(01)
日本語はテニオハを伴わねば文を成さないの対して、中国語は、「助字」を伴わなくとても、文を成し得る。あってもなくともよい。
たとえば、
学んで之を習う、人知らずして慍まず。
は、必ずしも、
學而時習之、
人不知而不慍、
と表現される必要はない。かりに而を省略して、
學時習之、
人不知不慍、
であったとしても、文を成し得る。
(吉川幸次郎、漢文の話、1962年、47・48頁)。
従って、
(01)により、
(02)
① 無人不知(人にして知らざるは無し)。
といふ「漢文」は、
① 無人而不知(人にして知らざるは無し)。
といふ風に、「書くこと」が出来る。
然るに、
(03)
① 而・・・同時・並行または連続・継起の関係を表す接続詞として機能する。
・順接となる。→「て」* 英語〈and〉
(古田島洋介・湯城吉信、漢文訓読入門、2011年、27頁)
従って、
(03)により、
(04)
① 無人而不知(人にして知らざるは無し)。
といふ「漢文」は、
① 無人&不知(人にして知らざるは無し)。
といふ風に、「書くこと」が出来る。
然るに、
(05)
【無】[意味]② 否定詞として、あとに続く語を打ち消す。
【不】[一]否定の助字。
(旺文社、高校基礎漢和辞典、1984年、96・514頁)
然るに、
(06)
任意の表述の否定は、その表述を’~( )’という空所にいれて書くことにしよう。
(W.O.クワイン著、杖下隆英訳、現代論理学入門、1972年、15頁)
従って、
(05)(06)により、
(07)
① 無人&不知(人にして知らざるは無し)。
といふ「それ」は、
① ~〔人&~(知)〕
といふ「論理式」に、「相当」する。
然るに、
(08)
1 (1)~〔人&~(知)〕 A
2 (2) 人 A
3 (3) ~(知) A
23 (4) 人&~(知) 23&I
123(5)~〔人&~(知)〕&〔人&~(知)〕 14&I
12 (6) ~~(知) 35RAA
12 (7) 知 DN
1 (8) 人 → 知 27CP
(9)~〔人&~(知)〕→(人 → 知) 18CP
(09)
1 (1) 人 → 知 A
2 (2) 人&~(知) A
2 (3) 人 2&E
12(4) 知 13MPP
2 (5) ~(知) 2&E
12(6) 知&~(知) 45&I
1 (7)~〔人&~(知)〕 26RAA
(8)(人 → 知)→(~〔人&~(知)〕 17CP
従って、
(08)(09)により、
(10)
① ~〔人&~(知)〕
② 人 → 知
に於いて、
①=② である。
然るに、
(11)
② 人則知之。
といふ「漢文」であれば、
① 人 → 知
といふ「論理式」に、「相当」する。
従って、
(04)~(11)により、
(12)
① 無人而不知。
① ~〔人&~(知)〕
② 人則知之。
② 人 → 知
に於いて、
①=② である。
然るに、
(13)
① 無人而不知(人にして知らざるは無し)。
② 人則知之(人は、則ち、之を知る)。
といふ「漢文」は、
① 人であって知らない者はゐない。
② 人であれば誰でも知ってゐる。
といふ「日本語」に、「翻訳」出来る。
然るに、
(14)
① 人であって知らない者はゐない。
② 人であれば誰でも知ってゐる。
に於いて、明らかに、
①=② である。
従って、
(10)~(14)により、
(15)
① 無人而不知。
② 人則知之。
① ~〔人&~(知)〕
② 人 → 知
① 人であって知らない者はゐない。
② 人であれば誰でも知ってゐる。
といふ「六つ」は、「互いに等しい」。
然るに、
(16)
① ~〔人&~(知)〕
② 人 → 知
に於いて、
①=② である。
とする所の、「命題計算」は、「自然演繹」である。
然るに、
(17)
歴史も文化も価値観も違うのに、同じ「推論規則」を使うのは、そもそも人間の脳に先天的にインプット(ブレインストール)されているもの
だからに違いないでしょう、自然演繹は、そういう人類に共通の推論方法を、できるだけ操作しやすいように形式化したものということができ
ます。私たちの「認識」そのもの、ということです。
(小島寛之、証明と論理に強くなる、2017年、139頁)
従って、
(15)(16)(17)により、
(18)
① 人であって知らない者はゐない。
② 人であれば誰でも知ってゐる。
といふ「意味」である所の、
① 無人而不知。
といふ「漢文」は、
① ~〔人&~(知)〕
といふ「論理式」として、「人間の脳に先天的にインプット(ブレインストール)されている。」といふ風に、見なすことが、出来る。
従って、
(18)により、
(19)
① 人であって知らない者はゐない。
② 人であれば誰でも知ってゐる。
といふ「意味」である所の、
① 無人而不知。
といふ「漢文」には、
① 無〔人而不(知)〕。
① ~〔人&~(知)〕。
といふ「括弧」が、無ければならない。
然るに、
(20)
① 無人而不知。
といふ「漢文」が、
① 人であって知らない者はゐない。
② 人であれば誰でも知ってゐる。
といふ「意味」で、ないのであれば、
① 無人而不知。
といふ「漢文」に対して、固より、
① 無二人而不一レ知。
といふ「返り点」を、付けることは、出来ない。
従って、
(19)(20)により、
(21)
① 無二人而不一レ知。
といふ「返り点」を付ける「前から」、
① 無人而不知。
といふ「漢文」には、
① 無〔人而不(知)〕。
といふ「括弧」が、無ければならない。
従って、
(21)により、
(22)
① 無人而不知。
といふ「漢文」に、
① 無〔人而不(知)〕。
といふ「括弧」が有って、然る後に、
① 無二人而不一レ知。
といふ「返り点」が、「付く」ことになる。
平成29年09月06日、毛利太。
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