2022年2月19日土曜日

「幹事は私です(私以外は幹事ではない)。」の「述語論理」。

(01)
(ⅱ)
1  (1)  ∀x(Fx→Gx)  A
2 (2) ∃x(~Gx&Fx)  A
1  (3)     Fa→Ga   1UE
  4(4)    ~Ga&Fa   A
  4(5)        Fa   4&E
1 4(6)        Ga   35MPP
  4(7)    ~Ga      4&E
1 4(8)    ~Ga&Ga   67&E
  4(9) ~∀x(Fx→Gx)  18RAA
 2 (ア) ~∀x(Fx→Gx)  249EE
12 (イ)  ∀x(Fx→Gx)&
       ~∀x(Fx→Gx)  1ア&I
1  (ウ)~∃x(~Gx&Fx)  2イRAA
(ⅲ)
1   (1)~∃x(~Gx&Fx)  A
 2  (2)    ~Ga&Fa   A
 2  (3) ∃x(~Gx&Fx)  2EI
12  (4)~∃x(~Gx&Fx)&
        ∃x(~Gx&Fx)  13&I
1   (5)  ~(~Ga&Fa)  24RAA
  6 (6)        Fa   A
   7(7)    ~Ga      A
  67(8)    ~Ga&Fa   67&I
1 67(9)  ~(~Ga&Fa)&
          (~Ga&Fa)  58&I
1 6 (ア)   ~~Ga      79RAA
1 6 (イ)     Ga      6DN
1   (ウ)     Fa→Ga   6イCP
1   (エ)  ∀x(Fx→Gx)  ウUI
従って、
(01)により、
(02)
② ∀x( Fx→Gx)
③ ~∃x(~Gx&Fx)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(03)
② すべてのxについて(xがFであるあるならば、xはGである)。
③ (Gでなくて、Fであるx)は存在しない。
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)(03)により、
(04)
F=象
G=動物
として、
② すべてのxについて(xが象であるあるならば、xは動物である)。
③(動物でないxであって、象であるx)は存在しない。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(05)
② すべてのxについて(xが象であるあるならば、xは動物である)。
③(動物でないxであって、象であるx)は存在しない。
といふことは、
② 象は動物である(象者動物也)。
③ 動物でない象はゐない(無非動物而象)。
といふことに、他ならない。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
②   ∀x(  象x→動物x)
③ ~∃x(~動物x&象x)
に於いて、すなはち、
② 象は動物である。
③ 動物でない象はゐない。
に於いて、
②=③ であって、この「等式」は、「対偶」である。
従って、
(06)により、
(07)
②  ∀x(  幹事x→私x)
③ ~∃x(~私x&幹事x)
に於いて、すなはち、
② 幹事は私です。
③ 私以外は幹事ではない
に於いて、
②=③ である、
然るに、
(08)
② 私は一人しかゐない
が故に、
② 私以外は私ではない
従って、
(08)により、
(09)
② 幹事は私です。
と言へば、それだけで、
③ 私以外は幹事ではない
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
いづれにせよ、
② 幹事は私です。
③ 私以外は幹事ではない
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(11)
無題化というのは「Ⅹは」の「は」を消すことですから、
センテンスの形のままでもできないことはありませんが、
センテンスの形では、本当に無題になりきらない場合も起こります。
たとえば、
 私は幹事です。
 私幹事です。
のように、「は」を消しても、センテンスの意味は、
 幹事は、私です。
というのに近く、題が文中の別の個所に移り隠れたにすぎません。
(山崎美紀子、日本語基礎講座、― 三上文法入門 ―、2003年、65頁)
従って、
(10)(11)により、
(12)
「無題化」といふことは、兎も角として、
① 私幹事です。
② 幹事は私です。
③ 私以外は幹事ではない
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(13)
① 私幹事です。
といふのであれば、「当然」、
① 私は幹事である。
従って、
(12)(13)により、
(14)
① 私幹事です。
② 私は幹事であって、幹事は私です。
③ 私は幹事であって、私以外は幹事ではない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(07)(14)により、
(15)
①    (私幹事です)。
② ∀x{(私x→幹事x)&(幹事x→私x)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(15)により、
(16)
①    ~(私幹事です)。
② ~∀x{(私x→幹事x)&(幹事x→私x)}
に於いて、
①=② である。
然るに、
(17)
(ⅱ)
1   (1) ~∀x{(私x→幹事x)&(幹事x→私x)} A
1   (2) ∃x~{(私x→幹事x)&(幹事x→私x)} 1量化子の関係
 3  (3)   ~{(私a→幹事a)&(幹事a→私a)} 2UE
 3  (4)   ~(私a→幹事a)∨~(幹事a→私a)  3ド・モルガンの法則
  5 (5)   ~(私a→幹事a)            A
  5 (6)  ~(~私a∨幹事a)            5含意の定義
  5 (7)   (私a&~幹事a)            6ド・モルガンの法則
  5 (8)   (私a&~幹事a)∨(幹事a&~私a)  7∨I
   9(9)             ~(幹事a→私a)  A
   9(ア)            ~(~幹事a∨私a)  9含意の定義
   9(イ)             (幹事a&~私a)  アド・モルガンの法則
   9(ウ)   (私a&~幹事a)∨(幹事a&~私a)  イ∨I
 3  (エ)   (私a&~幹事a)∨(幹事a&~私a)  4589ウ∨E
 3  (オ)∃x{(私x&~幹事x)∨(幹事x&~私x)} エEI
1   (カ)∃x{(私x&~幹事x)∨(幹事x&~私x)} 23オEE
(ⅲ)
1   (1)∃x{(私x&~幹事x)∨(幹事x&~私x)  A
 2  (2)   (私a&~幹事a)∨(幹事a&~私a)  A
  3 (3)   (私a&~幹事a)            A
  3 (4) ~(~私a∨ 幹事a)            3ド・モルガンの法則
  3 (5)  ~(私a→ 幹事a)            4含意の定義
  3 (6)  ~(私a→ 幹事a)∨~(幹事a→私a)  5∨I
   7(7)             (幹事a&~私a)  A
   7(8)            ~(~幹事a∨私a)  7ド・モルガンの法則
   7(9)             ~(幹事a→私a)  8含意の定義
   7(ア)   ~(私a→幹事a)∨~(幹事a→私a)  9∨I
 2  (イ)   ~(私a→幹事a)∨~(幹事a→私a)  2367ア∨E
 2  (ウ)  ~{(私a→幹事a)& (幹事a→私a)} イ、ド・モルガンの法則
 2  (エ)∃x~{(私x→幹事x)& (幹事x→私x)} ウEI
1   (オ)∃x~{(私x→幹事x)& (幹事x→私x)} 12エEE
1   (カ)~∀x{(私x→幹事x)& (幹事x→私x)} オ量化子の関係
従って、
(17)により、
(18)
② ~∀x{(私x→  幹事x)&(幹事x→  私x)}
③  ∃x{(私x&~幹事x)∨(幹事x&~私x)}
に於いて、
②=③ である。
従って、
(16)(17)(18)により、
(19)
①     ~(私幹事です)。
②   ∃x{(私x&~幹事x)∨(幹事x&~私x)}
③ あるxは{(私であるが幹事ではない)か、または(幹事であるが私ではない)}。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(19)により、
(20)
① ~(私幹事です)。
② 私は幹事ではないか、または、私以外も幹事である。
に於いて、
①=② である。
従って、
(20)により、
(21)
① ~~(私幹事です)。
②  ~(私は幹事ではないか、または、私以外も幹事である)。
に於いて、
①=② である。
従って、
(21)により、
(22)
「二重否定律」により、
①  (私幹事です)。
② ~(私は幹事ではないか、または、私以外も幹事である)。
①=② である。
従って、
(22)により、
(23)
①「私幹事です。」
といふ「日本語」が「真(本当)」であるならば、
②「私は幹事ではないか、または、私以外にも幹事はゐる。」
といふ「日本語」は「偽(ウソ)」になる。
従って、
(23)により、
(24)
②「私は幹事ではないか、または、私以外にも幹事はゐる。」
といふ「日本語」が「真(本当)」であるならば、
①「私幹事です。」
といふ「日本語」は「偽(ウソ)」になる。
令和04年02月19日、毛利太。

2022年2月18日金曜日

三上章の、所謂「無題化」って何?

