2018年12月19日水曜日

「Aが犯人だ。犯人はAだ。誰が犯人か。」の「が」について。

(a)『返り点と括弧』については、『「返り点」と「括弧」(略8)(https://kannbunn.blogspot.com/2018/09/blog-post_17.html)』他もお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
(01)
(a)
1     (1)   P∨ Q   A
 2    (2)  ~P&~Q   A
  3   (3)   P      A
 2    (4)  ~P      2&E
 23   (5)   P&~P   34&I
  3   (6)~(~P&~Q)  25RAA
   7  (7)      Q   A
 2    (8)     ~Q   2&E
 2 7  (9)   Q&~Q   78&I
   7  (ア)~(~P&~Q)  29RAA
1     (イ)~(~P&~Q)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  ~P      A
     エ(エ)     ~Q   A
    ウエ(オ)  ~P&~Q   ウエ&I
1   ウエ(カ)~(~P&~Q)&
           ~P&~Q   イオ&I
1   ウ (キ)    ~~Q   エカRAA
1   ウ (ク)      Q   キDN
1     (ケ)  ~P→ Q   ウクCP
(b)
1 (1)~P→ Q A
 2(2)~P&~Q A
 2(3)~P    2&E
12(4)    Q 13MPP
 2(5)   ~Q 2&E
12(6) Q&~Q 45&I
1 (7)  ~~Q 57RAA
1 (8)    Q 7DN
1 (9) P∨ Q 8∨I
従って、
(01)により、
(02)
①  P∨Q
② ~P→Q
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
(b)
1  (1) ~P→ Q A
 2 (2) ~P    A
  3(3)    ~Q A
12 (4)     Q 12MPP
123(5)  ~Q&Q 34&I
1 3(6)~~P    2RAA
1 3(7)  P    6DN
1  (8) ~Q→ P 37CP
(c)
1  (1) 
1  (1) ~Q→ P A
 2 (2) ~Q    A
  3(3)    ~P A
12 (4)     P 12MPP
123(5)  ~P&P 34&I
1 3(6)~~Q    2RAA
1 3(7)  Q    6DN
1  (8) ~P→ Q 37CP
従って、
(03)により、
(04)
② ~P→Q
③ ~Q→P
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
①  P∨Q=PかQである。
② ~P→Q=PでないならばQである。
③ ~Q→P=QでないならばPである。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(05)により、
(06)
①&②=PかQである。然るに、Pでない。故に、Qである。
①&③=PかQである。然るに、Qでない。故に、Pである。
といふ「推論」、すなはち、「選言三段論法」は、「妥当(Valid)」である。
cf.
選言三段論法(せんげんさんだんろんぽう、英: Disjunctive syllogism)とは、論理学において、「大前提」を選言命題(選択肢を持った命題)にし、「小前提」でその選択肢に対する肯定・否定を行なうことで、「結論」を導く形式の三段論法のこと[1]。選言的三段論法ともいう(ウィキペディア)。
然るに、
(07)
1(1)∀x{犯人x→(x=A)∨(x=B)} A
1(〃)すべてのxについて{xが犯人であるならば、xはAか、xはBである}。 A
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
① すべてのxについて、xが犯人であるならば、xはAか、xはBである。
② すべてのxについて、xが犯人であるならば、xがAでないならば、xはBである。
③ すべてのxについて、xが犯人であるならば、xがBでないならば、xはAである。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(09)
③ すべてのxについて、xが犯人であるならば、xがBでないならば、xはAである。
として、
③ xはAである。
とすれば、
③ A以外は、犯人ではない
然るに、
(10)
③ A以外は犯人ではない
といふ場合は、
③ A犯人である。
といふ風に、言ふのであって、
③ A犯人である。
とは、言はない。
従って、
(08)(09)(10)により、
(11)
③ A犯人である。
といふことは、
③ A以外は犯人ではない
といふことに、他ならない。
然るに、
(12)
(a)
1  (1)A以外は犯人ではない。     A
1  (〃)∀x{~(x=A)→~犯人x} A
1  (〃)すべてのxについて{xがAでなければ、xは犯人ではない}。 A
1  (2)   ~(a=A)→~犯人a  1UE
 3 (3)   ~(a=A)       A
  4(4)           犯人a  A
13 (5)          ~犯人a  23MPP
134(6)      犯人a&~犯人a  45&I
1 4(7)  ~~(a=A)       36RAA
1 4(8)    (a=A)       7DN
1  (9)   犯人a→(a=A)    48CP
1  (ア)∀x{犯人x→(x=A)}   9UI
1  (〃)すべてのxについて{xが犯人であるならば、xはAである}。 9UI
1  (〃)犯人はAである。        9UI
(b)
1  (1)犯人はAである。        A
