(01)
lilyannuさん曰く、
漢文が白文だけしか書いていないと読めず、返り点や送り仮名をつけられません。
(02)
taishomaron0706_0104さん曰く、
なぜ読みも書いていないのに白文だけ読んで返り点が打てるのか不思議です。
(03)
chielien_0b16833b5ee236845e34296さん曰く、
漢文の白文から書き下し文にするやりかたがよくわかりません。コツや勉強法があれば教えてください。
(04)
kiebine2007さん曰く、
大学の国文科の先生でも、返り点がなかったら読めないという人が大変多いのです。白文を読むのと漢文を読むのとは次元が違います。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
我欲読白文=
ガヨクドクハクブン。
といふ風に「音読」出来ない高校生は、皆無であるが、
我欲読白文=
我、白文を読まんと欲す。
といふ風に「訓読」できない高校生は、さうではない。
従って、
(05)により、
(06)
我欲読白文。
を読むことは、
I want to read hakubun.
を読むことと、同じではない。
然るに、
(07)
漢語文法の基礎となっている文法的な関係として、次の四つの関係をあげることができる。
(一)主述関係 主語 ― 述語
(二)修飾関係 修飾語 ― 被修飾語
(三)補足関係 叙述語 ― 補足関係
(四)並列関係 並列語 ― 並列語
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、281~283頁改)
(08)
目的語と補語とは、それほど区別する必要がないので、両方併せて、補足語と呼んだり補語と呼んだりしている。
(数研出版、基礎からの漢文、1982年、26頁)
(09)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
「返り点」が付くのは「述語+補語」であって、
「述語+補語」以外に、「返り点」は付かない。
然るに、
(11)
例へば、
① 悪=アク(名詞)
② 悪=ニクム(他動詞)
③ 悪=ワルイ(形容詞)
④ 悪=イヅクンゾ(副詞)
に於いて、
② 悪=ニクム(他動詞)
であれば、「述語」であるが、他の三つは、「述語」ではない。
従って、
(12)
「ある漢字」が、「述語」であるか否かの「判別」は、必ずしも、カンタンではない。
(13)
② 一以貫之 「以一貫之」と同じであるが「一」を前に出して強調した。
(明解古典学習シリーズ16 論語・孟子、1973年、54頁)
従って、
(13)により、
(14)
以一=述語+補語
であっても、
一以 は、「倒置」であるため、
一以=補語+述語
となって、「返り点」は、付かない。
(15)
畏人=述語+補語
であるため、
畏人=人を畏る。
には、「返り点」が付く。
従って、
(15)により、
(16)
後世畏る可し。
は、
可畏後世。
となるはずであるものの、「論語、子罕」では、
後世可畏。
となってゐる。
然るに、
(17)
三軍可奪師也=
三軍も師を奪ふべきなり。
に関して、
三軍・・・匹夫・・・ 提示語で、「たとえ三軍でも~」の意で「(雖)三軍・・・(雖)匹夫・・・」という意味になる。
(明解古典学習シリーズ16 論語・孟子、1973年、115頁)
とあるため、
後世可畏。
の、
後世=後世(若輩)と雖も、
は、「提示語」であると、思はれる。
(18)
以五十歩不可笑百歩=
五十歩を以て百歩を笑ふべからず。
といふ意味で、
不可=
不可なり。
とする場合は、
不可
の下に、
笑百歩
といふ「述語」が、「省略」されてゐる。
従って、
(10)~(18)により、
(19)
Ⅰ「述語+補語」以外に、「返り点」は付かない。
Ⅱ「述語」の判別は、カンタンではない。
Ⅲ「述語」であっても、「前置」 である場合は、「返り点」は付かない。
Ⅳ「述語」であっても、「提示語」である場合は、「返り点」は付かない。
Ⅴ「述語」であっても、「補語」が「省略」されてゐる場合は、「返り点」は付かない。
然るに、
(20)
我不常読英文。
の場合は、
我=名詞
不=助動詞
常=副詞
読=他動詞
英=形容詞
文=名詞
である。
然るに、
(21)
「助動詞、他動詞」は「述語」であるが、「名詞、形容詞、副詞」等は「述語」ではない。
従って、
(20)(21)により、
(22)
我不常読英文。
の場合は、
不=述語
読=述語
である。
然るに、
(23)
我不常読英文。
に於いて、
不=述語
読=述語
であると思ふのであれば、取りあへず、
不(
読(
とすることによって、
我不(常読(英文。
とする。
その次に、
(24)
不(
読(
に対する、
)
)
を、考へる。
然るに、
(25)
述語=読
に対する「補語」は、明らかに、
補語=英文
である。
従って、
(23)(24)(25)により、
(26)
述語=読
に対する「補語」である、
補語=英文
を、( )で括り、
我不(常読(英文)。
とする。
然るに、
(27)
我不(常読(英文)。
に於いて、
述語=不
は、
常読英文
を、「否定」してゐる。
従って、
(27)により、
(28)
述語=不
に対する「補語」である、
補語=常読英文
を、( )で括ると、
我不(常読(英文))。
然るに、
(29)
(((( ))))
では、読みにくいため、
{[〔( )〕]}
とする。
従って、
(28)(29)により、
(30)
我不(常読(英文))=
我不〔常読(英文)〕。
とする。
然るに、
(09)により、
(31)
述語+補語
といふ「漢文の語順」は、「国語」では、
補語+述語
でなければ、ならない。
従って、
(20)~(31)により、
(32)
我不常読英文=
我不〔常読(英文)〕。
に於いて、
読( )⇒( )読
不〔 〕⇒〔 〕不
といふ「倒置」を行へば、
我〔常(英文)読〕不。