(01)
無題化というのは「Ⅹ」の「」を消すことですから、
センテンスの形のままでもできないことはありませんが、
センテンスの形では、本当に無題になりきらない場合も起こります。
たとえば、
 私幹事です。
 私幹事です。
のように、「」を消しても、センテンスの意味は、
 幹事、私です。
というのに近く、題が文中の別の個所に移り隠れたにすぎません。
(山崎美紀子、日本語基礎講座、― 三上文法入門 ―、2003年、65頁)
従って、
(01)により、
(02)
無題化」といふことは、「よく分からない」ものの、いづれにせよ、
① 私幹事です。
② 幹事私です。
に於いて、
①=② は「無題化」である。
然るに、
(03)
(ⅱ)
1  (1) P→ Q A
 2 (2)   ~Q A
  3(3) P    A
1 3(4)    Q 13MPP
123(5) ~Q&Q 24&I
12 (6)~P    35RAA
1  (7)~Q→~P 26CP
(ⅲ)
1  (1) ~Q→~P A
 2 (2)     P A
  3(3) ~Q    A
1 3(4)    ~P 13MPP
123(5)  P&~P 24&I
12 (6)~~Q    35RAA
12 (7)  Q    6DN
1  (8)  P→ Q 27CP
従って、
(03)により、
(04)
②  P→ Q
③ ~Q→~P
に於いて、
②=③ であって、
②=③ は「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(04)により、
(05)
「日本語」で言ふと、
② Pであるならば、Qである。
③ Qでないならば、Pでない。
に於いて、
②=③ は「対偶」である。
従って、
(05)により、
(06)
P=幹事である。
Q=私である。
として、
② 幹事は私です。
③ 私以外は幹事ではない
に於いて、
②=③ は「対偶」である。
従って、
(02)(06)により、
(07)
① 私幹事です。
② 幹事は私です。
③ 私以外は幹事ではない
に於いて、
①=② は「無題化」であって、
②=③ は「 対偶 」である。
従って、
(07)により、
(08)
「番号」を付け直すと、
① 私幹事です。
② 私以外は幹事ではない
に於いて、
①=② である。
然るに、
(09)
① 私幹事です。
といふのであれば、当然、
① 私幹事である。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① 私幹事です。
② 私は幹事であり、私以外は幹事ではない
に於いて、
①=② である。
従って、
(10)により、
(11)
① 私大野です。
② 私は大野であり、私以外は大野ではない
に於いて、
①=② である。
従って、
(12)
② 私以外は大野ではない
といふことを、「強調・確認」したい場合には、
③ 私大野です。
とは言はずに、
① 私大野です。
といふ風に、言ふことになる。
従って、
(13)
② 私以外は大野ではない
といふことを、「強調・確認」する「必要が無い」のであれば、
その場合は、
① 私大野です。
とは言はずに、
③ 私大野です。
といふ風に、言ふことになる。
然るに、
(14)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
 私大野です。
これは、「大野さんどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。それゆえこの形は、
 大野私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(13)(14)により、
(15)
「大野さんどちらですか。」
といふやうな問いに対する「答へ」の場合は、
② 私以外は大野ではない
といふことを、「強調・確認」したい場合である。
といふ、ことになる。
従って、
(01)(15)により、
(16)
「大野さんどちらですか。」 といふやうな問いに対する「答へ」の場合は、
③ 私大野です。
といふ「日本語」は、
① 私大野です。
といふ風に、「無題化」が起こる。
といふ、ことになる。
従って、
(16)により、
(17)
私としては、一体何故
「大野さんどちらですか。」 といふやうな問いに対する「答へ」の場合は、
③ 私大野です。
といふ「日本語」は、
① 私大野です。
といふ風に、「無題化」する。
のかといふ、「 理由 」が、知りたい。
令和04年02月18日、毛利太。

2022年2月13日日曜日

∀x(Fx)∨∀(Gx)├ ∀x(Fx∨Gx)

(01)
①(A高校は男子校である)か、または(A高校は女子校である)。
②(A高校の生徒は、男子であるか、または、女子である)。
③(A高校は、男女共学である)。
に於いて、
① ならば、② であることは、「当然」であるが、
② ならば、③ であることも、「可能」である。
従って、
(02)
①(A高校は男子校である)か、または(A高校は女子高である)。
②(A高校の生徒は、男子であるか、または、女子である)。
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① であるとは、限らない。
然るに、
(03)
{xの変域}={A高校の生徒}
     F=男子である。
     G=女子である。
とすると、
① ∀x(Fx)∨∀(Gx)
② ∀x(Fx∨Gx)
といふ「論理式」は、
①(A高校は男子校である)か、または(A高校は女子高である)。
②(A高校の生徒は、男子であるか、または、女子である)。
といふ「日本語」に、「相当」する。
然るに、
(04)
112 ∀x(Fx)∨∀(Gx)├ ∀x(Fx∨Gx)
1  (1)∀x(Fx)∨∀(Gx) A
 2 (2)∀x(Fx)       A
 2 (3)   Fa        2UE
 2 (4)   Fa∨Ga     3∨I
 2 (5)∀x(Fx∨Gx)    4UI
  6(6)       ∀(Gx) A
  6(7)         Ga  5UE
  6(8)      Fa∨Ga  6∨I
  6(9)   ∀x(Fx∨Gx) 8UI
1  (ア)   ∀x(Fx∨Gx) 12569∨E
 ― 中略、―
逆の連式、 ∀x(Fx∨Gx)├ ∀x(Fx)∨∀(Gx) は妥当ではない。
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、155頁)
従って、
(01)~(04)により、
(05)
①(A高校は男子校である)か、または(A高校は女子高である)。
②(A高校の生徒は、男子であるか、または、女子である)。
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① であるとは、限らない。
といふことは、「述語論理」としても、「正しい」。
令和04年02月13日、毛利太。

