2017年9月2日土曜日

「論理式訓読」に於ける「返り点・括弧」。

(01)
(30)~(45)で、示すものの、「結論」として、
①  P→ Q
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
④ ~(~Q&P)
⑤ ~P∨ Q
⑥   Q∨~P
といふ「論理式」に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
然るに、
(02)
任意の表述の否定は、その表述を’(  )’という空所にいれて書くことにしよう。しかし、丸括弧はその内部の表述が連言でないかぎり削除しよう
(W.O.クワイン著、杖下隆英訳、現代論理学入門、1972年、15頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
括弧」は、その内部の表述が「連言」でなくとも「削除しない場合は、
①  P→ Q
② ~(Q)→~(P)
③ ~〔P&~(Q)〕
④ ~〔~(Q)&P〕
⑤ ~(P)∨ Q
⑥    Q∨~(P)
に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
然るに、
(04)
和文否定は文の最後尾につきます。「・・・ではない」という形式です。すると、直前の語を否定しているのか、文全体を否定しているのか、別の語や句読点を補わない限り区別がつかなくなります。
(新井紀子、数学は言葉、2009年、123頁)
従って、
(03)(04)により、
(05)
①  P→ Q
② ~(Q)→~(P)
③ ~〔P&~(Q)〕
④ ~〔~(Q)&P〕
⑤ ~(P)∨ Q
⑥    Q∨~(P)
といふ「論理式」を、「日本語の語順」に「直す」ならば、
①  P→ Q
② (Q)~→(P)~
③ 〔P&~(Q)〕~
④ 〔(Q)~&P〕~
⑤ (P)~∨ Q
⑥   Q∨(P)~
といふ、「語順」になる。
然るに、
(06)
①  P→ Q
② (Q)~→(P)~
③ 〔P&~(Q)〕~
④ 〔(Q)~&P〕~
⑤ (P)~∨ Q
⑥   Q∨(P)~
といふ「論理式」を、「日本語」に「置き換へ」るならば、
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない
④ QでなくてPである。といふことはない
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない
といふ、「それ」になる。
然るに、
(07)
①   P→ Q
Q→
P&一レ
Q&P
P∨  Q
⑥   Q∨
といふ「それ」を、「返り点」に従って、「訓読」すると、
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
といふ、「訓読」となる。
従って、
(05)~(07)により、
(08)
①  P→ Q
② ~(Q)→~(P)
③ ~〔P&~(Q)〕
④ ~〔~(Q)&P〕
⑤ ~(P)∨ Q
⑥    Q∨~(P)
に於ける、

②  ( )  ( )
③  〔   ( )〕
④  〔 ( )  〕
⑤  ( )
⑥       ( )
といふ「括弧」は、
①  P→ Q
② ~Q→~
③ ~P&~一レ
④ ~Q&P
⑤ ~P∨ Q
⑥ Q∨~
に於ける、

