―「この記事」は書き直します。―
(01)
従って、
(02)
① 有備無患。
② 人不学不知道。
③ 聞鳥啼。
④ 聞鳥啼梅樹。
⑤ 聞鳥啼梅樹声。
⑥ 如揮快刀断乱麻。
⑦ 欲得備学徳者友之。
⑧ 求以解英文法解漢文。
に対して、
① レ レ
② レ レ レ
③ 二 一
④ 三 二 一
⑤ 下 二 一 上
⑥ 下 二 一 中 上
⑦ 乙 下 二 一 上 甲レ
⑧ 丙 下 二 一 上 乙 甲
といふ「返り点」を与へることは、
① 有備無患。
② 人不学不知道。
③ 聞鳥啼。
④ 聞鳥啼梅樹。
⑤ 聞鳥啼梅樹声。
⑥ 如揮快刀断乱麻。
⑦ 欲得備学徳者友之。
⑧ 求以解英文法解漢文。
に対して、
① 2143
② 132654
③ 312
④ 51423
⑤ 614235
⑥ 7312645
⑦ 85312476
⑧ 953124867
といふ「数字」を与へることに、等しい。
然るに、
(03)
⑧ 953124867
といふ「九個の数字」に於いて、
⑧ 9の右側にあって、9より小さい[数字]は[53124867]である。
⑧ 5の右側にあって、5より小さい〔数字〕は〔3124〕である。
⑧ 3の右側にあって、3より小さい(数字)は(12)である。
⑧ 1の右側にあって、1より小さい「数字」は無い。
⑧ 2の右側にあって、2より小さい「数字」は無い。
⑧ 4の右側にあって、4より小さい「数字」は無い。
⑧ 8の右側にあって、8より小さい(数字)は(67)である。
⑧ 6の右側にあって、6より小さい数字は無い。
⑧ 7の右側に、数字はない。
従って、
(03)により、
(04)
⑧ 9[5〔3(12)4〕8(67)]。
である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
① 2(1)4(3)。
② 13(2)6〔5(4)〕。
③ 3(12)。
④ 5〔14(23)〕。
⑤ 6〔14(23)5〕。
⑥ 7〔3(12)6(45)〕。
⑦ 8[5〔3(12)4〕7(6)]。
⑧ 9[5〔3(12)4〕8(67)]。
である。
然るに、
(03)により、
(06)
⑧ 9[5〔3(12)4〕8(67)]。
に於いて、
3( )⇒( )3
5〔 〕⇒〔 〕5
8( )⇒( )8
9[ ]⇒[ ]9
といふ「倒置」を行ふならば、必然的に、
⑧ [〔(12)34〕5(67)8]9=
⑧ 1<2<3<4<5<6<7<8<9。
といふ「ソート(並べ替へ)」が成立する。
従って、
(01)(02)(06)により、
(07)
⑧ 求[以〔解(英文)法〕解(漢文)]=
⑧ 9[5〔3(12)4〕8(67)]。
に於いて、
3( )⇒( )3
5〔 〕⇒〔 〕5
8( )⇒( )8
9[ ]⇒( )9
といふ「倒置」を行ふならば、
⑧ 求[以〔解(英文)法〕解(漢文)]=
⑧ 9[5〔3(12)4〕8(67)]⇒
⑧ [〔(12)34〕5(67)8]9=
⑧ [〔(英文)解法〕以(漢文)解]求=
⑧ [〔(英文を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求む。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
① 有(備)無(患)。
② 人不(学)不〔知(道)〕。
③ 聞(鳥啼)。
④ 聞〔鳥啼(梅樹)〕。
⑤ 聞〔鳥啼(梅樹)声〕。
⑥ 如〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
⑦ 欲[得〔備(学徳)者〕友(之)]。
⑧ 求[以〔解(英文)法〕解(漢文)]。
に対して、
① (備へ)有れば(患ひ)無し。
② 人(学ば)不れば〔(道を)知ら〕不。
③ (鳥の啼くを)聞く。
④ 〔鳥の(梅樹に)啼くを〕聞く。
⑤ 〔鳥の(梅樹に)啼く声を〕聞く。
⑥ 〔(快刀を)揮って(乱麻を)断つが〕如し。
⑦ [〔(学徳を)備ふる者を〕得て(之を)友とせんと]欲す。
⑧ [〔(英文を)解するを法〕以て(漢文を)解せんことを]求む。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
然るに、
(09)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、二九六頁)
従って、
(08)(09)により、
(10)
① 有(備)無(患)。
② 人不(学)不〔知(道)〕。
③ 聞(鳥啼)。
④ 聞〔鳥啼(梅樹)〕。
⑤ 聞〔鳥啼(梅樹)声〕。
⑥ 如〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
⑦ 欲[得〔備(学徳)者〕友(之)]。
⑧ 求[以〔解(英文)法〕解(漢文)]。
に於ける、
① ( ) ( )
② ( ) 〔 ( )〕
③ ( )
④ 〔 ( )〕
⑤ 〔 ( ) 〕
⑥ 〔 ( ) ( )〕
⑦ [ 〔 ( ) 〕 ( )]
⑧ [ 〔 ( ) 〕 ( )]
といふ「括弧」は、
① 有備無患。
② 人不学不知道。
③ 聞鳥啼。
④ 聞鳥啼梅樹。
⑤ 聞鳥啼梅樹声。
⑥ 如揮快刀断乱麻。
⑦ 欲得備学徳者友之。
⑧ 求以解英文法解漢文。
といふ「漢文自体」の「補足構造」である。
然るに、
(11)
管到というのは「上の語が、下のことばのどこまでかかるか」ということである。なんことはない。諸君が古文や英語の時間でいつも練習している、あの「どこまでかかるか」である。漢文もことばである以上、これは当然でてくる問題である。管到の「管」は「領(おさめる)」の意味とほぼ同じと考えてよい。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年、三八九頁)
