2018年11月15日木曜日

「象は鼻が長い。」と「述語論理」。

(a)『返り点と括弧』については、『「返り点」と「括弧」(略8)(https://kannbunn.blogspot.com/2018/09/blog-post_17.html)』他もお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
(c)「(11月14日)の記事」を補足します。比較的長文であるものの、取りあへず、(24)から読まれても、かまひません。
(d)「述語論理の技術」を知りたい方は「論理学初歩、E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年」をお読みください。
(01)
最初に、
(ⅰ)∀x{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅱ)∀x{~∃y(鼻yx&長y)→~象x}。
(ⅲ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅳ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}。
(ⅴ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅵ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃z(~鼻zx& 長z)}。
の「読み方(意味)」、すなはち、
(ⅰ)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長い}。
(ⅱ)すべてxについて{あるyがxの鼻であって、そのyが長くないならば、xは象ではない}。
(ⅲ)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
(ⅳ)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
(ⅴ)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない、といふわけではない}。
(ⅵ)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzはxの鼻でなく、尚且つ、zは長い}。
を確認します。
然るに、
(02)
(ⅰ)
1  (1)  ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)} A
1  (2)     象a→∃y(鼻ya&長y)  1UE
 3 (3)       ~∃y(鼻ya&長y)  A
  4(4)     象a             A
1 4(5)        ∃y(鼻ya&長y)  23MPP
134(6)       ~∃y(鼻ya&長y)&
              ∃y(鼻ya&長y)  35&I
1 4(7)    ~象a             46RAA
1  (5)   ~∃y(鼻ya&長y)→~象a  37CP
1  (6)∀x{~∃y(鼻yx&長y)→~象x} 5UI
(ⅱ)
1  (1)∀x{~∃y(鼻ya&長y)→~象a} A
1  (2)   ~∃y(鼻ya&長y)→~象a  1UI
 3 (3)                鼻a  A
  4(3)   ~∃y(鼻ya&長y)      A
1 4(5)               ~象a  23MPP
134(6)            鼻a&~象a  35&I
13 (7)  ~~∃y(鼻ya&長y)      46RAA
13 (8)    ∃y(鼻ya&長y)      7DN
1  (9)     象a→∃y(鼻ya&長y)  38CP
1  (ア)  ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)} 9UI
従って、
(02)により、
(03)
(ⅰ)∀x{ 象x→∃y(鼻yx& 長y)}。
(ⅱ)∀x{~∃y(鼻yx&長y)→~象x}。
といふ「対偶(Contraposition)」は「等しい」。
然るに、
(04)
「11月07日の記事」でも示した通り、
1     (1)象は鼻が長い。                        A
1     (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
1     (〃)すべてのxについて、xが象であるならば、有るyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。 A
 2    (2)兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。              A
 2    (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
 2    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、有るyはxの耳であって長く、すべてのzについて、zがxの耳ならば、zはxの鼻ではない。 A
  3   (3)有る兎は象である。                      A
  3   (〃)∃x(兎x&象x)                      A
  3   (〃)あるxは兎であって象である。                 A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  1UE
   6  (6)   兎a&象a                       A
   6  (7)   兎a                          6&E
   6  (8)      象a                       6&E
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
 2 6  (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  58MPP
1  6  (イ)      ∃y(鼻ya&長y)               9&E
 2 6  (ウ)      ∃y(耳ya&長y)               ア&E
    エ (エ)         鼻ba&長b                A
     オ(オ)         耳ba&長b                A
1  6  (カ)                 ∀z(~鼻za→~長z)  9&E
1  6  (キ)                    ~鼻ba→~長b   カUE
 2 6  (ク)                 ∀z(耳za→~鼻za)  ア&E
