fの次に1桁上がる。
従って、
(02)
16進数であれば、
 F=15
10=16
である。
従って、
(03)
17進数であれば、
 G=16
10=17
である。
従って、
(04)
18進数であれば、
 H=17
10=18
である。が、
1<2<3<4<5<6<7<8<9<A<B<C<D<E<F<G<H
は、18進数であるとする。
(05)
1    は、 1番目に読まれる、一字の言葉とし、
55   は、 5番目に読まれる、二字の言葉とし、
AAA  は、10番目に読まれる、三字の言葉とし、
FFFF は、15番目に読まれる、四字の言葉と、する。
(06)
Nは、任意の一桁の18進数であって、
Nの右側に、Nよりも小さい数字が有れば、
その時に限って、それらの数字を、内側から順番に、
( )
〔 〕
[ ]
{ }
〈 〉
で括ることを、「括弧」で括る。
とする。
(07)
① 1 H G 2 A 7 4 3 6 5 9 8 C B D F E。
を、( )で括ると、
② 1 H G 2 A 7 4(3)6(5)9(8)C(B)D F(E)。
(08)
② 1 H G 2 A 7 4(3)6(5)9(8)C(B)D F(E)。
を、〔 〕で括ると、
③ 1 H G 2 A 7〔4(3)6(5)〕9(8)C(B)D F(E)。
(09)
③ 1 H G 2 A 7〔4(3)6(5)〕9(8)C(B)D F(E)。
を、[ ]で括ると、
④ 1 H G 2 A[7〔4(3)6(5)〕9(8)]C(B)D F(E)。
(10)
④ 1 H G 2 A[7〔4(3)6(5)〕9(8)]C(B)D F(E)。
を、{ }で括ると、
⑤ 1 H G{2 A[7〔4(3)6(5)〕9(8)]C(B)D F(E)}。
(11)
⑤ 1 H G{2 A[7〔4(3)6(5)〕9(8)]C(B)D F(E)}。
を、〈 〉で括ると、
⑥ 1 H〈G{2 A[7〔4(3)6(5)〕9(8)]C(B)D F(E)}〉。
然るに、
(12)
⑥ 1 H〈G{ }〉。
を、仮に、
⑥ 1〈H G{ }〉。
とするならば、(06)により、
⑥  1は、17 よりも、大きい。
⑥ 17は、16 よりも、小さい。
となって、「矛盾」する。
従って、
(13)
⑥ 1<17>16 
である以上、必ず、
⑥ 1 H〈G{ }〉。
でなければ、ならない。
(14)
④ A[7〔4(3)6(5)〕9(8)]
を、仮に、
④ A〔7 4(3)6(5)9(8)〕
とするならば、
④ 7<4
④ 7<3
④ 7<6
④ 7<5
となって、「矛盾」する。
従って、
(07)~(14)により、
(15)
① 1 H G 2 A 7 4 3 6 5 9 8 C B D F E。
を「括弧」で括る、「やり方」は、
⑥ 1 H〈G{2 A[7〔4(3)6(5)〕9(8)]C(B)D F(E)}〉。
といふ、「一通り」しか、存在しない
従って、
(15)により、
(16)
⑥ 我不使籍不以畜妻憂飢乱心有銭以済医。
といふ「漢文」に、
⑥ 1 H G 2 A 7 4 3 6 5 9 8 C B D F E。
といふ「語順」を与へることは、
⑥ 我不使籍不以畜妻憂飢乱心有銭以済医。
といふ「漢文」を、
⑥ 我不〈使{籍不[以〔畜(妻)憂(飢)〕乱(心)]有(銭)以済(医)}〉。
といふ「括弧」で括ることと、「結果」に於いて、変はりがない
従って、
(16)により、
(17)
⑥ 我不使籍不以畜妻憂飢乱心有銭以済医=
⑥ 1 H G 2 A 7 4 3 6 5 9 8C B D F E=
⑥ 1H〈G{2A[7〔4(3)6(5)〕9(8)]C(B)DF(E)}〉⇒
⑥ 1〈{2[〔(3)4(5)6〕7(8)9]A(B)CD(E)F}G〉H=
⑥ 我〈{項籍[〔(妻)畜(飢)憂〕以(心)乱]不(銭)有以(医)済}使〉不=
⑥ 我籍をして、妻を畜ひ、飢憂ふるを以て、心を乱さ不、銭有りて以て医を済さ使め不。
といふ、「括弧」を用ゐた、「ソート(並び換へ)」が、可能になる。
従って、
(17)により、
(18)
⑦ 我不使項籍不以畜妻子邑人憂飢寒乱良心有銭財以済医薬=
⑦ 1 H G 2 2 A 7 4 3 3 3 3 6 5 5 9 8 8 C B B D F E E=
⑦ 1H〈G{22A[7〔4(3333)6(55)〕9(88)]C(BB)DF(EE)}〉⇒
1〈{22[〔(3333)4(55)6〕7(88)9]A(BB)CD(EE)F}G〉H=
⑦ 我〈{項籍[〔(妻子邑人)畜(飢寒)憂〕以(良心)乱]不(銭財)有以(医薬)済}使〉不=
⑦ 我項籍をして、妻子邑人を畜ひ飢寒を憂ふるを以て良心を乱さ不、銭財有りて以て医薬を済さ使め不。
といふ、「括弧」を用ゐた、「ソート(並び換へ)」が可能になる。
cf.