2022年2月9日水曜日

「述語論理式」を「命題論理式」に書き換へると、・・・・・。

(01)
3 つぎの相互導出可能性を示す結果を確立せよ。
(f)∃x(Fx→P)┤├ ∀x(Fx)→P
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、163頁)
〔私による解答〕
(ⅰ)
1  (1) ∃x(Fx→P) A
 2 (2) ∀x(Fx)   A
  3(3)    Fa→P  A
 2 (4)    Fa    2UE
 23(5)       P  34MPP
12 (6)       P  135EE
1  (7)∀x(Fx)→P  26CP
(ⅱ)
1   (1) ∀x(Fx)→P A
1   (2)~∀x(Fx)∨P 1含意の定義
 3  (3)~∀x(Fx)   A
 3  (4)∃x(~Fx)   3量化子の関係
  5 (5)   ~Fa    A
  5 (6)   ~Fa∨P  5∨I
  5 (7)    Fa→P  6含意の定義
  5 (8) ∃x(Fx→P) 7EI
 3  (9) ∃x(Fx→P) 358EE
   ア(ア)       P  A
   ア(イ)   ~Fa∨P  ア∨I
   ア(ウ)    Fa→P  イ含意の定義
   ア(エ) ∃x(Fx→P) ウEI
1   (オ) ∃x(Fx→P) 239アエ∨E
然るに、
(02)
{個体領域}={a、b、c}
であるとして、
① ∃x(Fx→ P)
② ∀x(Fx)→P
に於いて、
①=② である。
といふことは、
③(Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P)
④(Fa&Fb&Fc)→P
に於いて、
③=④ である。
といふことに、「等しい」。
然るに、
(03)
(ⅲ)
1         (1) (Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P) A
 2        (2) (Fa→P)               A
  3       (3)    ~P                A
 23       (4) ~Fa                  23MTT
 23       (5) ~Fa∨~Fb              4∨I
 23       (6) ~Fa∨~Fb∨~Fc          5∨I
 23       (7) ~(Fa&Fb&Fc)          6ド・モルガンの法則
 2        (8) ~P→~(Fa&Fb&Fc)       37CP
   9      (9)     (Fa&Fb&Fc)       A
   9      (ア)   ~~(Fa&Fb&Fc)       9DN
 2 9      (イ)~~P                   8アDN
 2 9      (ウ)  P                   イDN
 2        (エ) (Fa&Fb&Fc)→P         9ウCP
    オ     (オ)        (Fb→P)        A
     カ    (カ)           ~P         A
    オカ    (キ)        ~Fb           オカMTT
    オカ    (ク)    ~Fa∨~Fb           キ∨I
    オカ    (ケ)    ~Fa∨~Fb∨~Fc       ク∨I
    オカ    (コ)    ~(Fa&Fb&Fc)       ケ、ド・モルガンの法則
    オ     (サ) ~P→~(Fa&Fb&Fc)       カコCP
      シ   (シ)     (Fa&Fb&Fc)       A
      シ   (ス)   ~~(Fa&Fb&Fc)       シDN
    オ シ   (セ)~~P                   サスMTT
    オ シ   (ソ)  P                   セDN
    オ     (タ)     (Fa&Fb&Fc)→P     シソCP
       チ  (チ)               (Fc→P) A
        ツ (ツ)                  ~P  A
       チツ (テ)               ~Fc    チツMTT
       チツ (ト)           ~Fb∨~Fc    テ∨I
       チツ (ナ)       ~Fa∨~Fb∨~Fc    ト∨I
       チツ (ニ)       ~(Fa&Fb&Fc)    ナ、ド・モルガンの法則
       チ  (ヌ)    ~P→~(Fa&Fb&Fc)    ツニCP
         ネ(ネ)        (Fa&Fb&Fc)    A
         ネ(ノ)      ~~(Fa&Fb&Fc)    ネDN
       チ ネ(ハ)   ~~P                ヌノMTT
       チ ネ(ヒ)     P                ハDN
       チ  (フ)    (Fa&Fb&Fc)→P      ネヒCP
1         (ヘ)    (Fa&Fb&Fc)→P      123エオタチフ∨E
(ⅳ)
1     (1) (Fa&Fb&Fc)→P         A
1     (2)~(Fa&Fb&Fc)∨P         A
 3    (3)~(Fa&Fb&Fc)           A
 3    (4) ~Fa∨~Fb∨~Fc          3ド・モルガンの法則
  5   (5) ~Fa                  A
  5   (6) ~Fa∨P                5∨I
  5   (7)  Fa→P                6含意の定義
  5   (8) (Fa→P)∨(Fb→P)        7∨I
  5   (9) (Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P) 8∨I
   ア  (ア)     ~Fb              A
   ア  (イ)     ~Fb∨P            ア∨I
   ア  (ウ)      Fb→P            イ含意の定義
   ア  (エ) (Fa→P)∨(Fb→P)        ウ∨I
   ア  (オ) (Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P) エ∨I
    カ (カ)         ~Fc          A
    カ (キ)         ~Fc∨P        カ∨I
    キ (ク)          Fc→P        キ含意の定義
    キ (ケ)  (Fb→P)∨(Fc→P)       ク∨I
    キ (コ) (Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P) ケ∨I
 3    (サ) (Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P) 459アオキコ∨E
     シ(シ)             P        A
     シ(ス)         ~Fa∨P        シ∨I
     シ(セ)          Fa→P        ス含意の定義
     シ(ソ) (Fa→P)∨(Fb→P)        セ∨I
     シ(タ) (Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P) ソ∨I
1     (チ) (Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P) 23サシタ∨E
従って、
(03)により、
(04)
③(Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P)
④(Fa&Fb&Fc)→P
に於いて、
③=④ である。
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
{個体領域}={a、b、c}
であるとして、
① ∃x(Fx→ P)
② ∀x(Fx)→P
に於いて、
①=② である。
といふことは、
③(Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P)
④(Fa&Fb&Fc)→P
に於いて、
③=④ である。
といふことに、「等しい」が故に、
① ∃x(Fx→ P)
② ∀x(Fx)→P
③(Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P)
④(Fa&Fb&Fc)→P
に於いて、
①=③ であって、
②=④ であって、
①=② であって、
③=④ である。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
「述語論理式」は、「命題論理式」の「一種」であるが、
「述語論理式」を、「命題論理式」に、書き換へようとすると、
(ⅰ)
1  (1) ∃x(Fx→P) A
 2 (2) ∀x(Fx)   A
  3(3)    Fa→P  A
 2 (4)    Fa    2UE
 23(5)       P  34MPP
12 (6)       P  135EE
1  (7)∀x(Fx)→P  26CP
で済むところが、
{個体領域}={a、b、c}
であるとしても、
(ⅲ)
1         (1) (Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P) A
 2        (2) (Fa→P)               A
  3       (3)    ~P                A
 23       (4) ~Fa                  23MTT
 23       (5) ~Fa∨~Fb              4∨I
 23       (6) ~Fa∨~Fb∨~Fc          5∨I
 23       (7) ~(Fa&Fb&Fc)          6ド・モルガンの法則
 2        (8) ~P→~(Fa&Fb&Fc)       37CP
   9      (9)     (Fa&Fb&Fc)       A
   9      (ア)   ~~(Fa&Fb&Fc)       9DN
 2 9      (イ)~~P                   8アDN
 2 9      (ウ)  P                   イDN
 2        (エ) (Fa&Fb&Fc)→P         9ウCP
    オ     (オ)        (Fb→P)        A
     カ    (カ)           ~P         A
    オカ    (キ)        ~Fb           オカMTT
    オカ    (ク)    ~Fa∨~Fb           キ∨I
    オカ    (ケ)    ~Fa∨~Fb∨~Fc       ク∨I
    オカ    (コ)    ~(Fa&Fb&Fc)       ケ、ド・モルガンの法則
    オ     (サ) ~P→~(Fa&Fb&Fc)       カコCP
      シ   (シ)     (Fa&Fb&Fc)       A
      シ   (ス)   ~~(Fa&Fb&Fc)       シDN
    オ シ   (セ)~~P                   サスMTT
    オ シ   (ソ)  P                   セDN
    オ     (タ)     (Fa&Fb&Fc)→P     シソCP
       チ  (チ)               (Fc→P) A
        ツ (ツ)                  ~P  A
       チツ (テ)               ~Fc    チツMTT
       チツ (ト)           ~Fb∨~Fc    テ∨I
       チツ (ナ)       ~Fa∨~Fb∨~Fc    ト∨I
       チツ (ニ)       ~(Fa&Fb&Fc)    ナ、ド・モルガンの法則
       チ  (ヌ)    ~P→~(Fa&Fb&Fc)    ツニCP
         ネ(ネ)        (Fa&Fb&Fc)    A
         ネ(ノ)      ~~(Fa&Fb&Fc)    ネDN
       チ ネ(ハ)   ~~P                ヌノMTT
       チ ネ(ヒ)     P                ハDN
       チ  (フ)    (Fa&Fb&Fc)→P      ネヒCP
1         (ヘ)    (Fa&Fb&Fc)→P      123エオタチフ∨E
のやうに「計算」が「長く」なってしまひ、「同じ計算の繰り返し」が、「途中で、嫌になる」。
然るに、
(07)
① ∃x(Fx→ P)
② ∀x(Fx)→P
といふ「述語論理式」を、
③(Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P)
④(Fa&Fb&Fc)→P
といふ「命題論理式」に「書き換へる」ならば、
① ∃x(Fx→ P)
② ∀x(Fx)→P
といふ「述語論理式」の「意味」を、「完璧に、把握」することが、出来る。
然るに、
(08)
{xの変域}}={a、b、c}
であるとして、
③(Fa→P)∨(Fb→P)∨(Fc→P)
④(Fa&Fb&Fc)→P
に於いて、
③ は「任意のxについて、xがFならば、Pである。」
④ は「全てのxについて、xがFならば、Pである。」
といふ風に、「読むこと」が出来る。
然るに、
(09)
I like all teachers at school.
(私は学校のすべての先生が好きです。)
I like every teacher at school.
(私は学校のどの先生も好きです。)
ニュアンスを意識して日本語にすると、こんな感じでしょうか。この文章はどちらも学校の先生が全員好きであることを表しています。
(「全て」を意味する「all」と「every」の違いとは?https://nativecamp.net)
然るに、
(08)(09)により、
(10)
任意の
全ての
の「違ひ」は、
every
all
の「違ひ」であると、思はれる。
令和04年02月09日、毛利太。

