2022年2月18日金曜日

三上章の、所謂「無題化」って何?

(01)
無題化というのは「Ⅹ」の「」を消すことですから、
センテンスの形のままでもできないことはありませんが、
センテンスの形では、本当に無題になりきらない場合も起こります。
たとえば、
 私幹事です。
 私幹事です。
のように、「」を消しても、センテンスの意味は、
 幹事、私です。
というのに近く、題が文中の別の個所に移り隠れたにすぎません。
(山崎美紀子、日本語基礎講座、― 三上文法入門 ―、2003年、65頁)
従って、
(01)により、
(02)
無題化」といふことは、「よく分からない」ものの、いづれにせよ、
① 私幹事です。
② 幹事私です。
に於いて、
①=② は「無題化」である。
然るに、
(03)
(ⅱ)
1  (1) P→ Q A
 2 (2)   ~Q A
  3(3) P    A
1 3(4)    Q 13MPP
123(5) ~Q&Q 24&I
12 (6)~P    35RAA
1  (7)~Q→~P 26CP
(ⅲ)
1  (1) ~Q→~P A
 2 (2)     P A
  3(3) ~Q    A
1 3(4)    ~P 13MPP
123(5)  P&~P 24&I
12 (6)~~Q    35RAA
12 (7)  Q    6DN
1  (8)  P→ Q 27CP
従って、
(03)により、
(04)
②  P→ Q
③ ~Q→~P
に於いて、
②=③ であって、
②=③ は「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(04)により、
(05)
「日本語」で言ふと、
② Pであるならば、Qである。
③ Qでないならば、Pでない。
に於いて、
②=③ は「対偶」である。
従って、
(05)により、
(06)
P=幹事である。
Q=私である。
として、
② 幹事は私です。
③ 私以外は幹事ではない
に於いて、
②=③ は「対偶」である。
従って、
(02)(06)により、
(07)
① 私幹事です。
② 幹事は私です。
③ 私以外は幹事ではない
に於いて、
①=② は「無題化」であって、
②=③ は「 対偶 」である。
従って、
(07)により、
(08)
「番号」を付け直すと、
① 私幹事です。
② 私以外は幹事ではない
に於いて、
①=② である。
然るに、
(09)
① 私幹事です。
といふのであれば、当然、
① 私幹事である。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① 私幹事です。
② 私は幹事であり、私以外は幹事ではない
に於いて、
①=② である。
従って、
(10)により、
(11)
① 私大野です。
② 私は大野であり、私以外は大野ではない
に於いて、
①=② である。
従って、
(12)
② 私以外は大野ではない
といふことを、「強調・確認」したい場合には、
③ 私大野です。
とは言はずに、
① 私大野です。
といふ風に、言ふことになる。
従って、
(13)
② 私以外は大野ではない
といふことを、「強調・確認」する「必要が無い」のであれば、
その場合は、
① 私大野です。
とは言はずに、
③ 私大野です。
といふ風に、言ふことになる。
然るに、
(14)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
 私大野です。
これは、「大野さんどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。それゆえこの形は、
 大野私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(13)(14)により、
(15)
「大野さんどちらですか。」
といふやうな問いに対する「答へ」の場合は、
② 私以外は大野ではない
といふことを、「強調・確認」したい場合である。
といふ、ことになる。
従って、
(01)(15)により、
(16)
「大野さんどちらですか。」 といふやうな問いに対する「答へ」の場合は、
③ 私大野です。
といふ「日本語」は、
① 私大野です。
といふ風に、「無題化」が起こる。
といふ、ことになる。
従って、
(16)により、
(17)
私としては、一体何故
「大野さんどちらですか。」 といふやうな問いに対する「答へ」の場合は、
③ 私大野です。
といふ「日本語」は、
① 私大野です。
といふ風に、「無題化」する。
のかといふ、「 理由 」が、知りたい。
令和04年02月18日、毛利太。

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