(a)『返り点と括弧』については、『「返り点」と「括弧」(略8)(https://kannbunn.blogspot.com/2018/09/blog-post_17.html)』他もお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
(01)
(a)
1 (1) ∀z(~鼻zx→~長z) A
1 (2) ~鼻cx→~長c 1UE
1 (3) ~~鼻cx∨~長c 2含意の定義
1 (4) ~(~鼻cx& 長c) ド・モルガンの法
5 (5) ∃x(~鼻zx& 長z) A
6(6) ~鼻cx& 長c A
1 6(7) ~(~鼻cx& 長c)&
(~鼻cx& 長c) 46&I
15 (8) ~(~鼻cx& 長c)&
(~鼻cx& 長c) 567EE
1 (9)~∃x(~鼻zx& 長z) 58RAA
(b)
1 (1)~∃x(~鼻zx& 長z) A
1 (2)∀z~(~鼻zx& 長z) 1量化子の関係
1 (3) ~(~鼻cx& 長c) 2UE
1 (4) ~~鼻cx∨~長c 3ド・モルガンの法則
1 (5) ~鼻cx→~長c 4含意の定義
1 (6) ∀z(~鼻zx→~長z) 5UI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀z(~鼻zx→~長z)
② ~∃z(~鼻zx& 長z)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
① ∀z(~鼻zx→~長z)
② ~∃z(~鼻zx& 長z)
に於いて、
①=② である。
といふことを、敢へて、「含意の定義、量化子の関係、ド・モルガンの法則」等の「定理」を用ゐない「証明」しようとすれば、その分、「証明」は、(04)のやうに長くなる。
(04)
(a)
1 (1) ∀z(~鼻zx→~長z) A
1 (2) ~鼻cx→~長c 1UE
3 (3) ~鼻cx& 長c A
3 (4) ~鼻cx 3&E
3 (5) 長c 3&E
13 (6) ~長c 24MPP
13 (7) 長c&~長c 56&I
1 (8) ~長c 57RAA
1 (9) ~~鼻cx∨~長c 8∨I
ア (ア) ~鼻cx& 長c A
ア (イ) ~鼻cx ア&E
ウ (ウ) ~~鼻cx A
アウ (エ) ~鼻cx&~~鼻cx イウ&I
ウ (オ) ~(~鼻cx& 長c) アエRAA
ア (カ) 長c ア&E
キ (キ) ~長c A
ア キ (ク) 長c&~長c カキ&I
キ (ケ) ~(~鼻cx& 長c) アクRAA
1 (コ) ~(~鼻cx& 長c) 9ウオキケ∨E
サ (サ) ∃z(~鼻zx& 長z) A
ス(シ) ~鼻cx& 長c A
1 ス(セ) ~(~鼻cx& 長c)&
(~鼻cx& 長c) コシ&I
1 サ (ソ) ~(~鼻cx& 長c)&
(~鼻cx& 長c) サスセEE
1 (タ)~∃z(~鼻zx& 長z) サソRAA
(b)
1 (1) ~∃z(~鼻zx& 長z) A
2 (2) ~∀z~(~鼻zx& 長z) A
3 (3) (~鼻cx& 長c) A
3 (4) ∃z(~鼻zx& 長z) 3EI
1 3 (5) ~∃z(~鼻zx& 長z)&
∃z(~鼻zx& 長z) 14&I
1 (6) ~(~鼻cx& 長c) 3RAA
1 (7) ∀z~(~鼻zx& 長z) 6UI
12 (8) ~∀z~(~鼻zx& 長z)&
∀z~(~鼻zx& 長z) 27&I
1 (9)~~∀z~(~鼻zx& 長z) 28RAA
1 (ア) ∀z~(~鼻zx& 長z) 9DN
1 (イ) ~(~鼻cx& 長c) アUE
ウ (ウ) ~( 鼻cx∨~長c) A
エ (エ) 鼻cx A
エ (オ) 鼻cx∨~長c エ∨I
ウエ (カ) ~( 鼻cx∨~長c)
( 鼻cx∨~長c) ウオ&I
ウ (キ) ~鼻cx エカRAA
ク (ク) ~長c A
(ケ) 鼻cx∨~長c ク∨I
ウ ク (コ) ~( 鼻cx∨~長c)&
( 鼻cx∨~長c) ウケ&I
ウ (サ) ~~長c クコRAA
ウ (シ) 長c サDN
ウ (ス) ~鼻cx& 長c キシ&I
1ウ (セ) ~(~鼻cx& 長c)&
(~鼻cx& 長c) イス&I
1 (ソ) ~~( 鼻cx∨~長c) ウセRAA
1 (タ) 鼻cx∨~長c ソDN
チ (チ) ~鼻cx& 長c A
チ (ツ) ~鼻cx チ&E
テ (テ) 鼻cx A
チテ (ト) ~鼻cx&鼻cx ツテ&I
テ (ナ) ~(~鼻cx& 長c) チトRAA
チ (ニ) 長c チ&E
ヌ (ヌ) ~長c A
チ ヌ (ネ) 長c&~長c ニヌ&I
ヌ (ノ) ~(~鼻cx& 長c) チネRAA
1 (ハ) ~(~鼻cx& 長c) タテナヌノ∨E
ヒ (ヒ) ~鼻cx A
フ(フ) 長c A
ヒフ(ヘ) ~鼻cx& 長c ヒフ&I
1 ヒフ(ホ) ~(~鼻cx& 長c)&
(~鼻cx& 長c) ハヘ&I
1 ヒ (マ) ~長c フホRAA
1 (ミ) ~鼻cx→~長c ヒマCP
1 (ム) ∀z(~鼻zx→~長z) ミUI
然るに、
(05)
① A&B
② A&C
であって、尚且つ、
① B=C
② C=B
であるならば、そのときに限って、
① A&B
② A&C
に於いて、
①=② である。
従って、
(01)(04)(05)により、
(06)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}。
すなはち、
① すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならばzは長くない}。
② すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzがxの鼻ではなく、そのzが長い。といふことはない}。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(07)
(α)象は鼻が長い。然るに、
(β)兎の耳は長く、兎の耳は鼻である。故に、
(γ)兎は象でない。
といふ「推論(三段論法)」は、「マチガイ」であるが、
(α)象は鼻が長い。然るに、
(β)兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。故に、
(γ)兎は象でない。
といふ「推論(三段論法)」は、「正しい」。
然るに、
(08)
「11月15日の記事」にも書いた通り、
α (α)象は鼻が長い。 A
α (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)} A
α (〃)すべてxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない。 A
β (β)兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。 A
β (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
β (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、有るyはxの耳であって長く、すべてのzについて、zがxの耳ならば、zはxの鼻ではない。 A
3 (3)ある兎は象である。 A
3 (〃)∃x(兎x&象x) A
3 (〃)あるxは兎であって象である。 A
α (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z) αUE
β (5) 兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) αUE
6 (6) 兎a&象a A
6 (7) 兎a 6&E
6 (8) 象a 6&E
α 6 (9) ∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z) 47MPP
β 6 (ア) ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) 58MPP
α 6 (イ) ∃y(鼻ya&長y) 9&E
β 6 (ウ) ∃y(耳ya&長y) ア&E
エ (エ) 鼻ba&長b A
オ (オ) 耳ba&長b A
α 6 (カ) ~∃z(~鼻za&長z) 9&E
キ(キ) ~鼻ba&長b A
キ(ク) ∃z(~鼻za&長z) キEI
α 6 キ(ケ) ~∃z(~鼻za&長z)&
∃z(~鼻za&長z) カキ&I
α 6 (コ) ~(~鼻ba&長b) キケRAA
α 6 (サ) ~~鼻ba∨~長b コ、ド・モルガンの法則
α 6 (シ) ~鼻ba→~長b サ含意の定義
β 6 (ス) ∀z(耳za→~鼻za) ア&E
β 6 (セ) 耳ba→~鼻ba スUE
オ (ソ) 耳ba オ&E
β 6 オ (タ) ~鼻ba セソMPP
αβ 6 オ (チ) ~長b シタMPP
オ (ツ) 長b オ&E
αβ 6 オ (テ) 長b&~長b チツ&I
αβ 6 (ト) 長b&~長b ウオテEE
αβ3 (ナ) 長b&~長b 36トEE
αβ (ニ)~∃x(兎x&象x) 3ナRAA
αβ (ヌ)∀x~(兎x&象x) ニ量化子の関係
αβ (ネ) ~(兎a&象a) ヌUE
αβ (ノ) ~兎a∨~象a ネ、ド・モルガンの法則
αβ (ハ) 兎a→~象a ノ含意の定義
αβ (γ)∀x(兎x→~象x) ハUI
αβ (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 ハUI
αβ (〃)兎は象ではない。 ハUI
従って、
(07)(08)により、
(09)
次の論証の妥当性を示せ。
(α)象は鼻が長い。然るに、
(β)兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。故に、
(γ)兎は象でない。
といふ「問題」に「解答」するために、
(α)象は鼻が長い。
(β)兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。
(γ)兎は象でない。
といふ「日本語」を、
(α)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。
(β)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。
(γ)∀x(兎x→~象x)。
といふ「述語論理」に、すなわはち、
(α)すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzがxの鼻ではなく、そのzが長い。といふことはない。
(β)すべてのxについて{xが兎であるならば、有るyはxの耳であって長く、すべてのzについて、zがxの耳ならば、zはxの鼻ではない。
(γ)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。
といふ「述語論理」に「置き換へ」ることになる。
然るに、
(10)
(α)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}。ではなく、
(α)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。であるとすると、
α 6 (カ) ~∃z(~鼻za&長z) 9&E
キ(キ) ~鼻ba&長b A
キ(ク) ∃z(~鼻za&長z) キEI