2022年2月8日火曜日

「述語論理」を「命題論理」に書き換へる。

(01)
118 ∃x(Fx)→P ┤├ ∀x(Fx→P)
(ⅰ)
1  (1)∃x(Fx)→P A
 2 (2)   Fa    A
 2 (3)∃x(Fx)   2EI
12 (4)       P 13MPP
1  (5)   Fa→P  24CP
1  (6)∀x(Fx→P) 5UI
(ⅱ)
1  (1)∀x(Fx→P) A
 2 (2)∃x(Fx)   A
  3(3)   Fa    A
1  (4)   Fa→P  1UE
1 3(5)      P  34MPP
12 (6)      P  245EE
1  (7)∃x(Fx)→P 26CP
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、160頁改)
(02)
(ⅲ)
1  (1) (Fa∨ Fb∨ Fc)→P       A
1  (2)~(Fa∨ Fb∨ Fc)∨P       1含意の定義
 3 (3)~(Fa∨ Fb∨ Fc)         A
 3 (4) ~Fa&~Fb&~Fc          3ド・モルガンの法則
 3 (5) ~Fa                  4&E
 3 (6) ~Fb                  4&E
 3 (7) ~Fc                  4&E
 3 (8) ~Fa∨P                5∨I
 3 (9) ~Fb∨P                6∨I
 3 (ア) ~Fc∨P                7∨I
 3 (イ)  Fa→P                8含意の定義
 3 (ウ)  Fb→P                9含意の定義
 3 (エ)  Fc→P                ア含意の定義
 3 (オ) (Fa→P)&(Fb→P)        イウ&I
 3 (カ) (Fa→P)&(Fb→P)&(Fc→P) エオ&I
  キ(キ)              P       A
  キ(ク) ~Fa∨P                キ∨I
  キ(ケ) ~Fb∨P                キ∨I
  キ(コ) ~Fc∨P                キ∨I
  キ(サ)  Fa→P                ク含意の定義
  キ(シ)  Fb→P                ケ含意の定義
  キ(ス)  Fc→P                コ含意の定義
  キ(ソ) (Fa→P)&(Fb→P)        サシ&I
  キ(タ) (Fa→P)&(Fb→P)&(Fc→P) スソ&I
1  (チ) (Fa→P)&(Fb→P)&(Fc→P) 23カキタ∨E
(ⅳ)
1   (1)  (Fa→P)& (Fa→P)& (Fc→P) A
1   (2) (~Fa∨P)&(~Fb∨P)&(~Fc∨P) 1含意の定義
1   (3)  ~Fa∨P                  2&E
1   (4)   P∨~Fa                 3交換法則
1   (5) ~~P∨~Fa                 4DN
1   (6)  ~P→~Fa                 5含意の定義
1   (7)          ~Fb∨P          2&E
1   (8)           P∨~Fb         7交換法則
1   (9)         ~~P∨~Fb         8DN
1   (ア)          ~P→~Fb         9含意の定義
1   (イ)                  ~Fc∨P  2&E
1   (ウ)                   P∨~Fc イ交換法則
1   (エ)                  ~P→~Fc ウ含意の定義
 オ  (オ)  ~P                     A
1オ  (カ)     ~Fa                 6オMPP
1オ  (キ)             ~Fb         アオMPP
1オ  (ク)                     ~Fc エオMPP
1オ  (ケ)     ~Fa&~Fb             カキ&I
1オ  (コ)     ~Fa&~Fb&~Fc         クケ&I
1   (サ) ~P→(~Fa&~Fb&~Fc)        オコCP
1   (シ)~~P∨(~Fa&~Fb&~Fc)        サDN
1   (ス)  P∨(~Fa&~Fb&~Fc)        シDN
1   (セ)    (~Fa&~Fb&~Fc)∨P      ス交換法則
  ソ (ソ)    (~Fa&~Fb&~Fc)        A
  ソ (タ)    ~(Fa∨ Fb∨ Fc)        ソ、ド・モルガンの法則
  ソ (チ)    ~(Fa∨ Fb∨ Fc)∨P      タ∨I
   ツ(ツ)                  P      A
   ツ(テ)    ~(Fa∨ Fb∨ Fc)∨P      ツ∨I
1   (ト)    ~(Fa∨ Fb∨ Fc)∨P      セソチツテ∨E
1   (ナ)     (Fa∨ Fb∨ Fc)→P      ト含意の定義
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ∃x(Fx)→P
② ∀x(Fx→ P)
③(Fa∨Fb∨Fc)→P
④(Fa→P)&(Fb→P)&(Fc→P)
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(04)
{個体領域}={a、b、c}
であるとして、
① ∃x(Fx)→P
② ∀x(Fx→ P)
といふ「論理式」は、それぞれ、
③(Fa∨Fb∨Fc)→P
④(Fa→P)&(Fb→P)&(Fc→P)
といふ「命題論理式」に、「等しい」。
然るに、
(05)
F=人間である。
P=地球には人間が住んでいる。
として、
① ∃x(Fx)→P
② ∀x(Fx→ P)
といふ「論理式」は、
⑤ 人間が存在するならば(地球には人間が住んでいる)。
⑥(任意の対象に対して、それが人間である)ならば地球には人間が住んでいる。
といふ「日本語」に「等しい」。
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、161頁改)
従って、
(04)(05)により、
(06)
① ∃x(Fx)→P
② ∀x(Fx→ P)
といふ「論理式」は、それぞれ、
③(Fa∨Fb∨Fc)→P
④(Fa→P)&(Fb→P)&(Fc→P)
といふ「命題論理式」と、
⑤ 人間が存在するならば(地球には人間が住んでいる)。
⑥(任意の対象に対して、それが人間である)ならば地球には人間が住んでいる。
といふ「日本語」に「等しい」。
然るに、
(07)
③(Fa∨Fb∨Fc)→P
④(Fa→P)&(Fb→P)&(Fc→P)
に於いて、
③=④ であることは、「分かり易く」、
その「意味」で、
① ∃x(Fx)→P
② ∀x(Fx→ P)
に於いて、
①=② であることも、「理解」出来るし、
⑤ 人間が存在するならば(地球には人間が住んでいる)。
⑥(任意の対象に対して、それが人間である)ならば地球には人間が住んでいる。
に於いて、
⑤=⑥ であることも、
③(Fa∨Fb∨Fc)→P
④(Fa→P)&(Fb→P)&(Fc→P)
からすれば、「分からない」といふことも、無い。
従って、
(07)により、
(08)
「一番分かり易い」のは、
③(Fa∨Fb∨Fc)→P
④(Fa→P)&(Fb→P)&(Fc→P)
に於いて、
③=④ である。
といふ、ことである。
令和04年02月08日、毛利太。

