(01)
① 無人 ⇔ 人、 なし。
② 不立 ⇔ 立た、ない。
に於いて、「左辺」の、
① 無人
② 不立
は、「漢文の語順」であって、
① 無人 ⇔ 人、 なし。
② 不立 ⇔ 立た、ない。
に於いて、「右辺」の、
① 人、 なし。
② 立た、ない。
は、「日本語の語順」である。
従って、
(01)により、
(02)
① 無# ⇔ #無
② 不# ⇔ #不
に於いて、「左辺」は、「漢文の語順」であって、「右辺」は、「日本語の語順」である。
従って、
(03)
① 無(人)不(立)
に於いて、
① 無( )⇒( )無
① 不( )⇒( )不
といふ「移動」を行ふと、
① 無(人)不(立)⇒
① (人)無(立)不=
① (人)無くんば(立た)ず。
といふ「日本語の語順」が、成立し、
(04)
② 無〔人不(立)〕
に於いて、
② 無〔 〕⇒〔 〕無
② 不( )⇒( )不
といふ「移動」を行ふと、
② 無〔人不(立)〕⇒
② 〔人(立)不〕無=
② 〔人にして(立た)不るは〕無し。
といふ「日本語の語順」が、成立する。
然るに、
(05)
例へば、
③ 無信不立。
④ 無物不長。
といふ「漢文」は、それぞれ、
③ 信無くんば立たず(論語、顔淵)。
④ 物として長ぜざるは無し(孟子、告子上)。
といふ風に、「訓読」される。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
③ 無(信)不(立)。
④ 無〔物不(長)〕。
である所の。
③ 無信不立。
④ 無物不長。
といふ「漢文」が、
③ (信)無くんば(立た)ず。
④ 〔物として(長ぜ)ざるは〕無し。
といふ風に、「訓読」されるやうに、
① 無(人)不(立)。
② 無〔人不(立)〕。
である所の、
① 無人不立。
② 無人不立。
といふ「漢文」も、
① (人)無くんば(立た)ず。
② 〔人にして(立た)不るは〕無し。
といふ風に、「訓読」される。
然るに、
(07)
① 無(人)不(立)
② 無〔人不(立)〕
といふ「それ」は、
① 無(人)→ 不(立)
② 無〔人&不(立)〕
といふ風に、「書くこと」が、出来る。
然るに、
(08)
【無】[意味]② 否定詞として、あとに続く語を打ち消す。
(旺文社、高校基礎漢和辞典、1984年、514頁)
然るに、
(09)
任意の表述の否定は、その表述を’~( )’という空所にいれて書くことにしよう。
(W.O.クワイン著、杖下隆英訳、現代論理学入門、1972年、15頁)
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
① 無(人)不(立)
② 無〔人不(立)〕
といふ「漢文」は、
① ~(人)→ ~(立)
② ~〔人&~(立)〕
といふ風に、「書くこと」が、出来る。
然るに、
(11)
1 (1)~〔人&~(立)〕 A
2 (2) ~(立) A
3 (3) 人 A
23 (4) 人&~(立) 23&I
123(5)~〔人&~(立)〕&〔人&~(立)〕 14&I
12 (6)~(人) 35RAA
1 (7)~(立)→ ~(人) 26CP
(8)~〔人&~(立)〕→ ~(立)→ ~(人) 17CP
(12)
1 (1)~(立)→ ~(人) A
2 (2) 人 & ~(立) A
2 (3) ~(立) 2&E
12(4) ~(人) 13MPP
2 (5) 人 2&E
12(6) 人&~(人) 45&I
1 (7)~〔人&~(立)〕 26RAA
(8)~(立)→ ~(人)→ ~〔人&~(立)〕 17CP
従って、
(11)(12)により、
(13)
② ~〔人&~(立)〕
といふ「論理式」は、
② ~(立)→ ~(人)
といふ「論理式」に「等しい」。
従って、
(14)
① 無(人)不(立)。
② 無〔人不(立)〕。
といふ「漢文」は、
① ~(人)→ ~(立)
