(a)『返り点と括弧』については、『「返り点」と「括弧」(略8)(https://kannbunn.blogspot.com/2018/09/blog-post_17.html)』他もお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
(01)
{象、兎、麒麟}であれば、
{鼻は象が長い。}
{耳は兎が長い。}
{首は麒麟が長い。}
然るに、
(02)
{鼻は象が長く、耳は兎が長く、首は麒麟が長い。}のであれば、
{鼻は象が長い(象以外の鼻は長くない)。}
{耳は兎が長い(兎以外の耳は長くない)。}
{首は麒麟が長い(麒麟以外の首は長くない)。}
従って、
(01)(02)により、
(03)
(Ⅰ)鼻は象が長い。
(〃)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
(〃)すべてのxについて{あるyが象ではなく、xがyの鼻であるならば、xは長くない}。
といふ風に、解することが出来る。
然るに、
(04)
(Ⅱ)兎は象ではない。
(〃)∀y{兎y→~象y}。
(〃)すべてのyについて、yが兎であるならば、yは象ではない。
然るに、
(05)
For something to to be a head of a horse there must be some horse of which it is the head;
in symbols,ais a head of a horse if and only if ∃y(Fy&Hay)
(Beginning Logic by E.J. Lemmon,1965年、131頁).
従って、
(05)により、
(06)
あるものが馬の頭であるためには、それがその馬の頭であるような馬が存在しなければならない。
記号で書くと、aは∃y(馬y&頭ay)であるときまたそのときに限って、馬の頭である。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、Ⅰ67頁改)
従って、
(05)(06)により、
(07)
馬の頭に限らず、
兎の鼻であっても、
あるものが兎の鼻であるためには、それがその兎の鼻であるような兎が存在しなければならない。
記号で書くと、aは∃y(兎y&鼻ay)であるときまたそのときに限って、兎の鼻である。
従って、
(07)により、
(08)
(Ⅲ)∃y(兎y&鼻ay)。
(〃)あるyは兎であって、aはyの鼻である。
であるときまたそのときに限って、aは兎の鼻である。
従って、
(03)(04)(08)により、
(09)
(Ⅰ)鼻は象が長い。
(Ⅱ)兎は象ではない。
(Ⅲ)あるyは兎であって、aはyの鼻である。
といふ「仮定」は、
(Ⅰ)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
(Ⅱ)∀y{兎y→~象y}。
(Ⅲ)∃y(兎y&鼻ay)。
といふ「述語論理」に、対応する。
然るに、
(10)
Ⅰ (Ⅰ)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x} A
Ⅱ (Ⅱ)∀y{兎y→~象y} A
Ⅲ (Ⅲ)∃y(兎y&鼻ay) A
Ⅰ (4) ∃y(~象y&鼻ay)→~長a ⅠUE
Ⅱ (5) 兎b→~象b ⅡUE
6(6) 兎b&鼻ab A
6(7) 兎b 6&E
ⅠⅡ 6(8) ~象b 57MPP
6(9) 鼻ab 7&E
ⅠⅡ 6(ア) ~象b&鼻αb 89&I
ⅠⅡ 6(イ) ∃y(~象y&鼻ay) アEI
ⅠⅡⅢ (ウ) ∃y(~象y&鼻ay) Ⅲ6イEE
ⅠⅡⅢ (エ) ~長a 4ウMPP
ⅠⅡ (オ) ∃y( 兎y&鼻ay)→~長a ⅢエCP
ⅠⅡ (カ)∀x{∃y( 兎y&鼻xy)→~長x} オUI
ⅠⅡ (〃)すべてのxについて、あるyが兎であって、xがyの鼻であるならば、xは長くない。
ⅠⅡ (〃)兎の鼻は長くない。
従って、
(09)(10)により、
(11)
(Ⅰ)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。然るに、
(Ⅱ)∀y{兎y→~象y}。故に、
(Ⅲ)∀x{∃y( 兎y&鼻xy)→~長x}。
といふ「推論(三段論法)」が、すなはち、
(Ⅰ)鼻は象が長い。然るに、
(Ⅱ)兎は象ではない。故に、
(Ⅲ)兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」が、成立する。
従って、
(11)により、
(12)
(Ⅰ)鼻は象が長い。然るに、
(Ⅱ)兎は象ではない。故に、
(Ⅲ)兎の鼻は長くない。
といふ、「日本語」による「推論(三段論法)」が、「妥当(valid)」である以上、
