(01)
「修飾語」とは、「副詞(連用修飾語)」と「形容詞(連体修飾語)」のことをいふ。
然るに、
(02)
「副詞・形容詞」は、「Adverb・Adjective」である。
そのため、
(03)
「副詞」については、「ADVERB」の「A」を借りて、Aとし、「形容詞」について、「adjective」の「a」を借りて、aとする。
(04)
目的語と補語を区別する必要はないので、両方併せて、補足語と呼んだり、単に補語と呼んだりしている(数研出版、基礎からの漢文、1982年、26頁)。
然るに、
(05)
「補語」は、「Complement」である。
そのため、
(06)
「Complement」の「C」を借りて、「補語」を、Cとする。
(07)
S=主語 とし、
V=述語 とする。
従って、
(03)(06)(07)により、
(08)
① 我不常読英文 ⇒
① 我、常には英文を読まず。
に於いて、
我=S
不=V
常=A
読=V
英=a
文=C
である。
従って、
(08)により、
(09)
① 我不常読英文 ⇒
① 我、常には英文を読まず。
に於いて、
我=S=1
不=V=6
常=A=2
読=V=5
英=a=3
文=C=4
とすれば、この場合の「162534」は、「訓読の順番」である。
然るに、
(10)
従って、
(09)(10)により、
(11)
① 我不常読英文 ⇒
① 我、常には英文を読まず。
に於いて、
我=S=1
不=V=6=三
常=A=2
読=V=5=二
英=a=3
文=C=4=一
とすれば、この場合の「三 二 一」は、「返り点」である。
然るに、
(12)
漢語文法の基礎となっている文法的な関係として、次の四つの関係をあげることができる。
(一)主述関係 主語 ― 述語
(二)修飾関係 修飾語 ― 被修飾語
(三)補足関係 叙述語 ― 補足関係
(四)並列関係 並列語 ― 並列語
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、281~283頁改)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)
(13)
(一)の主述関係、(二)の修飾関係、(三)補足関係においては、その前置のものと後置のものとは、それぞれ、全く違った機能のものなの
であって、その語順を変えることは、許されない。もしも、その語順を変えるならば、全く違った意味のものとなるか、意味をなし難いものと
なる。
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、284頁)
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
我=S=1
不=V=6=三
常=A=2
読=V=5=二
英=a=3
文=C=4=一
といふ「語順」を、
我=S=1
常=A=2
読=V=5=二
英=a=3
不=V=6=三
文=C=4=一
といふ「語順」に、変へるならば、「SVAVaC」が、「SVAaVC」に変はるため、「全く違った意味のものとなるか、意味をなし難いものとなる」。
従って、
(14)により、
(15)
我=S=1
常=A=2
読=V=5=二
英=A=3
不=V=6=三
文=C=4=一
といふ「語順」と「返り点」は、実際には、有り得ないし、固より、「返り点」といふ「言ひ方」からしても、
読=V=5=二
英=a=3
不=V=6=三
のやうに、「返らない、返り点」は、有り得ないし、
我=S
常=A
読=V=二
英=A
不=V
文=C=一
であれば、
我=1
常=2
読=6=二
英=3
不=4
文=5=一
であるため、
我=1
常=2
読=5
英=3
不=6
文=4
ではない。
然るに、
(16)
① 162534=
① 16{25(34)}。
に於いて、
① 5( )⇒( )5
① 6{ }⇒{ }6
とすると、
① 162534=
① 16{25(34)}⇒
① 1〔2(34)5〕6=
① 1 2 3 4 5 6。
(17)
② 125364=
② 125(36{4)}。
に於いて、
② 5( )⇒( )5
② 6{ }⇒{ }6
とすると、
② 125364=
② 125(36{4)}⇒
② 12(3{4)5}6=
② 1 2 3 4 5 6。
然るに、
(18)
「数学」の場合が、さうであるやうに、
① {( )}
に対して、
② ({ )}
は、「括弧」ではない。
然るに、
(19)
② 二 三 一
であれば、
② 二<三>一 & 二=一+一
といふ「不等式」が、成立する。
従って、
(14)(19)により、
(20)
② 125364
といふ「順番」は、
② 二<三>一 & 二=一+一
に対応して、
② 5<6>4 & 5=4+1
といふ「順番」を含んでゐる。
従って、
(20)により、
(21)
② 125364
といふ「順番」は、
② B<C>A & B=A+1
といふ「順番」を含んでゐる。
然るに、
(22)
① 162534
といふ「順番」は、
① B<C>A & B=A+1
といふ「順番」を含んでゐない。
従って、
(14)(15)(18)(21)(22)により、
(23)
① B<C>A & B=A+1
といふ「順番」を含んでゐない「順番」を、
② B<C>A & B=A+1
といふ「順番」を含む「順番」に変へるならば、その「語順」に対して、「返り点・括弧」を付けることは、出来ない。
従って、
(12)(13)(23)により、
(24)
「返り点・括弧」を用ゐて、
② B<C>A & B=A+1
といふ「順番」を含む、「英語」なり、「中国語(白話文)」を、「訓読」することは、出来ない。
cf.
訓読法の限界は、白話文、つまり口語の文章には適用できないことだといわれます。つまり、文語(文言)の文章だけしか訓読法で読むことができないのです(Webサイト:日本漢文の世界)。
平成28年01月16日、毛利太。
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