2018年12月1日土曜日

「象が鼻は長い。」と「鼻は象が長い。」と「述語論理」。

(a)『返り点と括弧』については、『「返り点」と「括弧」(略8)(https://kannbunn.blogspot.com/2018/09/blog-post_17.html)』他もお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
(01)
(a)
1    (1)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}  A
1    (2)   ∃y(~象y&鼻ay)→~長a   1UE
 3   (3)      ~象b&鼻ab →~長a   A
  4  (4)   ∃y( 鼻ay&長a)       A
   5 (5)       鼻ab&長a        A
   5 (6)           長a        5&E
   5 (7)         ~~長a        6DN
 3 5 (8)    ~(~象b&鼻ab)       37MTT
 3 5 (9)    ~~象b∨~鼻ab        8ド・モルガンの法則
 3 5 (ア)     ~象b→~鼻ab        9含意の定義
    イ(イ)     ~象b             A
 3 5イ(ウ)         ~鼻ab        アイMPP
   5 (エ)       鼻ab           5&E
 3 5イ(オ)     ~鼻ab&鼻ab        ウエ&I
 34 イ(カ)     ~鼻ab&鼻ab        45オEE
 3  イ(キ)  ~∃y( 鼻ay&長a)       4カRAA
 3   (ク)  ~∃x( 鼻bx&長b)       キ(変数は前後参照のための方便に過ぎないため。)
然るに、
(02)
 3   (ク)  ~∃x( 鼻bx&長b)       キ(変数は前後参照のための方便に過ぎないため。)
といふ「結果」を受けての「計算」は、おそらくは、「無理」である。
然るに、
(03)
(b)
1  (1)∀x{~象x→~∃y(鼻yx& 長y)} A
1  (2)   ~象a→~∃y(鼻ya& 長y)  A
 3 (3)∃x(~象x&鼻bx)          A
  4(4)   ~象a&鼻ba           A
  4(5)   ~象a               4&E
1 4(6)       ~∃y(鼻ya& 長y)  25MPP
1 4(7)       ∀y~(鼻ya& 長y)  6量化子の関係
1 4(8)         ~(鼻ba& 長b)  7UE
1 4(9)          ~鼻ba∨~長b   8ド・モルガンの法則 
1 4(ア)           鼻ba→~長b   9含意の定義
  4(イ)           鼻ba       4&E
1 4(ウ)               ~長b   アイMPP
13 (エ)               ~長b   34ウEE
1  (オ)   ∃x(~象x&鼻bx)→~長b   3エCP
1  (カ)∀y{∃x(~象x&鼻yx)→~長y}  オUI
1  (〃)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}  オUI(変数は前後参照のための方便に過ぎないため。)
cf.
1 (1)∀x∃yFxy A
1 (2)  ∃yFay 1UE
 3(3)    Fab A
 3(4)  ∃xFxb 3EI
1 (5)  ∃xFxb 234EE
1 (6)∀y∃xFxy 5UI(変数は前後参照のための方便に過ぎないため。)
といふ「計算」自体は、セーフです。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
(a)鼻は象が長い=∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
(b)象が鼻は長い=∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
に於いて、すなはち、
(a)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}=いかなるxであっても{xがある象ではないyの鼻ならば、xは長くない}。