② レ レ
③ 二 一レ
④ 二 レ 一
⑤ レ
⑥ レ
といふ「返り点」に、「相当」する。
従って、
(05)~(08)により、
(09)
①  P→ Q
② ~(Q)→~(P)
③ ~〔P&~(Q)〕
④ ~〔~(Q)&P〕
⑤ ~(P)∨ Q
⑥    Q∨~(P)
といふ「論理式」を、
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
といふ風に、「理解すること」は、「漢文訓読」ならぬ、「論理式訓読」に他ならない。
従って、
(01)(03)(09)により、
(10)
①  P→ Q
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
⑤ ~P∨ Q
⑥   Q∨~P
といふ「論理式」に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥
である以上、
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
に於いても、
①=②=③=④=⑤=⑥
でなければ、ならない。
然るに、
(11)
① PであるならばQである。
といふ「言ひ方」は、
① Pである場合は、Qである場合に、「含まれる」。
といふ風に、「解する」ことが、出来る。
然るに、
(12)
① PであるならばQである。
② PはQに含まれる
③ Q以にPは在る。
④ Q以にPは無い。
⑤ QだけがPである。
⑥ QでないならばPでない。
(13)
⑥ QでないならばPでない。
⑤ QだけがPである。
④ Q以にPは無い。
③ Q以にPは在る。
② PはQに含まれる
① PであるならばQである。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない
に於いて、
①=② である。
cf.
対偶(Contraposition)。
然るに、
(15)
① PであるならばQである。
といふことは、
③ PであってQでない。といふことはない
といふことに、他ならない。
(16)
② QでないならばPでない
といふことは、
④ QでなくてPである。といふことはない
といふことに、他ならない。
従って、
(14)(15)(16)により、
(17)
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(18)
⑤ Pでない。でない。
といふことは、
⑤ Pである。
といふ、ことである。
cf.
二重否定(double negation)。
然るに、
(19)
⑤ Pでない、Qである。
⑤ Pでない。でない
であれば、
⑤ Qである。
従って、
(18)(19)により、
(20)
⑤ Pでない、Qである。
⑤ Pである
であれば、
⑤ Qである。
然るに、
(21)
① Pであるならば、Qである。
① Pである
であれば、
① Qである。
従って、
(20)(21)により、
(22)
① PであるならばQである。Pである。故に、Qである。
⑤ Pでないか、  Qである。Pである。故に、Qである。
然るに、
(23)
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
に於いて、明らかに。
⑤=⑥ である。
cf.
交換法則(Commutative law)。
然るに、
(24)
⑥ Qであるか、Pでない。
⑥ Qでない。
であれば、
⑥ Pでない。
然るに、
(25)
② QでないならばPでない。
② Qでない。
であれば、
② Pでない。
従って、
(24)(25)により、
(26)
② QでないならばPでない。Qでない。故に、Pでない。
⑥ Qであるか、  Pでない。Qでない。故に、Pでない。
従って、
(14)(22)(26)により、
(27)
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(17)(27)により、
(28)
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
に於いても、
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
然るに、
(29)
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
といふ「日本語」は、
①  P→ Q
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
④ ~(~Q&P)
⑤ ~P∨ Q
⑥   Q∨~P
といふ「論理式」に、「相当」する。
然るに、
(30)
1  (1)P→Q           A
2  (2) ~Q           A
3  (3)P             A
13 (4)  Q           13MPP
123(5)~Q&Q          24&I
12 (6)~P            35RAA
1  (7)~Q→~P         26CP
   (8)(P→Q)→(~Q→~P) 17CP 
(31)
1  (1)~Q→~P         A
2  (2) P            A
3  (3)~Q            A
13 (4)~P            13MPP
123(5)~P&P          24&I
12 (6)~~Q           35RAA
12 (7)  Q           6DN
1  (8) P→Q          27CP
   (9)(~Q→~P)→(P→Q) 18CP
従って、
(30)(31)により、
(32)
①  P→ Q
② ~Q→~P
に於いて、
①=② である。
然るに、
(33)
1 (1) ~Q→~P           A
2 (2)  P&~Q           A
2 (3)    ~Q           2&E
12(4)    ~P           13MPP
2 (5)  P              2&E
12(6)  P&~P           45&I
1 (7)~(P&~Q)          26RAA
  (8)(~Q→~P)→ ~(P&~Q) 17CP
(34)
1  (1)~(P&~Q)         A
2  (2)    ~Q          A
3  (3)  P             A
23 (4)  P&~Q          23&I
123(5)~(P&~Q)&(P&~Q)  14&I
12 (6) ~P             35RAA
1  (7) ~Q→~P          26CP
   (8)~(P&~Q)→ ~Q→~P  17CP
従って、
(33)(34)により、
(35)
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(36)
1 (1)~(P&~Q)           A
2 (2) ~Q& P            A
2 (3)  P               2&E
2 (4)    ~Q           2&E
2 (5)  P&~Q            34&I
12(6)~(P&~Q)&(P&~Q)   15&I
1 (7)~(~Q&P)          26RAA
  (8)~(P&~Q)→ ~(~Q&P) 17CP
(37)
1 (1)~(~Q&P)          A
2 (2)  P&~Q           A
2 (3)  ~Q             2&E
2 (4)     P           2&E
2 (5)  ~Q&P           34&I
12(6)~(~Q&P)&(~Q&P)   15&I
1 (7)~(P&~Q)          26RR 
  (8)~(~Q&P)→ ~(P&~Q)  17CP
従って、
(36)(37)により、
(38)
③ ~(P&~Q)
④ ~(~Q&P)
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(39)
1 (1) ~(~Q&P)        A
2 (2) ~(~P∨Q)        A
3 (3)   ~P           A
3 (4)   ~P∨Q         3VI
23(5) ~(~P∨Q)&(~P∨Q) 24&I
2 (6)  ~~P           35RAA
2 (7)    P           6DN
8 (8)    Q           A
8 (9)   ~P∨Q         8VI
28(ア) ~(~P∨Q)&(~P∨Q) 29&I
2 (イ)   ~Q           8アRAA
2 (ウ)   ~Q&P         7イ&I
12(エ) ~(~Q&P)&(~Q&P) 1ウ&I
1 (オ)~~(~P∨Q)        2エRAA
1 (カ)  (~P∨Q)        オDN
  (キ)~(~Q&P)→(~P∨Q)  1カCP
(40)
1 (1)  ~P∨Q          A
2 (2)  ~Q&P          A
3 (3)  ~P            A
2 (4)   P            2&E
23(5)  ~P&P          34&I
 3(6)~(~Q&P)         25RAA
7 (7)   Q            A
2 (8)  ~Q            2&E
27(9)  ~Q&Q          78&I
 7(ア)~(~Q&P)         29RAA
1 (イ)~(~Q&P)         1367アVE
    (ウ)(~P∨Q)→ ~(~Q&P)  1イ
従って、
(39)(40)により、
(41)
④ ~(~Q&P)
⑤   ~P∨Q
に於いて、
④=⑤ である。
然るに、
(42)
1(1)~P∨Q          A
2(2)~P            A
2(3)Q∨~P          2VI
4(4)   Q          A
4(5)Q∨~P          2VI
1(6)Q∨~P          12345VE
 (7)(~P∨Q)→(Q∨~P) 16CP
(43)
1(1)Q∨~P          A
2(2)  ~P          A
2(3)~P∨Q          2VI
4(4)Q             A
4(5)~P∨Q          4VI
1(6)~P∨Q          12345VE
 (7)(Q∨~P)→(~P∨Q) 16CP
従って、
(42)(43)により、
(44)
⑤ ~P∨ Q
⑥   Q∨~P
に於いて、
⑤=⑥ である。
従って、
(32)(35)(38)(41)(44)により、
(45)
①  P→ Q
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
④ ~(~Q&P)
⑤ ~P∨ Q
⑥   Q∨~P
に於いて、
①=②
  ②=③
    ③=④
      ④=⑤
        ⑤=⑥
であるが故に、
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
従って、
(28)(45)により、
(46)
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
に於いても、
①=②=③=④=⑤=⑥ であって、尚且つ
①  P→ Q
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
④ ~(~Q&P)
⑤ ~P∨ Q
⑥   Q∨~P
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
然るに、
(47)
① P→Q
といふ「論理式」は、

