(01)
(30)~(45)で、示すものの、「結論」として、
① P→ Q
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
④ ~(~Q&P)
⑤ ~P∨ Q
⑥ Q∨~P
といふ「論理式」に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
然るに、
(02)
任意の表述の否定は、その表述を’~( )’という空所にいれて書くことにしよう。しかし、丸括弧はその内部の表述が連言でないかぎり削除しよう。
(W.O.クワイン著、杖下隆英訳、現代論理学入門、1972年、15頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
「括弧」は、その内部の表述が「連言」でなくとも「削除」しない場合は、
① P→ Q
② ~(Q)→~(P)
③ ~〔P&~(Q)〕
④ ~〔~(Q)&P〕
⑤ ~(P)∨ Q
⑥ Q∨~(P)
に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
然るに、
(04)
和文の否定は文の最後尾につきます。「・・・ではない」という形式です。すると、直前の語を否定しているのか、文全体を否定しているのか、別の語や句読点を補わない限り区別がつかなくなります。
(新井紀子、数学は言葉、2009年、123頁)
従って、
(03)(04)により、
(05)
① P→ Q
② ~(Q)→~(P)
③ ~〔P&~(Q)〕
④ ~〔~(Q)&P〕
⑤ ~(P)∨ Q
⑥ Q∨~(P)
といふ「論理式」を、「日本語の語順」に「直す」ならば、
① P→ Q
② (Q)~→(P)~
③ 〔P&~(Q)〕~
④ 〔(Q)~&P〕~
⑤ (P)~∨ Q
⑥ Q∨(P)~
といふ、「語順」になる。
然るに、
(06)
① P→ Q
② (Q)~→(P)~
③ 〔P&~(Q)〕~
④ 〔(Q)~&P〕~
⑤ (P)~∨ Q
⑥ Q∨(P)~
といふ「論理式」を、「日本語」に「置き換へ」るならば、
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
といふ、「それ」になる。
然るに、
(07)
① P→ Q
② ~レQ→~レP
③ ~二P&~一レQ
④ ~二~レQ&P一
⑤ ~レP∨ Q
⑥ Q∨~レP
といふ「それ」を、「返り点」に従って、「訓読」すると、
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
といふ、「訓読」となる。
従って、
(05)~(07)により、
(08)
① P→ Q
② ~(Q)→~(P)
③ ~〔P&~(Q)〕
④ ~〔~(Q)&P〕
⑤ ~(P)∨ Q
⑥ Q∨~(P)
に於ける、
①
② ( ) ( )
③ 〔 ( )〕
④ 〔 ( ) 〕
⑤ ( )
⑥ ( )
といふ「括弧」は、
① P→ Q
② ~レQ→~レP
③ ~二P&~一レQ
④ ~二~レQ&P一
⑤ ~レP∨ Q
⑥ Q∨~レP
に於ける、
①
② レ レ
③ 二 一レ
④ 二 レ 一
⑤ レ
⑥ レ
といふ「返り点」に、「相当」する。
従って、
(05)~(08)により、
(09)
① P→ Q
② ~(Q)→~(P)
③ ~〔P&~(Q)〕
④ ~〔~(Q)&P〕
⑤ ~(P)∨ Q
⑥ Q∨~(P)
といふ「論理式」を、
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
といふ風に、「理解すること」は、「漢文訓読」ならぬ、「論理式訓読」に他ならない。
従って、
(01)(03)(09)により、
(10)
① P→ Q
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
⑤ ~P∨ Q
⑥ Q∨~P
といふ「論理式」に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥
である以上、
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
に於いても、
①=②=③=④=⑤=⑥
でなければ、ならない。
然るに、
(11)
① PであるならばQである。
といふ「言ひ方」は、
① Pである場合は、Qである場合に、「含まれる」。
といふ風に、「解する」ことが、出来る。
然るに、
(12)
① PであるならばQである。
② PはQに含まれる。
③ Q以内にPは在る。
④ Q以外にPは無い。
⑤ QだけがPである。
⑥ QでないならばPでない。
(13)
⑥ QでないならばPでない。
⑤ QだけがPである。
④ Q以外にPは無い。
③ Q以内にPは在る。
② PはQに含まれる。
① PであるならばQである。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
に於いて、
①=② である。
cf.