(b)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}=いかなるxであっても{xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、そのyが長い、といふことはない}。
に於いて、
(a)=(b) であることを「証明」することは、「ムズカシイ」か、「ムリ」である。
しかしながら、
(05)
次の「二つの推論」自体は、「妥当(Valid)」です。
(a)
Ⅰ   (Ⅰ)鼻は象が長い。 A
Ⅰ   (〃)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x} A
Ⅰ   (〃)いかなるxであっても{xが、ある象ではないyの鼻であるならば、xは長くない}。 A
 Ⅱ  (Ⅱ)∀y{兎y→~象y}          A
  3 (3)∃y(兎y&鼻ay)          A
Ⅰ   (4)   ∃y(~象y&鼻ay)→~長a  ⅠUE
 Ⅱ  (5)   兎b→~象b           ⅡUE
   6(6)   兎b&鼻ab           A
   6(7)   兎b               6&E
ⅠⅡ 6(8)      ~象b           57MPP
   6(9)      鼻ab           7&E
ⅠⅡ 6(ア)      ~象b&鼻ab       89&I
ⅠⅡ 6(イ)   ∃y(~象y&鼻ay)      アEI
ⅠⅡ3 (ウ)   ∃y(~象y&鼻ay)      36イEE
ⅠⅡ3 (エ)               ~長a  4ウMPP
ⅠⅡ  (オ)   ∃y( 兎y&鼻ay)→~長a  3エCP
ⅠⅡ  (Ⅲ)∀x{∃y( 兎y&鼻xy)→~長x} オUI
ⅠⅡ  (〃)いかなるxであっても{あるyが兎であって、xがyの鼻であるならば、xは長くない}。
ⅠⅡ  (〃)兎の鼻は長くない。
(b)
Ⅰ   (Ⅰ)象が鼻は長い。 A
Ⅰ   (〃)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)} A
Ⅰ   (〃)すべてのxについて{xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、長い、といふことはない}。 A
 Ⅱ  (Ⅱ)∀x{兎x→~象x}          A
  3 (3)∃x(兎x&鼻bx)          A
Ⅰ   (4)   ~象a→~∃y(鼻ya&長y)  ⅠUE
 Ⅱ  (5)   兎a→~象a           ⅡUE
   6(6)   兎a&鼻ba           A
   6(7)   兎a               6&E
 Ⅱ 6(8)      ~象a           57MPP
ⅠⅡ 6(9)       ~∃y(鼻ya&長y)  48MPP
ⅠⅡ 6(ア)       ∀y~(鼻ya&長y)  9量化子の関係
ⅠⅡ 6(イ)         ~(鼻ba&長b)  アUE
ⅠⅡ 6(ウ)         ~鼻ba∨~長b   イ、ド・モルガンの法則
ⅠⅡ 6(エ)          鼻ba→~長b   ウ含意の定義
   6(オ)          鼻ba       6&E
ⅠⅡ 6(カ)              ~長b   エオMPP
ⅠⅡ3 (キ)              ~長b   36カEE
ⅠⅡ  (ク)   ∃x(兎x&鼻bx)→~長b   3キCP
ⅠⅡ  (Ⅲ)∀y{∃x(兎x&鼻yx)→~長y   クUI
ⅠⅡ  (〃)いかなるyであっても{あるxが兎であって、yがxの鼻であるならば、yは長くない}。
ⅠⅡ  (〃)兎の鼻は長くない。
従って、
(05)により、
(06)
(Ⅰ)鼻は象が長い。然るに、
(Ⅱ)兎は象ではない。故に、
(Ⅲ)兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」が、成立し、尚且つ、
(07)
(Ⅰ)象が鼻は長い。然るに、
(Ⅱ)兎は象ではない。故に、
(Ⅲ)兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」が、成立します。
従って、
(06)(07)により、
(08)
{象の鼻、兎の鼻、麒麟の鼻}
{象の耳、兎の耳、麒麟の耳}