(Ⅰ)鼻は象が長い=∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
(Ⅰ)鼻は象が長い=すべてのxについて{あるyが象ではなく、xがyの鼻であるならば、xは長くない}。
といふ「等式」を、「否定」することは、出来ない。
然るに、
(13)
(Ⅰ)鼻は象が長い=∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
(Ⅰ)鼻は象が長い=すべてのxについて{あるyが象ではなく、xがyの鼻であるならば、xは長くない}。
といふことは、
(Ⅰ)鼻は象が長い=象以外の鼻は長くはない。
といふことに、他ならない。
然るに、
(14)
{象、兎、麒麟}であれば、確かに、
{象の鼻は長く、兎の鼻は長くなく、麒麟の鼻は長くない。}
従って、
(13)(14)により、
(15)
(Ⅰ)鼻は象が長い=象以外の鼻は長くはない。
(〃)鼻は象が長い=∀x{∃y(~象y&鼻xy)∀x→~長x}。
(〃)鼻は象が長い=すべてのxについて{あるyが象ではなく、xがyの鼻であるならば、xは長くない}。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(15)により、
(16)
(Ⅰ)鼻は象が長い=象以外の鼻は長くはない。
(〃)鼻は象が長い=∀x{∃y(鼻xy&~象y)→~長x}。
(〃)鼻は象が長い=すべてのxについて{xが、象ではないあるyの鼻であるならば、xは長くない}。
然るに、
(17)
これまでに、何度も説明した通り。
(Ⅱ)象は鼻が長い=象は、鼻は長く、鼻以外は長くない。
(〃)象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)象は鼻が長い=すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならばzは長くない}。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(17)により、
(18)
(Ⅱ)象は
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、
であり、それ故、
(Ⅱ)象は
(〃)象である所のすべてのxについて、
である。
従って、
(19)
(Ⅱ)象は・・・・・・・。
(〃)象である所のすべてのxについて、・・・・・・・。
である。
従って、
(20)
(Ⅱ)象である所のすべてのxについて、・・・・・・・。
に於いて、
(Ⅱ)象が「主題」であるならば、
(〃)象は・・・・・・・。
に於いても、
(Ⅱ)象が「主題」であるに、違ひない。
然るに、
(21)
三上章は『象は鼻が長い』という本を書いて、日本語には主語がないと主張しました。「象は鼻が長い」という文の「象は」というのは主語ではなく、主題なのだという主張でした。助詞「は」がつく語は主題になります。「は」は文の区切りになるようです。「象は鼻が長い」の「象は」という主題は、「象についていうと」という意味になります。「象は」のあとに主題についての解説が続くというのが、この文の構造のようです(投稿日: 2017年2月8日 作成者: 丸山有彦)。
従って、
(20)(21)により、
(22)
「象は鼻が長い」の「象は」という「主題」は、「象についていうと」という意味になります。
といふのであれば、
「象は鼻が長い」の「象は」という「主題」である。
といふ「言ひ方」も、分からないでもない。
しかしながら、
(23)
「主題」であることと、「主語」であることが、「矛盾」する。
といふことを、示さない限り、
(Ⅱ)象は鼻が長い=象は鼻以外は長くない。
(〃)象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)象は鼻が長い=すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならばzは長くない}。
に於ける、
(Ⅱ)象は
が、「主語」でない。といふことには、ならない。
然るに、
(24)
そのためには、「主語」とは「何か」といふことを、「定義」しなければ、ならない。
然るに、
(25)
ラテン語には、「英語のやうな、主語」はない。
従って、
(26)
「英語のやうな、言語」に於ける、「主語」だけを「主語」とするならば、「ラテン語のやうな、言語」には、「主語」がない。
然るに、
(27)
日本語にも、「英語のやうな、主語」はない。
従って、
(28)
「英語のやうな、言語」に於ける、「主語」だけを「主語」とするならば、「ラテン語や、日本語のやうな、言語」には、「主語」がない。
といふ、ことになる。
平成30年11月23日、毛利太。
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