2016年3月30日水曜日

「述語論理」は「訓読」出来ます。

(01)
① 犬の頭であるといふのであれば、その頭は、当然、牛や馬の頭であるべきではない。
といふ「言ひ方」は、
① 如犬有頭其頭不当為牛馬頭。
といふ風に、書くことが出来る。
(02)
② 犬の頭は牛の頭ではないし馬の頭でもない。
② Anything that is a head of a dog is not a head of an bull or a head of a horse.
に対する「述語論理」は、
② ∀x{∃y〔犬(y)&頭(xy)〕→~[∃y〔牛(y)∨馬(y)&頭(xy)〕]}
といふ風に、書くことが出来る。
(03)
① 如犬有頭其頭不当為牛馬頭=
① 如犬有(頭)其頭不[当〔為(牛馬頭)〕]。
に於いて、
① 左から右へ読むものの、その「右側」が、[〔( と接してゐる限り、より内側の[〔( )〕]の中を、先に読む。
然るに、
(04)
① 如犬有(頭)其頭不[当〔為(牛馬頭)〕]。
に於いて、
① 左から右へ読むものの、その「右側」が、[〔( と接してゐる限り、より内側の[〔( )〕]の中を、先に読む。
のであれば、
 1= 如
 2= 犬
の次は、
 3= 有
ではなく、
 3=(頭)
であり、その次が、
 4= 有
である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
① 如犬有頭其頭不当為牛馬頭=
① 如犬有(頭)其頭不[当〔為(牛馬頭)〕]。
に於いて、
① 左から右へ読むものの、その「右側」が、[〔( と接してゐる限り、より内側の[〔( )〕]の中を、先に読む。
とすると、「結果」として、
有( )⇒( )有
為( )⇒( )為
当〔 〕⇒〔 〕可
不[ ]⇒[ ]不
といふ「倒置」が成立し、それ故、
① 如犬有頭其頭不当為牛馬頭=
① 如犬有(頭)其頭不[当〔為(牛馬頭)〕]⇒
① 如犬(頭)有其頭[当〔(牛馬頭)為〕可]不。
といふ「語順」を、得ることになる。
(06)
② ∀x{∃y〔犬(y)&頭(xy)〕→~[∃y〔牛(y)∨馬(y)&頭(xy)〕]}
に於いて、
② 左から右へ読むものの、その「右側」が、{[〔( と接してゐる限り、より内側の{[〔( )〕]}の中を、先に読む。
とすると、「結果」として、
 犬( )⇒( )犬
 頭( )⇒( )頭
∃y〔 〕⇒〔 〕∃y 
 牛( )⇒( )牛
 馬( )⇒( )馬
 頭( )⇒( )頭
∃y〔 〕⇒〔 〕∃y
 ~[ ]⇒[ ]=
∀x{ }⇒{ }∀x
といふ「倒置」が成立し、それ故、
② {〔(y)犬&(xy)頭〕∃y→[〔(y)牛∨(y)馬&(xy)頭〕∃y]~}∀x
といふ「語順」を、得ることになる。
然るに、
(07)
「記号」などというものは歴史的経緯や何やらの「人間的な事情」に依存して決まっている便宜的なものにすぎず、数学の本質そのものではない。そして、現在一般的に使われている数学の記号は欧米起源のものなので、日本語とは「すれ違う」側面がある、というだけである。実際に、a+bの代わりに、日本語の「aとbを足す」という表現に応じて、ab+という記号で足し算を表しても支障はない。「ab+なんて思いっきりヘン」と感じるかもしれないが、それは「慣れていないだけ」である。その証拠に、ab+のような「日本語の語順に応じた記号」の体系が構成されていて、それが有益であることが実証されている。
(中島匠一、集合・写像・論理、2012年、190頁)
従って、
(06)(07)により、
(08)
② ∀x{∃y〔犬(y)&頭(xy)〕→~[∃y〔牛(y)∨馬(y)&頭(xy)〕]}
といふ「述語論理」は、
② {〔(y)犬&(xy)頭〕∃y→[〔(y)牛∨(y)馬&(xy)頭〕∃y]~}∀x
といふ「述語論理」に等しい。
(09)
① 如犬(頭)有其頭[当〔(牛馬頭)為〕可]不=
① 如し犬に頭有らば、其の頭は当に牛馬の頭為るべからず。
といふ風に、「読むこと」が出来る。
(10)
    ~=ではない。
    ∨=または、
    &=尚且つ、
    →=ならば、
  ( )=といふ
   ∃x=そのやうなxが存在する。
   ∀x=ことは、全てのxに於いて、正しい。
P(x) =xはPである。
P(xy)=xはyに対してPである。
として、
② ∀x{∃y〔犬(y)&頭(xy)〕→~[∃y〔牛(y)∨馬(y)&頭(xy)〕]}=
② {〔(yは)犬であって、尚且つ、(xはyの)頭である。〕といふ、そのやうなyが存在する。のであれば、[〔(yは)牛であるか、または、(yは)馬であり、尚且つ、(xはyの)頭である。〕といふ、そのやうなyが存在し]ない。}といふことは、全てのxに於いて、正しい。
といふ風に、「読むこと」が出来る。
然るに、
(11)

(12)
① 如犬有(頭)其頭不[当〔為(牛馬頭)〕]⇒
① 如犬(頭)有其頭[当〔(牛馬頭)為〕可]不。
② ∀x{∃y〔犬(y)&頭(xy)〕→~[∃y〔牛(y)∨馬(y)&頭(xy)〕]}⇒
② {〔(y)犬&(xy)頭〕∃y→[〔(y)牛∨(y)馬&(xy)頭〕∃y]~}∀x。
に対する「返り点」は、
① レ レ レ 二 一
② 下│ 三│ レ 二 一 上レ 三│ レ レ 二 一
である。
従って、
(13)
① 如犬有頭其頭不当為牛馬頭=
① 如犬有(頭)其頭不[当〔為(牛馬頭)〕]⇒
① 如犬(頭)有其頭[当〔(牛馬頭)為〕可]=
① 如し犬に頭有らば、其の頭は当に牛馬の頭為るべからず。
といふ風に読むことを、「訓読」とするのであれば、
② ∀x{∃y〔犬(y)&頭(xy)〕→~[∃y〔牛(y)∨馬(y)&頭(xy)〕]}⇒
② {〔(y)犬&(xy)頭〕∃y→[〔(y)牛∨(y)馬&(xy)頭〕∃y]~}∀x=
② {〔(yは)犬であって、尚且つ、(xはyの)頭である。〕といふ、そのやうなyが存在する。のであれば、[〔(yは)牛であるか、または、(yは)馬であり、尚且つ、(xはyの)頭である。〕といふ、そのやうなyが存在し]ない。}といふことは、全てのxに於いて、正しい。
といふ風に読むことも、「訓読」である。
従って、
(14)により、
(15)
② ∀x{∃y〔犬(y)&頭(xy)〕→~[∃y〔牛(y)∨馬(y)&頭(xy)〕]}=
② {〔(yは)犬であって、尚且つ、(xはyの)頭である。〕といふ、そのやうなyが存在する。のであれば、[〔(yは)牛であるか、または、(yは)馬であり、尚且つ、(xはyの)頭である。〕といふ、そのやうなyが存在し]ない。}といふことは、全てのxに於いて、正しい。
といふ「読み方」は、「述語論理訓読」である。
平成28年03月31日、毛利太。

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