2022年2月7日月曜日

∃x(Fx→P)┤├ ∀x(Fx)→P

(01)
118 ∀x(Fx→P)┤├ ∃x(Fx)→P A
(a)
1  (1)∀x(Fx→P) A
 2 (2)∃x(Fx)   A
  3(3)   Fa    A
1  (4)   Fa→P  1UE
1 3(5)      P  34MPP
12 (6)      P  245EE
1  (7)∃x(Fx)→P 26CP
(b)
1  (1)∃x(Fx)→P A
 2 (2)   Fa    A
 2 (3)∃x(Fx)   2EI
12 (4)       P 13MPP
1  (5)   Fa→P  24CP
1  (6)∀x(Fx→P) 5UI
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、160頁)
(02)
3 つぎの相互導出可能性を示す結果を確立せよ。
(f)∃x(Fx→P)┤├ ∀x(Fx)→P
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、163頁)
〔私による解答〕
(c)
1  (1) ∃x(Fx→P) A
 2 (2) ∀x(Fx)   A
  3(3)    Fa→P  A
 2 (4)    Fa    2UE
 23(5)       P  34MPP
12 (6)       P  135EE
1  (7)∀x(Fx)→P  26CP
(d)
1   (1) ∀x(Fx)→P A
1   (2)~∀x(Fx)∨P 1含意の定義
 3  (3)~∀x(Fx)   A
 3  (4)∃x(~Fx)   3量化子の関係
  5 (5)   ~Fa    A
  5 (6)   ~Fa∨P  5∨I
  5 (7)    Fa→P  6含意の定義
  5 (8) ∃x(Fx→P) 7EI
 3  (9) ∃x(Fx→P) 358EE
   ア(ア)       P  A
   ア(イ)   ~Fa∨P  ア∨I
   ア(ウ)    Fa→P  イ含意の定義
   ア(エ) ∃x(Fx→P) ウEI
1   (オ) ∃x(Fx→P) 239アエ∨E
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ∃x(Fx)→P
② ∀x(Fx→  P)
③ ∃x(Fx→  P)
④ ∀x(Fx)→P
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(04)
たとえば、
Fを人間である。
という性質とし、 Pを地球には人間が住んでいる。
という命題とすれば、
人間が存在するならば地球には人間が住んでいる。
If there are men then the earth is populated.
ということと、
任意の対象に対して、それが人間であるならば地球には人間が住んでいる。
for any object,if it is man then the earth is populated.
ということとは同じである。
従って、
(03)(04)により、
(05)
① ∃x(Fx)→P
② ∀x(Fx→  P)
③ ∃x(Fx→  P)
④ ∀x(Fx)→P
に於いて、
①=② であって、
③=④ であるが、
①=③ ではない。
F=人間である。
P=地球には人間が住んでいる。
として、
① 人間が存在するならば、地球には人間が住んでいる。
② 任意の対象に対して、それが人間であるならば地球には人間が住んでいる。
③ 人間であるならば、地球には人間が住んでいる、という対象が存在する。
④ 任意の対象が人間であるならば地球には人間が住んでいる。
に於いて、
①=② であって、
③=④ であるが、
①=③ ではない。
然るに、
(06)
① ∃x(Fx)→P
③ ∃x(Fx→  P)
に於いて、
①=③ ではない。
といふことは、「当然」であるが、
① 人間が存在するならば(地球には人間が住んでいる)。
③(人間であるならば、地球には人間が住んでいる)という対象が存在する。
に於いて、
①=③ ではない。
といふことが、わたしには、「よく理解できない」。
令和04年02月07日、毛利太。