α 6 キ(ケ) ~∃z(~鼻za&長z)&
∃z(~鼻za&長z) カキ&I
α 6 (コ) ~(~鼻ba&長b) キケRAA
α 6 (サ) ~~鼻ba∨~長b コ、ド・モルガンの法則
α 6 (シ) ~鼻ba→~長b サ含意の定義
β 6 (ス) ∀z(耳za→~鼻za) ア&E
β 6 (セ) 耳ba→~鼻ba スUE
オ (ソ) 耳ba オ&E
β 6 オ (タ) ~鼻ba セソMPP
αβ 6 オ (チ) ~長b シタMPP
オ (ツ) 長b オ&E
αβ 6 オ (テ) 長b&~長b チツ&I
αβ 6 (ト) 長b&~長b ウオテEE
αβ3 (ナ) 長b&~長b 36トEE
αβ (ニ)~∃x(兎x&象x) 3タRAA
αβ (ヌ)∀x~(兎x&象x) ニ量化子の関係
αβ (ネ) ~(兎a&象a) ヌUE
αβ (ノ) ~兎a∨~象a ノ、ド・モルガンの法則
αβ (ハ) 兎a→~象a ネ含意の定義
αβ (γ)∀x(兎x→~象x) ハUI
αβ (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 ハUI
αβ (〃)兎は象ではない。 ハUI
といふ「計算」を行ふことが、出来ない。
従って、
(06)(09)(10)により、
(11)
(α)象は鼻が長い。
といふ「日本語」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}。
すなはち、
① すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならばzは長くない}。
② すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzがxの鼻ではなく、そのzが長い。といふことはない}。
といふ「述語論理」に、対応する。
従って、
(11)により、
(12)
(α)象は鼻が長い。
といふ「日本語」は、
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
といふ「述語論理」に、対応せずに、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}。
といふ「述語論理」に、対応する。
然るに、
(13)
沢田充茂の『現代論理学入門』(一九六ニ年)には楽しい解説が載っています。
・・・・・・たとえば「象は鼻が長い」というような表現は、象が主語なのか、鼻が主語なのかはっきりしないから、このままではその論理的構造が明示されていない。いわば非論理的な文章である、というひともある。しかしこの文の論理的な構造をはっきりと文章にあらわして「すべてのxについて、もしそのxが象であるならば、yなるものが存在し、そのyは鼻であり、xはyを所有しており、このyは長い」といえば・・・・・・たとえば動物園で象をはじめて見た小学生が、父親にむかってこのような文章で話しかけたとすれば、その子供は論理的であるといって感心されるまえに社会人としての常識をうたがわれるにきまっている。常識(すなはち共通にもっている情報)でわかっているものはいちいち言明の中にいれないで、いわば暗黙の了解事項として、省略し、できるだけ短い記号の組み合せで、できるだけ多くの情報を伝えることが日常言語の合理性の一つである。・・・・・・
(山崎紀美子、日本語基礎講座―三上文法入門、2003年、214頁)
然るに、
(14)
沢田先生が言ふ、
「すべてのxについて、もしそのxが象であるならば、yなるものが存在し、そのyは鼻であり、xはyを所有しており、このyは長い。」
といふ「それ」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}。
ではなく、
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
といふ「述語論理」に、対応する。
従って、
(12)(13)(14)により、
(15)
沢田先生は、
「すべてのxについて、もしそのxが象であるならば、yなるものが存在し、そのyは鼻であり、xはyを所有しており、このyは長い。」
とはせずに、
「すべてのxについて、もしもそのxが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならばzは長くない。」
「すべてのxについて、もしもそのxが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzがxの鼻ではなく、そのzが長い。といふことはない。」
「すべてのxについて、もしそのxが象であるならば、yなるものが存在し、そのyは鼻であり、xはyを所有しており、このyは長く、いかなるzであっても、zがxの鼻でないならば、zは長くない。」
とすべきであった。といふことになる。
然るに、
(16)
以上の「説明」が、「マチガイ」であると言ふのであれば、
(α)象は鼻が長い。然るに、
(β)兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。故に、
(γ)兎は象でない。
といふ「推論(三段論法)」が、「マチガイ」であるか、
α (α)象は鼻が長い。 A
α (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)} A
α (〃)すべてxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない。 A
β (β)兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。 A
β (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
