(01)
① 見人方引嬰兒而欲投之江中嬰兒啼(呂氏春秋)。
に於いて、
① 見(saw) の「補語」は、「嬰児啼(the infant cryig)」を含むところの、「人方引嬰兒而欲投之江中嬰兒啼」であるとする。
然るに、
(02)
①「人方引嬰兒而欲投之江中嬰兒啼。」
に於いて、
① 人 は「引」の「主語」である。
① 方 は「副詞」である。
① 嬰児 は「引」の「補語」である。
① 而 は「接続詞」である。
① 欲 は「助動詞」である。
① 之 は「投」の「補語」である。
① 江中 は「投」の「補語」である。
① 嬰児 は「啼」の「主語」である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 見人方引嬰兒而欲投之江中嬰兒啼。
といふ「漢文の補足構造」は、
① 見[人方引(嬰兒)而欲〔投(之江中)〕嬰兒啼]。
である。
然るに、
(04)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。
(鈴木直治、中文と漢文、1975年、296頁)
従って、
(03)(04)により、
(09)
① 見人方引嬰兒而欲投之江中嬰兒啼=
① 見[人方引(嬰兒)而欲〔投(之江中)〕嬰兒啼]。
に於いて、
① 見[ ]⇒[ ]見
① 引( )⇒( )引
① 欲〔 〕⇒〔 〕欲
① 投( )⇒( )投
といふ「移動」を行ふと、
① 見[人方引(嬰兒)而欲〔投(之江中)〕嬰兒啼]⇒
① [人方(嬰兒)引而〔(之江中)投〕欲嬰兒啼]見=
① [人の方に(嬰兒を)引きて〔(之を江中に)投ぜんと〕欲し嬰兒の啼くを]見る=
① ある人が、幼児を引っぱって、まさに、その幼児を河の中に投げ込まうとしてゐて、幼児が、声を上げて泣いてゐる情景が見えた。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
然るに、
(10)
國一國文下第二次題庫
上一題 下ㄧ題
13. 「有過於江上者,見人方引嬰兒而欲投之江中。嬰兒啼。人問其故,曰:『此其父善游。』其父雖善游,其子豈遽 善游哉?此任物,亦必悖矣!」下列哪一個選項可以說明上文的主旨?
(A) 有其父必有其子
(B) 真偽不辨,是非不分
(C) 天生我才必有用
(D) 觀念守舊,不知變通
編輯私有筆記及自訂標籤
國一國文下第二次- 104 年 - 2015臺南市市立崇明國中七年級104 下學期國文第二次段考(期中考)南一#56737
答案:D
難度:非常困難
従って、
(10)により、
(11)
「台湾の中学の、漢文の教科書(?)」の場合は、何故か、
② 見人方引嬰兒而欲投之江中。
であって、
① 見人方引嬰兒而欲投之江中嬰兒啼。
ではない。
cf.
① I saw the infant crying.
従って、
(09)(11)により、
(12)
「台湾の中学の教科書(?)」がさうなってゐるやうに、
① 見人方引嬰兒而欲投之江中嬰兒啼。
ではなく、
② 見人方引嬰兒而欲投之江中。
が「正しい」のであれば、
① ある人が、幼児を引っぱって、まさに、その幼児を河の中に投げ込まうとしてゐて、幼児が、声を上げて泣いてゐる情景が見えた。
といふ「翻訳」は、「誤訳」である。
平成30年06月24日、毛利太。
(a)『返り点と括弧』については、『「括弧」の「順番」(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html)』他をお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
0 件のコメント:
コメントを投稿