② ~(立)→ ~(人)
といふ風に、「書くこと」が、出来る。
然るに、
(15)
① ~(人)→ ~(立)
② ~(立)→ ~(人)
に於いて、
① は、② の「逆」であり、
② は、① の「逆」であって、
尚且つ、「逆」は、必ずしも、「真」でない。
従って、
(15)により、
(16)
① ~(人)→ ~(立)
② ~(立)→ ~(人)
に於いて、
①=② ではない。
従って、
(14)(16)により、
(17)
① 無(人)不(立)。
② 無〔人不(立)〕。
に於いて、
①=② ではない。
従って、
(06)(17)により、
(18)
① 人無くんば立たず。
② 人にして立たざるは無し。
に於いて、
①=② ではない。
然るに、
(19)
このように、否定形や反語形のときは、その否定語がどこまでかかっているかという「管到(スコープ)」をみきわねばならない。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年、327頁改)
然るに、
(20)
括弧は、論理演算子のスコープ(scope)を明示する働きを持つ。スコープは、論理演算子の働きが及ぶ範囲のことをいう。
(産業図書、数理言語学辞典、2013年、四七頁:命題論理、今仁生美)
従って、
(06)(18)(19)(20)により、
(21)
① 無人不立。
に於ける、
① 無 の「管到(スコープ)」が、
① (人)であって、
① 不 の「管到(スコープ)」が、
① (立)であるならば、その時に限って、
① 人無くんば立たず。
といふ風に、「訓読」され、
② 無人不立。
に於ける、
② 無 の「管到(スコープ)」が、
② 〔人不立〕であって、
② 不 の「管到(スコープ)」が、
② (立)であるならば、その時に限って、
② 人にして立たざるは無し。
といふ風に、「訓読」される。
従って、
(21)により、
(22)
③ 無信不立(論語、顔淵)。
に於ける、
③ 無 の「管到(スコープ)」が、
③ (信)であって、
③ 不 の「管到(スコープ)」が、
③ (立)であるならば、その時に限って、
③ 信無くんば立たず。
といふ風に、「訓読」され、
④ 無物不長(孟子、告子上)。
に於ける、
④ 無 の「管到(スコープ)」が、
④ 〔物不長〕であって、
④ 不 の「管到(スコープ)」が、
④ (立)であるならば、その時に限って、
④ 物として長ぜざるは無し。
といふ風に、「訓読」される。
然るに、
(23)
③ 古より皆死有り、民 信無くんば立たず(三省堂、明解古典シリーズ16、1973年、142頁)。
④ 故に苟しくも其の養ひを得れば、物として長ぜざるは無し(三省堂、明解古典シリーズ16、1973年、274頁改)。
従って、
(22)(23)により、
(24)
③ 無信不立(論語、顔淵)。
④ 無物不長(孟子、告子上)。
といふ「漢文」には、
③ 無(信)不(立)。
④ 無〔物不(長)〕。
といふ「括弧」が、有ることになる。
従って、
(23)(24)により、
(25)
③ 無信不立。
④ 無物不長。
といふ「漢文」に、
③ 無(信)不(立)。
④ 無〔物不(長)〕。
といふ「括弧」が、無いならば、
③ 無信不立。
④ 無物不長。
といふ「漢文」に対する、
③ 信無くんば立たず。
④ 物として長ぜざるは無し。
といふ「訓読」は、成立しない。
従って、
(25)により、
(26)
③ 無信不立。
④ 無物不長。
といふ「漢文」に、
③ 無(信)不(立)。
④ 無〔物不(長)〕。
といふ「括弧」が、無いならば、
③ 無信不立。
④ 無物不長。
といふ「漢文」に対する、
③ 無レ信不レ立。
④ 無二物不一レ長。
といふ「返り点」も、成立しない。
平成29年09月04日、毛利太。
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