2017年9月29日金曜日

「副詞(句)」の位置。

(01)
① 冀得兎=
① 冀〔復得(兎)〕⇒
① 〔復(兎)得〕冀=
① 〔復た(兎を)得んことを〕冀ふ。
(02)
冀得兎=
② 復冀〔得(兎)〕⇒
② 復〔(兎)得〕冀=
② 復た〔(兎を)得んことを〕冀ふ。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 冀〔得(兎)〕。
冀〔得(兎)〕。
に於いて、「訓読」は、両方とも、
① 復た兎を得んことを冀ふ。
② 復た兎を得んことを冀ふ。
である。
然るに、
(04)
① 冀得兎。
冀得兎。
といふ「漢文」自体は、
得(兎)〕= 〔得(兎)+ 得(兎)〕。
〔得(兎)〕= 〔得(兎)〕+ 〔得(兎)〕。
といふ、「意味」である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
① 冀〔得(兎)〕。
冀〔得(兎)〕。
といふ「漢文」の場合は、
「訓読」に関しては、①=② であるが、
「意味」に関しては、①=② ではない
すなはち、
(06)
◆ 冀復得一レ
この句は「復た兎を得んことを冀ふ」と読むが、いまかりに原文の「冀」と「復」とを入れかえて「復冀兎」としても読み方はかわらない。しかし意味内容のうえでは大きな違いがあるので注意を要する。「冀復得一レ兎」の場合は「冀ふ」の内容が下の「復得兎」となる形であるから、「ふたたび兎を手に入れる」ということを「ねがう」の意で、まえにも兎を入れたが、さらにもう一度兎を手に入れたいと望むことになる。ところが「復冀兎」の場合は「復」が「冀」の上にあるので、「復」が「冀」を修飾する形であり、「冀ふ」の内容は「得兎」だけになる。つまり「兎を手に入れること」を「もう一度ねがう」の意である。
(赤塚忠・遠藤哲夫、漢文の基礎、1973年、36頁)
従って、
(05)(06)により、
(07)
① 復た兎を得んことを冀ふ。
② 復た兎を得んことを冀ふ。
といふ「訓読」からは、その「原文」が、
① 冀得兎。
であるのか、
冀得兎。
であるのか、といふことが、「判らない」。
従って、
(08)
① 復た兎を得んことを冀ふ。
② 復た兎を得んことを冀ふ。
だけでなく、
① 十五城を以て、兎を得んことを冀ふ。
② 十五城を以て、兎を得んことを冀ふ。
といふ「訓読」からは、その「原文」が、
以十五城得兎。
であるのか、
以十五城得兎。
であるのか、といふことが、「判らない」。
従って、
(09)
① 十五城を以て、兎を得んことを冀ふ。
② 十五城を以て、兎を得んことを冀ふ。
だけでなく、
③ 十五城を以て、之に易んことを請ふ。
④ 十五城を以て、寡人の璧に易んことを請ふ。
といふ「訓読」からは、その「原文」が、
以十五城易之。
であるのか、
以十五城易寡人之璧。
であるのか、といふことが、「判らない」。
然るに、
(10)

然るに、
(11)
③ 之
④ 寡人の璧
に於いて、
③=④ である。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
③ 十五城を以て、之に易んことを請ふ。
④ 十五城を以て、之に易んことを請ふ。
といふ「訓読」からは、その「原文」が、
以十五城易之。
であるのか、
以十五城易之。
であるのか、といふことが、「判らない」ものの、「意味」自体は、
③=④ である。
従って、
(05)(09)(12)により、
(13)
① 冀〔復得(兎)〕。
② 復冀〔得(兎)〕。
とは「異なり」、
③ 請〔以(十五城)易(之)〕。
④ 以(十五城)請〔易(之)〕。
の場合は、「意味」としても、
③=④ である。
平成29年09月29日、毛利太。

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