2022年3月12日土曜日

「論理」と「集合(クラス)」の「類似性」。

(01)
①(集合Aが集合Bの部分集合である)ならば、そのときに限って(集合Aと集合Bの和集合は、集合Bに等しい)。
②(集合Aが集合Bの部分集合である)ならば、そのときに限って(集合Aと集合Bの積集合は、集合Aに等しい)。
といふ「命題」は、
①(A⊆B)⇔(A∪B=B)
②(A⊆B)⇔(A∩B=A)
といふ「集合の式」で、表すことが出来る。
然るに、
(02)
  A=xは集合Aの要素である(x∈A)。
  B=xは集合Bの要素である(x∈B)。
A∨B=xは集合Aの要素であるか、または、xは集合Bの要素である(x∈A∨x∈B)。
A&B=xは集合Aの要素であって、その上、xは集合Bの要素である(x∈A∨x∈B)。
A→B=xが集合Aの要素であるならば、  xは集合Bの要素である(x∈A→x∈B)。
とするならば、
①(A⊆B)⇔(A∪B=B)
②(A⊆B)⇔(A∩B=A)
といふ「集合の式」は、
①(A→B)⇔(A∨B⇔B)
②(A→B)⇔(A&B⇔A)
といふ「命題論理の式」に、「相当」する。
然るに、
(03)
(ⅰ)
1      (1) A→B                仮定
 2     (2) A∨B                仮定
  3    (3) A                  仮定
1 3    (4)   B                13MPP
   5   (5)   B           仮定
12     (6)   B                23455∨E
1      (7) A∨B→B              26CP
    8  (8)   B           仮定
    8  (9) A∨B                8∨I
       (ア) B→A∨B              89CP
1      (イ)(A∨B→B)&
          (B→A∨B)         7ア&I
1      (ウ) A∨B⇔B          イDf.⇔
       (エ)(A→B)→(A∨B⇔B)  1ウCP
     オ (オ) A∨B⇔B         仮定
     オ (カ)(A∨B→B)&
          (B→A∨B)        オDf.⇔
     オ (キ) A∨B→B         カ&E
      ク(ク) A             仮定
      ク(ケ) A∨B           ク∨I
     オク(コ)     B         キケMPP
     オ (サ) A→B           クコCP
       (シ)(A∨B⇔B)→(A→B)  オサCP
       (ス)(A→B)→(A∨B⇔B)&
          (A∨B⇔B)→(A→B)  エシ&I
       (セ)(A→B)⇔(A∨B⇔B)  スDf.⇔
(ⅱ)
1    (1) A→B           仮定
 2   (2) A&B           仮定
 2   (3)   B           2&E
     (4) A&B→B         23CP
  5  (5) A             A
1 5  (6)   B           15MPP
1 5  (7) A&B           56&I
1    (8) A→A&B         57CP
1    (9)(A&B→A)&
        (A→A&B)        49&I
1    (ア) A&B⇔A         9Df.⇔
     (イ)(A→B)→(A&B⇔A)  1アCP
   ウ (ウ)(A&B⇔A)        仮定
   ウ (エ)(A&B→A)&
        (A→A&B)        ウDf.⇔
    ウ (オ) A→A&B         エ&E
    カ(カ) A             A
   ウカ(キ)   A&B         オカMPP
   ウカ(ク)     B         キ&E
   ウ (ケ) A→B           カクCP
     (コ)(A&B⇔A)→(A→B)  ウケCP
     (サ)(A→B)→(A&B⇔A)&
        (A&B⇔A)→(A→B)  イコ&I
     (シ)(A→B)⇔(A&B⇔A)  サDf.⇔
従って、
(03)により、
(04)
①(A→B)⇔(A∨B⇔B)
②(A→B)⇔(A&B⇔A)
といふ「命題論理式」に於いて、
① は「恒真式(トートロジー)」であって、
② も「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
①(A→B)⇔(A∨B⇔B)
②(A→B)⇔(A&B⇔A)
といふ「命題論理式」に於いて、
① は「恒真式(トートロジー)」であって、
② も「恒真式(トートロジー)」であるが故に、
①(A⊆B)⇔(A∪B=B)
②(A⊆B)⇔(A∩B=A)
といふ「集合の式」に於いても、
① は「恒真式(トートロジー)」であって、
② も「恒真式(トートロジー)」であるに、違ひない。
然るに、
(06)
練習2 A⊆B⇔A∪B=B,また、A⊆B⇔A∩B=A を証明せよ
(数研出版、チャート式 基礎からの確率・統計、初版 昭和42年、13頁)
然るに、
(05)(06)により、
(07)
証明せよ」といふ「練習問題」がある以上、
①(A⊆B)⇔(A∪B=B)
②(A⊆B)⇔(A∩B=A)
といふ「集合の式」は、二つとも、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(08)
「集合はクラスの特別の種類のものであると解釈される(E.J.レモン著、石橋新・高橋敬吾 訳、公理的集合論入門、1972年、序論)。」
「実際、その第一の段階において、クラスの理論命題計算よりも難しいものではなく、また、以下に見られる通り、それは密接な類似性をもっている(E.J.レモン著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、259頁)。」
従って、
(05)~(08)により、
(09)
①(A→B)⇔(A∨B⇔B)
②(A→B)⇔(A&B⇔A)
といふ「命題論理式」と、
①(A⊆B)⇔(A∪B=B)
②(A⊆B)⇔(A∩B=A)
といふ「集合(クラス)の式」には、「密接な類似性(close resemblance)」がある。
然るに、
(10)
因みに、
(a)「E.J.レモン著、石橋新・高橋敬吾 訳、公理的集合論入門、1972年」
(b)「E.J.レモン著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、 1973年」
を「比較」すると、私にとっては、
(a)の方が、「格段に難しい」。
(11)
「高校数学」で「集合」と言へば、『ベン図』であるが、
「E.J.レモン著、公理的集合論入門、1972年」には、『ベン図』は、全く登場しない。
(12)
例題1 分配法則 (A∪B)∩C=(A∩C)∪(B∩C) を証明せよ
(数研出版、チャート式 基礎からの確率・統計、初版 昭和42年、12頁)
の「解答」は、