β (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、あるyはxの耳であって長く、すべてのzについて、zがxの耳ならば、zはxの鼻ではない。 A
3 (3)有る兎は象である。 A
3 (〃)∃x(兎x&象x) A
3 (〃)あるxは兎であって象である。 A
α (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z) αUE
β (5) 兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) αUE
6 (6) 兎a&象a A
6 (7) 兎a 6&E
6 (8) 象a 6&E
α 6 (9) ∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za&長z) 47MPP
β 6 (ア) ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) 58MPP
α 6 (イ) ∃y(鼻ya&長y) 9&E
β 6 (ウ) ∃y(耳ya&長y) ア&E
エ (エ) 鼻ba&長b A
オ (オ) 耳ba&長b A
α 6 (カ) ~∃z(~鼻za&長z) 9&E
キ(キ) ~鼻ba&長b A
キ(ク) ∃z(~鼻za&長z) キEI
α 6 キ(ケ) ~∃z(~鼻za&長z)&
∃z(~鼻za&長z) カキ&I
α 6 (コ) ~(~鼻ba&長b) キケRAA
α 6 (サ) ~~鼻ba∨~長b コ、ド・モルガンの法則
α 6 (シ) ~鼻ba→~長b サ含意の定義
β 6 (ス) ∀z(耳za→~鼻za) ア&E
β 6 (セ) 耳ba→~鼻ba スUE
オ (ソ) 耳ba オ&E
β 6 オ (タ) ~鼻ba セソMPP
αβ 6 オ (チ) ~長b シタMPP
オ (ツ) 長b オ&E
αβ 6 オ (テ) 長b&~長b チツ&I
αβ 6 (ト) 長b&~長b ウオテEE
αβ3 (ナ) 長b&~長b 36トEE
αβ (ニ)~∃x(兎x&象x) 3タRAA
αβ (ヌ)∀x~(兎x&象x) ニ量化子の関係
αβ (ネ) ~(兎a&象a) ヌUE
αβ (ノ) ~兎a∨~象a ノ、ド・モルガンの法則
αβ (ハ) 兎a→~象a ネ含意の定義
αβ (γ)∀x(兎x→~象x) ハUI
αβ (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 ハUI
αβ (〃)兎は象ではない。 ハUI
といふ「計算」が、「マチガイ」であるかの、いづれかである。
従って、
(17)
(α)象は鼻が長い。然るに、
(β)兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。故に、
(γ)兎は象でない。
といふ「推論(三段論法)」を、「正しい」とするのであれば、以上の、「(α)~(γ)」の中の「マチガイ」を、指摘する必要がある。
従って、
(17)により、
(18)
次の論証の妥当性を示せ。
(α)象は鼻が長い。然るに、
(β)兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。故に、
(γ)兎は象でない。
といふ「問題」に対して、「述語論理(Predicate logic)」を用ひて、自力で「解答」出来ない方は、残念ではあるが、以上に書かれてゐる「私の見解」を、「否定」することは、出来ない。
然るに、
(19)
ある「日本語の先生」は、「論理学」と「日本語の文法」と結びつけることは、「あってはならい」といふ風に、思はれるかも知れない。
然るに、
(20)
つまり沢田氏によれば、「象は鼻が長い」というのは合理的省略を行った言語表現であり、そこには明確な論理構造がある、ということです。三上はこれを文型として登録すべきであると主張しています。
(山崎紀美子、日本語基礎講座―三上文法入門、2003年、214・5頁)
然るに、
(21)
三上章先生が、「明確な論理的構造」がある。といふのであれば、少なくとも、三上章先生は、「論理学」と「日本語の文法」と結びつけることは、「あってはならい」といふ風に、思はれてはゐない上に、
伝統的論理学を速水滉『論理学』(16)で代表させよう。わたしのもっているのが四十三年の第十九刷一万部中の一冊で、なお引続き刊行だろうから、前後かなり多く読者を持つ論理学書と考えられる。新興の記号論理学の方は、沢田充茂の『現代論理学入門』(62)を参照することにする(三上章、日本語の論理、1963年、4頁)。
とあるものの、『沢田充茂、現代論理学入門、1962年』といふ「現代論理学の解説書」には、「練習問題」が全く無いし、「練習問題」を自分で解く努力をしない限り、「論理学」を、知ることは、出来ない。
cf.
The best way to find out what logic is to do some(Beginning Logic by E.J. Lemmon,1965年、1頁).
(22)
「三上章、日本語の論理、1963年」を書くにあたって、三上章先生が、「述語論理」を、確実に、勉強してゐたならば、
① 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
② 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx& 長z)}。
といふ風に、三上章先生も、考へられた(?)ものと、思はれる。
平成30年11月20日、毛利太。
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