 2 6  (ケ)                    耳ba→~鼻ba   クUE
    オ (コ)                    耳ba        オ&E
 2 6オ (サ)                        ~鼻ba   ケコMPP
12 6オ (シ)                         ~長b   キサコMPP
    オ (ス)             長b                オ&E
12 6オ (セ)             長b&~長b            シス&I
12 6  (ソ)             長b&~長b            ウオセEE
123   (タ)             長b&~長b            36ソEE
12    (チ)~∃x(兎x&象x)                     3タRAA
12    (ツ)∀x~(兎x&象x)                     チ量化子の関係
12    (テ)  ~(兎a&象a)                     ツUE
12    (ト)  ~兎a∨~象a                      テ、ド・モルガンの法則
12    (ナ)   兎a→~象a                      ト含意の定義
12    (ニ)∀x(兎x→~象x)                     ナUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。   ナUI
12    (〃)兎は象ではない。                       ナUI
然るに、
(05)
(04)を「書き換へ」ると、
1      (1)象は鼻が長い。                        A
1      (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)} A
1      (〃)すべてxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない。
 2     (2)兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。              A
 2     (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
 2     (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、有るyはxの耳であって長く、すべてのzについて、zがxの耳ならば、zはxの鼻ではない。 A
  3    (3)有る兎は象である。                      A
  3    (〃)∃x(兎x&象x)                      A
  3    (〃)あるxは兎であって象である。                 A
1      (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)  1UE
 2     (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  1UE
   6   (6)   兎a&象a                       A
   6   (7)   兎a                          6&E
   6   (8)      象a                       6&E
1  6   (9)      ∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z)  47MPP
 2 6   (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  58MPP
1  6   (イ)      ∃y(鼻ya&長y)               9&E
 2 6   (ウ)      ∃y(耳ya&長y)               ア&E
    エ  (エ)         鼻ba&長b                A
     オ (オ)         耳ba&長b                A
1  6   (カ)                 ~∃z(~鼻za&長z)  9&E
      キ(キ)                     ~鼻ba&長b   A
      キ(ク)                  ∃z(~鼻za&長z)  キEI
1  6  キ(ケ)                 ~∃z(~鼻za&長z)&
                            ∃z(~鼻za&長z)  カキ&I
1  6   (コ)                   ~(~鼻ba&長b)  キケRAA
1  6   (サ)                   ~~鼻ba∨~長b   コ、ド・モルガンの法則
1  6   (シ)                    ~鼻ba→~長b   サ含意の定義
 2 6   (ス)                  ∀z(耳za→~鼻za) ア&E
 2 6   (セ)                     耳ba→~鼻ba  スUE
     オ (ソ)                     耳ba       オ&E
 2 6 オ (タ)                         ~鼻ba  セソMPP
12 6 オ (チ)                         ~長b   シタMPP
     オ (ツ)             長b                オ&E
12 6 オ (テ)             長b&~長b            チツ&I  
12 6   (ト)             長b&~長b            ウオテEE
123    (ナ)             長b&~長b            36トEE
12     (ニ)~∃x(兎x&象x)                     3タRAA
12     (ヌ)∀x~(兎x&象x)                     ニ量化子の関係
12     (ネ)  ~(兎a&象a)                     ヌUE
12     (ノ)  ~兎a∨~象a                      ノ、ド・モルガンの法則
12     (ハ)   兎a→~象a                      ネ含意の定義
12     (ヒ)∀x(兎x→~象x)                     ハUI
12     (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。   ハUI