といふやうな『ベン図』で示される。
然るに、
(13)
(A∪B)∩C=(A∩C)∪(B∩C)
といふ「集合の式」を、
(A∨B)&C⇔(A&C)∨(B&C)
と書くと、「見た瞬間に、そんなの当然」である。
cf.
(ⅰ)
1  (1)(A∨B)&C     仮定
1  (2) A∨B        1&E
1  (3)      C     1&E
 4 (4) A          仮定
14 (5) A&C        34&I
14 (6)(A&C)∨(B&C) 5∨I
  7(7)   B        仮定
1 7(8)   B&C      37&I
1 7(9)(A&C)∨(B&C) 8∨I
1  (ア)(A&C)∨(B&C) 24679∨E
(ⅱ)
1  (1)(A&C)∨(B&C) 仮定
 2 (2)(A&C)       仮定
 2 (3) A          2&E
 2 (4) A∨B        3∨I
 2 (5)   C        2&E
 2 (6)(A∨B)&C     45&E
  7(7)       B&C  仮定
  7(8)       B    7&E
  7(9)     A∨B    8∨I
  7(ア)         C  7&E
  7(イ)   (A∨B)&C  9ア&I
1  (ウ)(A∨B)&C     1267イ∨E
従って、
(09)~(13)により、
(14)
(A∪B)∩C=(A∩C)∪(B∩C)
といふ「集合の式」を、
(A∨B)&C⇔(A&C)∨(B&C)
といふ「命題論理の式」は、「密接な類似性(close resemblance)」があるため、
(A∪B)∩C=(A∩C)∪(B∩C)
といふ「等式(集合の分配法則)」を「証明」する際に、『ベン図』は「不要」である。
(16)
「数学」⇒「論理」⇒「集合」。
といふ「連想」からすると、
「集合論は、数学者によって、さぞかし重んじられてゐるのだらう。」
と思ってゐたものの、
                         (謎の数学者【アメリカ大学准教授の数学チャンネル】)
とのことである。
令和04年03月12日、毛利太。

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