といふ「語順」は、「国語(訓読)の語順」となる。
然るに、
(33)
我〔常(英文)読〕不。
といふ「語順」は、
我〔常には(英文を)読ま〕ず。
といふ風に、「訓読」出来る。
(34)
中野区有求以解中国語法解漢文者。
に於いて、
中野区=名詞+名詞
中国語=名詞+名詞
法 =名詞
漢文 =形容詞+名詞
者 =名詞
以外は、全て「述語」であると、思ふのであれば、
取りあへず、
中野有(求(以(解(中国語法解(漢文者。
とする。
その上で、
(35)
有(
求(
以(
解(
解(
に対する、それぞれの、
)
)
)
)
)
を、考へる。
その結果として、
(36)
中野区有(求(以(解(中国語)法)解(漢文))者)=
中野区有{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]者}。
であるとする。
然るに、
(37)
(32)と「同じ理由」により、
中野区有求以解中国語法解漢文者=
中野区有{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]者}。
に於いて、
解( )⇒( )解
以〔 〕⇒〔 〕以
解( )⇒( )解
求[ ]⇒[ ]求
有{ }⇒{ }有
といふ「倒置」を行へば、
中野区{[〔(中国語)解法〕以(漢文)解]求者}有。
といふ「語順」は、「国語(訓読)の語順」となる。
然るに、
(38)
中野区{[〔(中国語)解法〕以(漢文)解]求者}有。
といふ「語順」は、
中野区に{[〔(中国語を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求むる者}有り。
といふ風に、「訓読」出来る。
然るに、
(34)(35)により、
(39)
中野区有求以解中国語法解漢文者。
に於いて、
有=述語
求=述語
以=述語
解=述語
解=述語
であることが、分ってゐなければ、
有(
求(
以(
解(
解(
に対する、
)
)
)
)
)
を、考へることは、出来ない。
従って、
(39)により、
(40)
例へば、
中野区有求以解中国語法解漢文者。
といふ「白文」を「訓読」するには、
有(
求(
以(
解(
解(
に対する、それぞれの、
)
)
)
)
)
を、考へるために、取りあへず、
有=述語
求=述語
以=述語
解=述語
解=述語
といふことを、自分自身で、判断できなければ、ならない。
従って、
(41)
「白文」を「訓読」出来るやうになるためには、「どのやうな場合」に、「どのやうな漢字」が、「述語」になるのか。
といふことに、気を付けながら、「漢文」を学んで行く、必要が有る。
然るに、
(42)
① 中野区有{求[以〔解( 語)法〕解( 文)]者}。
② 中野区有{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]者}。
に於いて、①と②の「補足構造(シンタックス)」は等しい。
然るに、
(43)
「返り点」は、それぞれ、
① 乙 下 二 レ 一 上レ 甲
② 地 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
である。
cf.
従って、
(42)(43)により、
(44)
「括弧」とは異なり、「返り点」は、必ずしも「補足構造(シンタックス)」を表してゐない。
といふことに、注意する、必要がある。
平成28年01月21日、毛利太。
(45)
② 中野区有{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文 )]者}。
ではなく、
③ 中野区有{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)囗]者}。
に於いて。
③ 囗 が、「読むべき漢字」である場合、「返り点」と「括弧」は、
③ 地 乙 下 二 一 上 二 一 甲 天
③{ [ 〔 ( ) 〕( ) ] }
である。
然るに、
(46)
② 地 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 地 乙 下 二 一 上 二 一 甲 天
は、本質的に、「順番」を表してゐて、
②{ [ 〔 ( ) 〕( ) ] }
③{ [ 〔 ( ) 〕( ) ] }
は、「構造」を表してゐる。
従って、
(45)(46)により、
(47)
③ 地 乙 下 二 一 上 二 一 甲 天 と、
③{ [ 〔 ( ) 〕( ) ] } は、「同じ」ではない。
平成28年01月23日、毛利太。
(44)
「括弧」とは異なり、「返り点」は、必ずしも「補足構造(シンタックス)」を表してゐない。
といふことに、注意する、必要がある。
平成28年01月21日、毛利太。
(45)
② 中野区有{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文 )]者}。
ではなく、
③ 中野区有{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)囗]者}。
に於いて。
③ 囗 が、「読むべき漢字」である場合、「返り点」と「括弧」は、
③ 地 乙 下 二 一 上 二 一 甲 天
③{ [ 〔 ( ) 〕( ) ] }
である。
然るに、
(46)
② 地 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 地 乙 下 二 一 上 二 一 甲 天
は、本質的に、「順番」を表してゐて、
②{ [ 〔 ( ) 〕( ) ] }
③{ [ 〔 ( ) 〕( ) ] }
は、「構造」を表してゐる。
従って、
(45)(46)により、
(47)
③ 地 乙 下 二 一 上 二 一 甲 天 と、
③{ [ 〔 ( ) 〕( ) ] } は、「同じ」ではない。
平成28年01月23日、毛利太。
0 件のコメント:
コメントを投稿