対偶(Contraposition)。
然るに、
(15)
① PであるならばQである。
といふことは、
③ PであってQでない。といふことはない。
といふことに、他ならない。
(16)
② QでないならばPでない。
といふことは、
④ QでなくてPである。といふことはない。
といふことに、他ならない。
従って、
(14)(15)(16)により、
(17)
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(18)
⑤ Pでない。でない。
といふことは、
⑤ Pである。
といふ、ことである。
cf.
二重否定(double negation)。
然るに、
(19)
⑤ Pでないか、Qである。
⑤ Pでない。でない。
であれば、
⑤ Qである。
従って、
(18)(19)により、
(20)
⑤ Pでないか、Qである。
⑤ Pである。
であれば、
⑤ Qである。
然るに、
(21)
① Pであるならば、Qである。
① Pである。
であれば、
① Qである。
従って、
(20)(21)により、
(22)
① PであるならばQである。Pである。故に、Qである。
⑤ Pでないか、 Qである。Pである。故に、Qである。
然るに、
(23)
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
に於いて、明らかに。
⑤=⑥ である。
cf.
交換法則(Commutative law)。
然るに、
(24)
⑥ Qであるか、Pでない。
⑥ Qでない。
であれば、
⑥ Pでない。
然るに、
(25)
② QでないならばPでない。
② Qでない。
であれば、
② Pでない。
従って、
(24)(25)により、
(26)
② QでないならばPでない。Qでない。故に、Pでない。
⑥ Qであるか、 Pでない。Qでない。故に、Pでない。
従って、
(14)(22)(26)により、
(27)
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(17)(27)により、
(28)
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
に於いても、
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
然るに、
(29)
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
といふ「日本語」は、
① P→ Q
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
④ ~(~Q&P)
⑤ ~P∨ Q
⑥ Q∨~P
といふ「論理式」に、「相当」する。
然るに、
(30)
1 (1)P→Q A
2 (2) ~Q A
3 (3)P A
13 (4) Q 13MPP
123(5)~Q&Q 24&I
12 (6)~P 35RAA
1 (7)~Q→~P 26CP
(8)(P→Q)→(~Q→~P) 17CP
(31)
1 (1)~Q→~P A
2 (2) P A
3 (3)~Q A
13 (4)~P 13MPP
123(5)~P&P 24&I
12 (6)~~Q 35RAA
12 (7) Q 6DN
1 (8) P→Q 27CP
(9)(~Q→~P)→(P→Q) 18CP
従って、
(30)(31)により、
(32)
① P→ Q
② ~Q→~P
に於いて、
①=② である。
然るに、
(33)
1 (1) ~Q→~P A
2 (2) P&~Q A
2 (3) ~Q 2&E
12(4) ~P 13MPP
2 (5) P 2&E
12(6) P&~P 45&I
1 (7)~(P&~Q) 26RAA
(8)(~Q→~P)→ ~(P&~Q) 17CP
(34)
1 (1)~(P&~Q) A
2 (2) ~Q A
3 (3) P A
23 (4) P&~Q 23&I
123(5)~(P&~Q)&(P&~Q) 14&I
12 (6) ~P 35RAA
1 (7) ~Q→~P 26CP
(8)~(P&~Q)→ ~Q→~P 17CP
従って、
(33)(34)により、
(35)
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(36)
1 (1)~(P&~Q) A
2 (2) ~Q& P A
2 (3) P 2&E
2 (4) ~Q 2&E
2 (5) P&~Q 34&I
12(6)~(P&~Q)&(P&~Q) 15&I
1 (7)~(~Q&P) 26RAA
(8)~(P&~Q)→ ~(~Q&P) 17CP
(37)
1 (1)~(~Q&P) A
2 (2) P&~Q A
2 (3) ~Q 2&E
2 (4) P 2&E
2 (5) ~Q&P 34&I
12(6)~(~Q&P)&(~Q&P) 15&I
1 (7)~(P&~Q) 26RR