① Pならば、  Qである。
① PであるならばQである。
といふ「日本語」に、「相当」する。
従って、
(46)(47)により、
(48)
①  P→ Q
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
④ ~(~Q&P)
⑤ ~P∨ Q
⑥   Q∨~P
といふ「論理式」は、
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
といふ「日本語」に、「相当」する。
然るに、
(49)
③ ~(P&~Q)
といふ「論理式」は、例へば、
③ 無(夕而不飲)
といふ「漢文」に、「相当」し、
③ 無(夕而不飲)
といふ「漢文」の「訓読」は、
③ 夕べとして飲まざるは無し。
であって、
③ 夕べとして飲まざるは無し。
といふ「訓読」は、
③ 夕べであって飲まない。といふことはない。
といふ、「意味」である。
従って、
(48)(49)により、
(50)
③ ~(P&~Q)
といふ「論理式」は、
③ PであってQでない。といふことはない。
といふ「意味」であって、尚且つ、
③ 無(夕而不飲)
といふ「漢文」は、
③ 夕べであって飲まない。といふことはない。
といふ、「意味」である。
従って、
(50)により、
(51)
③ ~(P&~Q)
といふ「論理式」を、
③ PであってQでない。といふことはない。
といふ風に、「理解すること」は、「漢文訓読」ならぬ、「論理式訓読に他ならない
平成29年09月02日、毛利太。

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