12     (〃)兎は象ではない。                       ハUI
といふ風に、『結論』は、変はらない
従って、
(04)(05)により、
(06)
(ⅲ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅳ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
に於いて、
(ⅲ)=(ⅳ) であるはずである。
従って、
(06)により、
(07)
(ⅲ)                 ∀z(~鼻zx→~長z)
(ⅳ)                 ~∃z(~鼻zx&長z)
に於いて、
(ⅲ)=(ⅳ) でなければ、ならない。
然るに、
(08)
(ⅲ)
1  (1) ∀z(~鼻zx→ ~長z)  A
1  (2)    ~鼻bx→ ~長b   1UI
1  (3)   ~~鼻bx∨ ~長b   2含意の定義
1  (4)     鼻bx∨ ~長b   3DN
1  (5)  ~~(鼻bx∨ ~長b)  4DN
1  (6)  ~(~鼻bx&~~長b)  5ド・モルガンの法則
1  (7)  ~(~鼻bx&  長b)  6DN
 8 (8) ∃z(~鼻zx&  長z)  A
  9(9)    ~鼻bx&  長b   A
1 9(ア)  ~(~鼻bx&  長b)&
          ~鼻bx&  長b)  79&I
18 (イ)  ~(~鼻bx&  長b)&
         (~鼻bx&  長b)  89アEE
1  (ウ)~∃z(~鼻zx&  長z)  8イRAA
(ⅳ)
1  (1)~∃z(~鼻zx&  長z)  A
 2 (2)    ~鼻bx&  長b   A
 2 (3) ∃z(~鼻zx&  長z)  2EI
12 (4)~∃z(~鼻zx&  長z)&
       ∃z(~鼻zx&  長z)  13&I
1  (5)  ~(~鼻bx&  長b)  24RAA
1  (6)   ~~鼻bx∨ ~長b   5ド・モルガンの法則
1  (7)    ~鼻zx→ ~長z   6含意の定義
1  (8) ∀z(~鼻zx→ ~長z)  7UI
従って、
(08)により、
(09)
確かに、
(ⅲ)                                  ∀z(~鼻zx→~長z)
(ⅳ)                                  ~∃z(~鼻zx&長z)
に於いて、
(ⅲ)=(ⅳ) である。
従って、
(06)(09)により、
(10)
確かに、
(ⅲ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅳ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
に於いて、
(ⅲ)=(ⅳ) である。
然るに、
(11)
等しいモノ同士の、それぞれの否定は、互いに、等しい。
従って、
(09)(11)により、
(12)
(ⅴ)                                 ~∀z(~鼻zx→~長z)
(ⅳ)                                 ~~∃z(~鼻zx&長z)
に於いて
(ⅴ)=(ⅵ) である。
然るに、
(13)
「二重否定(DN)」により、
(ⅴ)                                 ~∀z(~鼻zx→~長z)
(ⅳ)                                   ∃z(~鼻zx&長z)
に於いて
(ⅴ)=(ⅵ) である。
従って、
(10)(13)により、
(14)
(ⅴ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅵ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&  ∃z(~鼻zx&長z)}。
に於いて、
(ⅴ)=(ⅵ) である。
従って、
(01)~(14)により
(15)
(ⅰ)∀x{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅱ)∀x{~∃y(鼻yx&長y)→~象x}。
(ⅲ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅳ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}。
(ⅴ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅵ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃z(~鼻zx& 長z)}。
に於いて、すなはち、
(ⅰ)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長い}。
(ⅱ)すべてxについて{あるyがxの鼻であって、そのyが長くないならば、xは象ではない}。
(ⅲ)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
(ⅳ)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzがxの鼻ではなく、尚且つ、zが長い。といふことはない}。
(ⅴ)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない、といふわけではない}。
(ⅵ)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzはxの鼻ではなく、尚且つ、zは長い}。
に於いて、
(ⅰ)=(ⅱ) であって、
(ⅲ)=(ⅳ) であって、
(ⅴ)=(ⅵ) である。
然るに、
(14)により、
(16)
(ⅰ)∀x{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅱ)∀x{~∃y(鼻yx&長y)→~象x}。
に関しては、すなはち、
(ⅰ)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長い}。
(ⅱ)すべてxについて{あるyがxの鼻であって、そのyが長くないならば、xは象ではない}。
に関しては、
(ⅰ)「象の鼻」以外については、「何も述べてゐない」。
然るに、
(17)
(ⅰ)象は鼻は長い。
(ⅲ)象は鼻が長い。
(ⅴ)象は鼻も長い。
に於いて、
(ⅰ)だけが、明らかに、「象の鼻」以外については、「何も述べてゐない」。
従って、
(16)(17)により、
(18)
(ⅰ)象は鼻は長い。
といふ「日本語」は、
(ⅰ)∀x{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅱ)∀x{~∃y(鼻yx&長y)→~象x}。