(8)~(~Q&P)→ ~(P&~Q) 17CP
従って、
(36)(37)により、
(38)
③ ~(P&~Q)
④ ~(~Q&P)
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(39)
1 (1) ~(~Q&P) A
2 (2) ~(~P∨Q) A
3 (3) ~P A
3 (4) ~P∨Q 3VI
23(5) ~(~P∨Q)&(~P∨Q) 24&I
2 (6) ~~P 35RAA
2 (7) P 6DN
8 (8) Q A
8 (9) ~P∨Q 8VI
28(ア) ~(~P∨Q)&(~P∨Q) 29&I
2 (イ) ~Q 8アRAA
2 (ウ) ~Q&P 7イ&I
12(エ) ~(~Q&P)&(~Q&P) 1ウ&I
1 (オ)~~(~P∨Q) 2エRAA
1 (カ) (~P∨Q) オDN
(キ)~(~Q&P)→(~P∨Q) 1カCP
(40)
1 (1) ~P∨Q A
2 (2) ~Q&P A
3 (3) ~P A
2 (4) P 2&E
23(5) ~P&P 34&I
3(6)~(~Q&P) 25RAA
7 (7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
27(9) ~Q&Q 78&I
7(ア)~(~Q&P) 29RAA
1 (イ)~(~Q&P) 1367アVE
(ウ)(~P∨Q)→ ~(~Q&P) 1イ
従って、
(39)(40)により、
(41)
④ ~(~Q&P)
⑤ ~P∨Q
に於いて、
④=⑤ である。
然るに、
(42)
1(1)~P∨Q A
2(2)~P A
2(3)Q∨~P 2VI
4(4) Q A
4(5)Q∨~P 2VI
1(6)Q∨~P 12345VE
(7)(~P∨Q)→(Q∨~P) 16CP
(43)
1(1)Q∨~P A
2(2) ~P A
2(3)~P∨Q 2VI
4(4)Q A
4(5)~P∨Q 4VI
1(6)~P∨Q 12345VE
(7)(Q∨~P)→(~P∨Q) 16CP
従って、
(42)(43)により、
(44)
⑤ ~P∨ Q
⑥ Q∨~P
に於いて、
⑤=⑥ である。
従って、
(32)(35)(38)(41)(44)により、
(45)
① P→ Q
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
④ ~(~Q&P)
⑤ ~P∨ Q
⑥ Q∨~P
に於いて、
①=②
②=③
③=④
④=⑤
⑤=⑥
であるが故に、
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
従って、
(28)(45)により、
(46)
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
に於いても、
①=②=③=④=⑤=⑥ であって、尚且つ、
① P→ Q
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
④ ~(~Q&P)
⑤ ~P∨ Q
⑥ Q∨~P
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
然るに、
(47)
① P→Q
といふ「論理式」は、
① Pならば、 Qである。
① PであるならばQである。
といふ「日本語」に、「相当」する。
従って、
(46)(47)により、
(48)
① P→ Q
② ~Q→~P
③ ~(P&~Q)
④ ~(~Q&P)
⑤ ~P∨ Q
⑥ Q∨~P
といふ「論理式」は、
① PであるならばQである。
② QでないならばPでない。
③ PであってQでない。といふことはない。
④ QでなくてPである。といふことはない。
⑤ Pでないか、Qである。
⑥ Qであるか、Pでない。
といふ「日本語」に、「相当」する。
然るに、
(49)
③ ~(P&~Q)
といふ「論理式」は、例へば、
③ 無(夕而不飲)
といふ「漢文」に、「相当」し、
③ 無(夕而不飲)
といふ「漢文」の「訓読」は、
③ 夕べとして飲まざるは無し。
であって、
③ 夕べとして飲まざるは無し。
といふ「訓読」は、
③ 夕べであって飲まない。といふことはない。
といふ、「意味」である。
従って、
(48)(49)により、
(50)
③ ~(P&~Q)
といふ「論理式」は、
③ PであってQでない。といふことはない。
といふ「意味」であって、尚且つ、
③ 無(夕而不飲)
といふ「漢文」は、
③ 夕べであって飲まない。といふことはない。
といふ、「意味」である。
従って、
(50)により、
(51)
③ ~(P&~Q)
といふ「論理式」を、
③ PであってQでない。といふことはない。
といふ風に、「理解すること」は、「漢文訓読」ならぬ、「論理式訓読」に他ならない。
平成29年09月02日、毛利太。
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