然るに、
(12)
例へば、
⑦ 欲[得〔備(学徳)者〕友(之)]。
であれば、
⑦「欲す」の「目的語(補語)」は、
⑦[得〔備(学徳)者〕友(之)]の「全体」であって、「一部」ではない。
従って、
(13)
⑦ 欲得備学徳者友之。
に於いて、
⑦ 欲 といふ 語 は、
⑦ 得備学徳者友之。に係ってゐる。
従って、
(10)(11)(13)により、
(14)
① 有(備)無(患)。
② 人不(学)不〔知(道)〕。
③ 聞(鳥啼)。
④ 聞〔鳥啼(梅樹)〕。
⑤ 聞〔鳥啼(梅樹)声〕。
⑥ 如〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
⑦ 欲[得〔備(学徳)者〕友(之)]。
⑧ 求[以〔解(英文)法〕解(漢文)]。
に於ける、「括弧」は、「補足構造」であって、尚且つ、「補足構造」とは「管到」である。
然るに、
(15)
博士課程後期に六年間在学して訓読が達者になった中国の某君があるとき言った。「自分たちは古典を中国音で音読することができる。しかし、往々にして自ら欺くことがあり、助詞などいいかげんに飛ばして読むことがある。しかし日本式の訓読では、「欲」「将」「当」「謂」などの字が、どこまで管到して(かかって)いるか、どの字から上に返って読むか、一字もいいかげんにできず正確に読まなければならない」と、訓読が一字もいやしくしないことに感心していた。これによれば倉石武四郎氏が、訓読は助詞の類を正確に読まないと非難していたが、それは誤りで、訓読こそ中国音で音読するよりも正確な読み方なのである(原田種成、私の漢文講義、1995年、56頁)。
従って、
(14)(15)により、
(16)
① 有(備)無(患)。
② 人不(学)不〔知(道)〕。
③ 聞(鳥啼)。
④ 聞〔鳥啼(梅樹)〕。
⑤ 聞〔鳥啼(梅樹)声〕。
⑥ 如〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
⑦ 欲[得〔備(学徳)者〕友(之)]。
⑧ 求[以〔解(英文)法〕解(漢文)]。
といふ「管到(補足構造)」を、「把握」出来ない場合は、中国の某君がさうであるやうに、中国人であっても、
① 有備無患。
② 人不学不知道。
③ 聞鳥啼。
④ 聞鳥啼梅樹。
⑤ 聞鳥啼梅樹声。
⑥ 如揮快刀断乱麻。
⑦ 欲得備学徳者友之。
⑧ 求以解英文法解漢文。
といふ「漢文」は読めない。といふことになる。
従って、
(16)により、
(17)
① Yǒubèiwúhuàn.
② Rén bù xué bù zhīdào.
③ Wén niǎo tí.
④ Wén niǎo tí méi shù.
⑤ Niǎo tí méi shù shēng.
⑥ Rú huī kuàidāo duàn luànmá.
⑦ Yù dé bèi xuédé zhě yǒuzhī.
⑧ Qiú yǐ jiě yīngwén fǎ jiě hànwén.
といふ風に、「音読」するにせよ、
① イウビムカン。
② ジンフツガクフツチトウ。
③ ブンチョウテイ。
④ ブンチョウテイバイジュ。
⑤ ブンチョウテイバイジュセイ。
⑥ ジョキカイトウタンランマ。
⑦ ヨクトビガクガクトクシャイウシ。
⑧ キウイカイエイブンハフカイカンブン。
といふ風に、「日本漢字音」で「音読」するにせよ、いづれにせよ、
① 有(備)無(患)。
② 人不(学)不〔知(道)〕。
③ 聞(鳥啼)。
④ 聞〔鳥啼(梅樹)〕。
⑤ 聞〔鳥啼(梅樹)声〕。
⑥ 如〔揮(快刀)断(乱麻)〕。
⑦ 欲[得〔備(学徳)者〕友(之)]。
⑧ 求[以〔解(英文)法〕解(漢文)]。
といふ、「括弧」に関する「知識」、すなはち、「訓読の知識」は必要である。
加へて、
(18)
わたくしは前著『支那語教育の理論と実践』で、日本がこれまでおこなったてきた漢文教育がやがて終焉をつげ、支那語教育がこれに代わることを予言もし主張もした(倉石武四郎、中国語五十年、1973年、139頁)とは言ふものの、「漢文訓読」のための「書籍」は、数多くある一方で、「漢文音読」のための「書籍」は、ネット上で探しても見つからないないし、図書館にもない。
従って、
(19)
「訓読」をせずに、「音読」だけで、「漢文を独習」しようとしても、固より、そのやうな「環境」は、日本には無い。
従って、
(20)
いくら中国語の先生が、「漢文」は、「訓読」ではなく、「音読」で学習すべきである。と述べたところで、「独学」である限り、「漢文訓読」以外に、「漢文を学ぶ術」は無い。
平成28年05月26日、毛利太。
―「関連サイト」―
(A)『括弧』と『返り点』と「白話文」。:http://kannbunn.blogspot.com/2016/04/blog-post_34.html
(B)『括弧・返り点』の研究(Ⅱ)。 :http://kannbunn.blogspot.com/2016/04/blog-post_24.html
(C)『括弧・返り点』の研究(Ⅲ)。 :http://kannbunn.blogspot.com/2016/05/blog-post_5.html
(D)「返り点」を完璧に説明します。 :http://kannbunn.blogspot.com/2016/03/blog-post_31.html
0 件のコメント:
コメントを投稿