といふ「述語論理」に、対応する。
然るに、
(19)
マンモス (Mammoth) は哺乳綱長鼻目ゾウ科マンモス属 (Mammuthus) に属する種の総称である。現在は全種が絶滅している。現生のゾウの類縁だが、直接の祖先ではない。約400万年前から1万年前頃(絶滅時期は諸説ある)までの期間に生息していた。巨大な牙が特徴で、種類によっては牙の長さが5.2メートルに達することもある(ウィキペディア)。
従って、
(19)により、
(20)
(ⅴ)マンモス象は鼻だけでなく牙も長い。
(ⅴ)マンモス象は牙だけでなく鼻も長い。
従って、
(20)により、
(21)
(ⅴ)(マンモス)象は鼻も長い。
(ⅴ)(マンモス)象は牙も長い。
然るに、
(22)
(ⅴ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅵ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃z(~鼻zx& 長z)}。
であるならば、すなはち、
(ⅴ)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない、といふわけではない}。
(ⅵ)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzはxの鼻ではなく、尚且つ、zは長い}。
であるならば、
(ⅴ)象は鼻も長い。
といふことなる。
従って、
(22)により、
(23)
(ⅴ)象は鼻も長い。
といふ「日本語」は、
(ⅴ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅵ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃z(~鼻zx& 長z)}。
といふ「述語論理」に、対応する。
(24)
(ⅲ)象は鼻が長。⇔
(ⅲ)象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
であるといふ風に、「仮定」する。
然るに、
(25)
(ⅲ)象は鼻が長い。
に於いて、
(ⅲ)象 =タゴール記念会
(ⅲ)鼻 =私
(ⅲ)長い=理事長
といふ「代入」を行ふと、
(ⅲ)タゴール記念会は私が理事長です。
といふ「日本語」になる。
従って、
(24)(25)により、
(26)
(ⅲ)タゴール記念会は私が理事長です。⇔
(ⅲ)タゴール記念会は私が理事長です=∀x{タゴール記念会x→∃y(私yx&理事長y)&∀z(~私zx→~理事長z)}。
であるといふ風に、「仮定」する。
然るに、
(27)
(ⅲ)
1   (1)∀x{タゴール記念会x→∃y(私yx&理事長y)&∀z(~私zx→~理事長z)}  A
1   (2)   タゴール記念会a→∃y(私ya&理事長y)&∀z(~私za→~理事長z)   1UE
 2  (3)   タゴール記念会a                               A
12  (4)            ∃y(私ya&理事長y)&∀z(~私za→~理事長z)   23MPP
12  (5)            ∃y(私ya&理事長y)                  4&E
12  (6)                         ∀z(~私za→~理事長z    4&E
12  (7)                            ~私ca→~理事長c    6UI
  8 (8)                            ~私ca          A
   9(9)                                  理事長c    A
128 (ア)                                 ~理事長c    78MPP
1289(イ)                            理事長c&~理事長c    9ア&I   
12 9(ウ)                           ~~私ca          8イRAA
12 9(エ)                             私ca          ウDN
12  (オ)                             理事長c→ 私ca    9エCP
12  (カ)                         ∀z( 理事長z→ 私za)   オUI
12  (キ)            ∃y(私ya&理事長y)&∀z( 理事長z→ 私za)   5カ&I
1   (ク)   タゴール記念会a→∃y(私ya&理事長y)&∀z( 理事長z→ 私za)   3キCP
1   (ケ)∀x{タゴール記念会x→∃y(私yx&理事長y)&∀z( 理事長z→ 私zx)}  ケUI
1   (〃)すべてのxついて{xがタゴール記念会員であるならば、あるyはxの、すなはちタゴール記念会員の私であって、そのyは理事長であって、すべてのzについてzが理事長であるならば、zはxの、すなはちタゴール記念会員の私である}。
(ⅳ)
1   (1)∀x{タゴール記念会x→∃y(私yx&理事長y)&∀z( 理事長z→ 私zx)}  A
1   (2)   タゴール記念会a→∃y(私ya&理事長y)&∀z( 理事長z→ 私za)   1UE
 2  (3)   タゴール記念会a                               A
12  (4)            ∃y(私ya&理事長y)&∀z( 理事長z→ 私za)   23MPP
12  (5)            ∃y(私ya&理事長y)                  4&E
12  (6)                         ∀z( 理事長z→ 私za)   4&E
12  (7)                             理事長c→ 私ca    6UI     
  8 (8)                             理事長c         A
   9(9)                                  ~私ca    A
128 (ア)                                   私ca    78MPP
1289(イ)                             ~私ca&私ca     9ア&I
12 9(ウ)                            ~理事長c         8イRAA
12  (エ)                            ~私ca→~理事長c    9ウCP
12  (オ)                         ∀z(~私za→~理事長z)   エUI
12  (カ)            ∃y(私ya&理事長y)&∀z(~私za→~理事長z)   5オ&I