2022年2月5日土曜日

「述語論理」の「初歩的な、よくある間違い」に関連して。

 ―「昨日(令和03年02月05日)」を書き直します。―
(01)
(ⅰ)
1  (1)∀x(Fx→Gx) A
 2 (2)∃x(Fx)    A
1  (3)   Fa→Ga  1UE
  4(4)   Fa     A(代表的選言項)
1 4(5)      Ga  34MPP
1 4(6)   ∃x(Gx) 5EI
12 (7)   ∃x(Gx) 246EE
1  (8)∃x(Fx)→∃x(Gx) 27CP
(ⅱ)
1  (1)∃x(Fx)→∃x(Gx) A
 2 (2)   Fa         A
 2 (3)∃x(Fx)        2EI
12 (4)       ∃x(Gx) 13MPP
  )          G  A(代表的選言項)
12 (6)          G  46EE
1  (7)   Fa→G      26CP
1  (8)∀x(Fx→Gx)     7UI
に於いて、
(ⅰ)は「正しい」が、
(ⅱ)は「間違ひ」である。
cf.
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、147頁)
然るに、
(02)
(ⅱ)
1   (1) ∃x(Fx)→∃x(Gx) A
1   (2)~∃x(Fx)∨∃x(Gx) 1含意の定義
 3  (3)~∃x(Fx)        A
 3  (4)∀x(~Fx)        3量化子の関係
 3  (5)   ~Fa         4UE
 3  (6)   ~Fa∨Ga      5∨I
 3  (7)    Fa→Ga      6含意の定義
 3  (8) ∃x(Fx→Gx)     7EI
  9 (9)        ∃x(Gx) A
   ア(ア)           Ga  A(代表的選言項)
   ア(イ)       ~Fa∨Ga  ア∨I
   ア(ウ)        Fa→Ga  イ含意の定義
   ア(エ)     ∃x(Fx→Gx) ウEI
  9 (オ)     ∃x(Fx→Gx) 9アエEE
1   (カ)     ∃x(Fx→Gx) 2389オ∨E
(ⅲ)
1   (1)∃x(Fx→Gx)     A
 2  (2)∃x(Fx)        A
  3 (3)   Fa→Ga      A(代表的選言項)
   (4)   F         A(代表的選言項)
  3(5)      Ga      34MPP
  3(6)   ∃x(Gx)     5EI
 23 (7)   ∃x(Gx)     26EE
  3 (8)∃x(Fx)→∃x(Gx) 27CP
1   (9)∃x(Fx)→∃x(Gx) 138EE
に於いて、
(ⅱ)は「正しい」が、
(ⅲ)は「間違ひ」である。
cf.
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、154・155頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ∀x(Fx→Gx)
② ∃x(Fx)→∃x(Gx)
③ ∃x(Fx→Gx)
に於いて、
① ならば ② であるが、
② ならば ① であるとは限らず、
② ならば ③ であるが、
③ ならば ② であるとは限らない。
従って、
(03)により、
(04)
② ∃x(Fx)→∃x(Gx)
③ ∃x(Fx→Gx)
に於いて、
②=③ ではない。
従って、
(04)により、
(05)
②(あるxがFである)ならば(あるxはGである)。
③ ∃x(Fx→Gx)
に於いて、
②=③ ではない。
然るに、
(06)
「すべてのフランス人は寛大である」は一種の条件文として適切に記号化されるので、これに同化してしまって、
「幾らかのフランス人は寛大である」を、正しく「∃x(Fx&Gx)」と記号化するかわりに、
∃x(Fx→Gx)」とするのは、よくある間違い(である。しかし、「∃x(Fx→Gx)」は、
それがフランス人であるならば、寛大であるようなものが存在する」ことを主張するのであって、
「これは、かりにフランス人が存在しない」としても「真」であろう。しかるに、
「幾らかのフランス人は寛大である」はそうではない。
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、123・124頁)
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
② ∃x(Fx)→∃x(Gx)
∃x(Fx→Gx)
に於いて、
②=③ ではないが故に、
②(あるxがフランス人である)ならば(あるxは寛大である)。
(xがフランス人であるならば、寛大であるようなx)が存在する
に於いても、
②=③ ではない
cf.
③ There is something which,if ⅹ is French then ⅹ is generous.
然るに、
(08)
私には、
②(あるxがフランス人である)ならば(あるxは寛大である)。
③(xがフランス人であるならば、寛大であるようなx)が存在する。
に於いては、
②=③ であるとしか、思へない。
然るに、
(09)
{xの変域}={a、b、c}
であるとして、
② ∃x(Fx)→∃x(Gx)
③ ∃x(Fx→Gx)
といふ「論理式」は、
②(~Fa&~Fb&~Fc)∨(Ga∨Gb∨Gc)
③(~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)
といふ「論理式」に「等しい」。
然るに、
(10)
「言葉」で「説明」するのは、「大変」であるが、
②(~Fa&~Fb&~Fc)∨(Ga∨Gb∨Gc)
③(~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)
に於いて、
②が「真」であれば、 ③も「真」であるが、
③が「真」であっても、②が「真」であるとは、限らない。
(11)
③ ~Fa=「真」
であれば、それだけで、
③(~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)
は「真」であるが、
③ ~Fa=「真」
であっても、それだけでは、
②(~Fa&~Fb&~Fc)∨(Ga∨Gb∨Gc)
は「真」であるとは、限りない。
従って、
(01)~(11)により、
(12)
② ∃x(Fx)→∃x(Gx)
③ ∃x(Fx→Gx)
といふ「論理式」は、
②(~Fa&~Fb&~Fc)∨(Ga∨Gb∨Gc)
③(~Fa∨Ga)∨(~Fb∨Gb)∨(~Fc∨Gc)
といふ風に「展開」すると、
②=③ ではないが、
②(あるxがフランス人である)ならば(あるxは寛大である)。
③(xがフランス人であるならば、寛大であるようなx)が存在する。
といふ風に「翻訳」すると、
②=③ である
としか、思へない。
従って、
(12)により、
(13)
② ∃x(Fx)→∃x(Gx)
③ ∃x(Fx→Gx)
といふ「論理式」は、
②(あるxがFである)ならば(あるxはGである)。
③(xがFであるならば、Gであるようなx)が存在する。
といふ風に、「読むべきではない」ものの、とは言へ、
③(xがFであるならば、Gであるようなx)が存在する。
といふ「読み方」は、「間違ひ」であるはずがない。
従って、
(13)により、
(14)
② ∃x(Fx)→∃x(Gx)
③ ∃x(Fx→Gx)
といふ「論理式」は、ある種の「パラドックス」であるに、違ひない。
令和04年02月05日、毛利太。