{象の首、兎の首、麒麟の首}
といふ「変域」に於いて、
「鼻は象が長い。」と言へることと、
「象が鼻は長い。」と言へることは、
「兎の鼻は長くない。」といふことが言へるための、「十分条件」です。
然るに、
(09)
(b)
1(1)~∃y(鼻yx&長y) A
1(2)∀y~(鼻yx&長y) 1量化子の関係
1(3)  ~(鼻bx&長b) 2UE
1(4)  ~鼻bx∨~鼻b  3ド・モルガンの法則
1(5)   鼻bx→~鼻b  含意の定義
1(6)∀y(鼻yx→~鼻y) 5UI
(c)
1 (1) ∀y(鼻yx→ ~長y) A
1 (2)    鼻bx→ ~長b  1UE
1 (3)   ~鼻bx∨ ~長b  2含意の定義
1 (4)~~(~鼻bx∨ ~長b) 3DN
1 (5)~(~~鼻bx&~~長b) 4ドモルガンの法則
1 (6)  ~(鼻bx&  長b) 5DN
 7(7) ∃y(鼻yx&  長y) A
 7(8)    鼻bx&  長b  7EI
17(9)  ~(鼻bx&長b)&
        (鼻bx&長b)   68&I
1 (ア)~∃y(鼻yx&  長y) 79RAA
従って、
(09)により、
(10)
(b)~∃y(鼻yx&長y)
(c)∀y(鼻yx→~長y)
に於いて、
(b)=(c) である。
従って、
(10)
(Ⅰ)鼻は象が長い。然るに、
(〃)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。然るに、
(Ⅱ)兎は象ではない。故に、
(Ⅲ)兎の鼻は長くない。
に於ける、
(〃)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。 は、
(〃)∀x{~象x→∀y(鼻yx→~長y)}。 と、「同じ」です。
従って、
(05)(10)により、
(11)
次の「推論」も、「妥当(Valid)」です。
Ⅰ   (Ⅰ)象の鼻が長い。 A
Ⅰ   (〃)∀x{~象x→∀y(鼻yx→~長y)} A
Ⅰ   (〃)すべてのxについて{xが象でないならば、すべてのyについて(yがxの鼻であるならば、yは長くない)}。
 Ⅱ  (Ⅱ)∀x{兎x→~象x}          A
  3 (3)∃x(兎x&鼻bx)          A
Ⅰ   (4)   ~象a→∀y(鼻ya→~長y)  A
 Ⅱ  (5)   兎a→~象a           ⅡUE
   6(6)   兎a&鼻ba           A
   6(7)   兎a               6&E
 Ⅱ 6(8)      ~象a           57MPP
ⅠⅡ 6(9)       ∀y(鼻ya→~長y)  48MPP
ⅠⅡ 6(ア)          鼻ba→~長b   9UE
   6(イ)          鼻ba       6&E
ⅠⅡ 6(ウ)              ~長b   アイMPP
ⅠⅡ3 (エ)              ~長b   36ウEE
ⅠⅡ  (オ)   ∃x(兎x&鼻bx)→~長b   3エCP
ⅠⅡ  (カ)∀y{∃x(兎x&鼻yx)→~長y   オUI
ⅠⅡ  (〃)いかなるyであっても{あるxが兎であって、yがxの鼻であるならば、yは長くない}。
ⅠⅡ  (〃)兎の鼻は長くない。
従って、
(11)により、
(12)
Ⅰ   (Ⅰ)象の鼻が長い。 A
Ⅰ   (〃)∀x{~象x→∀y(鼻yx→~長y)} A
Ⅰ   (〃)すべてのxについて{xが象でないならば、すべてのyについて(yがxの鼻であるならば、yは長くない)}。
であるとして、
(Ⅰ)象の鼻が長い。然るに、
(Ⅱ)兎は象ではない。故に、
(Ⅲ)兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」が、成立します。
従って、
(08)(12)により、
(13)
「兎は象ではない。」といふことは、
「常識(当然の仮定)」であるため、
{象の鼻、兎の鼻、麒麟の鼻}
{象の耳、兎の耳、麒麟の耳}
{象の首、兎の首、麒麟の首}
といふ「変域」に於いて、
「鼻は象長い。」と言へることと、
「象鼻は長い。」と言へることと、
「象の鼻長い。」と言へることは、
「兎の鼻は長くない。」といふことが言へるための、「十分条件」です。
平成30」年12月01日、毛利太。

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