(01)
「漢文の基本構造」、すなはち、
(一)主述関係 主語―述語
(二)修飾関係 修飾語―被修飾語
(三)補足関係 叙述語―補足語
(四)並列関係 並列語―並列語
に対して、
(五)熟語等(固有名詞を含む)
を加へて、
(一)囗>囗
(二)囗+囗
(三)囗(囗)
(四)囗・囗
(五)囗‐囗
とすることは、「妥当」です。
然るに、
(02)
(六)囗,:接続詞(而や故、他)
とすることには、「問題」があります。
加へて、
(03)
世>有(伯‐楽)、然‐後>有(千‐里‐馬)。
千‐里‐馬>常‐有、而,伯‐楽>不‐常‐有。
故,雖〔有(名‐馬)〕、祇+辱〔於(奴‐隷‐人+之+手)〕、
駢‐死〔於(槽‐櫪+之+間)〕、不〔以(千‐里)称〕也。
に於ける、
奴‐隷‐人+之+手
にしても、
之=の
であることは、明らかであるため、
奴‐隷‐人+之+手
は、
奴‐隷‐人之手
と、書くべきです。
(04)
(六)囗,:接続詞(而や故、他)
が、「妥当」でない。といふのは、
① 虎求百獣而得之得狐。
② 及為令尹未治而国人信之。
③ 千里馬常有而伯楽不常有。
に於いて、これらを「音読み」する際の、「句読点」に、関係します。
(05)
α 白文を、
β 訓読し、
β 訓読を、
γ 復文(音読)する。
際には、
① 虎求百獣而得之_得狐。
② 及為令尹為未治而_国人信之。
③ 千里馬常有_而_伯楽不常有。
といふ風に、「区切る」ため、その「区切り」を反映させるためには、
(六)囗,
だけでなく、「コンマが無い」、
(六)囗
も、必要となり、それ故、
(六)囗,:接続詞(而や故、他)
だけでは、『訓点』としては、「妥当」では、ありません。
すなはち、
(06)
① 虎求百獣而得之、得狐。
② 及為令尹為未治而、国人信之。
③ 千里馬常有、而、伯楽不常有。
である以上、『訓点』は、
① 虎>求(百‐獣)而得(之)、得(狐)。
② >及〔為(令‐尹)〕未(治)而,国+人>信(之)。
③ 千‐里‐馬>常+有、而,伯‐楽>不〔常(有)〕。
であるため、
① 虎>求(百‐獣)而得(之)、得(狐)。
に関しては、
(六)囗,
ではなく、「コンマが無い」、
(六)囗
を、必要とします。
(07)
① 虎求百獣而得之得狐。
② 及為令尹未治而国人信之。
③ 千里馬常有而伯楽不常有。
を「復文(音読み)」する際は、
① 虎求百獣而得之_得狐。
② 及為令尹為未治而_国人信之。
③ 千里馬常有_而_伯楽不常有。
という風に、「区切る」べきである。
といふのは、「誰かが、さう書いてゐる」といふことでは、ありません。
(08)
① 虎百獣を求めて之を食らい、狐を得たり。
② 令尹と為るに及び、国人之を信ず。
③ 千里の馬は常に有れども、伯楽は常には有らず。
を、
① コキュウヒャクジュウジトクシ、トクコ。
② キュウイレイジンビチジ、コクジンシンシ。
③ センリバジョウユウ、ジ、ハクラクフツジョウユウ。
と、「復文(音読み)」してゐたら、自然に、
① 而
② 而、
③ 、而、
となって行った。といふのが、本当です。
従って、
(09)
「意味を理解しつつ、自分にとって、読みやすいやうに音読してゐたら、自然にさうなってゐた。」
といふことに、なるのですが、或る人曰く、
① コキュウヒャクジュウジトクシ、トクコ。
② キュウイレイジンビチジ、コクジンシンシ。
③ センリバジョウユウ、ジ、ハクラクフツジョウユウ。
といふ、「私が行ふ音読」は、「それなりに、外国語のやうに、聞こえる。」との、ことです。
(10)
「外国語のやうに、聞こえる。」かは、別にしても、今も書いたやうに、
「自分にとって、読みやすいやうに音読してゐたら、自然に、そのやうな、リズムになって行った。」
といふことは、事実です。
(11)
④ 不好犯上而好作乱者未之有也。
であれば、
④ 不好犯上=フツコウハンジョウ
で、一旦、「区切り」、次に、
④ 而好作乱者=ジコウサクランシャ
と読み、最後に、
④ 未之有也=ビシイウヤ。
と読むと、「リズムが良く、その分、暗誦もし易く」なります。
(12)
⑤ 臣不得越官而有功。
であれば、そのまま、
⑤ 臣不得越官而有功=シンフツトクエツカンジイウコウ。
と読むと、「リズムが良く、その分、暗誦もし易く」なります。
ただし、
(13)
だからと言って、もう一度言ふと、
① コキュウヒャクジュウジトクシ_トクコ。
② キュウイレイジンビチジ_コクジンシンシ。
③ センリバジョウユウ_ジ_ハクラクフツジョウユウ。
④ フツコウハンジョウ_ジコウサクランシャ_ビシイウヤ。
⑤ シンフツトクエツカンジイウコウ。
といふ風に「区切る」のが、「正しい」と言ってゐるのではなく、
「自分にとって、読みやすいやうに音読すると、さうなる。」といふことに、過ぎません。
従って、
(14)
逆に言ふと、
① 虎求百獣而得之_得狐。
② 及為令尹為未治而_国人信之。
③ 千里馬常有_而_伯楽不常有。
④ 不好犯上_而好作乱者_未之有也。
⑤ 臣不得越官而有功。
としなければ、「リズムが悪く、その分、暗誦も、し難く」なります。
従って、
(15)
α 白文を、
β 訓読し、
β 訓読を、
γ 復文(音読)する。
際の、
γ「音読」は、「単なる棒読み」ではない。
といふことに関しては、分って貰へた。ものと、思ひます。
平成26年01月12日、毛利太。
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