2022年2月2日水曜日

「象は鼻が長い」の「述語論理」と「三上文法批判」。

(01)
(ⅰ)
1 (1)~∀x(Fx→Gx) A
1 (2)∃x~(Fx→Gx) 1量化子の関係
 3(3)  ~(Fa→Ga) A
 3(4) ~(~Fa∨Ga) 3含意の定義
 3(5)  (Fa&~Ga) 4ド・モルガンの法則
 3(6)∃x(Fx&~Gx) 5EI
1 (7)∃x(Fx&~Gx) 136EE
1 (8)∃x(~Gx&Fx) 7交換法則
(ⅱ)
1  (1)∃x(~Gx&Fx) A
 2 (2) ∀x(Fx→Gx) A
  3(3)   ~Ga&Fa  A
 2 (4)    Fa→Ga  2UE
  3(5)       Fa  3&E
 23(6)       Ga  45MPP
  3(7)   ~Ga     3&E
 23(8)   ~Ga&Ga  67&I
  3(9)~∀x(Fx→Gx) 28RAA
1  (ア)~∀x(Fx→Gx) 139EE
従って、
(01)により、
(02)
① ~∀x(Fx→ Gx)
②  ∃x(Fx&~Gx)
③  ∃x(~Gx&Fx)
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(02)により、
(03)
① ~~∀x(Fx→ Gx)
②  ~∃x(Fx&~Gx)
③  ~∃x(~Gx&Fx)
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(03)により、
(04)
「二重否定律」により、
①  ∀x(Fx→ Gx)
② ~∃x(Fx&~Gx)
③ ~∃x(~Gx&Fx)
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(04)により、
(05)
①  ∀x( 象x→動物x)
③ ~∃x(~動物x&象x)
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて(xが象であるならば、xは動物である)。
③(動物ではなくて、象である所のx)は存在しない。
に於いて、
①=③ である。
従って、
(05)により、
(06)
① 象は動物である。
③ 動物でない象はゐない。
に於いて、
①=③ である。
然るに、
(04)により、
(07)
①  ∀x{象x→  ∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ~∃x{象x&~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
に於いて、
①=② である。
然るに、
(08)
(ⅲ)
1  (1)~[∃y(鼻yx& 長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)] A
1  (2) ~∃y(鼻yx& 長y)∨~∀z(~鼻zx→~長z)  1ド・モルガンの法則
 3 (3) ~∃y(鼻yx& 長y)                A
 3 (4)  ∀y(鼻yx→~長y)                ∵(02)
 3 (5)  ∀y(鼻yx→~長y)∨ ∃z(~鼻zx& 長z)  4∨I
  6(6)              ~∀z(~鼻zx→~長z)  A
  6(7)               ∃z(~鼻zx& 長z)  ∵(04)
  6(8)  ∀y(鼻yx→~長y)∨ ∃z(~鼻zx& 長z)  7∨I
(ⅳ)
1  (1)  ∀y(鼻yx→~長y)∨ ∃z(~鼻zx& 長z)  A
 2 (2)  ∀y(鼻yx→~長y)                A
 2 (3) ~∃y(鼻yx& 長y)                ∵(04)
 2 (4) ~∃y(鼻yx& 長y)∨~∀z(~鼻zx→~長z)  3∨I
  5(5)               ∃x(~鼻zx& 長z)  A
  5(6)              ~∀z(~鼻zx→~長z)  ∵(02)
  5(7) ~∃y(鼻yx& 長y)∨~∀z(~鼻zx→~長z)  6∨I
1  (8) ~∃y(鼻yx& 長y)∨~∀z(~鼻zx→~長z)  12457∨E
1  (9)~[∃y(鼻yx& 長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)] 8ド・モルガンの法則
従って、
(08)により、
(09)
③ ~[∃y(鼻yx& 長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]
④   ∀y(鼻yx→~長y)∨∃z(~鼻zx& 長z)
に於いて、
③=④ である。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
①  ∀x{象x→  ∃y(鼻yx&  長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ~∃x{象x&~[∃y(鼻yx&  長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
③        ~[∃y(鼻yx&  長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]
④            ∀y(鼻yx→~長y)∨∃z(~鼻zx&  長z)
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
従って、
(10)により、
(11)
①  ∀x{象x→∃y(鼻yx&  長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ~∃x{象x&∀y(鼻yx→~長y)∨∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、
①=② である。
然るに、
(12)
1    (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2   (2)∀x{兎x→∃y(長y&耳yx)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
  3  (3)∃x(兎x&象x)                      A
1    (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 2   (5)   兎a→∃y(長y&耳ya)&∀z(耳za→~鼻za)  2UE
   6 (6)   兎a&象a                       A
   6 (7)      象a                       6&E
   6 (8)   兎a                          6&E
1  6 (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
 2 6 (ア)      ∃y(長y&耳ya)&∀z(耳za→~鼻za)  58MPP
 2 6 (イ)      ∃y(長y&耳ya)               ア&E
    ウ(ウ)         長b&耳ba                A
1  6 (エ)                 ∀z(~鼻za→~長z)  9&E
 2 6 (オ)                 ∀z(耳za→~鼻za)  ア&E
1  6 (カ)                    ~鼻ba→~長b   エUE
 2 6 (キ)                    耳ba→~鼻ba   オUE
    ウ(ク)            耳ba                ウ&E
 2 6ウ(ケ)                        ~鼻ba   キクMPP
12 6ウ(コ)                         ~長b   カケMPP
    ウ(サ)         長b                    ウ&E
12 6ウ(シ)         長b&~長b                コサ&I
12 6 (ス)         長b&~長b                イウシEE
123  (セ)         長b&~長b                36スEE
12   (ソ)~∃x(兎x&象x)                     36セRAA
12   (タ)∀x~(兎x&象x)                     ソ量化子の関係
12   (チ)  ~(兎a&象a)                     タUE
12   (ツ)  ~兎a∨~象a                      チ、ド・モルガンの法則
12   (テ)   兎a→~象a                      ツ含意の定義
12   (ト)∀x(兎x→~象x)                     テUI
従って、 (12)により、
(13)
(ⅰ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(ⅱ)∀x{兎x→∃y(長y&耳yx)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。従って、
(ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。   然るに、
(ⅱ)すべてのxについて{xが兎であるならば、あるyは長くて、xの耳であり、すべてのzについて、zがxの耳であるならば、zはxの鼻ではない}。従って、
(ⅲ)すべてのxについて(xが兎であるならば、xは象ではない。)
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(13)により、
(14)
(ⅰ)象は鼻が長い。然るに、
(ⅱ)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)兎は象ではない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(12)(13)(14)により、
(15)
① 象は鼻が長い。
② 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(11)(15)により、
(16)
「番号」を付け直すと、
① 象は鼻が長い。
② 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
③ 鼻が長くないか、鼻以外が長い象は、存在しない。
④   ∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
⑤ ~∃x{象x&∀y(鼻yx→~長y)∨∃z(~鼻zx& 長z)}。
⑥ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
⑦ {xが象であって、尚且つ、すべてのyについて(yがxの鼻であるのに、yが長くない)か、または、ある(zはxの鼻ではないのに、zは長い)}といふ、そのやうなxは存在しない。
に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥=⑦ である。
従って、
(16)により、
(17)
(ⅰ)象は鼻が長い。従って、
(ⅱ)鼻が長くないか、鼻以外が長い象は、存在しない。然るに、
(ⅲ)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅳ)兎は象ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(16)(17)により、
(18)
(ⅰ)象は鼻が長い。従って、
(ⅱ)鼻が長くないか、鼻以外が長い象は、存在しない。然るに、
(ⅲ)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅳ)兎は象ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である以上、
① 象は鼻が長い。
② 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
③ 鼻が長くないか、鼻以外が長い象は、存在しない。
といふ「日本語」は、
①=②=③ であって、尚且つ、
④  ∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
⑤ ~∃x{象x&∀y(鼻yx→~長y)∨∃z(~鼻zx& 長z)}。
といふ「論理式」は、
④=⑤ であって、尚且つ、
①=②=③=④=⑤ である。
といふことを、「否定」することは、出来ない。
然るに、
(19)
伝統的論理学を速水滉『論理学』(16)で代表させよう。わたしのもっているのが四十三年の第十九刷一万部中の一冊で、なお引続き刊行だろうから、前後かなり多く読者を持つ論理学書と考えられる。新興の記号論理学の方は、沢田充茂の『現代論理学入門』(62)を参照することにする(三上章、日本語の論理、1963年、4頁)。
(20)
「象は鼻が長い」はどれが主辞がわからないから、このままでは非論理的な構造の文である、と言う人がもしあった(沢田『入門』二九ペ)とすれば、その人は旧『論理学』を知らない人であろう、これはこのままで、
 象は 鼻が長い
 主辞 賓辞
とはっきりしている。速水式に簡単明リョウである。意味も、主辞賓辞の関係も小学生にもわかるはずの文である。これに文句をつけたり、それを取り次いだりするのは、人々が西洋文法に巻かれていることを語る以外の何物でもない。このまま定理扱いしてもよろしい。そしてこの定理の逆は真でないとして、鼻の長いもの例に、鞍馬山の天狗だの、池の尾の禅珍内供だのを上げるのも一興だろう。それでおしまいである(三上章、日本語の論理、1963年、13・14頁)。
従って、
(18)(19)(20)により、
(21)
三上章先生は、『日本語の論理、1963年』を上梓するに当たって、
① 象は鼻が長い。
といふ「日本語」を、自ら、
②  ∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ ~∃x{象x&∀y(鼻yx→~長y)∨∃z(~鼻zx& 長z)}。
といふ「述語論理式」に、「翻訳」しようとは、しなかった。
つまりは、「述語論理」を学ぶことが無いままに、『日本語の論理、1963年』を上梓した。
従って、
(21)により、
(22)
三上章先生は、
① 象は鼻が長い。
といふ「日本語」を論じるに当たって、
②  ∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ ~∃x{象x&∀y(鼻yx→~長y)∨∃z(~鼻zx& 長z)}。
といふ「述語論理式」を「意識」することが、皆無なのであって、私には、そのことが、大いに不満である。
(23)
日本文法において、主語の代わりに縦横無尽に活躍するのは、「ハ」という係助詞だ。「象ハ鼻ガ長イ」の「象ハ」は主語ではない。「象について言えば」と話題を提示しているのである。「X(エックス)ハ」の本務は提題である。 「本務」と言うからには兼務がある。先の文の内容は、「象ノ鼻ガ長イこと」と言い換えられる。ここに、もとの文にはなかった「ノ」という助詞が顕(あらわ)れる。ということは、もとの文では「ハ」が「ノ」を代行しており、そのため「ノ」が隠されていたのだ、と三上は解釈する。「ハ」の兼務は、「ガノニヲ」といった助詞の代行である。
(三上章「象は鼻が長い」 「ハ」に潜む他者からの問い)
(24)
① 象は動物である。
② 象は鼻が長い。
① ∀x(象x→動物x)。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
① すべてのxについて(xが象であるならば、xは動物である)。
② すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
従って、
(23)(24)により、
(25)
① 象は動物である。
② 象は鼻が長い。
といふ「日本語」に於ける、
① 象は
② 象は
といふ「日本語」は、確かに、
① ∀x(象x→
② ∀x{象x→
といふ「意味」、すなはち、
① すべてのxについて(xが象であるならば、
② すべてのxについて{xが象であるならば、
といふ「意味」、すなはち、
①「象について言えば」
②「象について言えば」
といふ「意味」では、ある。
令和04年02月02日、毛利太。

