2023年12月30日土曜日

「命題論理」の「メタ定理Ⅱ」。

(01)
①(日本人の女性である)ならば日本人である。
という「命題」は、「偽にはなり得ない」。
従って、
(01)により、
(02)
①(日本人の女性である)ならば日本人である。
という「命題」は、「恒に真」である。
従って、
(02)により、
(03)
例へば、
P=日本人である。
Q=女性である。
として、
① P&Q→P
という「命題」は、
(ⅰ)P=真。Q=真。
(ⅱ)P=真。Q=偽。
(ⅲ)P=偽。Q=真。
(ⅳ)P=偽。Q=偽。
に於いて、すなわち、
(ⅰ) P& Q
(ⅱ) P&~Q
(ⅲ)~P& Q
(ⅳ)~P&~Q
に於いて、「恒に真」である。
然るに、
(04)
補題:任意の論理式に対する真理表テストの各行に対応して、導出可能な連式を書くことができる。
(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、昭和48年、107頁)
従って、
(03)(04)により、
(05)
(ⅰ)
 P& Q(1) P& Q     A
 P& Q(2)        P 1&E
 P& Q(3)     ~Q∨P 2∨I
 P& Q(4)  ~P∨~Q∨P 3∨I
 P& Q(5)(~P∨~Q)∨P 4結合法則
 P& Q(6) ~(P&Q)∨P 5ド・モルガンの法則
 P& Q(7)   P&Q→P  6含意の定義
(ⅱ)
 P&~Q(1) P&~Q      A
 P&~Q(2)     ~Q   1&E
 P&~Q(3)     ~Q∨P 2∨I
 P&~Q(4)  ~P∨~Q∨P 3∨I
 P&~Q(5)(~P∨~Q)∨P 4結合法則
 P&~Q(6) ~(P&Q)∨P 5ド・モルガンの法則
 P&~Q(7)   P&Q→P  6含意の定義
(ⅲ)
~P& Q(1)~P&Q      A
~P& Q(2)~P        1&E
~P& Q(3)~P∨~Q     2∨I
~P& Q(4)~(P&Q)    3ド・モルガンの法則
~P& Q(5) ~(P&Q)∨P 4∨I
~P& Q(6)   P&Q→P  5含意の定義
(ⅳ)
~P&~Q(1)~P&~Q     A
~P&~Q(2)   ~Q     1&E
~P&~Q(3)~P∨~Q     2∨I
~P&~Q(4)~(P&Q)    3ド・モルガンの法則
~P&~Q(5) ~(P&Q)∨P 4∨I
~P&~Q(6)   P&Q→P  5含意の定義
といふ「計算」は、4つとも、「正しい」。
然るに、
(06)
「プログラミング」の「二重ループ」に倣って、
 Pで、(Q∨~Q)を「計算」してから、
~Pで、(Q∨~Q)を「計算」するならば、
    (1) P∨~P   排中律(TI)
2   (2) P      A
    (3) Q∨~Q   排中律(TI)
 4  (4) Q      A
24  (5) P& Q   24&I
24  (6) P& Q→P (ⅰ)による。
  7 (7)   ~Q   A
2 7 (8) P&~Q   27&I
2 7 (9) P& Q→P (ⅱ)による。
2   (ア) P& Q→P 34679∨E
   イ(イ)   ~P   A
 4 イ(ウ)~P& Q   イ4&I
 4 イ(エ) P& Q→P (ⅲ)による。
  7イ(オ)~P&~Q   イ7&I
  7イ(カ) P& Q→P (ⅳ)による。
   イ(キ) P& Q→P 34エ7カ∨E
    (ク) P& Q→P 12アイキ∨E
然るに、
(06)により、
(07)
この例から、どうして一般に∨Eの適用によって、論理式Aが依存する仮定の数が次第に減って行き、排中律の代入例が最後に用いられるときには、全く仮定が残らなくなる(仮定の数ゼロになる)かということが明らかになるはずである。
(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、昭和48年、113頁)
然るに、
(08)
定理とは、仮定の数ゼロの証明可能な連式の結論である。
(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、昭和48年、64頁)
従って、
(03)~(08)により、
(09)
例へば、
P=日本人である
Q=女性である。
として、
① P&Q→P
①(日本人の女性である)ならば日本人である。
という「トートロジー(恒真命題)」に関して、
メタ定理Ⅱ:すべてのトートロジー的論理式は、定理として導出可能である。
(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、昭和48年、104頁)
といふ『定理』は、「正しい」。
然るに、
(10)
わざわざ、「このやうな証明」をしなくとも、
①(日本人の女性である)ならば日本人である。
といふ「命題」が「になり得ないことは、「直観的に明らかである」。
然るに、
(11)
といふよりも、
特に第2章の第5節は、本書の他の部分よりも遥かに難しい(good deal more difficult)
普通の読者(the ordinary reader)はとばす(つまり早く読み通す)のが賢明であろう。
(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、昭和48年、64頁)
従って、
(10)(11)により、
(12)
①(日本人の女性である)なら日本人である。
といふ「命題」が「」になり得ないことを、
メタ定理Ⅱ:すべてのトートロジー的論理式は、定理として導出可能である。
といふ『メタ定理として「理解」することは、「普通の人には、かなり難しい」。
令和5年12月30日、毛利太。

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