然るに、
(19)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置き換えて読むことが、その大きな原則となっている(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(17)(19)により、
(20)
我_使籍不有田二頃。
我_使項籍不以畜妻子邑人憂飢寒乱良心有銭財以済医薬。
の「否定」が、
我不使籍不有田二頃。
我不使項籍不以畜妻子邑人憂飢寒乱良心有銭財以済医薬。
であるとして、
我不使籍不有田二頃 ⇔
我籍をして田二頃有ら不ら使め不。
我不使項籍不以畜妻子邑人憂飢寒乱良心有銭財以済医薬 ⇔
我項籍をして、妻子邑人を畜ひ、飢寒を憂ふるを以て、良心を乱さ不、銭財有りて以て医薬を済さ使め不。
に於いて、「語順が全く反対」である。
といふことは、
{[〔( )〕]}⇔
{[〔( )〕]}。
〈{[〔( )( )〕( )]( )( )}〉⇔
〈{[〔( )( )〕( )]( )( )}〉。
といふ「補足構造」が、「共通」である。といふことに、他ならない。
cf.
従って、
(21)
「語順が全く反対」であるといふことだけに「注目」して、「補足構造と、漢字」が、等しいといふことを、無視し、いまや中国語を日本においても学べる時代であり「漢文訓読を卒業するときだ」といふ風に、断定するこは、正しくない。
(22)
231
2413
4231
の「括弧」は、
2(3〔1)〕
2(4〔1)3〕
4〔2(3〕1)
でなければ、ならない。
然るに、
(23)
(〔 )〕
(〔 )〕
〔( 〕)
といふ「括弧」は、有り得ないし、
二 三 一
二 下 一 上
下 二 上 一
といふ「返り点」も、有り得ない。
平成26年05月26日、毛利太。
(24)
さすがに、現在においては、「漢文訓読法」でなければ、日本人だけでなく、中国人も中国古典は理解できない、などという倒錯した主張をなす者はいなくなった。今から考えてみれば「漢文訓読法」派は単に現代中国語ができなかっただけのことではなかったか、そのようにさえ思えてくる(「訓読論」 : 勉誠出版、2頁)。
(25)
ともかく筆者が言いたいのは、大学でも漢文の授業の方はしっかりと訓読だけを教えれば
よいということである。以前このようなことをある講演の際に述べたら、他の大学に勤めている先輩から、自分のところでは音読も取り入れて学生もみな読めるようになっていると力まれて困った。それならばその大学出身の若手が中国学会をリードしているはずである(土田健次郎、大学における訓読教育の必要性)。
(26)
現代中国語による「漢文直読法」は、少なくとも、思ひ立って、すぐに出来るものではな
いが、「漢文訓読法」は、さうではない。
平成26年05月27日、毛利太。

(27)
「牛島徳次、中国古典の学び方、1977年、59・60頁」に、
わたしが「次の一句が全然わからなかった。」というと、そばにいた二三人の学生が一斉に笑い出して、いった。「先生、そこはこの間、先生がぼくたちに教えてくれた”xue er you shi”ですよ!」とあるやうに、
倉石博士の薫陶を受けられた、牛島博士は、「学而優則仕(論語)」のやうに、「返り点」も付かない、これ以上簡単なそれがないくらゐ簡単な、たった五字しかない「漢文」の意味を、「訓読」としては、学生に対して、即答出来たにも拘わらず、中国語としては、「全然わからなかった。」との、ことである。
従って、
(27)により、
(28)
現代中国語がしゃべれないような人は本当は漢文は読めないんです(Webサイト)。
といふ言ひ方は、たぶん、「錯覚(思ひ込み)」である。
(29)
今から約11世紀昔にさかのぼると現代英語とはおよそ似てもつかない言語の段階に行きつきます。これは今の欧米人にとってさえ全くの異国語です(永野芳郎、英語学説、1978年、102頁)。
といふことからすれば、
現代アメリカ語がしゃべれないような人は本当は「アングロ・サクソン語」は読めないんです。
といふことには、ならない。
従って、
(30)
現代アメリカ語がしゃべれないPETERや、URSULAに対して、
現代アメリカ語がしゃべれないような人は本当は「アングロ・サクソン語」は読めないんです。
といふ風に、述べることはない。
平成26年05月30日、毛利太。

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