2022年2月1日火曜日

∃x∀y(Fxy)⇒∀y{∃x(Fxy)}

(01)
(ⅰ)
1(1)∀x∀y(愛xy) A
1(2)  ∀y(愛ay) 1UE
1(3)     愛ab  2UE
1(4)  ∀x(愛xb) 3UI
1(5)∀y∀x(愛xy) 4UI
(ⅱ)
1(1)∀y∀x(愛xy) A
1(2)  ∀x(愛xb) 1UE
1(3)    (愛ab) 1UE
1(4)  ∀y(愛ay) 3UI
1(5)∀x∀y(愛xy) 4UI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x∀y(愛xy)
② ∀y∀x(愛xy)
に於いて、
①⇒② であって、尚かつ、
②⇒① である。
然るに、
(03)
(ⅲ)
 2(2)  ∀y(Lay) A
 2(3)     Lab  2UE
 2(4)  ∃x(Lxb) 3EI
といふことは、
{個体領域}={a、b、c}であるとして、
③  Lab から、
③(Lab∨Lbb∨Lcb) である。
といふこと(∨I)を「主張」してゐて、このことは、「妥当」である
然るに、
(04)
(ⅳ)
1 (2)  ∃x(Lxb) 1UE
 (3)     La  A
 (4)  ∀y(Lay) 3UI
といふことは、
{個体領域}={a、b、c}であるとして、
④  Lab から、
④(Laa&Lab&Lac) である。
といふこと(&I)を「主張」してゐて、このことは、「妥当」ではない
従って、
(03)(04)により、
(05)
(ⅲ)
1 (1)∃x∀y(Lxy) A
 2(2)  ∀y(Lay) A
 2(3)     Lab  2UE
 2(4)  ∃x(Lxb) 3EI
1 (5)  ∃x(Lxb) 124EE
1 (6)∀y∃x(Lxy) 5UI
といふ「計算」は、「正しい」が、
(ⅳ)
1 (1)∀y∃x(Lxy) A
1 (2)  ∃x(Lxb) 1UE
 )     La  A
 (4)  ∀y(Lay) 3UI
 3(5)∃x∀y(Lxy) 4EI
1 (7)∃x∀y(Lxy) 135EE
といふ「計算」は、「間違い」である。
従って、
(05)により、
(06)
③ ∃x{∀y(Lxy)}
④ ∀y{∃x(Lxy)}
に於いて、
③⇒④ であるが、
④⇒③ ではない
従って、
(02)(06)により、
(07)
① ∀x∀y(愛xy)
② ∀y∀x(愛xy)
③ ∃x∀y(Lxy)
④ ∀y∃x(Lxy)
に於いて、
①⇒② であって、
②⇒① であって、
③⇒④ であるが、
④⇒③ ではない
然るに、
(08)
{個体領域}が、{人間}であるとして、
① ∀x{∀y(愛xy)}
② ∀y{∀x(愛xy)}
③ ∃x{∀y(愛xy)}
④ ∀y{∃x(愛xy)}
といふ「論理式」は、それぞれ、
① すべての人は、すべての人を愛す。
② すべての人は、すべての人に愛される。
③ ある人は、すべての人を愛す。
④ すべての人は、ある人に愛される。
といふ「意味」である。
従って、
(08)により、
(09)
③ ある人がすべての人を愛するのであれば、すべての人は、ある人に愛される。としても、
④ すべての人がある人に愛されるとしても、ある人がすべての人を愛するとは、限らない。
といふ「命題」は、「真」である。
(10)
例へば、
③ 鈴木さんは、すべての人を愛す。
といふのであれば、
④ すべての人は、ある人(鈴木さん)に愛される。
といふことは、「真」である。
然るに、
(11)
例へば、
④ すべての人の半分が、鈴木さんに愛され、
④ すべての人の半分が、田中さんに愛される。
としても、
③ すべての人は、ある人(鈴木さんと田中さんの、どちらか一方)に愛される。
といふ、ことになる。
然るに、
(12)
④ すべての人の半分が、鈴木さんに愛され、
④ すべての人の半分が、田中さんに愛される。
といふのであれば、
③ 鈴木さんは、すべての人を愛す。
③ 田中さんは、すべての人を愛す。
といふことには、ならない。
従って、
(03)~(12)により、
(13)
③ ∃x∀y(Lxy)
④ ∀y∃x(Lxy)
に於いて、すなはち、
③ ある人は(自分自身を含めて)、すべての人を愛す。
④ すべての人は、ある人に愛される。
に於いて、
③ ならば、④ であるが、
④ ならば、③ であるとは、限らない。
従って、
(13)により、
(14)
∃x∀yLxy⊃∀y∃xLxy・・・・・⑳「誰かが万人を愛しているならば万人はそれぞれ誰かに愛されている」
は常に真となる。しかし、⑳の逆:
∀y∃xLxy⊃∃x∀yLxy(万人がそれぞれ誰かに愛されているならば、誰かは万人を愛している)必ずしも常に真である訳ではない。
(大窪徳行・田畑博敏、論理学の方法、1994年、137頁)
といふ「説明」は、「正しい」。
令和04年02月01日、毛利太。