1  (〃)∀x{犯人x→(x=A)}   A
1  (〃)すべてのxについて{xが犯人であるならば、xはAである}。 A
1  (2)   犯人a→(a=A)    1UE
 3 (3)   犯人a          A
  4(4)      ~(a=A)    A
13 (5)       (a=A)    23MPP
134(6)~(a=A)&(a=A)    45&I
1 4(7)  ~犯人a          36RAA
1  (8)   ~(a=A)→~犯人a  47CP
1  (9)∀x{~(x=A)→~犯人x} 8UI
1  (〃)すべてのxについて{xがAでなければ、xは犯人ではない}。 8UI
従って、
(12)により、
(13)
③ A以外は犯人ではない
といふことは、
犯人はAである。
といふことに、他ならない。
従って、
(11)(13)により、
(14)
① A犯人である。
② A以外は犯人ではない
犯人はAである。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(15)
① A is the 犯人。
といふ「英語」に於いて、
② A以外は犯人ではない
③ 犯人はAである。
といふことを、「確認」したいのであれば、
① A is the 犯人。
に於ける、
は、
強調(強く発音)される。
はずである。
然るに、
(16)
そこで「長谷川」を題目にして、
「長谷川は私です。」
としたいところだ。この「長谷川」と「私」の位置を交換すると、「は」が「が」になって、
「私長谷川です。」
となる。だから、この場合の「が」は、普通の「雨が降ってきた」「牡丹の花が濡れている」の「が」とちょっとちがい、強く発音される「」だ。
(金田一春彦、日本語 新版(下)、1988年、93頁)
然るに、
(17)
清音と濁音
日本語の子音で重要なことは、カ行・サ行・・・・・・のちがいよりも清音と音の違いで効果が違うことである。清音の方は、小さくきれいで速い感じで、コロコロと言うと、ハスの上を水玉がころがるような時の形容である。ロと言うと、大きく荒い感じで、力士が土俵でころがる感じである。
(金田一春彦、日本語 新版(上)、1988年、131頁)
従って、
(17)により、
(18)
「が」といふ「音」は、普通に「発音」したとしても、「は」といふ「清音」より、「(心理的な)音量」が「大きい」。 
従って、
(15)(18)により、
(19)
① A is the 犯人。
といふ「英語」に於いて、
② A以外は犯人ではない。
③ 犯人はAである。
といふことを、「確認」したいのであれば、
① A is the 犯人。
に於ける、
① A は、
強調強く発音)される。
はずであり、尚且つ、
① A音) の「(心理的な)音量」は、
① Aは(清音) の「(心理的な)音量」よりも、「大きい」。
従って、
(19)により、
(20)
① A_犯人である。
といふ「日本語」を用ひて、
② A以外は犯人ではない。
③ 犯人はAである。
といふことを、「確認」したいのであれば、
④ Aは(清音)犯人である。
と言はずに、
① A音)犯人である。
といふ風に、言ふことは、「自然」である。
従って、
(21)
② A以外はBではない
BはAである。
といふ場合に、
④ AはBである。
とは言はずに、
① ABである。
といふ「習慣」が、「生じる」ことは、「自然」である。
然るに、
(22)
(a)
1  (1)私でないならば長谷川でない。 仮定
 2 (2)私でない。          仮定
  3(3)       長谷川である。 仮定
12 (4)       長谷川でない。 12前件肯定
123(5)長谷川であるが長谷川でない。 34&導入
1 3(6)私でないでない。       25背理法
1 3(7)私である。          6二重否定
1  (8)長谷川であるならば私である。 37条件法
(b)
1  (1)長谷川であるならば私である。 仮定
 2 (2)長谷川である。        仮定
  3(3)         私でない。 仮定
12 (4)         私である。 12前件肯定
123(5)私でないのに私である。    34&導入
1 3(6)長谷川でない。        25背理法
1  (7)私でないならば長谷川でない。 36条件法
従って、
(16)(21)(22)により、
(23)
① 私長谷川です。
② 私以外は長谷川ではない
長谷川は私です。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(24)
一方、長谷川先生は思った。相手は自分の名前を知っていて、それをたよりにやってきた。長谷川先生というのはどの人だろうと思っているはずだ。そこで「長谷川」を題目にして、
「長谷川は私です。」
としたいところだ。この「長谷川」と「私」の位置を交換すると、「は」が「が」になって、
「私長谷川です。」
となる。からと言って、ワザワザ、「題目」といふ「語」を用ひて、説明するには、及ばない。
然るに、
(25)
① A犯人である。
② A以外は犯人ではない
犯人はAである。
に於いて、
①=②=③ である。
といふことからすれば、
① 誰犯人か。
という「疑問文」は、
① A犯人である。
② A以外は犯人ではない
犯人はAである。
といふ「答へ」を、「期待」してゐ。
然るに、
(26)
① A犯人である。
といふ「答へ」を、「期待」してゐるのであれば、
① 誰が犯人か。
ではなく、
④ 誰犯人か。
といふ風に、「質問」することは、「不自然」である。
従って、
(27)
① 誰犯人か。
に対して、
④ 誰は犯人か。
といふ「日本語」は、存在しない。
然るに、
(28)
未知犯人か。
といふことにだけ、「注目」すると、
①     の上には、
未知 が有る。
といふ「誤解」を、生むことになる。
平成30年12月19日、毛利太。

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