1   (キ)   タゴール記念会a→∃y(私ya&理事長y)&∀z(~私za→~理事長z)   3カCP
1   (ク)∀x{タゴール記念会x→∃y(私yx&理事長y)&∀z(~私zx→~理事長z)}。 キUI
1   (〃)すべてのxついて{xがタゴール記念会員であるならば、あるyはxの、すなはちタゴール記念会員の私であって、そのyは理事長であって、すべてのzについてzがxの、すなはちタゴール記念会員の私であるならば、zは理事長である}。
従って、
(26)(27)により、
(28)
(ⅲ)タゴール記念会は私が理事長です。⇔
(ⅲ)タゴール記念会は私が理事長です=∀x{タゴール記念会x→∃y(私yx&理事長y)&∀z(~私zx→~理事長z)}。
であるといふ風に、「仮定」すると、
(ⅳ)タゴール記念会は理事長は私です。⇔
(ⅳ)タゴール記念会は理事長は私です=∀x{タゴール記念会x→∃y(私yx&理事長y)&∀z( 理事長z→ 私zx)}。
に於いて、
(ⅲ)=(ⅳ) である。
然るに、
(29)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え
 理事長、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念館は、私が理事です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念館」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(29)により、
(30)
これは主辞「タゴール記念館」を品評するという心持ちの文である。
か、どうかは別にして、いづれにせよ、
(ⅲ)私理事長です。
(ⅳ)理事長は私です。
ではなく
(ⅲ)私理事長です。
(ⅳ)理事長は私です。
に於いて、
(ⅲ)=(ⅳ) である。
といふことが、「よく知られていて」、
(ⅳ)理事長は私です。
といふことは、
(ⅲ)私以外は理事長ではない
といふことに、他ならない。
然るに、
(31)
(ⅲ)私以外は理事長ではない
といふことは、
(ⅲ)∀z(私zx→理事長z)}。
(ⅲ)すべてのzについて、zが私でないならば、zは理事長ではない
といふことに、他ならない。
従って、
(28)(30)(31)により、
(32)
(ⅲ)私理事長です。
(ⅳ)理事長は私です。
ではなく
(ⅲ)私理事長です。
(ⅳ)理事長は私です。
といふ「対偶(Contraposition)」は、
(ⅲ)∀z(~私zx→~理事長z)}。
(ⅳ)∀z( 理事長z→ 私zx)}。
といふ「述語論理」に、対応し、
(ⅲ)=(ⅳ) である。
従って、
(28)(32)により、
(33)
(ⅲ)タゴール記念会は私が理事長です。
といふ「日本語」は、
(ⅲ)∀x{タゴール記念会x→∃y(私yx&理事長y)&∀z(~私zx→~理事長z)}。
(ⅳ)∀x{タゴール記念会x→∃y(私yx&理事長y)&∀z( 理事長z→ 私zx)}。
といふ「述語論理」に、対応する。
従って、
(01)(10)(25)(33)により、
(34)
(ⅲ)象は鼻が長い。
といふ「日本語」は、
(ⅲ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅳ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
に加へて、
(ⅶ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z( 長z→ 鼻zx)}。
といふ「述語論理」に、対応する。
従って、
(18)(23)(34)により、
(35)
(β)象は鼻は長い。
(γ)象は鼻が長い。
(δ)象は鼻も長い。
といふ「日本語」は、
(β)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
(γ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(δ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「述語論理」に、対応する。
然るに、
(36)
(α)象は動物である。
といふ「日本語」は、
(α)∀x{象x→動物x}。
といふ「述語論理」に、対応する。
従って、
(35)(36)により、
(37)
(α)象は動物である。
(β)象は鼻は長い。
(γ)象は鼻が長い。
(δ)象は鼻も長い。
といふ「日本語」は、
(α)∀x{象x→動物x}。
(β)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
(γ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(δ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「述語論理」に、対応する。
然るに、
(38)
(α)∀x{象x→P}。
に於いて、
(α)P=動物x
であるならば、
(α)∀x{象x→動物x}。
である。
(39)
(γ)∀x{象x→P}。
に於いて、
(γ)P=∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)
であるならば、
(γ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
である。
従って、
(37)(38)(39)により、
(40)
(α)象は動物である。
(β)象は鼻は長い。
(γ)象は鼻が長い。
(δ)象は鼻も長い。
といふ「日本語」は、「述語論理」といふ「観点」からすると、四つとも、
(α)∀x{象x→P}。
(β)∀x{象x→P}。
(γ)∀x{象x→P}。
(δ)∀x{象x→P}。
といふ「形」をしてゐる。
cf.
∀x{Fx→P}における普遍量記号は{Fx→P}の全表現に作用を及ぼす。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、161頁改)
従って、
(41)
(ε)∀x{象x→P}。
といふ「日本語」の、Pの中に、「所謂、主語が、n個ある」ならば、
(ε)∀x{象x→P}。
といふ「日本語」の中には、「(1+n)個の主語」があることになる。
然るに、
(43)
(9)この手紙は誰が書いたの?
(10)さっきここにあったリンゴは太郎が食べた。
(11)カキ料理は広島が本場だ。
(12)象は鼻が長い。
には主語が2つあることになりますが、こうしたごく普通の文において一意的に定められないとすると、「主語」という概念はどれだけ有効なのかという疑問が生まれてきます(庵功雄、新しい日本語学入門、2001年、85頁改)との、ことである。
平成30年11月15日、毛利太。
          

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